ロックな部分がより前に
Title:CHASING YESTERDAY
Musician:NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
ソロ活動としてのデビュー作だった前作「Noel Gallagher's High Flying Birds」が大ヒットを記録。幸先よくソロスタートを開始した元oasisのお兄ちゃんことノエル・ギャラガーのソロプロジェクト2作目がリリースされました。
今回の作品は、ソロ第1弾に比べるとoasis時代を彷彿とさせるようなギターサウンドが前面的に展開されるロック色の強い作風になっていました。特に「LOCK ALL THE DOORS」は昔のoasisが歌っていてもおかしくないような勢いあるロッキンなナンバー。インタビューによると、oasisとしてデビューする前から原型があった曲だそうで、初期oasisすら思い起こさせる楽曲になっているのは納得。他にもギターリフ主導で展開される「THE MEXICAN」みたいな曲もあったり、そんないかにもなロッキンなナンバーが目立つ構成には、素直にロック好きとしての心地よさを感じます。
ただアルバム全体としてはロック色は強いものの、主軸となるのはノエルの書くメロディーライン。基本的にマイナーコード主体の聴かせる楽曲がメインとなっており、あくまでも主役はバンドサウンドではなくメロディーラインなんだ、という主張を感じます。そういう意味では、間違いなくoasisのアルバムではなく、ノエル・ギャラガーのソロとしてのアルバムなのでしょう。
今回もそんなノエルのメロディーメイカーとしての才を存分に発揮した楽曲が並んでおり、アルバムの1曲目を飾る「RIVERMAN」の、胸を締め付けられるような切ないメロディーにまず聴きほれてしまいます。その後も美メロの作品が続いていくのですが、「YOU KNOW WE CAN'T GO BACK」のようなちょっと切なくも聴いていて心地よさを感じるメロディーなど、ノエル・ギャラガーの良さを存分に感じることが出来ます。
ちなみに初回限定盤にはボーナスディスクが加わり2枚組になっているのですが、なにげにこちらのボーナスディスクの方が出来が良いのでは?と思うほどの充実の内容(笑)。グルーヴィーなバンドサウンドがカッコいい「DO THE DAMAGE」に、「REVOLUTION SONG」もメロの良さが際立っています。そして日本盤オンリーのボーナストラック「LEAVE MY GUITAR ALONE」がこのアルバムの中で一番の出来だから始末が悪い(^^;;ピアノの音色にちょっとビートルズの「Hey Jude」を彷彿とさせるようなシンプルなポップチューンなのですが、美しいメロディーラインはこのアルバムの中どころかoasis時代の作品を含めても屈指の出来の名曲です。
そんな訳で、ロックな部分をより前面に押し出しつつも、基本的には「ソロアルバム」らしい作品に仕上がっていました。前作はoasis解散後はじめての作品ということで、ボーカルがリアムではない点に寂しさも感じたのですが、今回はノエルのボーカルでしっくりとまとまっているようにも感じました。そこはoasisのファンとしては別の寂しさも感じてしまったりするのですが・・・ただ、ノエル・ギャラガーのメロディーメイカーとしての才能をあらためて強く実感できた傑作。やはりお兄ちゃんはすごいや。
評価:★★★★★
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
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