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2015年4月13日 (月)

一日も早い復帰を祈ります

Title:Year Book 2005-2014
Musician:坂本龍一

昨年6月に中咽頭がんがみつかり、音楽活動を休止し治療に専念している教授。1日も早い復帰が待ち望まれますが、そんな中、活動再開が待ちきれないファンのためにアルバムがリリースされました。

「Year Book」と題された2枚組のアルバムは、2005年から2014年までに制作した、様々なタイアップソングで未発表となっている音源を収録したアルバム。CMソングやテレビのテーマ曲から、携帯の着信音やら「知らない人からの依頼でつくられ、その後、どう使われたのわからない」なんていう不気味な曲まで収録されていたりします・・・。

基本的には誰かに頼まれて作ったような曲がほとんどのため、坂本龍一としての強烈な主張は控えめでタイアップのコンセプトに沿ったような曲になっています。ただ、それでも楽曲全体を通じて、坂本龍一の音楽的興味も強く感じられました。それは収録曲に共通項が多い点。例えば・・・。

  • 基本的にアンビエント
  • エレクトロサウンドにピアノの音色を加えたような曲が多い
  • 全体的にメロディーも含めて無機質な雰囲気
  • 音数はおさえてシンプル

といった特徴がどの楽曲にも見て取れ、この方向性の音楽が、ここ最近の教授の関心ということもわかります。

正直なところ、楽曲自体に特別な目新しさ、斬新さという部分はあまり感じられません。タイアップ曲ということもあって、あまりに突飛な作品はつくれないということもあるのでしょう。そういう意味では「貴重なアーカイブ」という側面も強く、ファンズアイテム的な要素も強い作品になっています。

ただ、とはいってもなかなか興味深い作品もチラホラ。例えば「Nokiartek-pf01」「Nokiartek-pf10」という曲。ノキアの携帯電話の着信音だそうですが、あまりに静かなアンビエントの作品に、これ、着信音として鳴っても気が付かないんじゃないか??なんて余計な心配をしてしまいます(笑)。

さらにユニークなのは「Utility Pole in the Moonlight」という曲。これはNHKの番組企画によって制作された曲だそうですが、かの童話作家として有名な宮沢賢治がつくった曲を教授がアレンジしたそうです。なんともいえない味わいの、独特で不思議なメロディーラインが耳に残ります。

また、全体的には無機質でメロディーのあまりない作品が多い中、「Dharma-Theme」「Dharma-Contemplation」のような郷愁感漂う、歌心があふれたメロディーを聴かせてくれる曲もあったりして、ちゃんとメロディーメイカーとしての教授の魅力も感じることが出来ます。

ファンズアイテムという側面も強い反面、その中できちんと坂本龍一というミュージシャンの関心、方向性を読み取ることが出来るアルバム。はやくこの次の作品を聴きたい!切にそう感じさせてくれるアルバムでした。

評価:★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013


ほかに聴いたアルバム

20/家入レオ

タイトル通り20歳になった女性シンガーソングライターの新作。3枚目となる本作は楽曲的には安定感が増して、安心して聴いていられる反面、デビュー当初のような一度聴いたら忘れられないようなインパクトあるフレーズはなくなっています。ネタ切れ?全体的にはロック志向なのですが、ストリングスも入れて良くも悪くも賑やかなサウンドになっているのがJ-POP的。もう一癖、欲しい感じもするが・・・。

評価:★★★★

家入レオ 過去の作品
LEO
a boy

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コメント

こんばんは。
家入レオさんの話ですが、今回は作曲にも関与していないようですね。
コンスタントに作品を生み出すのが難しいのかな?とも思いましたが、別の理由もありそうです。

彼女の場合音楽が好きでSSWになったというより、恵まれない家庭環境で育ち、そのはけ口として音楽を求めていたというイメージがあります。ですから新しい音を追い求めようとか、アーティスティックな歌詞を書こうという欲求が少ないのでは?と思いました。
あくまで推測なのですが。

となると周囲に恵まれたり、悩みの種であった家族と離れるにつれ、音楽で自分の悩みを発散しようという欲求も減り、作風もマイルドなものになるのでは?と思いました。

投稿: リリ | 2015年4月14日 (火) 02時40分

>りりさん
なるほど。彼女はある程度成功したがゆえに、作風もマイルドになってきたということですね。それならそれで、安心して聴けるようなポップソングをもっと期待したいところなのですが・・・ただ、これからの彼女がどのような方向に向かうのか、要注目ですね!

投稿: ゆういち | 2015年4月16日 (木) 00時45分

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