無期限活動休止前の集大成
Title:BEST HIT the telephones
Musician:the telephones
5月21日に行われる、初の武道館ライブを最後に活動休止するthe telephones。ちょうど今年は結成10周年の区切りの年、ということもあり突然の「無期限の活動休止」宣言は驚きをもって迎え入れられました。
そして本作はそんな彼らが、10周年という区切りにリリースした初のベストアルバム。タイトルもジャケットも、ダンスミュージックのコンピレーションによくありがちなパターン。ただ一方では実にthe telephonesらしい、ともいえるかもしれません。本作ではそんな彼らの作品が、インディーズ時代の楽曲を含めて時系列順に収録されています。
この時系列順に収録された、という曲順がなかなかユニーク。特に序盤の曲に関しては、徐々にthe telephonesらしさを確立していく過程が聴けるのと同時に、デビュー当初から現在までthe telephonesとして変わらない部分も強く感じます。例えば1曲目「happines,happiness,happiness」では手拍子からスタートするライブで盛り上がりそうなナンバー。あくまでも観客を盛り上がらせるというthe telephonesのすべての楽曲に共通する要素を感じる一方で、後のthe telephonesらしいディスコテイストは薄めになっています。
この序盤は「ディスコ」というよりも「sick rocks」のようなロック寄りの楽曲もあったりして、ボーカル石毛輝の声もまだハイトーンボイスではありません。そのハイトーンボイスが登場するのが「Love&DISCO」。そして6曲目「Urban Disco」あたりから明確にthe telephonesらしさがあらわれてきます。
さてthe telephonesというと打ち込みのディスコナンバーに薄くギターのバンドサウンドが重なるサウンド。そこに石毛輝のハイトーンボイスで「ディスコディスコ!」って言っているイメージ・・・なのですが、このベスト盤であらためて聴くと、意外とバリエーションの多い楽曲を演っているなぁ、という印象を受けました。
例えば「I Hate DISCOOOOOOO!!!」ではタイトル通り、へヴィーなギターサウンドを「アンチディスコ」みたいなイメージで入れてきて、そのギターとディスコサウンドの対比がユニークですし、「D.E.N.W.A」ではパンキッシュな要素も強く感じます。「It's Alright To Dance(Yes!!!Happy Monday!!!)」ではベースラインにファンク的な要素も感じますし、新曲「Say DISCO」ではメロディーにどこか歌謡曲っぽさも感じます。
そんなバリエーションの多い展開だったため、飽きずに最後まで楽しむことが出来ましたし、the telephonesの意外な音楽性の広さも感じることが出来ました。・・・・・・とはいうものの、基本的にはやはり打ち込みメインのディスコサウンド。聴き終わった後は石毛輝がハイトーンボイスで「ディスコディスコ!」言ってたなぁ・・・という印象が残ってしまうことは否めません(^^;;
そういう意味ではやはり良くも悪くも大いなるマンネリな部分は否定できませんし、また今回、無期限の活動休止とするのは、the telephonesとしてやれることをある程度やりつくした、ということも大きいのかもしれません。ただ、このベスト盤に関してはthe telephonesの魅力がしっかりつまっており、聴けば自宅もフロアに早変わり・・・というベタな言い方をしてしまいますが(^^;;十二分に楽しむことが出来る傑作でした。活動休止は残念、というよりもこのベスト盤を聴くと、仕方ない部分も大きいのかなぁ。そうも感じた1枚でした。
評価:★★★★★
the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.
We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.
Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!
SUPER HIGH TENSION!!!
トカレフ/大森靖子&THEピンクトカレフ
大森靖子が、彼女のライブなどでサポートしているバンド、THEピンクトカレフと組んでリリースしたアルバム。全編ガレージロックサウンドに大森靖子の歌が載るスタイルのロックテイストの強いアルバム。う~ん、悪くはないけど、正直特に目新しくもない、ここ最近よくありがちなガールズロックのスタイルといった感じ。メディアを中心に絶賛されているけど、大森靖子ってハイプ気味だと思うんだよなぁ。
評価:★★★
大森靖子 過去の作品
洗脳
VISION/ねごと
フルアルバムとしては約2年ぶりとなる新作。シンセや打ち込みのサウンドを主導に、バンドサウンドがそこに絡むというスタイルは相変わらず。良い意味で安定感も出てきてサウンドの方向性にも迷いがなく、ねごとらしさがほぼ確立されたかな?と感じるような内容でした。ただやっぱりサウンドやボーカルのポップスさにも関わらず、メロディーのインパクトがちょっと弱いようにも感じられてしまいます。このインパクトさえつけば、もっとブレイクしそうな感じもするのですが。
評価:★★★★
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