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2015年4月 6日 (月)

明るさが包み込む新作

Title:あなたが寝てる間に
Musician:安藤裕子

昨年、デビュー10周年を迎えた彼女の8枚目となるニューアルバム。今回のアルバム、まずはとにかく楽しさを感じるアルバム。インタビューなどで本人が語っているところによると、とにかく明るいアルバムを作りたかったそうで、そんな楽しいポップアルバムをつくろうとする彼女のスタンスが強く感じられるアルバムでした。

特に今回、前半にその傾向が強く感じられ、タイトルからして明るさを感じさせる「森のくまさん」からスタート。続く「Live And Let Die」はちょっとチャイルディッシュな雰囲気が楽しいナンバーになっています。

そんなアルバム全体に流れる「明るさ」が一番典型的にあらわれているのが「クリスマスの恋人」。タイトルからして楽しそうなナンバーですが、作曲はこのサイトでもよく取り上げる末光篤!彼らしい分厚いアレンジが特徴的な、とにかく楽しいワクワクするナンバーに仕上げています。

一方後半はちょっとしんみりと聴かせるナンバーが続きます。ソウルなバラードナンバー「世界をかえるつもりはない」にフォーキーな「人魚」はその歌詞も含めて切なさを感じるアコースティックなナンバー。最後はアルバムを締めくくるにピッタリの包み込むような優しいメロと歌詞が印象的な「都会の空を烏が舞う」で終了。アルバム後半は、彼女のやさしさの部分を強く感じる楽曲が続いていました。

他にもスカのリズムで軽快な「RARA-RO」やAOR風のナンバー「You」など様々なタイプの楽曲が収録されています。前作「グッド・バイ」でもバラエティー豊かな作風の曲が並んでいたものの、結果、統一感を損なう内容になっていました。一方でこのアルバムは、様々な楽曲が並んでいてもなお、アルバム全体に統一感がしっかりと感じられます。それはおそらく楽曲全体を通じてどこか明るさを感じさせる共通点があるからでしょう。

また、どの楽曲もどこか包み込むような優しさを感じさせるのも特徴的。インタビューで前作「グッド・バイ」の前は震災があったり、子供が産まれたり、祖母が亡くなったりと精神的に混沌としていた時期だったそうですが、今回のアルバムでは逆に彼女の心もやすらがにリラックスした雰囲気が漂っていました。それもまた、アルバムに対して大きくプラスに作用していたのは間違いありません。

安藤裕子のシンガーソングライターとしての魅力がしっかりとつまった傑作。聴いていてとても楽しい気分になれる、良質なポップアルバムだと思います。ポップスが好きなら無条件で要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い
グッド・バイ
Acoustic Tempo Magic


ほかに聴いたアルバム

PARODY/大橋トリオ

途中クリスマスアルバムやベスト盤を挟み、純然たるオリジナルとしては約2年ぶりとなる新作。今回も、ポップやジャズなどを主軸に、スカ、ファンクなどの要素も入れつつ、しっかりと聴かせる楽曲に仕上げています。ある意味「大人のポップ」という表現がピッタリくる良質なポップソングなのは相変わらず。正直目新しさみたいなものはないのですが、「傑作」としか表現できない、とてもいいポップアルバムだと思います。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ

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