その実力を再認識
今年でデビュー15周年を迎える2人組ロックデゥオ、LOVE PSYCHEDELICO。今回、2枚組となるベストアルバムを発売しました。
Title:LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
Musician:LOVE PSYCHEDELICO
Title:LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ
Musician:LOVE PSYCHEDELICO
彼女たちのベスト盤はこれで3作目。ただ1枚目「Early Times」は「LOVE&PEACE」をテーマとした選曲となっており、企画盤的な要素も強く、2枚目「This is LOVE PSYCHEDELICO」は全米デビューのための企画盤。そういう意味では純然たるオールタイムベストとしては初のアルバムとなるようです。
今回、2枚同時リリースとなった本作ですが、収録順はバラバラ。アルバム的にも2枚のアルバムで大きな違いはありませんが、あえていえば「I」の方はいかにもLOVE PSYCHEDELICOらしいロッキンな王道ナンバーが収録されている一方、「II」は彼女たちにしてはもうちょっとポップ寄りの作品が収録されていました。
さて、LOVE PSYCHEDELICOといえば、ルーツ志向のロックユニット。個人的にルーツ志向のロックバンドは好み・・・のはずなのですが、個人的に彼女たちについてはあまり好きにはなれませんでした。その大きな理由としては、正直彼女たちの音楽にはどこか「あざとさ」を感じてしまったから。70年代ロックのイメージの部分を強調したサウンドといい、巻き舌を多用したボーカルといい、意図的な洋楽っぽさが「君たち、こういう『洋楽ロック』がお好きでしょ?」と言っているようで、素直に楽しむにはどこかひっかかりを感じてしまっています。
ただこの2枚組のベスト盤であらためて彼女たちの代表曲を聴くと、楽曲自体は間違いなく優れているんだな、ということを再認識せざるを得ませんでした。もちろん、この意図的な洋楽っぽさのあざとさは感じるものの、リスナーの壺をついたようなメロディーラインやサウンド構成はやはり見事。日本語を意図的に英語っぽく感じさせる歌詞の譜割りも、計算高さを感じさせるものの、楽曲にピッタリとはまっています。
なにより今回あらためて素晴らしく感じたのは、ギターサウンドだけでしっかりと楽曲のグルーヴ感を作り出していること。ご存じの通りLOVE PSYCHEDELICOのメンバーはギターとボーカルの2人。もちろんそこにサポートメンバーもつくわけですが、オリジナルメンバーの2人だけでちゃんとロックのグルーヴを作り出しているという点に、あくまでも2人組のユニットなんだぞ、という意気込みを感じました。
楽曲は、基本的にギターリフ主導のシンプルなロックンロールナンバーが多く、少々マンネリテイストも否定できないものの、特に「II」の方には「Beautiful days」のようにポップス色が強い楽曲や、「Dry Town~Theme of Zero~」のようなちょっと歌謡曲テイストすら感じさせる曲まで意外とバラエティーがあり、ミュージシャンとしての幅も感じることが出来ます。
ある意味、その魅力と実力を再認識したベスト盤でした。かなりボリュームのある内容で、比較的彼女たちの作品は「押し」の楽曲が多く、聴いていてちょっと疲れてしまった部分もあるのも事実ですた(^^;;いい意味での聴きごたえのあるアルバムでした。
評価:★★★★★
LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD
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