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2015年6月21日 (日)

なによりもボーカルが魅力

Title:Beautiful
Musician:Lacee

昨年のBlues&Soul Records誌の年間ベストアルバムにも選ばれた、アメリカの女性シンガーLaceeの新作。本国でも決して「売れている」シンガーではないみたいで、このアルバムも本国ではもともとダウンロードオンリーでのリリースだったようです。ただ、海を隔てて遠く離れたここ日本では、一部のマニアを中心に妙に高い評価を得て、日本オンリーでCDでのリリースが決まり、遅ればせながら私も聴いてみました。

で、そんな彼女の魅力なのですが、それはなにを差し置いてもそのボーカルだと思います。いきなりパワフルなボーカルでスタートする「Let the Juke Joint Jump」は、ホーンも入った力強くブルージーな演奏もさることながら、なによりも彼女のパワフルな歌声に圧倒されます。

他にもファンキーな「The Three T's」やメロウな曲調の中にボーカルの力強さを感じる「Mr.Wrong」など、その類まれなる歌唱力を惜しみなく聴かせてくれます。

かと思えば一方では「Oh Well」「Messy」などで聴かせてくれるとても優しい歌声も魅力的。パワフルに歌い上げるだけではなく、その力を抑えて優しく歌ってもとても魅力的に聴かせることが出来、まさに緩急つけた歌声をこのアルバムの中では披露してくれています。

一方、楽曲に関しては、ブルースやサザン・ソウルなどのルーツ志向の強いソウルミュージック・・・なのですが、こちらに関しては正直なところこれといって目新しさはありません。また、「I Got Your Back」など、90年代あたりのR&Bの要素を入れてそれなりにアップデートした楽曲も聴かせてくれたりするのですが、こちらに関しても微妙に時代遅れといった感覚は否めません。

ただ言い方を変えれば下手に凝らないサウンドともいえる感じ。演奏にしても「圧巻するグルーヴ感」といった感じはありませんが、ボーカルにあわせたグルーヴ感をちゃんと醸し出しています。良くも悪くもストレートなサウンドだからこそ、彼女のボーカルが映えているという、そんな印象も受けました。

そんな訳で、楽曲自体にそれほど新鮮味はないのですが、Laceeのボーカルだけでご飯3杯はいけそうな、そんな魅力的なアルバムだったと思います。特に日本だと、邦楽の世界で「ボーカル」というのは非常に軽視されているように感じるだけに、彼女みたいなボーカリストが日本でももっと広く聴かれるといいなぁ。

評価:★★★★

Lacee 過去の作品
Soulful

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