挑戦の3枚目?
Title:English Graffiti
Musician:THE VACCINES
イギリスのギターロックバンド、THE VACCINESの3枚目となるニューアルバム。デビューアルバム「What Did You Expect from The Vaccines?」の頃は日本のメディアでも「注目の新人」として大きく取り上げられたものの、2枚目は露出が減少。3枚目も残念ながら日本のメディアではさほど大きく取り上げられてもらえていません。
ただ、本国では一定以上の人気を確保しているようで、前作「Come of Age」では2作目にしてデビュー作を上回る全英チャート1位を獲得したのですが、本作も見事アルバムチャートで最高位3位を記録。その人気を確固たるものとしています。
そんな3枚目となる本作は、いままでのアルバムに比べると楽曲的にバリエーションが増えたのが特徴的。ピアノバラードの「(All Afternoon)In Love」や打ち込みを用いた「Denial」、サイケの要素が強い「Want You So Bad」など、いままでのシンプルなギターロック路線から考えると、バリエーションの多い作風に彼らの新たな挑戦を感じさせます。
ただ、とはいってもアルバム全体としていままでのTHE VACCINESのファンが戸惑うように作風がガラリと変わったか、と言われると全くそんな感じはありません。「Handsome」などはノイジーなギターが鳴り響く、いかにもイギリスのオルタナ系ギターロックといった感じの作品ですし、他にも「20/20」にしても「Miracle」にしてもギターサウンドが主軸にポップなメロが鳴り響くというスタイルはいままでの彼らの路線から、そう乖離したものではありません。
良くも悪くも安心して聴けるというのが彼らの音楽。新しい挑戦といっても基本的にはポップで耳なじみやすいという枠組みから出るものではありません。なんといってもポップなメロディーがどの曲にも流れているため、そういった意味でも大外しのない、イギリスのギターロック好きならば安心して聴けるアルバムだったと思います。
全18曲という、それなりの曲数ながらも1時間程度でおさまる内容というのも聴きやすさを感じる大きなポイント。1曲あたり2、3分程度の曲が並んでいるためテンポ良く聴けます。ちょっと「?」と思うような曲が入っていても、すぐ終わってしまうため、アルバム全体の流れを阻害しません。そういう意味でも安心して聴けるアルバムと言えるかもしれません。
良くも悪くも無難という意味では、イギリスにおける「J-POP的」な位置にいるバンドなのかなぁ、とも思ったりもします。まあ、だからこそ日本ではそこそこの注目度でも本国では大人気のバンドなのでしょう。大絶賛というアルバムではないですが・・・イギリスのギターロック好きならチェックして損のない1枚です。
評価:★★★★
THE VACCINES 過去の作品
WHAT DID YOU EXPECT FROM THE VACCINES?
Come of Age
Please Please Do Not Disturb EP
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