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2015年4月

2015年4月30日 (木)

アニメがらみが目立つ その2

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートに続き、アルバムチャートも妙にアニメ系が目立つチャートとなりました。

まずはゲームをはじめとしてアニメなどでも人気の「THE IDOLM@STER」に登場するアニメキャラによるアルバム「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3」シリーズと題された3枚のアルバムが同時にランクイン。4位に我那覇響「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 02我那覇響」、5位に天海春香「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 01天海春香」、6位に菊地真「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 03菊地真」が並んでランクインしました。

初動売上はいずれも2万1千枚。同シリーズは昨年8月にプロローグとして765PRO ALLSTARS名義で「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 Prologue ONLY MY NOTE」をリリースしていますが、その時の初動売上1万3千枚よりアップしています。

アニメ系はもう1枚。7位に人気声優蒼井翔太「UNLIMITED」がランクイン。アルバムは、SHOWTA.名義でのリリースを含め3枚目。ベスト10入りはアルバムでは初、シングルでは昨年リリースした「Virginal」以来、シングルアルバムまとめて2作目のベスト10入りとなりました。初動売上は1万4千枚。前作「ブルーバード」の7千枚(20位)から大幅増となります。

とりあえずアニメ系は以上。チャート上位に戻ります。まず今週1位。ジャニーズ系、ジャニーズWESTの2枚目のアルバム「パリピポ」が獲得しました。初動売上は8万1千枚。前作「go WEST よーいドン!」の8万2千枚(1位)から若干のダウン。ジャニーズ系としてはちょっと寂しい売上ですが、売上が大幅に落ちる傾向にあるデビュー2作目としては健闘した結果でしょうか。

2位はSound Horizon「Nein」がランクイン。同人音楽出身のRevoによるソロプロジェクトで、物語性強い歌詞も話題となっているミュージシャン。2013年には、別プロジェクトLinked Horizonとして紅白への出場も果たしました。オリジナルアルバムとしては2010年の「Marchen」以来4年半ぶりとなります。初動売上は4万6千枚。直近作はベスト盤「Chronology [2005-2010]」の1万7千枚(4位)からは大幅増。また別プロジェクトLinked Horizonとして2012年の9月にリリースした「ルクセンブルク大紀行」の1万6千枚(15位)からもアップしています。ただ4年半前の前作「Marchen」の5万7千枚(2位)からはダウンしてしまいました。

3位はサザンオールスターズ「葡萄」が今週もベスト3をキープしています。

今週のベスト10初登場はあと1枚。10位にそらる「夕溜まりのしおり」がランクイン。この手の知らないミュージシャンが突然ベスト10入りしてくる場合はもうお決まりなのですが、人気動画サイト「ニコニコ動画」で人気の出た「歌い手」によるメジャーデビューアルバムがいきなりのベスト10ヒットとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週に!

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2015年4月29日 (水)

アニメがらみが目立つ その1

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週はシングル、アルバムチャートともにアニメがらみが目立つチャートとなっています。

まずシングルチャートでは4位に人気女性声優水樹奈々「Angel Blossom」、5位にアニメキャラによるアイドルプロジェクトμ’s 「ミはμ’sicのミ」、6位はアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」挿入歌、new generations(島村卯月×渋谷凛×本田未央) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 07 できたてEvo! Revo! Generation!」、そして9位にはアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレボリューションズ」挿入歌、一十木音也(寺島拓篤),四ノ宮那月(谷山紀章) 「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレボリューションズ クロスユニットアイドルソング 一十木音也・四ノ宮那月(EMOTIONAL LIFE)」がそれぞれランクインです。

水樹奈々は彼女にしては爽やかな雰囲気のナンバーなのですが、サビのあたりの妙に叙情的な節回しに彼女らしさを感じます。アニメ「魔法少女リリカルなのはViVid」オープニング・テーマ。初動3万9千枚は前作「エデン」の4万3千枚(2位)からダウン。

残り3曲に関してはあくまでもアニメキャラを売り出すために曲自体はやっつけ感のある90年代J-POP風といった感じなのは相変わらず。μ'sは初動3万2千枚で前作「Shangri-La Shower」の2万7千枚(5位)よりアップ。「アイドルマスター シンデレラガールズ」関連はこれで6週連続のベスト10入り。初動2万7千枚は先週の*(Asterisk)(前川みく×多田李衣菜) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 06 ΦωΦver!!」1万9千枚(7位)からアップ。9位「うたの☆プリンスさまっ♪」関連でもこれで3週連続のランクイン。こちらの初動1万9千枚は、先週の「うたの~」がらみ宮野真守「シャイン」2万8千枚(3位)からダウンです。

で、ここでようやく今週の1位に戻ります。今週1位は福岡を拠点に活動するAKB48の姉妹ユニット、HKT48「12秒」が獲得。初動27万7千枚は前作「控えめI love you!」(1位)から横バイ。ここ4作連続、初動26万枚から微妙に上昇しているものの伸び悩みの状況が続いています。

2位はロックバンドBUMP OF CHICKEN「Hello,world!」が入ってきました。ちなみにこちらもアニメ「血界戦線」オープニングテーマということでこちらもアニメがらみ。なお両A面の「コロニー」は映画「寄生獣 完結編」主題歌。なんかバンプってこの手のアニメ映画か、アニメ原作の映画の主題歌が妙に多いような印象が。初動売上15万枚は前作「firefly」の7万7千枚(2位)から大幅増。タイアップ効果もあったかもしれませんが、本作に同封されているライブイベントの応募券の効果も大きかった模様。

3位は先週、ライブチケット付CDで1位を獲得した三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE 「STORM RIDERS feat.SLASH」がランクイン。ちなみにSLASHはご存じ元ガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト。彼のギターが全面にフューチャーされたロックテイストの強いナンバーに・・・・・・もうちょっと仕事は選ぼうよ・・・初動売上は10万7千枚で、ライブチケットをつけて売上を押し上げていた前作「starting over」の43万9千枚(1位)から大幅減。

続いて4位以下の初登場ですが、アニメがらみ以外だと・・・7位にジャニーズ系中山優馬「YOLO moment」がランクイン。分厚いサウンドが心地よい甘いポップナンバー。初動売上2万1千枚は前作「Get Up!」の3万4千枚(7位)からダウン。

最後8位には韓流の女性アイドルグループ、少女時代「Catch Me If You Can」がランクイン。今回はへヴィーなビートがなかなかかっこいいEDMナンバーになっています。ただし初動売上は2万枚と、前作「GALAXY SUPERNOVA」5万枚(3位)の半減以下という厳しい結果になっています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年4月28日 (火)

独特なアンサンブルが魅力的

Title:BAMAKO TODAY
Musician:BKO Quintet

今回紹介するアルバムは、また個人的に好みなアフリカのバンド。アフリカはマリで、アフリカのパーカッション、ジェンベの奏者で、マリの人気女性シンガー、ウームー・サンガレの曲にもパーカッショニストとして参加していたイブラヒマ・サールと、フランス・リヨン出身の白人パーカッショニスト、エメリック・クロールを中心に結成されたQuintet(=五人組)。ちなみにBKOとはマリの首都、バマコのスリーレターコード。東京ならTKOといった感じで、航空便などで使用されるアルファベット3文字で都市を表現したコードのことです。

Amazonなどで記載されている解説によると「グリオの瓢簞型のボディを持つ琴=ドンソンゴニと狩人の木の葉型ボディの箏=ジェリンゴニの合奏など、従来は無かったアンサンブル、すなわちマリの各地(各部族)のトラディショナル・サウンドを自由に取り入れつつ、電気増幅によって様々なニュアンスを付加した、今まで有りそうで無かったマリの未体験のパワー・マンダング・トラッドサウンドを実現させています。」という解説がされていますが、アフリカ音楽に詳しくなければ、何の話かサッパリわかりません(笑)。というよりも、ドンノンゴニとジェリンゴニの合奏が新しい、と言われても何のことかさっぱりです(^^;;

ただ。聴いていて非常に魅力的に聴こえるのは、コールアンドレスポンスを主軸としつつ、弦楽器やパーカッションで、現地の民俗音楽の要素を取り入れたアフリカらしいアグレッシブなサウンドを構成しつつも、一方ではどこかあか抜けた感じのするメロディーやサウンドを聴くことが出来る点でした。

例えば1曲目「Ntana」ではへヴィーでミニマルなサウンドを奏でる弦楽器の上に、高音の弦楽器とパーカッションが絡み非常に複雑なアンサンブルを魅力的に奏でています。この低音部の弦楽器がおそらくドンソンゴニ、高音部の弦楽器がジェリンゴニなのでしょう。確かに同じ弦楽器を重ねるという発想はいままでなかったのかもしれません。ただ、この音の異なる2つの楽器のアンサンブルは、音の深みを増して、魅力的に感じられます。

また、かなりハイテンポなビートに、つんのめるようなリズムやギターが特徴的な「Kononale」もインパクト大。スカにも通じるような軽快な裏打ちのリズムが心地よい反面、ハイテンポな中、奏でられるドンソンゴニとパーカッションの演奏は、ロック的な要素も感じられます。

垢抜けているといえば「Comment Ca Va?」も魅力的。哀愁たっぷりのメロディーを聴かせてくれる作品で、フランス語の歌詞はまさに垢抜けた都会的な要素も感じさせます。こういう曲を違和感なくアルバムに混ぜることが出来るところに、彼らの音楽性の奥深さを感じさせます。

ちょっとユニークに感じられたのは「DJelike」で、こちらのパーカッションのリズムが、どこか日本のお祭りみたいに感じられたのですが・・・どこか日本人にとってもなじみありそうなビートがおもしろいところ。

そんな感じでアフリカはマリの伝統的な音楽をベースにしながらも、様々な作風の曲を楽しめる点、非常に魅力的なアルバム。様々な楽器のアンサンブルと独特なリズムが魅力的ながらも、メロディーにしろサウンドにしろ「聴きやすい」部分が多く、いい意味でアフリカの音楽をあまり聴いたことない方でもすんなり楽しめそう。今年のベスト盤候補にあげられそうな傑作だと思います。

評価:★★★★★

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2015年4月27日 (月)

事実上、1曲です。

Title:Asunder, Sweet and Other Distress
Musician:Godspeed You! Black Emperor

活動再開後、初のアルバムとなった10年ぶりの新作「Allelujah! Don't Bend! Ascend!」から、今度はわずか(?)3年のインターバルで彼らが返ってきました。カナダのポストロックバンド、Godspeed You! Black Emperor.。前作「Allelujah! Don't Bend! Ascend!」では10年というインターバルを感じさせない傑作を聴かせてくれましたが、続く本作も、まだまだ勢いが止まらない彼らの、傑作アルバムを聴かせてくれています。

今回のアルバムはわずか4曲入りで40分という長さ。40分というアルバム全体の長さは、彼らにしては短い方かもしれませんが、1曲あたり10分という構成はあいかわらずの彼らならでは、といった感じでしょうか。

作品は最初、静かなドラムソロからスタート。やがてギターのサウンドが聴こえてきたかと思えば、ギターやベース、さらにはホーンセッションまで加わった分厚いサウンドがいきなり鳴り響き、その後、分厚いサウンドがひとかたまりのままメロディーを奏で始めます。ダイナミックなサウンドでリスナーの度胆をぬきつつ、最初はしっかりとしたメロディーを聴かせる楽曲になっています。

その後もストリングスなどがはいり、少しずつ構成をかえながらも、ホーンやギターの鳴り響く分厚い、ちょっとフリーキーなジャズっぽい演奏(個人的にはちょっと渋さ知らズを彷彿とさせる部分を感じます)が続きます。ただ、その後ろでしっかりとしたメロディーが流れているのも1曲目「Peasantry or 'Light! Inside of Light!'」の特徴となっています。

ただその後はダークなノイズが続いていきます。2曲目「Lambs' Breath」も3曲目「Asunder,Sweet」もダークなノイズが目立つ楽曲で、目立ったメロディーはありません。例えるならば、メロディアスだった1曲目から、深い闇の中のトンネルに入ってしまった感じ。そんな印象を受けます。

そんなトンネルから抜け出したかのようなのが「Piss Crowns Are Trebled」。最初はやはりダークなノイズからスタートするものの、少しずつメロディーが復活。中盤以降は分厚いダイナミックで賑やかなサウンドに、ちょっと悲しげなメロディーラインが展開に。あえて言えば1曲目に戻ってきた感じのする内容になっていました。

曲と曲の間はつながっているかのような構成になっており、曲目はかわっているのですが、事実上、4曲で1曲といった感じの内容になっています。ただ、徐々に楽曲の構成が展開していく内容に、事実上1曲40分という長さながらも飽きることない、耳の離せない内容になっていました。特に序盤と終盤のダイナミックな演奏に圧倒されつつ、中盤のノイズは、この後、どこに向かっていくのだろう、という期待と不安(?)で惹きつけられる構成になっていました。

一度活動を休止した後、再開したバンドというのはともすれば活動休止前に比べて勢いが落ちてしまうケースが少なくないのですが、彼らに関してはそんな心配は杞憂に終わりそう。その音の世界に終始魅了された40分でした。

評価:★★★★★

Godspeed You! Black Emperor 過去の作品
'Allelujah! Don't Bend! Ascend!

