事実上、1曲です。
Title:Asunder, Sweet and Other Distress
Musician:Godspeed You! Black Emperor
活動再開後、初のアルバムとなった10年ぶりの新作「Allelujah! Don't Bend! Ascend!」から、今度はわずか(?)3年のインターバルで彼らが返ってきました。カナダのポストロックバンド、Godspeed You! Black Emperor.。前作「Allelujah! Don't Bend! Ascend!」では10年というインターバルを感じさせない傑作を聴かせてくれましたが、続く本作も、まだまだ勢いが止まらない彼らの、傑作アルバムを聴かせてくれています。
今回のアルバムはわずか4曲入りで40分という長さ。40分というアルバム全体の長さは、彼らにしては短い方かもしれませんが、1曲あたり10分という構成はあいかわらずの彼らならでは、といった感じでしょうか。
作品は最初、静かなドラムソロからスタート。やがてギターのサウンドが聴こえてきたかと思えば、ギターやベース、さらにはホーンセッションまで加わった分厚いサウンドがいきなり鳴り響き、その後、分厚いサウンドがひとかたまりのままメロディーを奏で始めます。ダイナミックなサウンドでリスナーの度胆をぬきつつ、最初はしっかりとしたメロディーを聴かせる楽曲になっています。
その後もストリングスなどがはいり、少しずつ構成をかえながらも、ホーンやギターの鳴り響く分厚い、ちょっとフリーキーなジャズっぽい演奏(個人的にはちょっと渋さ知らズを彷彿とさせる部分を感じます)が続きます。ただ、その後ろでしっかりとしたメロディーが流れているのも1曲目「Peasantry or 'Light! Inside of Light!'」の特徴となっています。
ただその後はダークなノイズが続いていきます。2曲目「Lambs' Breath」も3曲目「Asunder,Sweet」もダークなノイズが目立つ楽曲で、目立ったメロディーはありません。例えるならば、メロディアスだった1曲目から、深い闇の中のトンネルに入ってしまった感じ。そんな印象を受けます。
そんなトンネルから抜け出したかのようなのが「Piss Crowns Are Trebled」。最初はやはりダークなノイズからスタートするものの、少しずつメロディーが復活。中盤以降は分厚いダイナミックで賑やかなサウンドに、ちょっと悲しげなメロディーラインが展開に。あえて言えば1曲目に戻ってきた感じのする内容になっていました。
曲と曲の間はつながっているかのような構成になっており、曲目はかわっているのですが、事実上、4曲で1曲といった感じの内容になっています。ただ、徐々に楽曲の構成が展開していく内容に、事実上1曲40分という長さながらも飽きることない、耳の離せない内容になっていました。特に序盤と終盤のダイナミックな演奏に圧倒されつつ、中盤のノイズは、この後、どこに向かっていくのだろう、という期待と不安(?)で惹きつけられる構成になっていました。
一度活動を休止した後、再開したバンドというのはともすれば活動休止前に比べて勢いが落ちてしまうケースが少なくないのですが、彼らに関してはそんな心配は杞憂に終わりそう。その音の世界に終始魅了された40分でした。
評価:★★★★★
Godspeed You! Black Emperor 過去の作品
'Allelujah! Don't Bend! Ascend!
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