ついに出た!待望の新譜!!
Title:The Magic Whip
Musician:blur
待ちに待ったニューアルバムがついにリリースされました!blur12年ぶりのニューアルバムがついにリリースされました。「12年ぶり」というのもそうなのですが、2009年に再結成してから6年。その間、インタビューなどで「新作はつくらない」とデーモンが語っていたり、あるいは、再結成ライブなどを「これが最後」などと評するようなライターがいたりと、「本当のところはどうなんだ?」とやきもきしていたのですが、なんとか新作リリースまでこぎつけたようです。
もっとも今回の新作、メンバーが「新作をつくろう」と意気込んで制作した結果、ではなく、もともとのきっかけは2013年、彼らがヘッドライナーとしてラインナップされていた「TOKYO ROCKS」が直前で急きょ中止となり、来日のための日程が休暇になったことがきっかけ。時間があいたため、香港のAvon Studioで音源を録りためたとか。もっともその音源は一度ボツとなり、新作発表の話は流れたものの、昨年11月、グレアム・コクソンがその時の音源とあらためて向き合い、ついに完成に至ったそうです。
そんな訳でリリースされた待望の新作。そう考えると国内で散々叩かれた(ネタにされた?)「TOKYO ROCKS」の中止騒動も結果的にはむしろ良かったわけですな(笑)。blurとしても12年ぶりなのですが、グレアム・コクソンが参加したのアルバムという意味では「13」以来、なんと16年ぶりとなるアルバムとなりました。
うれしいのは、このグレアム復帰というポイント。1曲目「LONESOME STREET」の出だしのギターの音。もうこれを聴くだけで「うん、これだよ、これ!」と思ったファンは多かったのではないでしょうか。他にも「GO OUT」だったり「I BROADCAST」だったり、昔のブリットポップ期を彷彿とさせるような、いわゆるblurらしい曲もチラホラ見受けられました。
ただこれが原点回帰のアルバムか、といわれると全くそうではありません。むしろ、デーモンにしろグレアムにしろソロでの活動も反映された結果のアルバム。例えば「ICE CREAM MAN」などはゴリラズの活動を彷彿とさせるような楽曲だったように感じました。
もっともとはいうものの、blurとしての前作「Think Tank」にしろ、グレアムがいた前作「13」にしろ、それ以前のブリットポップ期とは異なり、メンバーの新たな音楽的嗜好が反映されたアルバムでした。そういう意味では12年というインターバルがあいているものの、このアルバム、間違いなく「Think Tank」の次につながるアルバムというように感じました。
しかし、そんな新作の出来がどうだったかというと、決して悪いアルバムではないのですが、残念ながらどうにも煮え切らない作品のように感じました。初期の作風におもいっきり回帰した訳でもなく、また、個人的な趣味を炸裂させたかというと、デーモンにしろグレアムにしろどこかメンバーに遠慮があるような。かといって、明確に「売り」に走ったようなわかりやすいポピュラリティーもありませんし・・・。
メンバー全員で、作るぞ、と意気込んで作った作品ではなく、なんとなく出来てしまった感がアルバム全体に漂ってしまっている、そんなアルバムのように感じました。うーん、blurの新譜が出来たのはやはり素直にうれしいのですが、どうせつくるのなら、もっと本気モードでつくってほしかったなぁ、そんなことも感じてしまった新作。とはいえ、また次回作もつくってほしいなぁ、と期待してしまうのですが。
評価:★★★★
blur 過去の作品
MIDLIFE:A Beginner's Guide to Blur
All the People... Live in Hyde Park: 2nd July 2009
PARKLIVE
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