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2015年4月26日 (日)

中毒性高いグルーヴ感

Title:Modern Nature
Musician:The Charlatans

2013年にドラマーのジョン・ブルックスが急逝という悲劇にみまわれたシャーラタンズ。そんな悲劇を乗り越え、約4年5ヶ月ぶりのリリースとなったニューアルバム。全英チャート7位というヒットを記録し、いろいろな人から絶賛を集めている作品、ということもあり、久々に彼らのアルバムを聴いてみました。

そんな本作、絶賛している人たちが一律に語るのが「グルーヴィーなアルバム」という話。もう、それだけで期待しちゃうわけですよ。イメージとしてイギリスのギターロックバンドである彼らのグルーヴィーなアルバムというと、ノイジーなギターサウンドがうねるようになって、へヴィーなドラムスのリズムが鳴り響く、分厚いバンドサウンドが魅力的なアルバム。そんなイメージを持ってアルバムを聴いてみた訳です。

そんなイメージは1曲目「Talking In Tones」で打ち砕かれました。バンドサウンドは比較的シンプルでスカスカ。メロディーも静か。正直、私が当初イメージしていたグルーヴィーなアルバムというところからほど遠い作品。その後も同じような傾向の静かな作風が続き、当初は期待はずれか・・・という印象を抱いてしまいました。

しかし、その印象は途中から徐々に変わっていきます。あれ?このサウンドに流れる独特なグルーヴ感はなんだ?そう感じ始めたのは「In The Tall Grass」あたりからでしょうか。基本的にギターロックサウンドながら、パーカッションのリズムとエレピのサウンドがある種のブラックミュージックを彷彿とさせるようなグルーヴ感を作り出していることに気が付きました。

そこに気が付きだすと、それから先、どんどんこのアルバムにはまっていきます。グルーヴ感をギターのリフをつかって作り出している「Lean In」は、非常にロッキンな作風がたまりませんし、「Lot To Say」もミニマル的なサウンドがとても心地よい感触を産みだしています。

一種独特のグルーヴ感を作り出しているだけに、とても中毒性の高いアルバムで、聴いているうちにどんどんと深みにはまっていき、次の曲、次の曲と聴きたくなってきます。メロディーにしてもサウンドにしても決して派手さはなく、比較的シンプルな内容なのですが、それだけにこのアルバムの売りである「グルーヴ感」が際立っているように感じました。

国内盤はボーナストラックが大量についていて、全1時間半近い長さになっているのはちょっと長すぎで、それは残念だったのですが・・・この国内盤のボーナストラックに収録されている曲もまた名曲揃い。軽快でリズミカルな、ある意味「ブリットポップの王道」的なギターロックの「Walk With Me」や哀愁たっぷりのメロディーやピアノの音色がたまらない「Just As Long As You Stick By Me」など聴きどころたくさん。輸入盤よりも間違いなく、ボーナストラック付の国内盤がお勧めです。

最近、blurが久々のニューアルバムをリリースすることが大きな話題となっていますが、彼らと同じブリットポップのバンドとして活躍していたシャーラタンズをお忘れなく。正直、いままで聴いた彼らのアルバムの中での最高傑作かも。また、今年のベスト盤候補なのも間違いありません。90年代に活躍していたイギリスのギターロックバンドが、いまだにこれだけ最前線で活躍しつつ、これっだけの傑作をリリースしてくるというのはうれしいなぁ。

評価:★★★★★

The Charlatans 過去の作品
You Cross My Path

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2015年4月25日 (土)

レア曲の中に懐かしい曲を見つけられるかも。

Title:ヤバ歌謡2 NONSTOP DJ MIX -TVテーマ編- Mixed by DJフクタケ
Musician:DJフクタケ

昭和の隠れた歌謡曲をDJミックス盤で紹介した「ヤバ歌謡」が話題となったDJフクタケ。今回、同じコンセプトのアルバム、第2弾がリリースされました。前作は、昭和歌謡曲のレアグルーヴな楽曲を網羅的に収録したアルバムでしたが、第2弾は「TVテーマ編」と題して、テレビの主題歌、挿入歌などに使用された曲を選んで収録しています。

今回の選曲もめちゃくちゃおもしろい!今回もレア曲、珍曲がたくさん収録されており、ユニークなノベルティーソングが多く収録されています。例えば笑点の座布団運びでおなじみの山田隆夫が歌う「スーパーカーなんちゃって」「僕はカウンタックマン」(おそらくスーパーカーブームに便乗したものだと思われます)や、オレンジ泥棒だと追及されるだけの歌詞が不気味な雰囲気のレア曲「オレンジ」なんて曲も収録されており、昭和歌謡曲の幅広さを感じることもできます。

ただ、今回の「TVテーマ編」で個人的におもしろかったのが、懐かしい楽曲や耳なじみある楽曲が多く収録されていたところでした。テレビで流れていた曲を収録しているということで、一般的にはヒットしていなくても、どこかで耳にしたような曲に出会えるような選曲になっています。

例えば「レッツ・ゴー・サザエさん」はご存じアニメ「サザエさん」の曲なのですが、おそらくタイトルだけではどんな曲かわからないでしょう。でも、曲を聴いてみればおそらく誰もが知っている、「次週の予告」のバックに流れている曲(!)。あの曲に歌詞があったなんて知らなかった・・・こういう「誰もが知っている」レア曲も収録されていたりするのがおもしろところです。

個人的には「みんなのうた」で流れた「忍者はどこじゃ」なんて、このアルバムを聴いて、懐かしい記憶がよみがえってきました。懐かしいなぁ~昔、よく聴いたなぁ・・・。でもこの曲、高見恭子が歌っていたなんて、今回、はじめて知りました。

こんな懐かしい曲をよくもこれだけ集めれたなぁ、と感心してしまうような選曲。前回の「ヤバ歌謡」の時は、「日本人だからこそわかるおもしろさがある」と書いたのですが、今回の選曲に関しても、日本に生まれ育ったからこそ、昔、どこかで聴いたことある曲が選曲されており、そういう意味では前作に引き続き、日本人だからこそわかるおもしろさがある選曲、と言えるのかもしれません。

また、今回の作品もDJミックス盤ということでいろいろな曲が次々と展開していくのですが、アニメソングや子供向けの曲から、当時のヒットソングまでいろいろな曲をちゃんと違和感なくつなげているのが見事。特に「CHA-CHA-CHA」から、沢口靖子の「Follow Me」(聴いていて、小室哲哉先生っぽいなぁ、と思ったら、案の定でした・・・)を挟んで、「サザエさん」にもっていくという展開をちゃんと繋げちゃっているのが素晴らしいところ。ちょっと強引さも感じられましたが、その強引さが逆にとてもユニークに感じられました。

全32曲なのですが、最初から最後まで濃い展開が楽しめ、聴きどころ満点な内容。前作に引き続き、聴いていてとにかく楽しくなってくる内容でした。またその一方、レア曲の中に「あれ?聴いたことある・・・」という曲が見つけられる楽しさもあるかも。そんな懐かしい曲との出会いも楽しめる1枚かもしれません。しかしこの企画、本当に楽しいですね。また第3弾、第4弾も是非お願いします!!

評価:★★★★★

DJフクタケ 過去の作品
ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX~MIXED BY DJフクタケ

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2015年4月24日 (金)

日本人の持つ多様性

Title:クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する
Musician:松田美緒

ポルトガル語圏やスペイン語圏を旅して、そこの土地土地の歌を歌い、「歌う旅人」と称される女性シンガー松田美緒。そんな彼女が2012年よりスタートさせたプロジェクトが「日本のうた」プロジェクト。いままで世界を旅してきた彼女が、あらためて自分のふるさとである日本では人々がどのような歌を歌ってきたか、フィールドワークとライブなどを通じて、日本人の原風景を追い求めるプロジェクトだそうです。

本作はそんなプロジェクトの集大成ともいえるアルバム。CDブックという形態がとられており、彼女が日本各地の歌を歌ったCDとともに、その歌にまつわり彼女が日本各地を旅してきた模様が綴られた書下ろしのエッセイが収録されています。

この作品、まずなにが素晴らしいかといえば「クレオール」という視点で歌が収録されているという点でしょう。「クレオール」とは多様性をあらわす言葉で、もともとは「アメリカ大陸や西インド諸島、アフリカの旧植民地生まれの人々、混じり合ったブナ、言語のことをあらわす。」(「はじめに」より)だそうで、日本の中にある文化の多様性に焦点があてられています。

これは非常に興味深いことだと思います。とかく日本はみんな同じような生活様式、同じような考え方が求められがちで、求められたレールの上を進むうえでは非常に暮らしやすい反面、そこからはみだしてしまうと、非常に暮らしにくい部分があります。

「日本のうた」に関してもそんな均一性は同様で、「日本のうた」でまずうたわれるのが判を押したかのように「ふるさと」やら「さくらさくら」のような唱歌・童謡。確かにこれらの曲も素晴らしいかもしれませんが、日本文化の「マジョリティー」の部分のみにスポットがあてられているように感じます。

そんな中、このアルバムで彼女が歌う唄は、そんな日本のマジョリティーの枠組みからあふれ出た人たちの歌。例えば隠れキリシタンの里、伊王島では、キリスト教文化が混じった「日本のうた」がうたわれていますし、小笠原諸島で歌われている「レモングラス」には、日本本土よりもむしろ遥かミクロネシアの匂いが漂ってきます。

この作品から浮かび上がってくるのは、日本の文化が本来持っている多様性。日本人と一言でいってもその中には実に様々な文化的背景を持つような人たちがいて、その人たちがそれぞれ自分たちの歌を歌っていたことに気が付かされます。このアルバムで彼女が歌っている歌は、私たちが忘れてはいけない日本の本来の姿のように思いました。

今回、彼女はそんな様々な日本の歌を、ピアノやパーカッションを中心としたシンプルなアレジで、優しく歌い上げています。時には彼女の「本拠地」であるラテン風にアレンジしたり、ジャジーにアレンジしたりしているのですが、あくまでも歌を中心に据えた楽曲であるため、元曲のイメージを大きく損ねることはありません。

ただ一方、今風にサラッと歌い上げるボーカルは、今の人たちの耳によって聴きやすさを感じられる反面、場合によっては「きれいすぎる」と感じてしまう部分もあるかも。その美しい歌声に惹かれた反面、現地で歌い継いでいった人たちが歌った「原曲」も聴いてみたくなりました。

エッセイの方も、歌の背景に軽く触れながら、彼女の行ったフィールドワークにあわせて全国を旅したような気分になれる作風。音楽を聴きながらこのエッセイを読むことにより、より日本の多様な文化性に触れることが出来ます。そういう意味でも、CDのみでは伝えきれなかった部分を補完するにはCDブックという形式が最適だったのでしょう。

そんな訳で、日本という国の持つ多様な文化性を感じることが出来る、非常に意義のある作品だったと思います。お値段が若干高めなのがちょっと残念なのですが、それを差し引いても是非ともチェックしてきたいお勧めの作品です。

評価:★★★★★


Milk/Goose house

このユニットをひとつの「シェアハウス」とみなし、男女7人、それぞれ別々にも活動しているシンガーソングライターが、この「シェアハウス」に集い活動をしている、というスタイルのユニット。アニメソングなどで徐々に人気を集め、メジャーデビュー作となる本作では初のベスト10ヒットを記録。どんなユニットか気になり、今回はじめて聴いてみました。

個人的にはアコースティック主体の聴かせるポップソングを期待していて、実際、そういう曲もあったのですが、基本的には王道のJ-POP的な爽やかなポップソングが主体。いかにも前向き応援歌的な歌詞の曲も多く、良くも悪くも売れ線狙いのポップスといった感じ。決して悪くはないのですが・・・何の毒もひっかかりもない優等生的なポップソングという印象が否めませんでした。

評価:★★★

Stayin' Alive/フラワーカンパニーズ

昨年、結成25周年を迎えた彼らのニューアルバム。今年12月、初となる武道館ワンマンライブも控えており、まだまだ最前線で走り続けています。そんな彼らの新作は、スキマスイッチの常田真太郎や斉藤和義を共同プロデューサーに迎えた曲を収録するなど、新たな風をいれつつも、大人の悲哀を綴ったような歌詞に骨太のロックンロールサウンドはいつものフラカンそのもの。歌詞にしろメロディーにしろ、インパクトあるキラーチューンがちょっとなかったのは残念なのですが、フラカンの魅力はしっかりと伝わってきた作品でした。

ただ・・・このアルバム、最後にボーナストラックとして収録されている「ファンキーヴァイブレーション」はかなりの違和感・・・大阪のFM802とのコラボ企画なのだそうですが、全編おもいっきり大阪賛歌になっている曲なのですが・・・あんたら、名古屋のバンドじゃん(苦笑)。正直言って、なんか変に「媚びている」ように感じてしまって、正直、マイナスポイントだなぁ・・・。

評価:★★★★

フラワーカンパニーズ 過去の作品
フラカン入門
ハッピーエンド
新・フラカン入門

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2015年4月23日 (木)

