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2015年4月21日 (火)

LP盤を意識

Title:EPIC DAY
Musician:B'z

途中、ベスト盤のリリースを挟んだものの、ソロ活動もあったためB'zとしての活動が休止していたこともあり、純粋なオリジナルアルバムとしては3年8ヶ月というインターバルをあけて、久しぶりとなるB'zのニューアルバム。3年8ヶ月というスパンは、オリジナルアルバムとしては過去最長だそうです。

今回のアルバムでひとつ特徴的だったのが、その短さ。全10曲44分という、ここ最近のアルバムの中でもかなり短めとなっています。個人的には、無駄に長いアルバムよりも、やはり集中して聴ける1時間以内のアルバムが理想的だと思っているだけに、今回のアルバム、とても聴きやすかったです。また、アルバムは1曲目から5曲目まではSIDE A、6曲目から10曲目までがSIDE Bと名付けられており、アルバムの長さといい、あきらかにLP盤を意識した内容に。実際、今回、彼らにとっては2枚目のアルバム「OFF THE LOCK」以来のLP盤でのリリースも行われました。

そしてこのA面とB面、明らかにそのコンセプトをわけて構成されています。A面の方は今風にアップデートされたへヴィーなギターサウンドを前に押し出したロッキンな楽曲が並びます。ホーンセッションも軽快な「Las Vegas」や、ヘビーなギターサウンドが印象に残る「有頂天」など、A面ではよりB'zのロックな側面を押し出していました。

一方B面はハードなギターリフ主導で構成された「EPIC DAY」をはじめ、ロックな曲が多い反面、バラードナンバーの「Classmate」「君を気にしない日など」や、シティーポップ風の「Black Coffee」など、ロックに留まらないB'zのスタイルを押し出しています。

ただアルバムの最後を「Man Of The Match」のようなハードロックなナンバーで締めくくったようにアルバム全体としてはハードロックの方向性を押し出した内容になっていました。その中でも特に前半に並んだナンバーはアップテンポで勢いのある楽曲が多く、聴いていて素直にワクワクできるような展開になっていました。

しかし残念ながらそんな勢いを感じさせるA面から、後半については正直失速してしまったという印象が否めません。もちろん、B'zの楽曲なだけに最低限の内容はクリアしています。でも、バラードナンバーに関しても昔のような勢いはなく、インパクトは薄い印象。前半の勢いからすると、「これはいいアルバムかも?」と思ったのですが、残念ながらアルバム全体を通して聴いた時は、良くも悪くもここ最近のB'zらしいアルバムだな、という印象が残りました。

個人的にはこの物足りなさを感じる理由としては、B'zとしてのギターサウンドは完成されており一種の勢いを感じる反面、メロディーにいまひとつ勢いがなく、キラーチューンと言えるようなメロの曲がない、というのが大きな理由のように感じます。そのため、ギターサウンドを前に出した曲に関しては勢いを感じ、楽曲として魅力的に感じるのですが、メロディーが前に出ると、いまひとつインパクト不足の物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか。

特に前半が良い内容だっただけに、ちょっと惜しさも感じるアルバムでした。まあ、デビューから30年近くたつユニットが、いまだにこれだけのアルバムを作れるということ自体、すごいことなのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

B'z 過去の作品
ACTION
B'z The Best "ULTRA Pleasure"
B'z The Best "ULTRA Treasure"
MAGIC
C'mon
B'z-EP
B'z The Best XXV 1988-1998
B'z The Best XXV 1999-2012

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アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

ゆういち様 こんばんは

B'zは洋楽曲(主にメタル近辺)
へのオマージュを込めて
楽曲を作ることで知られているので
てっきりメロディーは素晴らしいものが揃っていると思いました。

今回のタイトル曲をためしに聴いてみましたが、かの有名な「burn」をオマージュするという強力な楽曲で・・・・・・B'z健在なり、という印象です。

ただ、ゆういちさんのレビューではb面の弱さが指摘されているので、恐らく他の曲ではオマージュを控えめにしたのでしょう。

これだけベテランなのに
リリース間隔を3年8か月空けるのが
最長だなんて凄いことですね。

投稿: GAOHEWGII | 2015年4月22日 (水) 21時00分

最近のB'zでは珍しくジャケットや曲構成からいつになくコンセプチュアルな内容で、個人的な感想としては「まだこういうアルバム作れるんだなあ。」と思いました。

ただ、最近のB'zは特にバラードでメロディーの弱さが出てきてますよね。B面ではメロウな曲が多かったのでそのあたりも含めて失速感を否めなかったのかなと。
しかしながら今作は自分達の今やりたいことが10曲に集約されていて、手抜き感も漂った時期に比べてはっきりと作りたかった物ができてたように思います。
全盛期過ぎたあたりからは惰性で聴いてたんですが(苦笑)、今の製作陣になったMAGICあたりから少しずつ良くなってるような気がするので、次作も期待がかかります。

投稿: 亮 | 2015年4月23日 (木) 09時58分

>GAOHEWGIIさん
亮さんも指摘されていますが、彼らのアルバムはメロディーに関してはやはり全盛期からするとかなり物足りなさを感じてしまいます。はじめてB'zを聴かれるのならやはり初期の作品がお勧めです。「IN THE LIFE」とか「LOOSE」あたりでしょうか。
リリース間隔は彼らは良くも悪くもビーイングなので間隔をあけて忘れられるよりは無理にでもリリース間隔を短くしてファンをつなぎとめる方針なんだと思います。そういう意味ではここに来てようやく、「普通のベテランミュージシャン」らしいアルバム作成が出来るようになったのかもしれないですね。

>亮さん
そうなんですよね。アップテンポな作品に関しては勢いを感じる反面、バラード曲の弱さに、どうしても昔に比べての衰えは感じてしまいます。
とはいえ、亮さんもご指摘の通り、一時期の「やっつけ感」あふれる時代を乗り越えて、またここ最近、アルバムの出来は良くなってきたようにも思います。一時期は「もう解散した方がよいのでは?」と思っていたんですが、これだけのアルバムをまだ作れるのならば、次回作にも期待したいところです。

投稿: ゆういち | 2015年4月27日 (月) 00時13分

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