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2015年3月 1日 (日)

伝説の女性シンガーをゲストに迎え

Title:ROLLER COASTER BOOGIE
Musician:Bloodest Saxophone Feat.Jewel Brown

まだまだ続いています(笑)、2014年話題になったアルバムの後追い企画。今回は日本のジャズ&ジャンブバンド、Bloodest Saxophoneが、アメリカのシンガー、Jewel Brownをボーカルに迎えて作成したアルバム。Blues&Soul Records誌の年間ベストアルバムの1枚として選ばれたほか、Music Magazine誌でも「R&B/ソウル/ブルース」部門で年間8位に選出されています。

Bloodest Saxophoneは今回はじめてアルバムを聴いてみたのですが、1998年に結成された5人組ジャズ&ジャンプ・ブルースバンド。自分はすっかり忘れていたのですが(^^;;2004年にリリースされたm-floのアルバム「ASTROMANTIC」の「VANESSA」でもゲストに参加。この曲は資生堂のCMソングとして流れていたので、その演奏だけは聴いたことある、という方も多いかもしれません。

一方、今回ゲストとして参加したJewel Brownは御年77歳となるアメリカのジャズ、ブルースシンガー。ルイ・アームストロング楽団でのボーカリストとして活躍していたことでも知られ、1958年にはその一員として来日した経験もあるとか。1971年には家族の都合で一度は引退したそうですが、その後復帰。2013年にはブルース界のグラミー賞とも言われるBlues Music Awardにノミネートもされています。ただ残念ながら日本では知る人ぞ知る的な存在。かく言う私も今回のアルバムではじめて彼女の名前を知りました。

そんな彼女ですが、日本での知名度が低いとはいえ、その実力は折り紙付き。特に冒頭を飾る「LOVE ROLLER COASTER」はそのボーカルに圧倒されます。軽快なジャンプブルースのこの曲では、曲の中でパワフルなボーカルを聴かせてくれるのですが、ただパワー一辺倒に押すだけではなく、強弱つけた表現力あるボーカルが実に魅力的なナンバーになっています。

これで彼女の歌唱力をみせつけたかと思えば、続くナンバーがユニーク。笠木しず子の「買い物ブギ」のカバー。それも日本語詞そのままのカバーで、片言の日本語がユニーク。でもきちんとリズムに載せて歌い上げているあたり、こちらもJewel Brownの実力がしっかりと発揮しています。

その後も「DON'T GO TO STRANGERS」ではジャズバラードを情感たっぷりに歌い上げたり、「THAT'S A PRETTY GOOD LOVE」ではパワフルでソウルフルなボーカルを聴かせてくれたりと、終始、そのボーカルに聴きほれるアルバムに。アルバムとしてはBloodest Saxophoneのアルバムなのですが、正直主役は完全にJewel Brownのものとなっていました。

本来の主人公、Bloodest Saxophoneに関しても、もちろんカッコいい演奏を聴かせてくれます。「FLYING HOME」のようなインスト曲も収録されており、アルバムの中でもちゃんとその存在感を発揮しています。が、やはりJewel Brownに勝るとも劣らないグルーヴをつくりあげている、というよりは彼女のボーカルに十分ついていけるだけの実力がある、といった印象。そういう意味でもこのアルバム、どうしてもJewe Brownのボーカルの印象が強く残るアルバムになっています。

とはいっても、そんな側面も含めてこのアルバムが傑作アルバムなのは間違いありません。50年代あたりそのままなビックバンドジャズやジャンプブルースなどが展開される本作は、いつの時代のアルバム?という感覚すら覚えますが、ただだからといって今聴いても古びた感じがしないのは、時代を超えた良質なメロディーと、そして歌があるから。高評価も納得の傑作でした。

評価:★★★★★

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