3作連続の1位

今週のアルバムチャート

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今週1位は韓流男性アイドルグループが獲得です。

1位は韓国の男性アイドルグループ2PMのニューアルバム「2PM OF 2PM」が獲得。これでアルバムでは3作連続1位獲得となりました。ただ初動売上4万3千枚は前作「GENESIS OF 2PM」の6万3千枚よりダウン。前々作「LEGEND OF 2PM」の5万枚よりもダウンしており、3作連続の1位とはいえ、若干厳しい結果となっています。

2位はサザンオールスターズ「葡萄」が2週連続でこの位置をキープ。3位は絢香「レインボーロード」がランクイン。途中、バラードベストやカバーアルバムを挟みつつ、オリジナルとしては3年2ヶ月ぶりと久々のリリース。初動売上は3万3千枚で、直近のカバーアルバム「遊音倶楽部 ~1st grade~」の4万5千枚(4位)よりダウン。オリジナルアルバムの前作「The Beginning」の10万8千枚(1位)から約3分の1という厳しい結果に。活動休止前の前々作「Sing to the Sky」の31万5千枚から10分の1という急落が続いています。

続いて4位以下の初登場ですが、まずは4位に、顔出しNGの「現役女子高生アイドル」という建付けのユニットClariS初のベストアルバム「ClariS~SINGLE BEST 1st~」が入ってきています。デビュー以来11枚のシングルを網羅したベスト盤。初動売上3万1千枚は直近のオリジナルアルバム「PARTY TIME」の4万3千枚(2位)からダウン。いまひとつ、浮動層は取り込めていない模様。

6位には「ノイタミナ FAN BEST」がランクイン。フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で使用された楽曲を集めたアルバムで、チャットモンチーの「シャングリラ」や電気グルーヴ「モノノケダンス」などオルタナ系ミュージシャンの曲が多く、いかにもな「アニソン」は少ないのが特徴的。

9位初登場は「ワイルド・スピード スカイミッション サウンドトラック」。映画「ワイルド・スピード」のサントラですが、大人気のDJ、David Guettaや、人気ラッパー、Flo RidaやWiz Khalifaといった豪華な面子が顔をそろえています。

最後、10位にはここ最近、様々なミュージシャンとのセッションで注目を集めるギタリストMIYAVIのニューアルバム「The Others」がランクインしています。ただし残念ながら初動売上6千枚は前作「MIYAVI」の9千枚(8位)よりダウンという結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に~。

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2015年4月22日 (水)

「CD付チケット商法」の結果

今週のシングルチャート

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今週1位は、悪名高い、ライブチケットにCDを付けて売上を水増しする商法により大幅に売上を伸ばしてきました。

1位は三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「starting over」。初動売上43万9千枚で前作「O.R.I.O.N.」の19万枚(2位)より大幅増。これは上にも書いた通り、5月下旬からスタートするライブツアーのチケットにCDが付いてきており、それをカウントした影響。以前、EXILEが同じ手法で売上を大幅に増やしてきましたが、今回も売上が大幅増になっています。まあ一応「ライブ」という付加価値をつけている点、同じミュージックカードを何枚も買わせる手法より幾分かましかと思うのですが、かなり怪しいヒットと言えるでしょう。ただ、6月29日以降、オリコンチャートではこのタイプの売上合算を行わないことを発表しているだけに(参考サイト リンク先はPDFとなります)、おそらく彼らにとってはこれが最後になるでしょう。

2位はモーニング娘。'15「青春小僧が泣いている」がランクイン。今回も今風なエレクトロアレンジながらメロディーはベタなアイドル歌謡曲という路線が、ある意味つんく♂らしい感じ。初動売上10万1千枚は、前作「TIKI BUN」の13万5千枚(2位)からダウン。前作は道重さゆみのラストシングルということで売上を伸ばしていたのですが、前々作「時空を超え 宇宙を超え」の11万9千枚(1位)よりもダウンという結果となっています。

3位は人気男性声優宮野真守「シャイン」が入ってきています。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレボリューションズ」オープニング・テーマ。楽曲は90年代そのままの爽やかなエレクトロポップなのですが、これといって特徴のない内容・・・。初動売上2万8千枚は前作「BREAK IT!」の1万3千枚(12位)から大幅増で2013年にリリースした「カノン」以来、3作ぶりのベスト10ヒットで、その「カノン」が記録した自己最高位タイの結果に。

続いて4位以下の初登場です。4位初登場は男性アイドルグループDa-iCE「BILLION DREAMS」。毎度のことながら今回もK-POP風のエレクトロダンスチューン。初動2万6千枚は前作「もう一度だけ」の2万1千枚(2位)よりアップ。

5位にはポルノグラフィティ「オー!リバル」がランクイン。映画「名探偵コナン 業火の向日葵」主題歌。彼ららしいラテン調のナンバー。初動2万4千枚で、前作「ワン・ウーマン・ショー ~甘い幻~」の2万1千枚(5位)からアップ。

6位初登場はゆず「OLA!!」。こちらも南米系ながらもサンバあたりを彷彿とさせる陽気で軽快なナンバー。で、こちらは映画「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃」主題歌となっています。初動2万4千枚は前作「ヒカレ」の1万6千枚(8位)よりアップしていますが、これは前作がアルバム先行シングルだった影響。前々作「表裏一体」の3万3千枚(5位)からダウンしており、タイアップ効果は限定的だった模様(とはいえ、「表裏一体」もHUNTER×HUNTERの映画主題歌だったのですが)。

今週初登場あと2作は、いずれもアニメ&ゲーム「アイドルマスター」関連。7位に*(Asterisk)(前川みく×多田李衣菜) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 06 ΦωΦver!!」、10位にJupiter 「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -01 Jupiter(BRAND NEW FIELD)」がそれぞれランクイン。7位に*は、ここ数週続いているアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターソング。初動1万9千枚は先週ランクインした凸レーション[城ヶ崎莉嘉×諸星きらり×赤城みりあ] 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 05 LET’S GO HAPPY!!」の1万8千枚(5位)から若干のアップ。8位は同じ「アイドルマスター」でも「Side M」という男性アイドル版だそうで、こちらはそのゲームの挿入歌だそうです。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日!

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2015年4月21日 (火)

LP盤を意識

Title:EPIC DAY
Musician:B'z

途中、ベスト盤のリリースを挟んだものの、ソロ活動もあったためB'zとしての活動が休止していたこともあり、純粋なオリジナルアルバムとしては3年8ヶ月というインターバルをあけて、久しぶりとなるB'zのニューアルバム。3年8ヶ月というスパンは、オリジナルアルバムとしては過去最長だそうです。

今回のアルバムでひとつ特徴的だったのが、その短さ。全10曲44分という、ここ最近のアルバムの中でもかなり短めとなっています。個人的には、無駄に長いアルバムよりも、やはり集中して聴ける1時間以内のアルバムが理想的だと思っているだけに、今回のアルバム、とても聴きやすかったです。また、アルバムは1曲目から5曲目まではSIDE A、6曲目から10曲目までがSIDE Bと名付けられており、アルバムの長さといい、あきらかにLP盤を意識した内容に。実際、今回、彼らにとっては2枚目のアルバム「OFF THE LOCK」以来のLP盤でのリリースも行われました。

そしてこのA面とB面、明らかにそのコンセプトをわけて構成されています。A面の方は今風にアップデートされたへヴィーなギターサウンドを前に押し出したロッキンな楽曲が並びます。ホーンセッションも軽快な「Las Vegas」や、ヘビーなギターサウンドが印象に残る「有頂天」など、A面ではよりB'zのロックな側面を押し出していました。

一方B面はハードなギターリフ主導で構成された「EPIC DAY」をはじめ、ロックな曲が多い反面、バラードナンバーの「Classmate」「君を気にしない日など」や、シティーポップ風の「Black Coffee」など、ロックに留まらないB'zのスタイルを押し出しています。

ただアルバムの最後を「Man Of The Match」のようなハードロックなナンバーで締めくくったようにアルバム全体としてはハードロックの方向性を押し出した内容になっていました。その中でも特に前半に並んだナンバーはアップテンポで勢いのある楽曲が多く、聴いていて素直にワクワクできるような展開になっていました。

しかし残念ながらそんな勢いを感じさせるA面から、後半については正直失速してしまったという印象が否めません。もちろん、B'zの楽曲なだけに最低限の内容はクリアしています。でも、バラードナンバーに関しても昔のような勢いはなく、インパクトは薄い印象。前半の勢いからすると、「これはいいアルバムかも?」と思ったのですが、残念ながらアルバム全体を通して聴いた時は、良くも悪くもここ最近のB'zらしいアルバムだな、という印象が残りました。

個人的にはこの物足りなさを感じる理由としては、B'zとしてのギターサウンドは完成されており一種の勢いを感じる反面、メロディーにいまひとつ勢いがなく、キラーチューンと言えるようなメロの曲がない、というのが大きな理由のように感じます。そのため、ギターサウンドを前に出した曲に関しては勢いを感じ、楽曲として魅力的に感じるのですが、メロディーが前に出ると、いまひとつインパクト不足の物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか。

特に前半が良い内容だっただけに、ちょっと惜しさも感じるアルバムでした。まあ、デビューから30年近くたつユニットが、いまだにこれだけのアルバムを作れるということ自体、すごいことなのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

B'z 過去の作品
ACTION
B'z The Best "ULTRA Pleasure"
B'z The Best "ULTRA Treasure"
MAGIC
C'mon
B'z-EP
B'z The Best XXV 1988-1998
B'z The Best XXV 1999-2012

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2015年4月20日 (月)

動画サイトで人気

Title:singing Rib
Musician:りぶ

ヒットチャートのコーナーでよく取り上げるのですが、ヒットチャートにランクインしてくるミュージシャンで、最近、人気動画サイト「ニコニコ動画」の中の「歌ってみた」というコーナーで人気を得た「歌い手」というミュージシャンがいます。個人的には「ニコニコ動画」はまったくみないので詳しいことはわからないのですが、端的にいってしまえば、自分が歌うカラオケの動画をアップしている人たち。そんな中で特に人気が出た人たちがミュージシャンとしてデビューしCDをリリース、さらにはランキングの上位に入ってくるという現象がおきています。

同じネット発の音楽の流れとして、初音ミクを使って自作の曲をアップする、ボーカロイド界隈の流れがあります。ボカロ界隈と「歌ってみた」企画は同じネット発ということで親和性が良いみたいで、ボカロの曲を「歌ってみた」コーナーで歌う人も多いみたいです。ボカロ関連の曲については以前から取り上げていましたが、今回はじめて、この「歌ってみた」コーナーから出てきた、いわゆる「歌い手」のアルバムを聴いてみました。

ネットの中の草の根からのムーブメントという意味では以前から気になってはいたのですが、今回、この「りぶ」というミュージシャンの曲を聴いてみたのは、そんな中でヒットを記録した、ということもあるのですが、このアルバム、Sound Scheduleの大石昌良や元Cymbalsの沖井礼二、元DOPING PANDAのフルカワユタカという参加メンバーの豪華さにもひかれたから。内容的にもロック寄りっぽい雰囲気もあったため、はじめてこのアルバムを聴いてみました。

さて、そんな彼が歌う楽曲ですが、簡単に言ってしまうと王道のJ-POPという印象を強く受けました。ポップでインパクトあるキャッチーなフレーズ。ただ一方で「これ」といった方向性のないルーツレスなサウンド。ハードロック風の「ダヴィンチの告白」、ヴィジュアル系っぽい「ノストラの終末論」、シティーポップ風の「朝焼けの狙撃手」、バリバリのアイドルポップ「キミの心拍数」などバラエティー富んだ作風も、ある意味良くも悪くもこだわりのないJ-POP風といった言い方もできるでしょう。ただこのバリエーションの多さは聴いていて飽きが来ないというメリットもある一方、りぶというシンガーがどんな方向性を目指しているのか、どんな歌を歌いたいのか、正直ぼやけてしまっているようにも感じました。

また、「歌い手」というカテゴリーである以上、彼の売りは「歌」だと思うのですが、正直言ってしまえばボーカリストとして魅力的かどうかと問われると、疑問を感じてしまいました。

彼がボーカリストとして上手いか、と言われれば間違いなく上手いと思います。当たり前ですが音程は取れていますし、声量もそこそこあります。またボーカリストとして安定感もあるし、音域も十分。間違いなく安心して聴いていられる歌唱力は持っています。

ただ一方、歌い方は平坦で癖がありません。また淡白な歌い方ゆえに、表現力もあまり感じられません。ある意味技術論的に上手いボーカリストではあると思いますが、ボーカリストとしての味みたいなものはあまりありません。ただ、声色はとても端整でアイドルテイストを感じます。そういう意味でリスナーは彼に「声のアイドル」を求めているのかもしれません。

おそらくSSWやバンドのボーカリストとしてなら文句なしのボーカリストなのでしょうが、ボーカルを売りにする歌手としては物足りなさを強く感じました。ただ、今の日本って、どうもボーカルに対するリスナーの欲求水準がすごい低いんですよね。例えば最近の女性アイドルにしても、曲自体さえよければ、それを歌うアイドル自身のボーカルが、抑揚のなく声量もない平坦なユニゾンでもなぜか音楽評論家は大絶賛。こういう傾向には、ボーカルも曲の一部だと思っているだけに、いつも違和感を覚えています。

