独特なアンサンブルが魅力的
Title:BAMAKO TODAY
Musician:BKO Quintet
今回紹介するアルバムは、また個人的に好みなアフリカのバンド。アフリカはマリで、アフリカのパーカッション、ジェンベの奏者で、マリの人気女性シンガー、ウームー・サンガレの曲にもパーカッショニストとして参加していたイブラヒマ・サールと、フランス・リヨン出身の白人パーカッショニスト、エメリック・クロールを中心に結成されたQuintet(=五人組)。ちなみにBKOとはマリの首都、バマコのスリーレターコード。東京ならTKOといった感じで、航空便などで使用されるアルファベット3文字で都市を表現したコードのことです。
Amazonなどで記載されている解説によると「グリオの瓢簞型のボディを持つ琴=ドンソンゴニと狩人の木の葉型ボディの箏=ジェリンゴニの合奏など、従来は無かったアンサンブル、すなわちマリの各地(各部族)のトラディショナル・サウンドを自由に取り入れつつ、電気増幅によって様々なニュアンスを付加した、今まで有りそうで無かったマリの未体験のパワー・マンダング・トラッドサウンドを実現させています。」という解説がされていますが、アフリカ音楽に詳しくなければ、何の話かサッパリわかりません(笑)。というよりも、ドンノンゴニとジェリンゴニの合奏が新しい、と言われても何のことかさっぱりです(^^;;
ただ。聴いていて非常に魅力的に聴こえるのは、コールアンドレスポンスを主軸としつつ、弦楽器やパーカッションで、現地の民俗音楽の要素を取り入れたアフリカらしいアグレッシブなサウンドを構成しつつも、一方ではどこかあか抜けた感じのするメロディーやサウンドを聴くことが出来る点でした。
例えば1曲目「Ntana」ではへヴィーでミニマルなサウンドを奏でる弦楽器の上に、高音の弦楽器とパーカッションが絡み非常に複雑なアンサンブルを魅力的に奏でています。この低音部の弦楽器がおそらくドンソンゴニ、高音部の弦楽器がジェリンゴニなのでしょう。確かに同じ弦楽器を重ねるという発想はいままでなかったのかもしれません。ただ、この音の異なる2つの楽器のアンサンブルは、音の深みを増して、魅力的に感じられます。
また、かなりハイテンポなビートに、つんのめるようなリズムやギターが特徴的な「Kononale」もインパクト大。スカにも通じるような軽快な裏打ちのリズムが心地よい反面、ハイテンポな中、奏でられるドンソンゴニとパーカッションの演奏は、ロック的な要素も感じられます。
垢抜けているといえば「Comment Ca Va?」も魅力的。哀愁たっぷりのメロディーを聴かせてくれる作品で、フランス語の歌詞はまさに垢抜けた都会的な要素も感じさせます。こういう曲を違和感なくアルバムに混ぜることが出来るところに、彼らの音楽性の奥深さを感じさせます。
ちょっとユニークに感じられたのは「DJelike」で、こちらのパーカッションのリズムが、どこか日本のお祭りみたいに感じられたのですが・・・どこか日本人にとってもなじみありそうなビートがおもしろいところ。
そんな感じでアフリカはマリの伝統的な音楽をベースにしながらも、様々な作風の曲を楽しめる点、非常に魅力的なアルバム。様々な楽器のアンサンブルと独特なリズムが魅力的ながらも、メロディーにしろサウンドにしろ「聴きやすい」部分が多く、いい意味でアフリカの音楽をあまり聴いたことない方でもすんなり楽しめそう。今年のベスト盤候補にあげられそうな傑作だと思います。
評価:★★★★★
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