ディープな世界
Title:Blues Blues Blues
Musician:Sherwood Fleming
今回紹介するSherwood Flemingというミュージシャン、この新作がブルースファンの間で話題になったようですが、今年79歳になるブルースミュージシャン。40年前にシングル数枚をリリースし、その後1985年にも自主制作でシングルをリリースしたそうですが、その後は表舞台から姿を消した、まさに知る人ぞ知る的なミュージシャン。そんな彼がまさかの復活を果たしてリリースしたニューアルバムの、あまりにディープなその内容が、海を越えたここ日本でも話題となりました。
上でディープと表現しましたが、このアルバム、ディープなブルースやソウルが好きなら間違いなく気に入りそうな内容になっています。冒頭を飾る「Bold Soul Brother」からして、ファンキーでぶっといベースラインにゴスペルライクな女性コーラス、さらにあおるようなパワフルなシャーウッドのボーカルという組み合わせが、ソウルファンのハートを直撃しそうなグルーヴ感を醸し出しています。
続く「Good Woman」は、こちらはブルースの王道を行くような作風。こちらもブルースギターの泣きのサウンドとパワフルなシャーウッドのボーカル、この組み合わせだけでまずはブルース好きの耳を直撃しそう。さらにこれに加わるホーンセッションのディープなサウンドに、後ろに鳴っているピアノのフレーズがなんとも言えない味わいを作り出しています。
サウンドは基本的にバンドサウンドにホーンセッション、それにピアノを組み合わせた構成がメイン。バンドサウンドではブルージーなギターソロを聴かせつつ、ぶっといホーンセッションのサウンドがどす黒いグルーヴ感を作り出しています。その後ろで鳴っているピアノの音色もまた、実にブルージーで、楽曲をさらに味わい深いものとしています。
サウンド的にはまさに60年代あるいは70年代あたりの雰囲気をそのままパッケージしたような雰囲気である一方、「Gotta Hold On」で聴かせるノイジーなギターといい、それなりに現代にアップデートした要素もあったりして、「古臭い」という要素は感じられません。
このバンドサウンドも実に魅力的なのですが、それ以上にこのアルバムを魅力的にしているのは、Sherwood Flemingのボーカル、そのものでしょう。今回、久々の表舞台で、かつ御年79歳とは信じられないような艶のある迫力のボーカルが実に魅力的。「No Life For a Working Man」のように、メロディアスなホーンセッションに身を任せたような、自由度の高いボーカルも味わい深いものもあれば「History」では今でいえば「ラップ」的な要素を感じる、リズミカルなチャタリングを披露していたり、「Trouble of the World」ではなんとアカペラで、そのボーカリストとしての実力を嫌というほど感じさせてくれます。
楽曲は王道路線のブルースとディープなソウルを交互に聴かせるような内容で、ブルース好きもソウル好きもその世界に一気にはまってしまいそうなアルバムになっています。ブラックミュージック好きなら、このグルーヴ感は間違いなく無条件ではまれることうけあいです!
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
High Hopes/Bruce Springsteen
アメリカンロックのドンによる2年ぶりの新作。ギタリストに、あのレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが参加して話題になっています。ただ楽曲は彼らしいメロディアスでダイナミックなロックナンバー。王道のストレートな作品で、ファンなら安心して楽しめそうな内容に仕上がっていました。
評価:★★★★
BRUCE SPRINGSTEEN 過去の作品
Working On A Dream
WRECKING BALL
| 固定リンク
« 人気のラジオ番組より | トップページ | 血が騒ぐ »
「アルバムレビュー(洋楽)2015年」カテゴリの記事
- 話題の女性3人組(2016.04.30)
- 中毒性の強いチープなサウンド(2016.04.26)
- また新たな変化(2015.12.27)
- これぞArcaサウンド(2015.12.25)
- メロディーラインがより前面に(2015.12.19)
コメント