もっとも声量、安定感、音程などボーカリストとしての基礎体力はあるだけに、今後、ボーカリストとして成長する余地は大きいのは間違いないでしょう。そういう意味では、(あえて言えば)「狭い」ネット社会に留まるのではなく、ボーカリストとしてもっと広い世界でどんどん活動してほしいなぁ、とも思うのですが。これからの成長に期待したいところです。

評価:★★★

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2015年4月19日 (日)

インド音楽の夕べ

Indian Classical musi live 新井孝弘×U-zhaan

会場 TOKUZO 日時 2015年4月13日(月) 19:30~

今回はちょっと変わった趣のライブに足を運んできました。サントゥールというインドの弦楽器を奏でる新井孝弘というミュージシャンと、タブラ奏者のU-zhaanによるジョイントライブ。お目当てはここでも何度か取り上げたことのあるU-zhaanなのですが、今回演奏される曲目がインドの古典音楽、ということでどんなライブになるのかドキドキしながら会場に足を運びました。

Indianmusiclive インドの伝統音楽のライブ、というちょっとマニアックな内容なだけに会場の人の入りはそれほどではないだろう、という予測の元、会場を訪れたのですが、これが意外なことに会場はほぼ満員。やはりU-zhaanのファンが多いのでしょうか?前の方で座布団に座って見られる席がまだ空いていたので、そこに場所を確保し、開演を待ちます。

開演時間が過ぎると会場の明かりが徐々に暗くなり、19時40分くらいに2人がステージ上に登場。さて、演奏が開始か・・・と思いきや、新井さんがステージ上でサントゥールのチューニングをはじめました。

この間、U-zhaanが軽いトークをしつつ、会場を沸かせる・・・というよりも間を持たせました。「サントゥールというのは、この台形の楽器で・・・台形なんて言葉、4年ぶりくらいに言いました」「彼(新井さん)はほとんどしゃべらないのに、楽屋でボーカリストばりに『白湯をください』って言ったんですよ」といった軽いトークでまったりしつつ、10分程度でようやくチューニングが終了し、ライブがスタートしました。

1曲目は「ヤマン」という曲だそうで、最初は10拍子(!)のサントゥールのソロ、後半は12拍子(!!)でタブラとの合奏というスタイルだそうです。インドの古典音楽は基本的に即興音楽がメインで、サントゥールの演奏にタブラがあわせて演奏するスタイル(U-zhaan曰く「タブラがあわせなくちゃいけないので理不尽だ」だそうです)だそうです。

この「ヤマン」という曲、最初はサントゥールのソロからスタートしたのですが、イメージ的にはこれぞインド音楽といった感じの悠久の流れを感じる弦楽器の音色が響き渡ります。サントウールという楽器は台形の平台の上に数多くの弦が張ってあり、その弦を、長い鍵のようなスタイルの「バチ」でなぞったり叩いたりして音を出すスタイル。基本的には一方のバチでリズムを刻みつつ、もう一方のバチで音色を奏でるという演奏スタイルでした。

幽玄な雰囲気のサントゥールのソロの演奏は10分以上続き、ここでようやくU-zhaanのタブラが登場。時間にして、既に8時を過ぎていました。このタブラが入ってくると、かなりアグレッシブな演奏に展開していきます。タブラの激しいリズムに応じるかのようなサントゥールの音色が印象的。新井さんとU-zhaanは時々目配せで合図を取りつつ、息の合った演奏を聴かせてくれました。

演奏は延々と続き、この1曲で約40分。8時半近くにようやく1曲目が終了(笑)。ここでサントゥールのチューニングを兼ねた休憩タイムに入ります。U-zhaanは退席し、新井さんのみがステージ上に残り、サントゥールのチューニング。サントゥールという楽器は1曲毎にチューニングが必要で、さらにそれに10分以上の時間がかかるそうです・・・。

10分程度の休憩時間が終わり、U-zhaanもステージに戻ってきて、ようやく2曲目がスタート。次の曲も30分以上の長さの曲で、「ということは、これが最後の曲です」というU-zhaanのMCでスタート。「ハンサドゥアニ」という曲で、意味は「白鳥」だそうで、16拍子(!!!)の演奏だそうです。

こちらも最初はサントゥールのソロから入るのですが、U-zhaan曰く「白鳥の感じで聴いてみてください」ということだそうですが、確かに幽玄的だった1曲目に比べると、白鳥をイメージするかのような(?)優雅な雰囲気のナンバー。いわば「いかにもインド音楽」的だった1曲目とはあきらかに雰囲気の違うナンバーでした。

短いサントゥールのソロの後、またタブラとの共演となりました。こちらも前の曲と同様アグレッシヴな演奏も聴かせてくれたのですが、やはり前の曲と比べると激しさは抑え気味。おもしろいもので、決してはっきりしたメロディーがなく幽玄な雰囲気の演奏を奏でるサントゥールの音色がポップでメロディアスに聴こえてくるのが非常にユニーク。特にこの聴きやすいという意味では、1曲目よりもメロディアスな演奏を聴くことができました。

そんな訳で、この日の演奏はたった2曲(笑)。ただ、1曲あたりが30分以上で、かつチューニング時間に1曲あたり10分程度。結果として、2時間程度のライブとなりました。最初、「インドの伝統音楽」ということでどんなもんなのか不安半分期待半分だったのですが、予想以上にその演奏を楽しめ、あっという間に時間が過ぎました。

チューニングの間のU-zhaanのMCも予想通りとても楽しかったですし、そういう意味でも期待通り。また、サントゥールの不思議な音色もとても楽しめましたし、U-zhaanのタブラの演奏も、いままでいろいろ聴いた中で一番アグレッシブ。特に新井さんとの息もピッタリで、水を得た魚のように、かなりイキイキとプレイされているようにも見受けられました。

予想以上に楽しめたステージ。新井さんはこのライブの後、インドのムンバイに戻られるそうですが・・・また機会があればこの組み合わせ、ライブを見てみたいです!

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2015年4月18日 (土)

血が騒ぐ

Title:血騒-chisou-
Musician:PE'Z

2015年いっぱいで、残念ながら解散を発表したPE'Z。ポップでロックなジャズサウンドを展開し、ジャズという枠組みを超えて、ポップス好きやロックリスナーまで幅広いファン層を獲得し続けた彼らですが、デビューから15年でその活動に幕を下ろすようです。

本作はそんな彼らの最新アルバム。ただ、解散発表はこのアルバムがリリースされた後でしたので、明確に解散を意識したアルバムではありません。ただ、解散という事実を知った後にこのアルバムを聴くと、「最後」というのにふさわしい、PE'Z15年の活動の総まとめのようなアルバムになっていました。

血が騒ぐとかいて「血騒-chisou-」と名付けられた本作。血が騒ぐといえば、まさにPE'Zのサウンドが目指す方向性そのもの。PE'Zというバンドの要素の核になる部分を惜しみなく表に出したアルバムになっていました。

アルバムは1曲目「Chi-Sou!」から、まさにフルスロットルのハイテンションなノリでスタートします。ホーンセッションにバンドサウンドを加えた構成はとにかくにぎやか。まさに「血が騒ぐ」楽曲が、カバー曲「Smoke Gets In Your Eyes」「ワラエフトレ ~laugh and get fat~」と続いていきます。

その後も、レトロな雰囲気のエレクトロピアノの音色がおもしろい「さすらいSummer」やパーカッションのリズムとムーディーなピアノが耳に残る「Brushup」など、要所要所で聴きどころをつくりつつ、全体的にはアゲアゲでハイテンションな楽曲が続いていきます。

そんなアルバム全編、血が騒ぎまくる楽曲が続くのですが、「解散」という事実を知った後に聴くと、どこか心へのひっかかりがあるのが最後「StartLine」。彼ららしいポップなメロディーラインを聴かせるナンバーなのですが、そのメロディーはどこか切なさを感じます。最後の最後の曲が「StartLine」というタイトルというのも、いまから考えると「新たなスタート」という意味で、意味深なものを感じれらます。

彼らは5月に最後のカバーアルバムをリリースする予定だそうですが、オリジナルアルバムとしてはこれが事実上、最後のアルバム。そう思いながら聴いてみると、まさにこれでPE'Zとしてのすべてを出し切った、そんなアルバムにも感じられます。まだまだ勢いを感じるだけに、これで最後というのはとても残念に感じられるのですが・・・ただ、やはりPE'Zとしてはやりきったところがあるのかなぁ。メンバーそれぞれ今後のソロでの活動に期待したいところ。その前に、最後のカバーアルバムも楽しみです。

評価:★★★★★

PE'Z 過去の作品
1・2・MAX
ギャロップ(pe'zmoku)
ペズモク大作戦(pe'zmoku)
I WANT YOU
向日葵-Himawari-
OH!YEAH!PARTY!!
JumpUP!

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2015年4月17日 (金)

ディープな世界

Title:Blues Blues Blues
Musician:Sherwood Fleming

Bluesbluesblues

今回紹介するSherwood Flemingというミュージシャン、この新作がブルースファンの間で話題になったようですが、今年79歳になるブルースミュージシャン。40年前にシングル数枚をリリースし、その後1985年にも自主制作でシングルをリリースしたそうですが、その後は表舞台から姿を消した、まさに知る人ぞ知る的なミュージシャン。そんな彼がまさかの復活を果たしてリリースしたニューアルバムの、あまりにディープなその内容が、海を越えたここ日本でも話題となりました。

上でディープと表現しましたが、このアルバム、ディープなブルースやソウルが好きなら間違いなく気に入りそうな内容になっています。冒頭を飾る「Bold Soul Brother」からして、ファンキーでぶっといベースラインにゴスペルライクな女性コーラス、さらにあおるようなパワフルなシャーウッドのボーカルという組み合わせが、ソウルファンのハートを直撃しそうなグルーヴ感を醸し出しています。

続く「Good Woman」は、こちらはブルースの王道を行くような作風。こちらもブルースギターの泣きのサウンドとパワフルなシャーウッドのボーカル、この組み合わせだけでまずはブルース好きの耳を直撃しそう。さらにこれに加わるホーンセッションのディープなサウンドに、後ろに鳴っているピアノのフレーズがなんとも言えない味わいを作り出しています。

サウンドは基本的にバンドサウンドにホーンセッション、それにピアノを組み合わせた構成がメイン。バンドサウンドではブルージーなギターソロを聴かせつつ、ぶっといホーンセッションのサウンドがどす黒いグルーヴ感を作り出しています。その後ろで鳴っているピアノの音色もまた、実にブルージーで、楽曲をさらに味わい深いものとしています。

サウンド的にはまさに60年代あるいは70年代あたりの雰囲気をそのままパッケージしたような雰囲気である一方、「Gotta Hold On」で聴かせるノイジーなギターといい、それなりに現代にアップデートした要素もあったりして、「古臭い」という要素は感じられません。

このバンドサウンドも実に魅力的なのですが、それ以上にこのアルバムを魅力的にしているのは、Sherwood Flemingのボーカル、そのものでしょう。今回、久々の表舞台で、かつ御年79歳とは信じられないような艶のある迫力のボーカルが実に魅力的。「No Life For a Working Man」のように、メロディアスなホーンセッションに身を任せたような、自由度の高いボーカルも味わい深いものもあれば「History」では今でいえば「ラップ」的な要素を感じる、リズミカルなチャタリングを披露していたり、「Trouble of the World」ではなんとアカペラで、そのボーカリストとしての実力を嫌というほど感じさせてくれます。

楽曲は王道路線のブルースとディープなソウルを交互に聴かせるような内容で、ブルース好きもソウル好きもその世界に一気にはまってしまいそうなアルバムになっています。ブラックミュージック好きなら、このグルーヴ感は間違いなく無条件ではまれることうけあいです!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

High Hopes/Bruce Springsteen

アメリカンロックのドンによる2年ぶりの新作。ギタリストに、あのレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが参加して話題になっています。ただ楽曲は彼らしいメロディアスでダイナミックなロックナンバー。王道のストレートな作品で、ファンなら安心して楽しめそうな内容に仕上がっていました。

評価:★★★★

BRUCE SPRINGSTEEN 過去の作品
Working On A Dream
WRECKING BALL

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2015年4月16日 (木)

人気のラジオ番組より

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

1位はラジオ番組の人気企画だったそうです。

今週1位は福山雅治「魂リク」。今年3月に終了した「福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル"魂のラジオ"」の中の人気コーナー「魂のリクエスト」で彼がアコギ弾き語りでカバーした曲を収録した企画盤。スピッツの「チェリー」やチューリップの「心の旅」といったJ-POPのスタンダードナンバーから内山田洋とクール・ファイブの「長崎は今日も雨だった」なんていうムード歌謡曲や「銭形平次」なんていうカバーも収録されています。初動売上12万3千枚は、直近のオリジナルアルバム「HUMAN」の21万3千枚(1位)に比べるとダウンしていますが、この手の企画盤としては大健闘な結果でしょう。

