阿部真央の新たな一歩
Title:おっぱじめ
Musician:阿部真央
阿部真央のアルバムは、いままでオリジナルを1枚、ベスト盤を1枚聴きました。正直言ってしまえばその中で、決してポジティブな印象を抱いていたシンガーではありません。唯一聴いたオリジナルアルバム「ポっぷ」ではあまりにバラバラな音楽性に違和感を抱き、ベスト盤では無難な内容に悪くはないんだけど・・・程度の感覚しか抱きませんでした。
そのため今回のアルバムも正直最初は聴く予定はありませんでした。が、ちょっとした機会があり、せっかくだからと聴いていたニューアルバム。ベスト盤発売後初、また彼女は1月に結婚したそうで、結婚後初となるアルバム。そういう意味では「おっぱじめ」というタイトルの通り、心機一転の1枚ということなのかもしれません。
で、彼女に対してそんな印象を抱きつつ聴いてみたアルバムなのですが、これがおもったよりもよくてビックリしてしまいました。まずいままでネガティブな印象を抱いていた点から一番解消されたのが、アルバム全体としてちゃんとまとまりを感じれた点。基本的にシンプルなギターロックをメインとした軽快なポップチューン。「這い上がれMY WAY」や「優しい言葉」など、シンプルでメロディアスなギターロックナンバーは特に目新しさはなく、ベスト盤で感じた「もうひとひねり欲しい」という部分もあることはあるのですが、それ以上にしっかりとインパクトを持って耳を惹きつけるだけのパワーを感じました。
ただ、そんな曲の中に入ってきているのが、妙にコミカルでメロディーが耳に残る楽曲たち。コミカルなサビが頭からはなれない「麹町」や、女の子の心境をコミカルに歌ったパンクナンバー「メールのお尻にハートマーク」、アコースティックに聴かせつつ、どこかコミカルさを感じさせる「相模ナンバーのグランドキャビンに乗って」など強いインパクトを感じます。
ここらへんの曲、とにかく一度聴いたら忘れられないようなサビのフレーズと歌詞を持っていて、これがアルバムの中で大きなインパクトになっています。また、非常にコミカルな内容ながらも、彼女の本音の部分をそのまま歌ったような歌詞はなにげに共感を呼びそうな内容。コミカルなだけにとどまらず、ポピュラーソングとしての強度を持った作品になっていました。
正直あまり期待しないで聴いたのですが、予想以上に出来が良く、とても楽しめた作品になりました。「おっぱじめ」というタイトル通り、阿部真央というミュージシャンの新たな一歩を感じたアルバム。なにげに次のアルバムも楽しみになってくる傑作でした。
評価:★★★★★
阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24
ほかに聴いたアルバム
色/FLOWER FLOWER
シンガーソングライターのYUIが結成したバンドの第2弾アルバム。映画「リトル・フォレスト」主題歌のために書き下ろした春夏秋冬の名前を題した曲とそれをつなぐインターリュード的なインスト、さらに「postlude」のから構成されています。「春」「夏」「秋」「冬」の4曲はそれぞれの季節をイメージしたような曲が並んでおり、「postlude」はポストロック風味を感じるインスト曲。それぞれ雰囲気の違うナンバーで、映画のイメージも強いのでしょうが、これからのFLOWER FLOWERの可能性を広げるための実験的な作風にも感じました。ミニアルバムの小品ですが、これからの彼女たちにつながる重要作になるかも?
評価:★★★★
FLOWER FLOWER 過去の作品
実
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