怒りの音楽
Title:THE DAY IS MY ENEMY
Musician:THE PRODIGY
赤いキツネのジャケットが妙にインパクトのあるイギリスのデジタルロックバンドTHE PRODIGYの6年ぶりとなるニューアルバム。個人的に前作「Invaders Must Die」は2009年の私的年間アルバムランキング1位の作品だっただけに、当然今回のアルバムも大きな期待をしてのぞみました。
「THE DAY IS MY ENEMY」という挑発的(?)なタイトルがついたこの作品ですが、国内盤の解説によるとメンバーのうちリーダーのリアム・ハウレットは現在のミュージックシーンに対してかなり挑発的な発言を繰り返しているようで、特にここ最近、世界で流行となっているEDMシーンに対しては、かなりの苦言を呈しているよう。今回のアルバムはそんなEDM全盛のミュージックシーンに対するTHE PRODIGYの回答といっていいのかもしれません。
そんなこともあってか、今回もまた強烈なビートとダイナミックなサウンドが展開されるパンキッシュな楽曲が並んでいます。まずへヴィーなドラミングとギターが流れる中、「The Day Is My Enemy,The Night My Friend」とこのアルバムタイトルのフレーズが延々と繰り返されるタイトルチューン「THE DAY IS MY ENEMY」からまず、そのへヴィーなサウンドに耳を惹かれます。
その後も強烈なビートの曲が続き、同じエレクトロサウンドの4つ打ちのサウンドといい、お気軽なダンスチューンであるEDMとは、確かに対極ともいえる作品が続いていきます。「REBEL RADIO」「DESTROY」「WALL OF DEATH」など、タイトルを連ねるだけで彼らのシーンに対する怒りが強烈に伝わってくるようにも思います。
ただ・・・そんな彼らの曲、1曲1曲はインパクトも十分で楽しめたのですが、アルバムを通じて聴くと、最後の方は正直飽きてきてしまいました。というのも、全体的に曲調が似ているイメージを受け、かつ、「押し」一辺倒のサウンドには、聴いていて疲れてきてしまったからです。
特になんで似ていると感じたのかなぁ、と思ったのですが、その大きな要因はドラムの音に感じました。ドラムの音の使い方が、どの曲でも似てしまっているため、楽曲がどれも似たように感じたように思います。もっともドラムの音の使い方なんて、どのバンドでもおおむね似ているのでしょうが、彼らの場合、それに加えて、どの曲もダイナミックでパンキッシュでリズミカルという曲の特徴も似てしまっていただけに、似たような楽曲が並んでいる印象を受けたのかもしれません。
それでも曲によってインパクトのある曲が並んでいたりすれば、そんな「似ている曲が多い」という印象は受けなかったのでしょうが・・・つまり前作に比べてパワー不足を感じてしまった、ということなのかもしれません。1曲1曲だけピックアップすればパワー十分のインパクトある曲だと思うのですが・・・期待していた作品だっただけにちょっと残念に感じてしまいました。
評価:★★★★
THE PRODIGY 過去の作品
INVADERS MUST DIE
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