2位は先週1位のサザンオールスターズ「葡萄」が今週も2位をキープ。ロングヒットの兆しを見せています。

3位は女性シンガーソングライターmiwaのニューアルバム「ONENESS」がランクイン。初動売上5万枚は前作「Delight」の6万9千枚(1位)よりダウンという結果になりました。

続いて4位以下の初登場ですが、4位に浜崎あゆみ「A ONE」が入ってきています。初動売上は3万4千枚。ちなみに直近作はクラッシックアレンジアルバム「LOVE CLASSICS」の6千枚(16位)なので、さすがにこちらよりはアップしていますが、前作「Colours」の3万9千枚(5位)からダウン。1位どころかベスト3にも入れない状況となっており、かつての人気から考えると、その凋落ぶりが目立ちます。

5位には人気声優三森すずこ「Fantasic Funfair」がランクイン。これがアルバムでは2作目。初動売上1万8千枚は前作「好きっ」の1万4千枚(9位)からランクアップしています。

6位初登場は伊東歌詞太郎「二律背反」。動画サイト「ニコニコ動画」の人気企画「歌ってみた」コーナーで人気となったシンガーの、メジャー2作目となるアルバム。初動売上1万4千枚は、メジャーデビュー作「一意専心」の1万5千枚(4位)から若干ダウンながらも、2作目ということを考えると、健闘した結果でしょう。

初登場最後は7位にSAKEROCK「SAYONARA」が入ってきています。SAKEROCKは、既にソロとしての活動の方が有名になってしまった星野源や、在日ファンクの活躍も目立つ浜野謙太、ドラマーとして数多くのミュージシャンのサポートを行っている伊藤大地のユニット。メンバーそれぞれのソロ活動が先行するようになった結果、残念ながら6月の両国国技館でのライブを最後に解散となってしまいました。そしてこちらがラストアルバム。ユニークなことに、今のメンバー3人に、既に脱退したオリジナルメンバー田中馨、野村卓史もこのアルバムで復帰し、参加しています。初動売上は1万4千枚。直近はベスト盤「SAKEROCKの季節 BEST 2000-2013」の1万3千枚(6位)なので、そちらからは微増。オリジナルアルバムとしての前作「MUDA」は初動3千枚(48位)だってので、こちらからは大幅アップで、最後にして唯一の、オリジナルアルバムとしてのベスト10入りを果たしました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年4月15日 (水)

低水準のチャート

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は特に大物のランクインがなく、全体的に売上は低水準となっています。

まず1位初登場はハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「Wonderful World」。ちょっと意外なことにハロプロ系では1位を獲得するのがモーニング娘。に続いて2組目だそうです(→参考サイト「【オリコン】Juice=Juice、デビュー2年で初1位 ハロプロ史上2組目」

ただし初動売上は3万4千枚で前作「背伸び」の2万9千枚(4位)からはアップしたものの、前々作「ブラックバタフライ」の3万7千枚(4位)は下回っており、チャートの谷間にうまく入り込んだ形での1位獲得となっています。

2位初登場はニャーKB with ツチノコパンダ「アイドルはウーニャニャの件」。話題の妖怪ウォッチとAKB48によるコラボユニット。う~ん、なんかあまりにも露骨でひねりもなにもないコラボ・・・。テレビ東京系アニメ「妖怪ウォッチ」エンディングテーマ。初動売上は3万3千枚。妖怪ウォッチがらみでは、エンディングテーマに起用された前作Dream5+ブリー隊長の「ダン・ダン ドゥビ・ズバー!」が初動6万6千枚だったので、ちょっと厳しい結果になっています。

3位はST☆RISH「マジLOVEレボリューションズ」がランクイン。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレボリューションズ」エンディング・テーマ。ST☆RISHは登場キャラクターによるユニットでこれで3作目。初動売上3万2千枚は前作「マジLOVE2000%」の5万枚(3位)からダウン。

続いて4位以下の初登場ですが、韓国のバンドCNBLUE「WHITE」が入ってきています。エレクトロサウンドを取り入れた結果、かなりアイドルソングっぽい雰囲気になっています。初動売上2万5千枚は前作「Go your way」の2万4千枚から微増。

5位初登場は凸レーション[城ヶ崎莉嘉×諸星きらり×赤城みりあ] 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 05 LET’S GO HAPPY!!」。ここ何週か連続しているアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」のキャラクターソング。かなり電波度の高いトランシーなナンバーで、極端にリスナーを選びそう。初動1万8千枚は先週ランクインしたCANDY ISLAND[双葉杏×三村かな子×緒方智絵里]「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 04 Happy×2 Days」から横バイ。

ここまでアイドルソングやアニメソングが並んできましたが、6位にはようやくそれ以外のミュージシャンが。TUBE「いまさらサーフサイド」がこの位置。今年、デビュー30周年を迎える彼ら。春夏秋冬で1枚ずつシングルをリリースする予定だそうで、これが「春」のシングルだそうです。楽曲的には完全に夏のイメージのミディアムチューンなのですが・・・。初動売上1万5千枚は前作「いつも、いつまでも」の1万1千枚(9位)からアップ。

初登場最後は7位のナオト・インティライミ「いつかきっと」。資生堂「SEA BREEZE」CMソング。「SEA BREEZE」のイメージにもピッタリきそうな爽やかながらもちょっと切ないナンバー。初動売上1万1千枚は前作「LIFE」の9千枚(11位)よりアップ。ベスト10入りは2013年4月の「恋する季節」以来4作ぶり、約2年ぶりとなります。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年4月14日 (火)

素直に聴いていて楽しい作品

Title:Laughin' Road
Musician:HOME MADE 家族

途中、ベスト盤のリリースを挟みつつ、オリジナルアルバムとしては2年半ぶりとなるHOME MADE 家族の新作。HOME MADE 家族といえば、HIP HOPの要素を取り入れつつ、難しいこと抜きにして楽しいポップソングをつくるユニットというイメージがありますが、今回のアルバムもそんなとにかく楽しい、聴いていて盛り上がれる要素の強い作品に仕上がっていました。

そんな彼らのニューアルバムの「楽しさ」の大きな要素のひとつが、ある種の「ベタ」さではないでしょうか。例えば「Hands Up」の分厚いエレクトロのサウンドと、その向こうで流れているメロディーラインのリフはいかにも80年代的なベタさを感じますし、「YOLO」もベタベタな80年代のディスコサウンド。ある種のわかりやすさが、聴いていて素直に楽曲を楽しめる要素になっています。

その至極ともいうべき楽曲が「N.A.M.A.」でしょう。この曲、おそらく聴けば誰もが一度は聴いたことある、「朝まで生テレビ」のオープニングテーマをサンプリングしたナンバー。曲中何度も繰り返されるおなじみのあのフレーズは、ベタながらもテンションがあがりまくります。

このアルバム、前半はそんな「ベタ」さが上手く機能した、無条件で楽しい楽曲が続いていきます。楽曲にも勢いがありますし、前々作「AKATSUKI」を上回るくらいの傑作になっていたようにも感じます。

ただ一方。後半になると、残念ながら勢いが失速。この「ベタ」さが「良く聴くありふれた楽曲」という、逆に作用していまったようにも感じます。後半も、ファンキーなリズムがなかなかかっこいい「YOUME」や、楽しいパーティーチューンの「HONEY」など楽しい楽曲は収録されているのですが、聴いているだけでテンションがアゲアゲになっていった前半に比べると少々物足りなさも残る内容でした。

アルバム全体として素直に聴いていて楽しい作品なのは間違いないでしょう。HIP HOPという枠組みにとらわれず、広いリスナー層にアピールできるポップのアルバムだと思います。前半はかなりの出来だっただけに後半の失速が残念。そういう意味で、非常に惜しさを感じる1枚でした。

評価:★★★★

HOME MADE 家族 過去の作品
HOME
Heartful Best Song "Thank You!"

CIRCLE
FAMILY TREE~Side Works Collection Vol.1~
seven emotions
AKATSUKI
3RISE
家宝~THE BEST OF HOME MADE 家族~

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2015年4月13日 (月)

一日も早い復帰を祈ります

Title:Year Book 2005-2014
Musician:坂本龍一

昨年6月に中咽頭がんがみつかり、音楽活動を休止し治療に専念している教授。1日も早い復帰が待ち望まれますが、そんな中、活動再開が待ちきれないファンのためにアルバムがリリースされました。

「Year Book」と題された2枚組のアルバムは、2005年から2014年までに制作した、様々なタイアップソングで未発表となっている音源を収録したアルバム。CMソングやテレビのテーマ曲から、携帯の着信音やら「知らない人からの依頼でつくられ、その後、どう使われたのわからない」なんていう不気味な曲まで収録されていたりします・・・。

基本的には誰かに頼まれて作ったような曲がほとんどのため、坂本龍一としての強烈な主張は控えめでタイアップのコンセプトに沿ったような曲になっています。ただ、それでも楽曲全体を通じて、坂本龍一の音楽的興味も強く感じられました。それは収録曲に共通項が多い点。例えば・・・。

  • 基本的にアンビエント
  • エレクトロサウンドにピアノの音色を加えたような曲が多い
  • 全体的にメロディーも含めて無機質な雰囲気
  • 音数はおさえてシンプル

といった特徴がどの楽曲にも見て取れ、この方向性の音楽が、ここ最近の教授の関心ということもわかります。

正直なところ、楽曲自体に特別な目新しさ、斬新さという部分はあまり感じられません。タイアップ曲ということもあって、あまりに突飛な作品はつくれないということもあるのでしょう。そういう意味では「貴重なアーカイブ」という側面も強く、ファンズアイテム的な要素も強い作品になっています。

ただ、とはいってもなかなか興味深い作品もチラホラ。例えば「Nokiartek-pf01」「Nokiartek-pf10」という曲。ノキアの携帯電話の着信音だそうですが、あまりに静かなアンビエントの作品に、これ、着信音として鳴っても気が付かないんじゃないか??なんて余計な心配をしてしまいます(笑)。

さらにユニークなのは「Utility Pole in the Moonlight」という曲。これはNHKの番組企画によって制作された曲だそうですが、かの童話作家として有名な宮沢賢治がつくった曲を教授がアレンジしたそうです。なんともいえない味わいの、独特で不思議なメロディーラインが耳に残ります。

また、全体的には無機質でメロディーのあまりない作品が多い中、「Dharma-Theme」「Dharma-Contemplation」のような郷愁感漂う、歌心があふれたメロディーを聴かせてくれる曲もあったりして、ちゃんとメロディーメイカーとしての教授の魅力も感じることが出来ます。

ファンズアイテムという側面も強い反面、その中できちんと坂本龍一というミュージシャンの関心、方向性を読み取ることが出来るアルバム。はやくこの次の作品を聴きたい!切にそう感じさせてくれるアルバムでした。

評価:★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013


ほかに聴いたアルバム

20/家入レオ

タイトル通り20歳になった女性シンガーソングライターの新作。3枚目となる本作は楽曲的には安定感が増して、安心して聴いていられる反面、デビュー当初のような一度聴いたら忘れられないようなインパクトあるフレーズはなくなっています。ネタ切れ?全体的にはロック志向なのですが、ストリングスも入れて良くも悪くも賑やかなサウンドになっているのがJ-POP的。もう一癖、欲しい感じもするが・・・。

評価:★★★★

家入レオ 過去の作品
LEO
a boy

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2015年4月12日 (日)

「ベスト盤」だけど・・・

Title:ALL SINGLES BEST
Musician:清水翔太

2008年シングル「Home」でデビューしたシンガーソングライター。デビュー当初はかなりプッシュがあり、いきなりブレイク。その後、加藤ミリヤとのデゥオ曲がヒットを記録するなど話題はあったものの、最近は一時期からは人気は下火になってきています。そんな彼がはじめてリリースしたベストアルバムです。

いままでリリースしてきたシングル曲をすべて収録。また、デビュー前に制作しライブでは披露していたものの、いまだ音源としてリリースされていなかった「春風」も収録。一方では残念ながら加藤ミリヤとのデゥオ曲は収録されていません。

清水翔太はデビューした頃の音楽シーンの流行にのろうとしたのかもしれませんが、R&Bシンガーという形で売り出されました。確かに「I miss you-refrain-」「My Treasure」みたいなR&B風のメロウな楽曲も歌っています。ただし、彼が歌おうとしている曲はむしろ、シンプルなポップソングが多いように思います。

シングル曲でも「君さえいれば」では小田和正をフューチャーしていますが、楽曲自体も清水翔太作詞作曲ながらもどこか小田和正風な作品。「桜」などはどこか槇原敬之っぽい雰囲気も。他にもシンプルなポップソングが多く、おそらく清水翔太の音楽的嗜好の本質的な部分は、R&Bというよりも今例示した小田和正や槇原敬之のようなタイプのシンガーソングライターに近いのかもしれません。

ただ・・・このアルバム、シングルベストなのですが、正直、ちょっと物足りなさを感じました。清水翔太に関しては基本的にアルバムは毎作聴いているのですが、アルバム曲の方がバリエーションが多く、おもしろい曲が少なくないように思います。シングル曲に関しては、いかにも清水翔太のパブリックイメージに合いそうな曲ばかりを並べたようにも感じました。

