Charaらしい傑作
Title:Secret Garden
Musician:Chara
2年半ぶり、ちょっと久々となるCharaのニューアルバム。今回のアルバムタイトルになった「Secret Garden」とは、秘密の花園=女性の子宮をイメージしているそうです。ジャケット写真もやはりそれをイメージしているのでしょうか。
そのタイトルナンバーとなった「Secret Garden」でも、いきなりこんな語りからスタートします。
「ねえ、私のお庭に来て
愛の花をつぶさないで」
(作詞 Chara 「Secret Garden」より)
ある意味、私のお庭=子宮と考えると、どこかエロティシズムを感じてしまいます。ただその一方で、エロティシズムといってもお下劣なイメージは全くありません。むしろその一方で「女性の子宮」から考えられるもう一つのイメージ、大いなる母性も、このアルバムからは感じられます。
エロティシズムという方向からの女性的な部分と、母性という方向からの女性的な部分を共存させた内容・・・ここ最近のCharaの楽曲に共通する部分だと思います。愛すること、恋することのエロティシズムな部分をしっかり読み込みつつも、一方ではピュアな部分を歌い、さらにはその歌声からにはリスナーの心を包み込むようなやさしさがある・・・だからこそ、エロティシズムと母性という、一見相反する「女性」的な部分を見事両立した曲を歌えるのでしょう。
今回のアルバムでは、よりそんなCharaの楽曲の特徴が際立っているように感じました。特に今回のアルバムでは、優しく包み込むような彼女の歌声がより強くなっているようにも感じます。また、ピアノとギターで聴かせる「ひかりの匂い」や静かなアコースティックサウンドを聴かせる「不器用」など、サウンドの作り込み方にもとても優しさを感じます。
楽曲的にはノイジーなギターを押し出したロック色の強い「恋は危険さ」や、打ち込みを導入した「はちみつ」などバリエーションを持たせつつ、基本的にはソウルからの影響の強い彼女のボーカルが柱となっているため、アルバム全体としての統一感もしっかりと出ていました。
そんな訳で、とてもCharaらしいアルバムだったのですが、Charaらしいがゆえに聴いていてその暖かく優しい雰囲気につつまれるような心地よい傑作に仕上がっていたと思います。一方で、そんな中垣間見れるエロティシズムにちょっとドキドキもしちゃったりして。デビューから来年で25年を迎える彼女ですが、まだまだその魅力は全く衰える気配もなさそうです。
評価:★★★★★
CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた
Cocoon
JEWEL
ほかに聴いたアルバム
12/cali≠gari
ドラムスの武井誠脱退のため第8期に突入したcali≠gariの3年2ヶ月ぶりとなるニューアルバム。久々のアルバムの冒頭を飾る「わるいやつら」の過激な歌詞に惹かれるものの、その後に関しては比較的ポップな内容。トランシーなサウンドやロックテイストの強い作品、あるいはアコースティックなサウンドでカントリー風に仕上げた曲など、様々な作風の曲が同居しているあたりは彼ららしいのですが、彼ららしい「変態性」は薄め。それなりに楽しめたアルバムなのですが、どこか物足りなさも感じてしまいました。
評価:★★★★
cali≠gari 過去の作品
10
cali≠gariの世界
≠
11
THE THRONE/AK-69
本作ではそのものズバリ「NGY」なんて曲もあったりする、名古屋を中心に活躍するラッパー、AK-69のニューアルバム。今回はハードコア色の強いアルバムで、いかにも「ワルイ」感じのラッパーという雰囲気を醸し出しています。また、名古屋出身を強調した「NGY」なんて曲を持ってくるあたり、「ストリート出身」ということを強調したかったのでしょう。ただとはいえ、本当の意味での「ヤバさ」は感じられず、基本的にはポップで聴きやすい内容。本気で「ヤバイ」わけではなく「ヤバイ」雰囲気を醸し出しているけど、基本はポップというスタンスが彼の人気の理由なんでしょうが。
評価:★★★★
AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
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