イメージが変わりました。
Title:Journey of a Songwriter~旅するソングライター
Musician:浜田省吾
ベスト盤や先日リリースされた企画盤的なミニアルバムは聴いたことがあるのですが、浜田省吾の純然たるオリジナルアルバムを聴くのはこれがはじめて。もっとも、前作「My First Love」はもう10年も前の作品になるわけですが・・・。
彼のオリジナルアルバムをいままで聴いていなかったのは、やはり彼の音楽を積極的には好んでいなかったから、ということにつきます。もっとも、ベスト盤は聴いていたわけで、彼の音楽を嫌いなわけではなく、曲によっては好きな曲もあったのは事実。ただ、イメージ的にいかにもなアメリカンロックのスタイルに少々仰々しさを感じて、あまり好みのタイプではないな、と思っていたのは事実です。
じゃあ、逆になんで今回このオリジナルアルバムを聴いてみることにしたのか、と聞かれると・・・正直、「なんとなく」というレベルなのですが・・・(^^;;ただ今回彼の曲をオリジナルアルバムの単位で聴いてみると、彼に対して持っていたイメージとちょっと違う姿が見られることに気が付きました。
まず感じたのは楽曲のバリエーション。彼に対するイメージとして持っていたのが彼に対するパロディーとしてもよく取り上げられるこぶしを振り上げるようなアメリカンロック、あるいはフォークからの影響の濃いロック、というイメージがありました。もちろん今回のアルバムにもそういう曲も収録されていましたが、ソフトロック風な「マグノリアの小径」、リズムにちょっとレゲエからの影響を感じる「サンシャイン・クリスマスソング」、エレクトロサウンドを取り入れた「夜はこれから」など意外と多彩。それらのサウンドは決して真新しいといった感じではないものの、ちゃんとアルバムの中のひとつのパーツとしてしっかりとはまっていました。
歌詞についても少年の心を持った大人の歌、というイメージがあり、それは魅力的に感じる反面、愛を前面に出したこちらも少々仰々しいというイメージを持っていました。こちらに関しても確かに仰々しさを感じさせる部分はあるものの、孤独な人たちへのメッセージソングにも感じられる「瓶につめたラブレター」やタイトル通り、人に恋する気持ちをストレートに描いた「恋する気分」など、彼の歌には自分たちがその姿を反映することが容易にできる人たちが登場しています。今回、彼のオリジナルアルバムを聴いて、あらためて彼の人気の理由がわかったように思います。
また、歌詞で特に印象に残ったのは、このアルバムの核ともいえる、アルバム終盤の組曲「アジアの風 青空 祈り」のうちの「part2 青空」。
「あまりに多く血が流された
とてつもない悲しみが襲った
あまりに尊い犠牲払った
充分過ぎるくらい学んだ…違うか?」
(「アジアの風 青空 祈り part-2 青空」より 作詞 浜田省吾)
というのは、今の東アジア情勢の中、かなりストレートなメッセージとして響いています。先日のサザンのアルバムもメッセージ性の強い内容でしたが、ベテランミュージシャンが強いメッセージ性をアルバムの中に入れてくる作品が続いているように感じました。
正直、個人的にはさほど好みじゃないかな、と期待していなかったアルバムでしたが、いやいやどうして、文句なしに楽しめたアルバムだったと思います。さすが浜田省吾、その実力は伊達じゃなかったですね・・・失礼しました!
評価:★★★★★
浜田省吾 過去の作品
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend
Dream Catcher
ほかに聴いたアルバム
岸田 繁のまほろ劇伴音楽全集/岸田繁
くるり岸田繁のソロ名義作となる新作は、映画「まほろ駅前多田便利軒」「まほろ駅前狂騒曲」の劇中で使われた曲を集めた全57曲入りのサントラ盤。基本的にどの曲も長くて1分程度。ワンアイディアを形にした・・・にも満たないような短い曲ばかり。ギターサウンドからエレクトロ、ストリングスを使った曲まで幅広く、という言い方になるのでしょうが、どの曲も短すぎて、正直、岸田繁の魅力を出すほどには至っていないような。ギターの使い方にちょっとくるりっぽさを感じるのと、要所要所のメロディーに彼のメロディーセンスを感じる部分はあるのですが。かなり熱心なファンか映画のファンじゃないとちょっとキツイかも。
評価:★★★
岸田繁 過去の作品
まほろ駅前多田便利軒 ORIGINAL SOUNDTRACK
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