新曲は2曲だけだが
Title:肉と肉と路線バス
Musician:大西ユカリ
大西ユカリ生誕50周年を記念してリリースされたニューアルバム。とはいえ、純然たる新曲はタイトル曲の「肉と肉」と「路線バス」の2曲のみ。あとは「過剰なボーナストラック」と題され、過去のアルバムに収録済の曲やライブ音源、さらにはソウルバンド、ズクナシとのライブ音源が収録されています。
しかしまず、この2曲のタイトルトラックナンバー「肉と肉」と「路線バス」が素晴らしい!この2曲、作詞作曲はあのクレージーケンバンド横山剣による作品。「肉と肉」はタイトルから想像できる通りのエロナンバー。エロい歌詞にピッタリのドロッとした雰囲気が感じられる歌謡ソウルナンバー。ただ、大西ユカリの曲は必要以上に「エロチック」を強調することなくサラッと歌い上げています。そんなボーカルなだけに、逆に歌詞のエロさが目立ったように感じました。
一方「路線バス」は一転、ムーディーで哀愁たっぷりの歌謡バラード。こちらでは情感たっぷりに歌い上げる大西ユカリのボーカルが印象的に響きます。そしてどちらのナンバーも、歌詞、メロディーともに強く印象に残るナンバー。大西ユカリのボーカルももちろんですが、横山剣のセンスもキラリと光る作品になっています。
それだけの名曲なだけにこのアルバムではライブバージョンを含め3回も繰り返し収録されているのですが、さほど飽き飽きするような印象は受けません。「肉と肉」で言えば、9曲目の松坂MAXAでのライブバージョンは原曲よりも軽快な仕上がりになっていますし、13曲目のズクナシとのコラボバージョンでは、ズクナシのコーラスラインが印象に残るアレンジとなっています。
その後のボーナストラックはMCもそのまま収録してライブの雰囲気が伝わってくるような音源や、ズクナシの「左折右折」を一緒に歌う「ユカリとズクナシの左折右折」も収録。とくにズクナシとのコラボはお互いの相性もピッタリ(ボーカルの雰囲気も似ているし・・・)。絶好のコラボ作となっています。
そんな中、特に素晴らしかったのが「喝采」のカバー。個人的にもともと好きな曲なのですが、緩急つけたボーカルで情感たっぷりに歌い上げており、強く心に残ります。この曲は典型なのですが、彼女のボーカル、決してソウルフルに張り上げるだけではなく、抑える部分ではきちんと抑えて、とても表現力豊かなボーカルを聴かせてくれます。「肉と肉」といい、このカバーといい、今回のアルバムでは特に彼女のボーカリストとしての表現力が光ったように思います。
全体的には歌謡ソウルの「ソウル」の部分も目立ったアルバム。なによりボーカリスト大西ユカリの実力が存分に発揮されたアルバムのようにも感じました。生誕50周年を迎えてまだまだ脂がのりまくっている彼女。まだまだそのパワフルなボーカルは衰えを知らなさそうです。
評価:★★★★★
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