30周年の記念アルバム
Title:オーディナリー・ライフ
Musician:渡辺美里
今年、デビュー30周年を迎える渡辺美里。そんな彼女の3年8ヶ月ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。デビュー30周年という記念の年、かつ久々のニューアルバムということもあって、今回のアルバム、正直、ビックリするほど豪華なミュージシャンが参加したアルバムになっています。
作詞作曲に、ご存じ大江千里や伊秩弘将、木根尚登らおなじみのメンバーが参加しているほか真心ブラザーズのYO-KING、サンボマスターの山口隆、THE MODSの森山達也、Great3の片寄明人、森雪之丞という豪華なメンバーが参加。さらにスカパラのメンバーやゴスペラーズ、さらには高橋幸宏(!)といったメンバーもレコーディングに参加。正直、渡辺美里というと「過去の人」みたいなイメージが強いのですが、これだけ豪華なメンバーを集められるくらい力を入れてもらえるというのは、やはりエピックレコードへの過去の貢献や、なんだかんだいって一定層以上存在する根強い固定ファンの存在があるからでしょうか。
また、プロデューサーとしてファンにはおなじみの佐橋佳幸が参加。渡辺美里と長年タッグを組んできた彼が、多彩なゲストによって提供された曲をちゃんと美里カラーに染めて、アルバムに統一感を出しています。今回、歌詞カードには1曲毎に彼のコメントが寄せられているのですが、これもまたこのアルバムへの力の入れ方がわかります。
そして、このアルバム、今回新たに参加したメンバーが楽曲を提供した前半が特に素晴らしい内容に仕上がっていました。YO-KING作詞作曲の「鼓動」は、YO-KINGらしい骨太のポップスに仕上がっていましたし、スカパラのメンバーが演奏に参加した、森山達也作詞作曲の「今夜がチャンス」はちゃんとロックなナンバーに仕上がっていました。森雪之丞作詞、木根尚登作曲による「点と線」は昭和の香りのする歌謡曲になっており、こちらも魅力的。今回、唯一本人作曲によるタイトルチューン「オーディナリー・ライフ」も彼女らしいバラードナンバーなのですが、この豪華なメンバーの中でなにげに健闘していました。
今回のアルバム、特に出来がよかった要因のひとつは、劣化著しかった渡辺美里本人作詞の曲がほとんどないこと(苦笑)。基本的には曲を提供したミュージシャンが作詞も手掛けており、楽曲にもマッチした歌詞が展開されるほか、バラエティーに富んだ歌詞が楽しめます。
「これはビックリするような傑作だ」と前半を聴きすすめるうちは思っていたのですが、後半に関しては残念ながら失速してしまいました。後半は彼女のアルバムではおなじみの大江千里と伊秩弘将、また今回初参加となるCarvanが楽曲を提供しているのですが、伊秩弘将は残念ながらかつてのようなパワーはなく、Carvanはどうにも地味でいまひとつ。また特に大江千里は楽曲のパワー不足がかなり厳しいものがありました。
ただそれでも「恋したっていいじゃない」をはじめ、数多くの美里の懐かしいナンバーのどこかで聴いたことある歌詞を織り込んだ「青空ハピネス」のような、「30周年」という区切りにふさわしいようなユニークなナンバーがあったりして、長年のファンにとってはちょっとにやけてしまうような楽曲も収録されていたりします。
後半はちょっと残念だったものの、30周年にふさわしい充実した内容の作品で、出来としてはここ数作どころか、少なくとも2000年代に入ってからは一番の出来だったように思います。6曲目までなら文句なしに★5つ。後半、失速してしまっただけにアルバム全体としては、★4つかなぁ・・・とも思うのですが、久々に渡辺美里のファンとして楽しめたオリジナルアルバムだったという点と30周年というご祝儀(?)を兼ねて、評価は下の通りに。ひいき目抜きにしても、久々に良いアルバムでした。
評価:★★★★★
渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~
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