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2015年3月 6日 (金)

安定感の中、少しずつ変化

Title:Burning Tree
Musician:GRAPEVINE

SPEEDSTAR移籍後、初となるGRAPEVINE2年ぶりの新作。毎回、いい意味での安定感を覚える傑作をリリースし続ける彼らですが、久々のニューアルバムもまた、間違いなく傑作に仕上がっていました。

その「安定感」という意味では確かに「マンネリ」という部分もあるのは否めません。ただ彼らの曲が素晴らしいのは、楽曲の根底に感じるR&Bのグルーヴ、メランコリックなメロディーライン、そして「難解」とも評される田中和将の書く歌詞というGRAPEVINEらしさを保ちつつも、アルバム毎にその姿を少しずつ変えているという点。そのため、デビューから18年がたった今でも、彼らのアルバムを聴いて「飽きる」という感触を抱くことがありません。

そして今回のアルバムの特徴に感じたのは、全体として爽やかで優しい雰囲気のサウンドになっている点でした。例えば今回のアルバム、最初はウォーター・ドラムの爽やかな音からスタート。人生をカーニバルに例えた歌詞が印象的な「Big tree song」は祝祭色の強い明るいサウンドが心に残ります。

その後もバンドのグルーヴを生かした、というよりもシンセの音などを多用しつつ、爽やかさを感じられるサウンドが目立ったように思います。ストリングスとピアノを入れつつ、非常に切なさを感じられるメロディーと歌詞が印象的な「Weight」もどこか爽やかさを感じられますし、打ち込みを入れつつ、メロウなAOR風にまとめた「MAWATA」もまた、シンセのサウンドが爽やかに聴こえます。

一方で先行シングルである「Empty song」はバンド色の強いナンバーになっていましたし、「Esq.」などもバンドサウンドを聴かせる楽曲に。ただ、ここらへんのナンバーも、思いっきり黒いグルーヴを聴かせる、というよりも比較的シンプルでストレートなギターロック。爽やかな雰囲気の楽曲の中にすんなりと溶け込んでいます。

また、歌詞の世界は、あいかわらず深読みは出来るものの、ここ最近の傾向として比較的わかりやすさを残しているのが特徴的となっています。ある意味、ミュージシャンとしての決意を感じられる「Empty song」や、

「このまま目を塞いでいれば怖くはない
禍々しい世界を見ないでいいのに

このまま手を繋いでいれば怖くはない
その目を開けたら朝が来るように」

(「アルファビル」より 作詞 田中和将)

なんていう、この厳しい現実の中での希望を歌った「アルファビル」あたりも、あくまでも彼らにしてはですが、歌詞にわかりやすさを感じます。もっともそれでもいくらでも深読みできるような歌詞はちゃんと健在で、そういう意味ではわかりやすさと奥深さの間でほどよいバランス感覚を覚えました。

そんな訳で、あいかわらずのいい意味での安定感を覚えたGRAPEVINEの、今回のアルバムも傑作アルバム。しかし本当に、長く聴き続ければ聴きつづけるほどいいバンドだよなぁ、彼らは。まだまだこれからもその活躍が非常に楽しみです。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE
愚かな者の語ること


ほかに聴いたアルバム

5 Years 5 Wolves 5 Souls/MAN WITH A MISSION

頭は狼、身体は人間という奇抜な設定でシンセを多用したメロディアスなミクスチャーロックを奏でるロックバンドの初のベスト盤。今、もっとも勢いと 人気のある若手バンド。ただ、個人的には以前からいまひとつピンと来ない部分があり、今回のベスト盤を聴いても、残念ながらその印象は大きく変わらず。お そらく最大の理由は、洋楽テイストが強くハードなバンドサウンドと裏腹に、メロディーは意外とベタなJ-POPで、どこかあか抜けなさがあるから。レッチ リを彷彿とさせる「Get Off of My Way」みたいな一部、心惹かれる曲も少なくはないのですが・・・。

評価:★★★★

MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly

Loftinaction/BACK DROP BOMB

フルアルバムとしては約2年10ヶ月ぶりとなるニューアルバム。BACK DROP BOMBといえば「ミクスチャーロックバンド」という枠組みで語られることが多いバンドですが、今回のアルバムはシンプルなギターロック。ただ、シンプルがゆえにロックバンドとしての足腰の強さや、メロディーラインの良さがしっかり前面にあらわれて、BACK DROP BOMBとしての魅力がより明確になったように感じます。王道のギターロックだからこそ、ふとした部分で「おや?」と思うようなおもしろい構成やサウンドが顔をのぞかせるのもおもしろいところ。彼らの実力を再認識できた新作でした。

評価:★★★★★

BACK DROP BOMB 過去の作品
VENOMETEORIC
THE BDBEST
THE OCRACY
59days preface

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