まさか(?)のグラミー賞ノミネート
Title:THE REGGAE POWER
Musician:SPICY CHOCOLATE and SLY & ROBBIE
なぜか日本のメディアでは音楽系を含めてほとんど取り上げられなかったのでご存じない方も多いと思いますが、ジャパレゲのサウンド・クルー、SPICY CHOCOLATEのこのアルバムがグラミー賞にノミネートされていたこと・・・知っていました?残念ながら受賞は逃してしまったみたいなのですが、その直後、ネット系のニュースサイトでチラッと取り上げられているところを読んで、正直、ビックリしてしまいました。
SPICY CHOCOLATEといえば一番最初に思い浮かぶのが、NTT docomoのCMソングとしてスマッシュヒットした「ずっと」。サビの部分がオリジナルラヴの「接吻」にそっくりという、悪い意味でも話題になってしまった曲ですが、それを差し引いても、いかにも売れ筋を狙いました的な、浅く軽いレゲエ風のポップ。はっきりいって面白味もなにも感じませんでした。
私の中で、SPICY CHOCOLATEというミュージシャンはそういうイメージだっただけに、グラミー賞ノミネートというニュースは、「え?何かの間違いでは??」と思ってしまいました。それだけに、このアルバムも興味半分不安半分で聴いてみたわけですが・・・これがビックリするくらいカッコいいアルバムに仕上がっていました。
まずはなんといってもサウンドの作り込みがとにかくカッコいい!リズムトラックを前面に押し出しつつ、ギターやらピアノやら様々な音と重ねるスタイル。打ち込みのリズムは軽快で爽やかさを感じる反面、ちょっとチープさも感じてしまった部分もあるのですが、ただ楽曲ごとにリズムパターンが異なりバリエーション豊富。このアイディアを詰め込んだリズムが軸となりつつ、様々なパターンの曲が展開していきます。
ブルージーなギターが哀愁を感じさせる「Let Me Love You」、とにかく盛り上がりそうなパーティーチューン「Dancing Time Again」、ボーカル含め、ある意味いかにもな「レゲエ」らしさを感じる「I Will Be There For You」など、楽曲はバラエティー豊か。基本的にはポップなメロディーラインが流れている曲が多いのは、SPICY CHOCOLATEの嗜好性でしょうか?「SHIBUYA DREAM」なんていうラップにメロウな女性ボーカルの組み合わせという、ちょっと前の着うた系ヒットの王道路線な曲もあったりしますが、強度のあるリズムが載っているだけに、ベタな売れ線という印象は受けません。
今回のアルバム、ジャマイカを代表するプロデューサーコンビ、スライ&ロビーとの共同制作。ここらへんのリズムトラックのカッコよさはやはり彼らの力量による部分も大きいのでしょう。悪名高き(?)「ずっと」も「ZUTTO」とタイトルを変え、英語詞によるバージョンで収録されています。このアルバムの中ではちょっと浮いちゃっているかな?と感じる部分もあるのですが、日本語詞の原曲とはちょっと雰囲気が異なり、ちゃんとカッコよくまとめあげています。
ジャパレゲでありがちな田舎のヤンキー的なノリは皆無。純粋にレゲエという音楽のカッコよさをちゃんと表現しているアルバムで、ジャパレゲはちょっと・・・という方にも文句なしにお勧めできそうなアルバムになっています。あの「ずっと」のSPICY CHOCOLATEの・・・というイメージで忌避するにはあまりにももったいないアルバム。グラミーノミネートの実績は伊達ではありません。レゲエを普段聴かない方にもお勧めできる1枚です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
i AGAINST i/SiM
へヴィーロックバンドSiMのミニアルバム。なにげに結成から10周年だそうで、最近、急激に人気が伸びてきましたが、そこそこのキャリアのあるバンドなんですね。基本的にハードコアな楽曲がメインで、その中にちょっとだけレゲエの要素が入っています。へヴィーなサウンドは心地よいですが、後に残るようなインパクトがちょっと薄かったような。
評価:★★★★
SiM 過去の作品
PANDORA
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