シングルの売上的にはデビュー時より少々苦戦気味なだけに、余計、パブリックイメージに合うような曲ばかりがリリースされる傾向があるのかもしれませんが・・・シングル曲でももっと様々なタイプの曲に挑戦してくれたらもっとおもしろいのになぁ、と感じてしまいます。

彼のシルキーなボイスは魅力的ですし、メロディーはそれなりにインパクトもあるし、歌詞もなにげに具体性があって聴かせる歌詞が多いし、シングル曲ももちろん清水翔太の魅力はつまっていると思うのですが・・・最初の1枚としてはむしろアルバムから聴いてみた方がいいのかも?ベスト盤だけどどこか物足りなさを感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★

清水翔太 過去の作品
Umbrella
Journey
COLORS
NATURALLY
MELODY
ENCORE


ほかに聴いたアルバム

KTMusic/KTMusic

ケツメイシと、彼らがプロデュースする男性6人、女性2人の新人ユニット1 FINGERによるスプリットアルバム。KTMusicとは、ケツメイシの音楽プロジェクトの総称だそうで、本作ではケツメイシの曲が2曲、1 FINGERの曲が4曲、そしてKTMusic名義の曲が1曲収録されています。

ケツメイシの曲に関しては文句ありません。今回も陽気で楽しいナンバーが並びます。一方1 FINGERの曲はいまひとつ。女性ラッパーの部分はおもしろい印象があるのですが、男性ボーカルの歌モノの部分にくると途端に平凡な作風に。よくありがちなメロウなポップソングになってしまっていて、いまひとつ面白味がありません。

まあ、ケツメイシの曲が良かったのでそこ目当てに聴くには悪くはないのですが、1 FINGERに関してはまだまだこれからといった感じ。とりあえずKTMusicの今後の展開に期待といった感じで。

評価:★★★

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2015年4月11日 (土)

35年目にしてまだまだ進み続ける

Title:ALL TIME BEST ~Martini Dictionary~
Musician:鈴木雅之

シャネルズとしてデビューしてから今年で35周年を迎える鈴木雅之。そんな彼のオールタイムベストがリリースされました。全3枚組(初回版は4枚組)というフルボリュームになっています。

この作品がうれしいのは、鈴木雅之のソロとしての作品だけではなく、シャネルズ/ラッツ&スター時代の作品も収録されている点。3枚組のうちDISC1はシャネルズ/ラッツ&スターのベスト盤となっており、残り2枚では鈴木雅之ソロとしての作品が発売順に並んでいます。

個人的にシャネルズ/ラッツ&スター時代の作品って実は結構好きで、ドゥーワップをはじめブラックミュージックの要素を色濃く反映した洋楽テイストが強い作風ながらも、歌謡曲全盛の中で十分戦えるだけのインパクトを持った楽曲の数々は、いまさらながらもその楽曲のクオリティーの高さを実感します。

一方、DISC2は彼のソロ時代の作品のうち、実姉鈴木聖美とのデゥオ「ロンリー・チャップリン」「もう涙はいらない」「違う、そうじゃない」、菊池桃子とのデゥオ「渋谷で5時」などといったヒット曲が多く収録されています。90年代のいわばJ-POP全盛期のナンバー。個人的にもリアルタイムで聴いていた曲ばかりなので、懐かしさを感じます。

また、この時期の曲は洋楽テイストが強かったラッツ時代に比べて、ベタな歌謡曲の色合いがかなり濃く感じてしまいます。ソロデビュー後は、より大人な雰囲気を目指した結果なのかもしれません。ただ個人的には確かにヒットしたナンバーとか素直にいい曲だとは思うのですが、ちょっとベタな作風はラッツ時代と比べると物足りなさも感じます。

ただおもしろいのはその後、一時期にくらべるとヒットから後退したDISC3の作品で、より挑戦的な作品が増えてきたところ。槇原敬之がプロデュースと作詞作曲を担当した「Boy,I'm Gonna Try So Hard」や、打ちこみのサウンドを取り入れた「キミの街にゆくよ」などの新たな挑戦を感じます。また、このベスト盤で新曲として収録した「純愛」はなんと斉藤和義が楽曲を提供。ブラックミュージックの要素も強く感じるもののロック色が強いナンバーは、いままでの鈴木雅之にはない作風に感じました。

そんな訳でデビューから35年が経過しながらも、いまだに新たな挑戦を続ける鈴木雅之。いままでオリジナルアルバムを聴いたことがなかったのですが、このベスト盤を聴いて、あらためて彼の魅力を感じることができました。これからの活躍も楽しみになってくるベスト盤でした。

評価:★★★★★

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2015年4月10日 (金)

「ゲス」より好きかも

Title:幸せが溢れたら
Musician:Indigo la End

ご存じゲスの極み乙女。での活躍で一躍注目を集めた川谷絵音。その彼がゲスと並行して活動しているバンドがこのIndigo la End。ゲスの人気がこちらにも派生し、このアルバムは見事オリコンアルバムチャートで7位を獲得し、一気にブレイクしました。

ゲスの極み乙女。は「ヒップホッププログレバンド」を自称しておりラップを取り入れつつ、複雑な構成の楽曲が特徴的なのですが、対してIndigo la Endは非常にシンプルなギターロック。ゲスでもメロディアスなメロディーラインがなにげに魅力的だったりするのですが、Indigoではメロディーと歌をより前面に押し出した楽曲が並んでいます。

今回のアルバムではちょうど中間地点にあるインターリュード的な楽曲「まなざしの予感」を挟んで前半と後半で雰囲気をかえており、レコードのA面、B面を意識したかのような構成になっています。前半は歌謡曲を彷彿とさせるような哀愁あるメロディーラインでしっかり聴かせてくるナンバー。特に「瞳は映らない」「夜汽車は走る」は女性目線からの歌詞が印象に残り、夜汽車なんていう昭和的なモチーフが登場してくるあたり、かなり歌謡曲的。「心ふたつ」もそうですが、歌詞の中で情景や主人公の心情描写がきちんと描かれており、歌詞とメロディーという「歌」の部分がしっかりと印象に残るナンバーが並びます。

一方後半はバンドサウンドを表に出したロック的な要素が強い楽曲が並びます。「実験前」はダイナミックなバンドサウンドがまず耳に残りますし、「花をひとつかみ」のファンキーなギターも印象的。リバーブをかけて幻想的なサウンドを聴かせる「つぎの夜へ」を含め、もちろんメロディーと歌詞もアピールしているものの、それ以上にサウンドをより重視した、ロックバンドとしての彼らを聴かせる曲が並びます。

ただ終盤は再びシンプルな曲が展開されます。「さよならベル」では恋人の別れを描いた作品は「自販機」というアイテムをつかいつつ、その風景が思い浮かぶような歌詞が非常に印象的。そしてタイトルチューン「幸せが溢れたら」ではギターのアルペジオのシンプルなアレンジで聴かせる、物語性ある切ないメロディーが心に残ります。まずは歌詞を聴いてほしい名曲です。

そんな訳で、別れの描写も多く、切なさを感じつつ、具体性ある内容で風景描写や心境描写をしっかりとされた歌詞が実に印象に残る内容。ゲスとは異なり、非常に歌詞とメロを重視したシンプルな楽曲が特徴的。ある意味ひねくれた部分があるゲスではできないことを、Indigoでやろうとする川谷絵音の試みが実によくわかります。

前作「あの街レコード」は楽曲のインパクト不足が気になりました。今回のアルバムもメロディーは決して派手な作風ではありません。ただ本作に関してはメロのみならず歌詞も含めた上できちんと心に残る作品が多く、インパクトの面でも十分。変にメロディーに勢いをつけるとか派手なサウンドをのっけるとか小手先の方法ではなく、歌詞とメロディーをあわせてインパクトを作り出すというポピュラーミュージックのあるべき方向性をすすんでいる点も素晴らしいところです。

個人的にちょっとひねくれすぎていて、どこか醒めた歌詞にはまりきれない部分があるゲスの極み乙女。よりこちらの方が好みかも。売上的にはゲスの極み乙女。の方が上なのですが、これだけの傑作をリリースしていれば、Indigoもさらに人気が出てくるかも。おそらく今はゲスのファンがIndigoに流れ込んでいる形でしょうが、ひょっとしてこれからはIndigoのみのファンというのがもっと増えてくるかも・・・。

評価:★★★★★

Indigo la End 過去の作品
あの街レコード


ほかに聴いたアルバム

BORN IN THE U.S.A./BOMI

毎回、元気なガールズポップを聴かせてくれるBOMI(今回から大文字表記に変更)のニューアルバム。本作では、赤い公園の津野米咲が作曲に参加し、OKAMOTO'Sのハマ・オカモトがベースで参加した「月曜のメランコリー」も話題に。楽曲は全体的にエレクトロテイストの強いポップソングが多く、かつどこか80年代のテイストが感じされます。彼女らしいキュートなポップソングが多く、楽しく仕上がっている感じになっています。

ただこのアルバムでひとつ特徴なのが、各曲の間にコントらしい寸劇が入っているところ。これが正直言ってつまんない・・・・。オチに関しても「うーん」といった程度だし、曲の流れを分断して入れている意味がいまひとつ不明・・・。そのため、13トラックのアルバムなのですが、事実上、6曲入りのミニアルバムになっています。アルバムの雰囲気も壊しちゃっている感じがするし、正直、コント部分は一度聴いた後は聴き飛ばしています(苦笑)。そんなわけで評価は下記の通り。曲部分だけならば、4つだったと思うのですが・・・。

評価:★★

BOMI 過去の作品
キーゼルバッファ
メニー・ア・マール
ビューティフォーEP

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2015年4月 9日 (木)

10年ぶりの新作!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

あの大物ミュージシャンの久々の新譜がランクインです。

今週1位はサザンオールスターズの10年ぶりとなるニューアルバム「葡萄」が獲得。これで1980年代から4年代続けての1位獲得となりました。

参考 【オリコン】サザン、グループ初の4年代連続1位 約10年ぶり新作で

昨年末の紅白やカウントダウンライブでの言動がなにかと話題となりましたが、初動売上30万枚の堂々たる1位獲得。さすがに10年前の前作「キラーストリート」の初動63万枚(1位)からは大きくダウンしてしまいましたが、CDの売上状況の変化から考えると仕方ない範囲でしょう。根強い人気を感じさせます。

2位には韓流のアイドルグループSuper Juniorのメンバー2人によるユニットSuper Junior DONGHAE&EUNHYUKのミニアルバム「Present」がランクイン。「RIDE ME」に続く2作目のアルバムで、初動売上6万2千枚は、その前作の4万枚(3位)よりアップしました。

韓流は今週、EXOのニューアルバムが2枚同時にランクインしています。EXOは韓流といっても韓国人8人、中国人2人からなるグループですが、ニューアルバム「Exodus」の輸入盤がランクイン。うち韓国語盤が4位、中国語盤が7位にランクイン。初動売上はそれぞれ1万4千枚、7千枚となっています。前作は韓国人のグループEXO-K、中国人のグループEXO-Mにわかれてリリースした「Overdose」。Kは初動2万1千枚(3位)、Mは初動1万2千枚(5位)でしたので、どちらもダウンしてしまいました。

3位にはEXILE「19 -Road to AMAZING WORLD-」が先週1位より2ランクダウンでこの位置。

続いて4位以下の初登場盤です。5位には人気声優鈴木達央によるバンドプロジェクトOLDCODEXのミニアルバム「pledge」が初登場でこの位置。アルバムでは2作目のベスト10入りで、初動売上1万3千枚は前作「A Silent, within The Roar」の2万1千枚(5位)からダウン。

6位には04 Limited Sazabys「CAVU」が入ってきました。04 Limited Sazabysは名古屋で結成された4人組ロックバンド。これがメジャーデビューアルバムで、初のベスト10ヒットとなりました。初動売上7千枚は、前作「monolith」の1千枚(33位)から大幅増。ハイトーンボイスの爽快なギターロックが魅力的なバンドのようです。

初登場最後8位には「私とドリカム2-ドリカムワンダーランド2015 開催記念BEST COVERS」がランクイン。タイトル通り、様々なミュージシャンがドリカムをカバーしたオムニバスアルバムの第2弾。May.J、JUJUなどわかりやすい顔ぶれから、ちょっと意外なところではMONGOL800やNico Touches the Wallsなども参加しています。初動売上7千枚は、第1弾「私とドリカム」の2万8千枚(7位)よりダウン。ただ面子的には前作より魅力的かも。

今週はベスト10返り咲きも1枚。9位に三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「PLANET SEVEN」が12位からランクアップ。2週ぶりにベスト10に返り咲いています。売上も6千枚から7千枚に若干のアップです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年4月 8日 (水)

AKB系同士の1位争い

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートはAKB系の2組が同時にシングルをリリースしたことで話題となりました。

AKBがらみのグループ、SKE48「コケティッシュ渋滞中」と、NMB48「Don't look back」がそれぞれ同日に発売。結果、SKE48が64万枚、NMB48が44万7千枚とSKEに軍配があがりました。

