いきなりベスト盤でのメジャーデビュー
Title:marry
Musician:MONSTER大陸
前にも書いたような記憶があるのですが・・・昨今の新人バンド、いかにも「今風」ないろいろなジャンルの音を自由に取り込んだルーツレスなバンドも多い反面、君たち本当はいくつ??と聞きたくなってしまうような(笑)ルーツ志向のバンドも少なくありません。
その典型例の一組が彼ら、MONSTER大陸。一度聴いたら忘れられなくなるようなバンド名ですが、2013年にインディーズデビュー後、フジロックやサマソニにも出演した4人組のブルースロックバンド。わずか2年の間に4枚ものオリジナルアルバムをリリースし、今回、このベスト盤で見事メジャーデビューを飾りました。
ブルースロックバンド、ということで言うまでもなくブルースやルーツロックから強い影響を受けている彼ら。それでどうしても思い出してしまうのは、同じくブルースやルーツロックから強い影響を受けた曲を奏でるTHE BAWDIESでしょう。おなじルーツ志向のバンドとして、ファンとなりそうなリスナー層は重なる部分もあるかもしれません。
ただ、同じブラックミュージック志向が強いバンドながらも両者結構な違いがあって、THE BAWDIESはソウルやよりディープなブラックミュージックなどの影響が強いバンド。その一方、MONSTER大陸は、ブラックミュージックでも、ブルースやファンクなど、比較的ロックと相性のよい分野からの影響を強く、ブラックミュージック全般からの影響というのは薄いように思います。
とはいえ、ブルースからの影響という観点ではむしろTHE BAWDIES以上にストレートなものを感じます。例えば今回のベスト盤、1曲目「The Grip」はいきなりインストのナンバー。鳴り響く千賀太郎かなでるブルースハープの音色はかなりアグレッシブでカッコよく、ブルースが好きならいきなりテンションがあがりそうな曲になっています。
その後の「lover,baby」も好きな人へのラブコールをストレートに繰り返し歌い上げる歌詞は、まさにブルースらしさを感じますし、続く、若い世代にありがちな、ちょっと気持ち悪さも感じる(笑)妄想をそのまま歌にした「ランドリー」も、ある意味、ブルースフィーリングを感じさせる内容と言えるでしょう。
そんな感じでブルースからの影響を強く感じる楽曲に関しては文句なしにカッコよさを感じさせてくれる反面、後半に並ぶファンクの影響を強く感じる曲に関しては、正直言ってもう一歩な部分を感じました。
一言でいうと、ストレートなブルースフィーリングを感じさせる前半に比べて、ファンキーな楽曲についてはいまひとつパンチがぬるめで薄味かなぁ、といった感じ。ボーカルがちょっとファンクのリズムにのるにはリズム感も迫力も弱いかな、と感じてしまう点が強く、楽曲についても比較的シンプルなギターロックで、ちょっとあっさりとしすぎているように感じます。これらの曲についてもそれなりのカッコよさを感じるのですが、それでもいまひとつ物足りなさを感じてしまいました。前半に並んだブルースロックの良さが光っただけに、気になってしまったのかもしれませんが。
ルーツ志向のカッコよさを存分に感じることが出来る反面、惜しさも感じてしまったベスト盤。もっとも、インディーズデビューからもまだ2年という若手のバンドですし、これからライブなどを通じてまだまだ伸びしろはありそう。ロック好き、ブラックミュージック好きには要チェックのバンドなのは間違いなさそうです。
評価:★★★★
MONSTER大陸 過去の作品
上陸
ほかに聴いたアルバム
TIME/KANA-BOON
これがメジャー2作目となる4人組ギターロックバンド。アップテンポでにぎやかな作風の曲が多く、非常に若さとそれゆえの勢いを感じさせる作品。ただ、アレンジがちょっと押し一辺倒の過剰気味だったのと、楽曲のパターンが少なめで似たタイプの曲が多かったのが残念。それもある意味「若さ」ゆえといった感じもするのですが。個人的に20代前半か10代だったらはまれたかもしれませんが、今となっては聴いていてちょっと疲れる部分も。
評価:★★★★
KANA-BOON 過去の作品
DOPPEL
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