ひとことで言い表せない音楽性
Title:Sound&Color
Musician:Alabama Shakes
2013年のグラミー賞では最優秀新人賞を受賞するなど、一躍注目を集めたAlabama Shakes。その前作「Boys&Girls」は高い評価を得ましたが、それに続く待望のニューアルバムがリリースされました。
そして、このニューアルバムがはっきり言って、ビックリするほど素晴らしいんです。
Alabama Shakesといえば、ルーツ志向、ソウルテイストの強いロックバンドというイメージが強くあります。もちろん、今回のアルバムについてもそんなルーツ志向の強いサウンドを聴かせてくれています。
タイトルチューンの「Sound&Color」のエレピの音色からまさにソウルテイストが強いのですが、そこにのるブリトニー・ハワードのボーカルもまた、ロックというよりもブラックミュージックテイストの強いもの。このブリトニーの、力強く、時には優しいボーカルが、Alabama Shakesの大きな魅力。今回もソウルフルなボーカルを聴かせてくれる「Gimme All Your Love」や、その逆、とても優しい歌声が胸に響く「This Feeling」など、非常に魅力的な歌声を聴かせてくれています。
ただAlabama Shakesの魅力はブリトニーのボーカルにとどまりません。なんといってもバンドの奏でるグルーヴ感がたまりません!「Don't Wanna Fight」あたりが典型的なのですが、シンプルながらも力強いドラムのリズムに、力強くリズムを刻むギターサウンドが独特のグルーヴ感を奏でています。このサウンドはソウルテイストを強く感じながらも、へヴィーなギターサウンドはむしろロック寄り。このロックとソウルの絶妙なバランスがAlabama Shakesの大きな魅力となっているように感じます。
しかし、今回のアルバム、「ルーツ志向のロックが魅力的」と一言で言ってしまえるようなシンプルなものではありません。むしろルーツ志向という枠組みに留まらない音楽性が今回のアルバムの大きな特徴となっていました。
例えば「Guess Who」はソウルはソウルでもフィリーソウルなナンバーですし、さらに「The Greatest」はガレージロック風、「Shoegaze」などはポップテイストの強いギターロックになっています。さらに「Gemini」に至っては、基本的にはソウル風なのですが、そのサウンドにはどこかポストロックからの影響まで感じられます。
ひとつのジャンルにとらわれない音楽性を垣間見せながらも、アルバム全体としてちゃんとAlabama Shakesの作品として仕上がっています。彼らの音楽にはそれだけ大きな包容力を感じさせると同時に、2作目にしてしっかりと自分たちの音を確立している、そう感じさせるアルバムでした。彼らの音楽の前には「ルーツ志向」なんて単純な言葉でくくるのが陳腐に感じさせるような、そんな作品だったと思います。
さらに今回のアルバム、売上的にもアメリカビルボードチャートで1位を獲得するなど、その人気を確実なものとしています。ただ、このアルバムの内容ならその人気の理由も納得。そして間違いなく今年のベスト盤候補のアルバムだと思います。文句なしの傑作でした。
評価:★★★★★
Alabama Shakes 過去の作品
BOYS&GIRLS
ほかに聴いたアルバム
DEMOLICIOUS/GREEN DAY
GREEN DAYが2012年にリリースした3枚のアルバム「UNO!」「DOS!」「TRE!」のデモ音源を収録したアルバム。デモ音源といっても未完成の形ではなく、ほとんどがほぼ楽曲として完成した形での音源。オリジナルに比べると若干サウンドは荒い感じがするのですが、それだけオリジナル以上にバンドサウンドを前に出した作品が多く、下手したらこちらの音源の方がよかったんじゃない?という曲もあるほど。ともすれば3枚のアルバムの「ベスト盤」的にも楽しめるアルバムになっています。
評価:★★★★★
GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!
TRE!
爆発ライブ~渋谷編
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