35年目にしてまだまだ進み続ける
Title:ALL TIME BEST ~Martini Dictionary~
Musician:鈴木雅之
シャネルズとしてデビューしてから今年で35周年を迎える鈴木雅之。そんな彼のオールタイムベストがリリースされました。全3枚組(初回版は4枚組)というフルボリュームになっています。
この作品がうれしいのは、鈴木雅之のソロとしての作品だけではなく、シャネルズ/ラッツ&スター時代の作品も収録されている点。3枚組のうちDISC1はシャネルズ/ラッツ&スターのベスト盤となっており、残り2枚では鈴木雅之ソロとしての作品が発売順に並んでいます。
個人的にシャネルズ/ラッツ&スター時代の作品って実は結構好きで、ドゥーワップをはじめブラックミュージックの要素を色濃く反映した洋楽テイストが強い作風ながらも、歌謡曲全盛の中で十分戦えるだけのインパクトを持った楽曲の数々は、いまさらながらもその楽曲のクオリティーの高さを実感します。
一方、DISC2は彼のソロ時代の作品のうち、実姉鈴木聖美とのデゥオ「ロンリー・チャップリン」や「もう涙はいらない」、「違う、そうじゃない」、菊池桃子とのデゥオ「渋谷で5時」などといったヒット曲が多く収録されています。90年代のいわばJ-POP全盛期のナンバー。個人的にもリアルタイムで聴いていた曲ばかりなので、懐かしさを感じます。
また、この時期の曲は洋楽テイストが強かったラッツ時代に比べて、ベタな歌謡曲の色合いがかなり濃く感じてしまいます。ソロデビュー後は、より大人な雰囲気を目指した結果なのかもしれません。ただ個人的には確かにヒットしたナンバーとか素直にいい曲だとは思うのですが、ちょっとベタな作風はラッツ時代と比べると物足りなさも感じます。
ただおもしろいのはその後、一時期にくらべるとヒットから後退したDISC3の作品で、より挑戦的な作品が増えてきたところ。槇原敬之がプロデュースと作詞作曲を担当した「Boy,I'm Gonna Try So Hard」や、打ちこみのサウンドを取り入れた「キミの街にゆくよ」などの新たな挑戦を感じます。また、このベスト盤で新曲として収録した「純愛」はなんと斉藤和義が楽曲を提供。ブラックミュージックの要素も強く感じるもののロック色が強いナンバーは、いままでの鈴木雅之にはない作風に感じました。
そんな訳でデビューから35年が経過しながらも、いまだに新たな挑戦を続ける鈴木雅之。いままでオリジナルアルバムを聴いたことがなかったのですが、このベスト盤を聴いて、あらためて彼の魅力を感じることができました。これからの活躍も楽しみになってくるベスト盤でした。
評価:★★★★★
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