懐かしい言葉が各所に登場
Title:1212
Musician:スチャダラパー
途中、ライブ会場限定のアルバムリリースがあったものの、一般販売されるオリジナルアルバムとしてはなんと6年ぶりとなるニューアルバム。スチャダラパーといえば「今夜はブギー・バック」のヒットがあるだけに90年代前半のグループというイメージがどうしても強くなってしまいます。ただ今回のアルバムは、それを否定するわけではなく、むしろ、90年代やむしろその前の80年代あたりの風俗のイメージを強く押し出したようなリリックが印象に残りました。
「毒舌か 恨み節か
説教か 変わらない芸
From昭和」
(「スチャダラメモ」より 作詞 M.KOSHIMA/Y.MATSUMOTO/S.MATSUMOTO)
なんて歌詞からスタートし、懐かしいファミコンの時代から、3DSの時代までのゲームの歴史をつづった「ゲームボーイ2」、さらにストレートだったのは「ザ・ベスト」で、「パイルダーオン」「倍率ドン」「お風呂入れよ ハァ~ビバノンノン」なんていうアラフォー世代以上にとっては懐かしくて感涙モノの単語が続々登場しています。
ただ、こういう懐かしい単語を並べながらも、楽曲としてはあまり「昔はよかった」的なノスタルジックな後ろ向きの志向は感じられません。おそらくそれは、決して単純に昔を賛美するのではなく、どこか斜めから世の中を見たような視点にユーモアのセンスを加えた、スチャダラらしいスタンスが楽曲全体に流れているからでしょう。
またそんな楽曲のほか、今回はゲストを招いたユーモラスな作品も強く印象に残りました。
チャットモンチーとの共演、「スチャットモンチー」なるユニットによる「M4EVER」は、子供に対する母親からの視点で歌われた内容がなかなかユニーク。「母親役」で登場するチャットモンチーのボーカル、橋本絵莉子は、むしろ「幼さ」を感じられる声なのですが、このミスマッチさも狙ったものでしょう。
また「Off The Wall」も清水ミチコをゲストに招いたコントを織り込んだナンバー。こちらもとても楽しいナンバーなのですが、こういうコントもアルバムの中で自然に溶け込んでいるほど、今回のアルバムはスチャダラのユーモアセンスにあふれた作品だった、ということでしょう。
いろいろなところでスチャダラパーのユーモアセンスが顔をのぞかせる、最初から最後までとても楽しいアルバムでした。今年デビューから25年目を迎えるベテランの彼らですが、ベテランらしく、ちゃんとリスナーの壺をついてくるような作品を余裕をもって作り上げているようにも感じました。アラフォー世代必聴の作品(笑)。ただもちろん、もっと下の世代でも十分に楽しめる傑作です。
評価:★★★★★
スチャダラパー 過去の作品
THE BEST OF スチャダラパー 1990~2010
11
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