SKE48は前作「12月のカンガルー」の初動38万6千枚(1位)から大幅アップ。NMB48も前作「らしくない」の初動42万枚からアップしています。ただ今回のSKE48の大幅増、握手券付CDに、MUSIC CARDを同封して事実上、1枚売っただけで2枚カウントするという禁じ手をつかったということで話題となっています。

参考 SKE48、新曲の劇場盤で最凶・禁断の「CD+MUSIC CARD」セット売り!劇場盤を買うとオリコンで2枚カウント

MUSIC CARDの売上合算は4月6日付チャートより取りやめとなりましたが、その直前にこの禁じ手を使ってきたわけです。これを企画した人は恥ずかしくないのでしょうか?また、NMB48は同じ手を使っていないわけで、このSKE48とNMB48の「対決」はある意味結果が見えている出来レースだった訳ですね。今週は今のヒットチャートの問題点を如実にあらわしたチャートとなっています。

そんな出来レースで寄ってきたリスナーを利用するかのように、今週は女性アイドルグループのランクインが目立ちました。3位にハロプロ系ユニット、℃-ute「The Middle Management~女性中間管理職~」、5位に本作から名前に「JAPAN」をつけて改名したベイビーレイズJAPAN「栄光サンライズ」、7位に男装の女性アイドルグループ風男塾「瞬間到来フューチャー」がそれぞれランクインしています。

℃-uteはエレクトロダンスナンバーでアイドルソングっぽい作風ながらもなにげにアレンジはしっかりしていて、なんとなく、つんく♂って基本、昔ながらもアイドルソングが好きなんだろうなぁ、と感じさせます。初動6万枚で前作「I miss you」(4位)から横バイ。ベイビーレイズJAPANは玉屋2060%作詞作曲のロック風ナンバーがいかにも狙ってます感があって正直鼻につきます。初動2万4千枚は前作「虎虎タイガー!!」の3万1千枚(5位)からダウン。風男塾はトランスのナンバーで正直ちょっとやっつけ感もあって平凡すぎるかも・・・。初動1万8千枚は前作「BE HERO」の3万2千枚(2位)から大幅減となりました。

4位には和風がコンセプトのヴィジュアル系バンド己龍「九尾」がランクイン。初動売上5万7千枚は前作「天照」の1万9千枚(8位)から大幅増。これはCD販売形態を前作の4種から10種に大幅に増やした影響。かなり露骨なまでの売上推移を見せています。

6位初登場はCANDY ISLAND[双葉杏×三村かな子×緒方智絵里]「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 04 Happy×2 Days」。ここ最近続いているアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」よりキャラクターソング。典型的なアニメ声のアイドルソングはファンではないと聴いていてかなり辛いものが。初動売上1万8千枚は先週ランクインしたRosenburg Engel[神崎蘭子] 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 03 -LEGNE- 仇なす剣 光の旋律」の2万2千枚(7位)よりダウン。

8位にはアイドルグループD☆DATEのメンバーとして活動する男性人気俳優荒木宏文のソロデビュー作「Next Stage」がランクイン。テレビ東京系ドラマ「カサネ」主題歌。初動売上1万5千枚で、D☆DATEの直近作「GLORY DAYS」の2万3千枚(7位)よりダウン。

最後10位には演歌歌手水森かおり「大和路の恋」がランクイン。初動売上1万4千枚は前作「島根恋旅」の1万5千枚(4位)から若干のダウン。何のひねりもない様式化されたド演歌と申し訳程度に地名を入れて「ご当地ソング」と言い張るやり方はいつも通り。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年4月 7日 (火)

全く違うタイプのソロアルバムなれど

本日紹介するのはどちらもソロアルバム。ただ、ミュージシャンのタイプは全く異なります。にも関わらず、その両者に微妙な共通点があったりするのがおもしろいところで・・・。

Title:VITIUM
Musician:sukekiyo

まずはDIR EN GREYのボーカル、sukekiyoのソロアルバム。基本的にはダークな雰囲気の作風に言い方は悪いかもしれませんが、いかにもヴィジュアル系テイストな耽美なボーカルという路線はDIR EN GREYと大きな差異はありません。

ただ一方、そんな中ユニークだったのはソロアルバムとしてバンドとは違った試みを感じさせる点でした。「leather field」のようにバンドサウンドが複雑に展開していく作品や、「dunes」のようなちょっとオペラ風(?)な独特の雰囲気を楽しめる曲、「雨上がりの優詩」みたいな哀愁のメロディーラインが歌謡曲テイストを感じさせる曲、さらにユニークなのは「foxus」のようにラテン風のギターがインパクトになっている曲もあります。

実験的、というよりはsukekiyoがやりたいアイディアが詰め込まれたアルバムですが、一方でDIR EN GREYらしい雰囲気はキープされているのでDIR EN GREYのファンも文句なく楽しめそうな作品。sukekiyoのミュージシャンとしての可能性を強く感じる内容で、今後のDIR EN GREYの方向性も占えそう?

評価:★★★★★

sukekiyo 過去の作品
IMMORTALIS

そしてもう1枚のソロアルバム。

Title:窓景
Musician:中納良恵

こちらはEGO-WRAPPIN'中納良恵による7年ぶりのソロアルバム。彼女もEGO-WRAPPIN'らしいジャズの要素を取り入れた曲もありますが、EGO-WRAPPIN'とは異なる、彼女のやりたかったであろうサウンドがこのアルバムの中には詰め込まれています。

特に特徴的に感じたのが「リズム」。ボイスパーカッションを取り入れた「あのね、ほんとうは」や、トライバルなドラムのサウンドを前面に押し出した「ケムニマイテ」、また「Ding Gong」はボイスパーカッションを取り入れつつ、リズムで遊んでいるようにも感じられます。

またアルバムの中で大きなインパクトになっていたのが「濡れない雨」で、ピアノでしんみり聴かせる歌ものなのですが、切ないメロディーが胸に響きます。全体的にはサウンド主体のアルバムだったのですが、この曲を第一に、メロディーに関しても魅力的なメロディーラインを聴かせてくれる曲が数多く収録されています。

こちらも中納良恵がEGO-WRAPPIN'ではやれないような曲を詰め込んだようなアルバムになっていました。ただ一方ではEGO-WRAPPIN'っぽい雰囲気も健在で、そういう意味ではEGOのファンも文句なしに楽しめる内容の傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

中納良恵 過去の作品
ソレイユ

そんなわけでDIR EN GREYとEGO-WRAPPIN'、全く異なるタイプのミュージシャンによるソロアルバムなのですが、そんな中でなにげに共通点があることがおもしろいところでした。それは各々が、バンドではやれないアイディアをソロアルバムに詰め込んでいる点。そして、にも関わらず、それぞれがバンドの雰囲気もそのまま持ち込んでいる点でした。結果としてバンドのファンにとっても抵抗なく受け入れられる内容ながらも、バンドとは違った雰囲気の曲を楽しめるという意味で理想的なソロアルバムだったと思います。またどちらもこのアルバムで披露したアイディアが、今後バンドに還元されるかもしれない、と想像する楽しみ方もできるかもしれません。全く違うタイプのアルバムながらもソロアルバムとして共通点を多く感じた2作品でした。


ほかに聴いたアルバム

Colour By Number/MONKEY MAJIK

仙台を拠点に活動をする日本人とカナダ人による混成ロックバンドの新作。洋楽テイストの強い爽やかなサウンドが魅力的。今年2月には初の武道館ワンマンを成功させるなど、その人気を誇ります。本作では「夏の情事」で三味線の吉田兄弟とコラボ。洋風なサウンドの中に織り込まれる和のテイストが非常にユニークな作品となっています。楽曲的には以前より安定感が増し、安心して聴いていられる作風になっていました。

評価:★★★★

MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE
DNA

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2015年4月 6日 (月)

明るさが包み込む新作

Title:あなたが寝てる間に
Musician:安藤裕子

昨年、デビュー10周年を迎えた彼女の8枚目となるニューアルバム。今回のアルバム、まずはとにかく楽しさを感じるアルバム。インタビューなどで本人が語っているところによると、とにかく明るいアルバムを作りたかったそうで、そんな楽しいポップアルバムをつくろうとする彼女のスタンスが強く感じられるアルバムでした。

特に今回、前半にその傾向が強く感じられ、タイトルからして明るさを感じさせる「森のくまさん」からスタート。続く「Live And Let Die」はちょっとチャイルディッシュな雰囲気が楽しいナンバーになっています。

そんなアルバム全体に流れる「明るさ」が一番典型的にあらわれているのが「クリスマスの恋人」。タイトルからして楽しそうなナンバーですが、作曲はこのサイトでもよく取り上げる末光篤!彼らしい分厚いアレンジが特徴的な、とにかく楽しいワクワクするナンバーに仕上げています。

一方後半はちょっとしんみりと聴かせるナンバーが続きます。ソウルなバラードナンバー「世界をかえるつもりはない」にフォーキーな「人魚」はその歌詞も含めて切なさを感じるアコースティックなナンバー。最後はアルバムを締めくくるにピッタリの包み込むような優しいメロと歌詞が印象的な「都会の空を烏が舞う」で終了。アルバム後半は、彼女のやさしさの部分を強く感じる楽曲が続いていました。

他にもスカのリズムで軽快な「RARA-RO」やAOR風のナンバー「You」など様々なタイプの楽曲が収録されています。前作「グッド・バイ」でもバラエティー豊かな作風の曲が並んでいたものの、結果、統一感を損なう内容になっていました。一方でこのアルバムは、様々な楽曲が並んでいてもなお、アルバム全体に統一感がしっかりと感じられます。それはおそらく楽曲全体を通じてどこか明るさを感じさせる共通点があるからでしょう。

また、どの楽曲もどこか包み込むような優しさを感じさせるのも特徴的。インタビューで前作「グッド・バイ」の前は震災があったり、子供が産まれたり、祖母が亡くなったりと精神的に混沌としていた時期だったそうですが、今回のアルバムでは逆に彼女の心もやすらがにリラックスした雰囲気が漂っていました。それもまた、アルバムに対して大きくプラスに作用していたのは間違いありません。

安藤裕子のシンガーソングライターとしての魅力がしっかりとつまった傑作。聴いていてとても楽しい気分になれる、良質なポップアルバムだと思います。ポップスが好きなら無条件で要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
勘違い
グッド・バイ
Acoustic Tempo Magic


ほかに聴いたアルバム

PARODY/大橋トリオ

途中クリスマスアルバムやベスト盤を挟み、純然たるオリジナルとしては約2年ぶりとなる新作。今回も、ポップやジャズなどを主軸に、スカ、ファンクなどの要素も入れつつ、しっかりと聴かせる楽曲に仕上げています。ある意味「大人のポップ」という表現がピッタリくる良質なポップソングなのは相変わらず。正直目新しさみたいなものはないのですが、「傑作」としか表現できない、とてもいいポップアルバムだと思います。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ

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2015年4月 5日 (日)

阿部真央の新たな一歩

Title:おっぱじめ
Musician:阿部真央

阿部真央のアルバムは、いままでオリジナルを1枚、ベスト盤を1枚聴きました。正直言ってしまえばその中で、決してポジティブな印象を抱いていたシンガーではありません。唯一聴いたオリジナルアルバム「ポっぷ」ではあまりにバラバラな音楽性に違和感を抱き、ベスト盤では無難な内容に悪くはないんだけど・・・程度の感覚しか抱きませんでした。

そのため今回のアルバムも正直最初は聴く予定はありませんでした。が、ちょっとした機会があり、せっかくだからと聴いていたニューアルバム。ベスト盤発売後初、また彼女は1月に結婚したそうで、結婚後初となるアルバム。そういう意味では「おっぱじめ」というタイトルの通り、心機一転の1枚ということなのかもしれません。

で、彼女に対してそんな印象を抱きつつ聴いてみたアルバムなのですが、これがおもったよりもよくてビックリしてしまいました。まずいままでネガティブな印象を抱いていた点から一番解消されたのが、アルバム全体としてちゃんとまとまりを感じれた点。基本的にシンプルなギターロックをメインとした軽快なポップチューン。「這い上がれMY WAY」「優しい言葉」など、シンプルでメロディアスなギターロックナンバーは特に目新しさはなく、ベスト盤で感じた「もうひとひねり欲しい」という部分もあることはあるのですが、それ以上にしっかりとインパクトを持って耳を惹きつけるだけのパワーを感じました。

ただ、そんな曲の中に入ってきているのが、妙にコミカルでメロディーが耳に残る楽曲たち。コミカルなサビが頭からはなれない「麹町」や、女の子の心境をコミカルに歌ったパンクナンバー「メールのお尻にハートマーク」、アコースティックに聴かせつつ、どこかコミカルさを感じさせる「相模ナンバーのグランドキャビンに乗って」など強いインパクトを感じます。

ここらへんの曲、とにかく一度聴いたら忘れられないようなサビのフレーズと歌詞を持っていて、これがアルバムの中で大きなインパクトになっています。また、非常にコミカルな内容ながらも、彼女の本音の部分をそのまま歌ったような歌詞はなにげに共感を呼びそうな内容。コミカルなだけにとどまらず、ポピュラーソングとしての強度を持った作品になっていました。

正直あまり期待しないで聴いたのですが、予想以上に出来が良く、とても楽しめた作品になりました。「おっぱじめ」というタイトル通り、阿部真央というミュージシャンの新たな一歩を感じたアルバム。なにげに次のアルバムも楽しみになってくる傑作でした。

評価:★★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24


ほかに聴いたアルバム

色/FLOWER FLOWER

シンガーソングライターのYUIが結成したバンドの第2弾アルバム。映画「リトル・フォレスト」主題歌のために書き下ろした春夏秋冬の名前を題した曲とそれをつなぐインターリュード的なインスト、さらに「postlude」のから構成されています。「春」「夏」「秋」「冬」の4曲はそれぞれの季節をイメージしたような曲が並んでおり、「postlude」はポストロック風味を感じるインスト曲。それぞれ雰囲気の違うナンバーで、映画のイメージも強いのでしょうが、これからのFLOWER FLOWERの可能性を広げるための実験的な作風にも感じました。ミニアルバムの小品ですが、これからの彼女たちにつながる重要作になるかも?

