懐かしさにひたりながら・・・
Title:映画ドラえもん主題歌大全集
以前、藤子Fアニメに使われた曲を網羅的に収録したアルバム「藤子・F・不二雄 大全集」を紹介しました。その時の感想として、ドラえもん映画主題歌がほとんど収録されていないのが残念、ということを書きました。でも、直後にこういうアルバムが企画されていたんですね。ドラえもんの映画主題歌を、同時上映の短編映画の主題歌を含めて網羅的に収録したオムニバスアルバム。初期の作品についてはリアルタイムで夢中で見ていた私にとっては懐かしさも相まって、「藤子・F・不二雄 大全集」に引き続き聴いてみました。
なんかね、想い出補正の部分もあるんでしょうが、全3枚組のアルバムなのですが、DISC1以外はいりません(笑)。いや、まじで。
ある程度ドラえもん映画を知っている方には常識なのですが、初期のドラえもん映画にとって主題歌と言えば武田鉄矢が手掛けているというのが常識でした。それが1996年の藤子F先生の逝去に伴い、武田鉄矢も一度ドラえもん映画を卒業。その後は「普通の」J-POPシンガーによる主題歌が並んでいます。
いまでもこの初期、武田鉄矢期の評価は非常に高いのですが、今回DISC1に収録されている武田鉄矢の作詞による初期の主題歌は、今聴いても神がかったものを感じます。個人的に一番好きなのは「のび太の宇宙小戦争」の主題歌「少年期」。名曲名高いこの曲は、リアルタイムで聴いた時にも強い印象に残った大好きなナンバーだったのですが、30年たった今聴いても、心に染みるものがあります。特にノスタルジーあふれる歌詞については、むしろアラフォーになってしまった今だからこそ、胸に迫るものがありました。
そもそも一番最初のドラえもん映画「のび太の恐竜」主題歌「ポケットの中に」からして見事にドラえもんの世界を1曲の中に表現した傑作。他にも「友達だから」だとか「心をゆらして」だとかドラえもんの世界観に見事マッチした傑作が並んでいます。
それに比べると、その後のJ-POP期の作品は、タイアップによる宣伝効果を狙ったことが垣間見れるような曲が多く、曲自体の出来はともかくとしてドラえもん映画の主題歌としてはちょっと疑問に感じるような曲も少なくありません。特に酷いのが、武田鉄矢卒業直後のナンバー。矢沢永吉の「Love is you」なんて曲自体の出来はもちろん悪くないのですが、ドラえもんの雰囲気に全く合っていません。そもそもドラえもん映画に矢沢永吉って何?当時の会議とかで「ドラえもんと矢沢永吉ってギャップがおもしろくない?」みたいなノリで決まったんでしょうか。全然おもしろくありません。
それでもドラえもんの声優陣が変わりリニューアルしたあたりから、徐々にドラえもんの世界観に沿ったような曲が増えてきています。BUMP OF CHIKEN「友達の唄」やPerfume「未来のミュージアム」なんかはドラえもん映画の世界観にちゃんと沿っていますし、その他の曲に関しても違和感ある曲も少なくなってきています。いかにも流行りどころで選びました、的な人選も目立つのですが、それでもまだマシになってきている感じでしょうか。
ただ一方で、武田鉄矢期についてもあまり神格化しすぎるのは疑問で、正直、彼が作詞を手掛けた後期の作品については、少々ネタ切れ気味、失速気味を感じます。賛否両論あったみたいですが、藤子F先生逝去の段階でドラえもん映画卒業というのは、今から考えるとちょうどよい区切りだったのかもしれません。
そんな訳で、ノスタルジックな気持ちにひかれながら楽しめたオムニバスアルバムでした。DISC1の、特に前半は、まじでサイコー!!DISC2、3のいかにも流行りのミュージシャンに歌わせてみました的な曲に閉口しながらもそれなりに楽しめたアルバム。子供の頃、ドラえもん映画を見ていた方にとっては懐かしさにひたりながら楽しめるアルバムです。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
私とドリカム2-ドリカムワンダーランド2015 開催記念BEST COVERS-
ドリカムのカバーアルバムの、タイトル通り第2弾。第1弾は参加者がいまひとつ魅力的に感じられずスルーしたのですが、この第2弾はNICO Touches the WallsやらMONGOL800やらちょっと意外な人選もユニークで、今回はチェックしてみました。
前半に関しては正直無難なカバー。一応それなりに上手いシンガーをそろえているのですが、原曲そのままのカバーでカラオケの域を出ていません。ユニークだったのは後半。レゲエ風に「決戦は金曜日」をカバーしたNICO Touches the Wallsは予想以上におもしろいカバーでしたし、「a little waltz」を軽快なギターロック風にまとめたMONGOL800もなかなかの出来。最後の徳永英明「LOVE LOVE LOVE」は格の違いをみせつけています。
ただとはいえ全体的には「でもやはり吉田美和のボーカルが一番かなぁ」と感じてしまったのも事実で。逆にあらためて吉田美和のボーカリストとしての実力も感じてしまったカバーアルバム。正直、もうちょっと「大物」もそろえてほしいかも、と思ってしまった部分も。
評価:★★★★
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