中毒性高いグルーヴ感
Title:Modern Nature
Musician:The Charlatans
2013年にドラマーのジョン・ブルックスが急逝という悲劇にみまわれたシャーラタンズ。そんな悲劇を乗り越え、約4年5ヶ月ぶりのリリースとなったニューアルバム。全英チャート7位というヒットを記録し、いろいろな人から絶賛を集めている作品、ということもあり、久々に彼らのアルバムを聴いてみました。
そんな本作、絶賛している人たちが一律に語るのが「グルーヴィーなアルバム」という話。もう、それだけで期待しちゃうわけですよ。イメージとしてイギリスのギターロックバンドである彼らのグルーヴィーなアルバムというと、ノイジーなギターサウンドがうねるようになって、へヴィーなドラムスのリズムが鳴り響く、分厚いバンドサウンドが魅力的なアルバム。そんなイメージを持ってアルバムを聴いてみた訳です。
そんなイメージは1曲目「Talking In Tones」で打ち砕かれました。バンドサウンドは比較的シンプルでスカスカ。メロディーも静か。正直、私が当初イメージしていたグルーヴィーなアルバムというところからほど遠い作品。その後も同じような傾向の静かな作風が続き、当初は期待はずれか・・・という印象を抱いてしまいました。
しかし、その印象は途中から徐々に変わっていきます。あれ?このサウンドに流れる独特なグルーヴ感はなんだ?そう感じ始めたのは「In The Tall Grass」あたりからでしょうか。基本的にギターロックサウンドながら、パーカッションのリズムとエレピのサウンドがある種のブラックミュージックを彷彿とさせるようなグルーヴ感を作り出していることに気が付きました。
そこに気が付きだすと、それから先、どんどんこのアルバムにはまっていきます。グルーヴ感をギターのリフをつかって作り出している「Lean In」は、非常にロッキンな作風がたまりませんし、「Lot To Say」もミニマル的なサウンドがとても心地よい感触を産みだしています。
一種独特のグルーヴ感を作り出しているだけに、とても中毒性の高いアルバムで、聴いているうちにどんどんと深みにはまっていき、次の曲、次の曲と聴きたくなってきます。メロディーにしてもサウンドにしても決して派手さはなく、比較的シンプルな内容なのですが、それだけにこのアルバムの売りである「グルーヴ感」が際立っているように感じました。
国内盤はボーナストラックが大量についていて、全1時間半近い長さになっているのはちょっと長すぎで、それは残念だったのですが・・・この国内盤のボーナストラックに収録されている曲もまた名曲揃い。軽快でリズミカルな、ある意味「ブリットポップの王道」的なギターロックの「Walk With Me」や哀愁たっぷりのメロディーやピアノの音色がたまらない「Just As Long As You Stick By Me」など聴きどころたくさん。輸入盤よりも間違いなく、ボーナストラック付の国内盤がお勧めです。
最近、blurが久々のニューアルバムをリリースすることが大きな話題となっていますが、彼らと同じブリットポップのバンドとして活躍していたシャーラタンズをお忘れなく。正直、いままで聴いた彼らのアルバムの中での最高傑作かも。また、今年のベスト盤候補なのも間違いありません。90年代に活躍していたイギリスのギターロックバンドが、いまだにこれだけ最前線で活躍しつつ、これっだけの傑作をリリースしてくるというのはうれしいなぁ。
評価:★★★★★
The Charlatans 過去の作品
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