評価:★★★★

FLOWER FLOWER 過去の作品

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2015年4月 4日 (土)

その実力を再認識

今年でデビュー15周年を迎える2人組ロックデゥオ、LOVE PSYCHEDELICO。今回、2枚組となるベストアルバムを発売しました。

Title:LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
Musician:LOVE PSYCHEDELICO

Title:LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ
Musician:LOVE PSYCHEDELICO

彼女たちのベスト盤はこれで3作目。ただ1枚目「Early Times」は「LOVE&PEACE」をテーマとした選曲となっており、企画盤的な要素も強く、2枚目「This is LOVE PSYCHEDELICO」は全米デビューのための企画盤。そういう意味では純然たるオールタイムベストとしては初のアルバムとなるようです。

今回、2枚同時リリースとなった本作ですが、収録順はバラバラ。アルバム的にも2枚のアルバムで大きな違いはありませんが、あえていえば「I」の方はいかにもLOVE PSYCHEDELICOらしいロッキンな王道ナンバーが収録されている一方、「II」は彼女たちにしてはもうちょっとポップ寄りの作品が収録されていました。

さて、LOVE PSYCHEDELICOといえば、ルーツ志向のロックユニット。個人的にルーツ志向のロックバンドは好み・・・のはずなのですが、個人的に彼女たちについてはあまり好きにはなれませんでした。その大きな理由としては、正直彼女たちの音楽にはどこか「あざとさ」を感じてしまったから。70年代ロックのイメージの部分を強調したサウンドといい、巻き舌を多用したボーカルといい、意図的な洋楽っぽさが「君たち、こういう『洋楽ロック』がお好きでしょ?」と言っているようで、素直に楽しむにはどこかひっかかりを感じてしまっています。

ただこの2枚組のベスト盤であらためて彼女たちの代表曲を聴くと、楽曲自体は間違いなく優れているんだな、ということを再認識せざるを得ませんでした。もちろん、この意図的な洋楽っぽさのあざとさは感じるものの、リスナーの壺をついたようなメロディーラインやサウンド構成はやはり見事。日本語を意図的に英語っぽく感じさせる歌詞の譜割りも、計算高さを感じさせるものの、楽曲にピッタリとはまっています。

なにより今回あらためて素晴らしく感じたのは、ギターサウンドだけでしっかりと楽曲のグルーヴ感を作り出していること。ご存じの通りLOVE PSYCHEDELICOのメンバーはギターとボーカルの2人。もちろんそこにサポートメンバーもつくわけですが、オリジナルメンバーの2人だけでちゃんとロックのグルーヴを作り出しているという点に、あくまでも2人組のユニットなんだぞ、という意気込みを感じました。

楽曲は、基本的にギターリフ主導のシンプルなロックンロールナンバーが多く、少々マンネリテイストも否定できないものの、特に「II」の方には「Beautiful days」のようにポップス色が強い楽曲や、「Dry Town~Theme of Zero~」のようなちょっと歌謡曲テイストすら感じさせる曲まで意外とバラエティーがあり、ミュージシャンとしての幅も感じることが出来ます。

ある意味、その魅力と実力を再認識したベスト盤でした。かなりボリュームのある内容で、比較的彼女たちの作品は「押し」の楽曲が多く、聴いていてちょっと疲れてしまった部分もあるのも事実ですた(^^;;いい意味での聴きごたえのあるアルバムでした。

評価:★★★★★

LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD

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2015年4月 3日 (金)

今、最も売れているバンド

Title:35xxxv
Musician:ONE OK ROCK

前作「人生×僕=」のCD評の時、彼らのことを「最も売れてほしいバンド」と表現しました。でも、この私論に関してははっきりいっておせっかいだったようですね。おそらく、今彼らはもっとも売れているミュージシャンの一組になってきました。最新アルバムでは初動売上16万超えで堂々の1位を獲得。ボーカルTakaがかつて所属していたジャニーズ系アイドルグループNEWSの最新アルバムの初動売上を上回るという好セールスを記録。さらにはなんと今年のフジロックへの出演も決定!名実ともに、日本を代表するロックバンドになりつつあります。

そんな人気上昇中まっただ中の彼らがリリースした最新アルバムは、そんな人気を裏付けるかのような勢いのある作品になっています。まずアルバムのイントロともいえる1曲目「3xxxv5」からグッとリスナーを惹きつけつつ、続く英語詞の「Take me to the top」は今の彼らを象徴するかのような疾走感あるナンバーとなっており、さらに「Cry out」はメロディアスなメロディーを聴かせつつ、途中ハードコアなサウンドでガツンを聴かせるメリハリのある楽曲でリスナーの耳を釘づけにします。

前作ではより洋楽テイストの強い作風を感じましたが、今回の作品も基本的にはその傾向が続いています。全英語詞の曲も何曲か収録されているほか、日本語が入る曲でも、最初は英語ではじまり途中から日本語になる構成など、楽曲全体としては英語が主軸となった曲が多く、そんな歌詞もまた、洋楽テイストを強く感じる大きな要因になっていました。

ただ・・・その反面、残念ながら以前から彼らの曲に強く感じていた課題はあいかわらず。全体的にメロディーのバリエーションが少なく、途中から飽きてしまいます。確かに楽曲的にはそれなりにバリエーションを出そうという姿勢は感じます。ちょっと80年代を感じる打ち込みがインパクトとなっている「Paper Planes」や、同じく打ち込みのリズムが耳に残る「Mighty Long Fall」をはじめ、ミディアムテンポのナンバーなどを合間にはさみつつ、それなりのバリエーションは楽しめる構成にはなっています。

しかしメロディーはマイナーコード主体のちょっと哀愁感も漂うものという点は多くの曲に共通。以前のアルバムに比べてメロディーラインのインパクト度合は増したものの、それでも似たタイプの曲が続くとどうしても飽きがきてしまいます。今回のアルバムも残念ながら最後の方はちょっとダレてしまいました。

もっともじゃあ彼らにメロディーセンスがないかと言われればそうではなく、前作もそうだったのですが、ミディアムテンポのナンバーに特に素晴らしいメロディーラインの曲が収録されていたりします。本作で特にメロディーの良さが際立ったのが「Good Goodbye」。実に美しいメロディーラインが心に染み入りましたし、おなじくミディアムテンポの「Fight the night」もしっかりと心に響く美しいメロディーがインパクトとなっていました。

それだけにこのレベルではない、もっと傑作アルバムが書ける印象も受けるんですけどね・・・残念ながらアップテンポなナンバーに関しては、少々テンポの勢いに頼りすぎな感じはしてしまいます。まだまだ勢いは続きそうなので、次回作も期待できそうなのですが・・・ただ、正直、もう一皮、むけてほしいバンドではあるんですよね。

評価:★★★★

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人生×僕=

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2015年4月 2日 (木)

アニメ系が目立つ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はなぜか妙にアニメ系のアルバムが目立ったチャートになりました。

まず今週1位はEXILEのニューアルバム「19 -Road to AMAZING WORLD-」。約3年3ヶ月ぶりのニューアルバムで、メンバーが19人になってから初のアルバムということで、このようなタイトルになったようです。初動売上は20万4千枚。直近にリリースされたベスト盤「EXILE BEST HITS -LOVE SIDE / SOUL SIDE-」の38万2千枚(1位)より大幅ダウン。また、オリジナルとしての前作「EXILE JAPAN」の35万枚(1位)よりも大幅ダウンという結果になりました。

2位は人気女優大原櫻子のデビューアルバム「HAPPY」がランクイン。大原櫻子名義のシングル曲のほか、MUSH&Co名義でのシングルも収録されているようです。初動売上は3万2千枚。直近のシングル「瞳」の9千枚(5位)よりは大幅にアップした結果となっています。

さて3位ですが、今週目立ったアニメがらみ。「TVアニメーション『艦隊これくしょん -艦これ-』キャラクターソング“艦娘乃歌" Vol.1」がランクイン。タイトル通り、テレビアニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」のキャラクターソングを収録したアルバム。ちなみに、アニメのサントラを収録した「TVアニメーション『艦隊これくしょん -艦これ-』オリジナルサウンドトラック “艦響" Vol.1」も9位にランクインしています。

アニメがらみのキャラソンのランクインがさらに続きます。ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」登場キャラによるキャラソンミルキーウェイ名義「アイドルマスター ミリオンライブ! THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 09」が5位、ARRIVE名義「アイドルマスター ミリオンライブ! THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 10」が6位にそれぞれランクインしています。2月9日付でランクインした同シリーズの「07」「08」に続く2作同時ランクイン。初動売上はいずれも1万1千枚で、「07」「08」の1万枚(9位)、9千枚(10位)より若干アップしています。

アニメ系といえば4位初登場も人気女性声優小倉唯のデビューアルバム「Strawberry JAM」。初動売上は1万4千枚。シングルでの直近作は「Tinking Smile」の9千枚(12位)だったので、こちらよりは大幅にアップしています。

7位にはビジュアル系バンドNIGHTMAREのニューアルバム「CARPE DIEM」が入ってきました。オリジナルアルバムのベスト10入りは前々作「SCUMS」以来。初動売上1万1千枚は前作「TO BE OR NOT TO BE」(11位)から横バイ。

最後8位には、愛知県出身のラッパー、AK-69のニューアルバム「THE THRONE」がランクイン。初動売上は1万枚。直近作はベスト盤の「Road to The Independent King」で、こちらの初動売上2万枚(4位)からはダウン。また、直近のオリジナルアルバム「The Independent King」の1万8千枚(5位)からも大幅ダウンという結果となってしまいました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年4月 1日 (水)

1,2は男性アイドル

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週もまたアイドル組が目立つチャートとなりましたが、そんな中で1位2位は男性アイドル勢。まず1位はKis-My-Ft2「Kiss魂」がランクイン。グリコ「Watering KISSMINT」CMソング。今風のEDMのアレンジに。初動売上35万6千枚は前作「Thank youじゃん!」の43万5千枚(1位)から大幅減。ちなみに今週10位には、Kis-My-Ft2の派生ユニット舞祭組「やっちゃった!!」がランクインしています。

2位は韓国の男性アイドルグループBTOB「未来(あした)」が入ってきました。初動売上7万5千枚で前作「WOW」の2万4千枚(9位)から大幅増。かなり積極的なイベント攻勢で売上増につなげた模様。

3位はハロプロ系の新しいアイドルグループカントリー・ガールズ「愛おしくってごめんね」がランクイン。初動売上4万5千枚。デビューシングルでいきなりのベスト10入り。楽曲や雰囲気はいかにもアイドルアイドルした感じの王道路線といった雰囲気。

今週の女性アイドルグループはあと2組。5位にフェアリーズ「Kiss Me Babe」が、9位には福岡のローカルアイドルグループRev.from DVL「君がいて僕がいた」がそれぞれランクイン。フェアリーズは初動2万8千枚で前作「BLING BLING MY LOVE」の1万5千枚(11位)からアップで2作ぶりのベスト10入り。Rev.from DVLは初動1万6千枚で前作「REAL-リアル-」の1万4千枚(9位)から若干のアップ。

続いて4位以下の初登場曲です。4位にはavexの男女混成ダンスユニットAAA「ぼくの憂鬱と不機嫌な彼女」が入ってきています。彼らにとってはちょっと珍しいタイトル(?)のバラードチューン。初動売上4万3千枚は前作「Lil'Infinity」の4万6千枚(3位)から若干のダウン。

7位にはアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」よりキャラクターソングRosenburg Engel[神崎蘭子] 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 03 -LEGNE- 仇なす剣 光の旋律」がランクイン。タイトルから想像できそうなゴシック調のナンバー。初動売上2万2千枚。このシリーズは先週に引き続きのベスト10入りで、先週のLOVE LAIKA(新田美波×アナスタシア) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 02 Memories」の1万8千枚(4位)からはダウン。

初登場組最後、8位には遊助ことタレント上地雄輔の「Take me out to the ball game ~あの・・一緒に観に行きたいっス。お願いします!~」が入ってきました。プロ野球観戦などでおなじみのスタンダードナンバー「Take me out to the ball game」をサンプリングしたナンバー。初動売上1万6千枚は前作「きみ」の1万8千枚(6位)からダウン。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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