全く違うタイプのソロアルバムなれど
本日紹介するのはどちらもソロアルバム。ただ、ミュージシャンのタイプは全く異なります。にも関わらず、その両者に微妙な共通点があったりするのがおもしろいところで・・・。
Title:VITIUM
Musician:sukekiyo
まずはDIR EN GREYのボーカル、sukekiyoのソロアルバム。基本的にはダークな雰囲気の作風に言い方は悪いかもしれませんが、いかにもヴィジュアル系テイストな耽美なボーカルという路線はDIR EN GREYと大きな差異はありません。
ただ一方、そんな中ユニークだったのはソロアルバムとしてバンドとは違った試みを感じさせる点でした。「leather field」のようにバンドサウンドが複雑に展開していく作品や、「dunes」のようなちょっとオペラ風(?)な独特の雰囲気を楽しめる曲、「雨上がりの優詩」みたいな哀愁のメロディーラインが歌謡曲テイストを感じさせる曲、さらにユニークなのは「foxus」のようにラテン風のギターがインパクトになっている曲もあります。
実験的、というよりはsukekiyoがやりたいアイディアが詰め込まれたアルバムですが、一方でDIR EN GREYらしい雰囲気はキープされているのでDIR EN GREYのファンも文句なく楽しめそうな作品。sukekiyoのミュージシャンとしての可能性を強く感じる内容で、今後のDIR EN GREYの方向性も占えそう?
評価:★★★★★
sukekiyo 過去の作品
IMMORTALIS
そしてもう1枚のソロアルバム。
Title:窓景
Musician:中納良恵
こちらはEGO-WRAPPIN'中納良恵による7年ぶりのソロアルバム。彼女もEGO-WRAPPIN'らしいジャズの要素を取り入れた曲もありますが、EGO-WRAPPIN'とは異なる、彼女のやりたかったであろうサウンドがこのアルバムの中には詰め込まれています。
特に特徴的に感じたのが「リズム」。ボイスパーカッションを取り入れた「あのね、ほんとうは」や、トライバルなドラムのサウンドを前面に押し出した「ケムニマイテ」、また「Ding Gong」はボイスパーカッションを取り入れつつ、リズムで遊んでいるようにも感じられます。
またアルバムの中で大きなインパクトになっていたのが「濡れない雨」で、ピアノでしんみり聴かせる歌ものなのですが、切ないメロディーが胸に響きます。全体的にはサウンド主体のアルバムだったのですが、この曲を第一に、メロディーに関しても魅力的なメロディーラインを聴かせてくれる曲が数多く収録されています。
こちらも中納良恵がEGO-WRAPPIN'ではやれないような曲を詰め込んだようなアルバムになっていました。ただ一方ではEGO-WRAPPIN'っぽい雰囲気も健在で、そういう意味ではEGOのファンも文句なしに楽しめる内容の傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
中納良恵 過去の作品
ソレイユ
そんなわけでDIR EN GREYとEGO-WRAPPIN'、全く異なるタイプのミュージシャンによるソロアルバムなのですが、そんな中でなにげに共通点があることがおもしろいところでした。それは各々が、バンドではやれないアイディアをソロアルバムに詰め込んでいる点。そして、にも関わらず、それぞれがバンドの雰囲気もそのまま持ち込んでいる点でした。結果としてバンドのファンにとっても抵抗なく受け入れられる内容ながらも、バンドとは違った雰囲気の曲を楽しめるという意味で理想的なソロアルバムだったと思います。またどちらもこのアルバムで披露したアイディアが、今後バンドに還元されるかもしれない、と想像する楽しみ方もできるかもしれません。全く違うタイプのアルバムながらもソロアルバムとして共通点を多く感じた2作品でした。
ほかに聴いたアルバム
Colour By Number/MONKEY MAJIK
仙台を拠点に活動をする日本人とカナダ人による混成ロックバンドの新作。洋楽テイストの強い爽やかなサウンドが魅力的。今年2月には初の武道館ワンマンを成功させるなど、その人気を誇ります。本作では「夏の情事」で三味線の吉田兄弟とコラボ。洋風なサウンドの中に織り込まれる和のテイストが非常にユニークな作品となっています。楽曲的には以前より安定感が増し、安心して聴いていられる作風になっていました。
評価:★★★★
MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE
DNA
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