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2015年6月15日 (月)

Mr.Childrenの集大成

Title:REFLECTION
Musician:Mr.Children

Mr.Childrenのニューアルバム。メディアをはじめ傑作という前評判が高かった作品。やたらめったら持ち上げる論調は少々眉唾物な部分を感じ、不安半分、期待半分で聴いてみました。

それで聴いた結果から言ってしまえば、この新作、間違いなく傑作です。

で、このアルバムが傑作だった理由もはっきりしています。それは小林武史を切ったから(苦笑)。

ベスト盤のレビューにも前作「[(an imitation) blood orange]」にも書いたのですが、ここ最近の小林武史のプロデュースワークは、あきらかに才能の衰退が見て取れました。スケール感を出すための大味なストリングスの連続で、曲の良さをすっかり殺してしまっていたのと同時に、ロックバンドとしてのMr.Childrenの良さをほとんど無視した、いわば独善的なプロデュースワークがほとんどでした。

今回のアルバムでも何曲か小林武史との共同プロデュースの作品があるものの、過半数は小林武史の手が入らない、セルフプロデュースの作品となっています。その結果、ストリングスを無理やり入れたような大味な曲は少なくなり、もっとシンプルでポップな楽曲、あるいはバンドサウンドをもっと前に押し出した楽曲がグッと増えた印象を受けます。

「fantasy」「FIGHT CLUB」などまさにミスチルらしいインパクトあるポップなメロディーが楽しめる曲になっていますし、「運命」に至ってはポップな作風が初期の彼らすら彷彿させるような楽曲になっています。

ロックな彼らといえば「REM」でしょうか。これはコバタケとの共同プロデュースなのですが、桜井のシャウトと共に、かなりへヴィーな、ロックバンドとしてのMr.Childrenを前面に押し出した作品となっています。

ただ、小林武史の手を離れたといっても楽曲の作風としてはいままでと大きく変わりません。むしろMr.Childrenの王道ともいえる楽曲が並んでいます。またプロデュースワークにしてもセルフプロデュースになったからといってアレンジをガラリと変えたわけではありません。例えばセルフプロデュースとなってはじめての作品で、歌詞に小林武史との決別をイメージさせるということで話題となった「足音~Be Strong」にしてもサビの部分でストリングスを入れてくるなど、基本的には小林武史プロデュースと大きな違いはありません。ただ、サビ以外の部分ではストリングスを抑え、音をタイトにしているあたり、小林武史のここ最近のプロデュースワークとの違いも感じます。

そんな訳で新しいミスチルというよりは、いままでのミスチルの集大成ともいえる内容に感じました。上にも書いた通り、「運命」は初期の彼らを彷彿とさせますし、「足音~Be Strong」はミリオンヒットを連発していたころの楽曲に雰囲気が近いように感じます。その他もミスチルらしい、と感じる曲が多く、今回のアルバムはあらためてMr.Childrenというバンドがどんなバンドであったか、再認識するような内容になっていました。

ちなみに今回話題になったのは{Naked}と名付けられた23曲入りのUSBアルバムがおさめられた初回生産限定盤をリリースした上で、{Drip}と名付けられた、{Naked}から14曲を抽出しておさめたCDのアルバムがリリースされたことでした。

{Naked}は曲数も多く、正直聴いていてアルバムとしてのまとまりはちょっと希薄に感じます。最後は「未完」で締めくくられるのですが、ここからはじまるような雰囲気の楽曲であったため、聴き終わった後、どうももどかしさを感じてしまいました。しかし{Drip}では、この{Naked}から抽出された曲が見事に構成され、アルバムとして一体感のある展開になっていました。個人的にはあと2曲くらい減らして、全60分程度の長さの方がよりよかったのでは?とも思ったのですが、アルバムのはじまりをつげる「未完」から最後を締めくくる「足音~Be Strong」まで一気に聴けてしまうメリハリある構成になっていたと思います。

彼らの最高傑作・・・・・・・とまではさすがにいえないかもしれませんが、間違いなくここ数作の中では一番の出来。全アルバムの中でも5本の指には入りそうな傑作なのは間違いないと思います。ミスチルがミスチルらしさとミスチルの良さを再発見したそんなアルバムに感じました。

評価:★★★★★

Mr.Children 過去の作品
SUPERMARKET FANTASY
SENSE
Mr.Children 2001-2005<micro>
Mr.Children 2005-2010<macro>

[(an imitation) blood orange]


ほかに聴いたアルバム

Samurai Jazz only one ensemble COVER SELECTION/PE'Z

年内の解散が決まったPE'Z。そんな彼らの最後となるアルバムがなんとカバーアルバムというのが実にユニーク。それもジャズのスタンダードのみならず、歌謡曲や映画音楽、さらにはゲーム音楽や民謡までカバーしているという幅広さがユニーク。どれもアップテンポでライブでも盛り上がりそうな楽しいカバーになっている反面、いかにもPE'Zらしい楽曲は良くも悪くも無難なアレンジにおさまっている感じで、カバーならではの意外性みたいな要素は薄かったのは残念な印象も残りました。

評価:★★★★

PE'Z 過去の作品
1・2・MAX
ギャロップ(pe'zmoku)
ペズモク大作戦(pe'zmoku)
I WANT YOU
向日葵-Himawari-
OH!YEAH!PARTY!!
JumpUP!
血騒-chisou-

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