« 生きる喜び | トップページ | 2大巨頭(?)揃い踏み »

2015年3月10日 (火)

サーカスの楽しさ

Title:テアトル・テアトル
Musician:チャラン・ポ・ランタン

今、一部で大きな評判となっている女性2人組グループ。ももと小春の2人姉妹からなるユニットで、twitterの創業者として知られるJack Dorseyが、そのフォローリストに入れているということでも話題となりました。本作は、そんな彼女たちのメジャーデビュー作となります。

ボーカルとアコーディオンという2人組編成の彼女たちが奏でるのは、アコーディオンを主体とした、軽快でチャイルディッシュな雰囲気のアコースティックなポップ。ジャンル的にはバルカン音楽というそうですが、おそらく一般的なイメージとしてはサーカスで演奏されてそうな音楽、という雰囲気がピッタリ来るかもしれません。

ユニークなのは、このバルカン音楽を主体をしつつも、ここにシャンソンの要素を強く加えている点。そのため、単純に明るいだけのポップスにとどまらず、哀愁を感じさせるメロディーが心に響きます。「蕾」「美しさと若さ」あたりがそんなシャンソン的な要素が強い曲でしょうか。さらにシャンソンのスタンダードナンバー「愛の讃歌」のカバーなども収録されています。

かと思えば「ワーカホリック」みたいなファンクに挑戦している曲があったり、「季節は廻る」みたいなフォーキーな曲もあったり、基本、アコーディオンが似合う音楽をベースとしながらもジャンルにとらわれない音楽性が大きな魅力となっています。

またそんな楽曲にピッタリくるような寓話的な歌詞も特徴的。ある男性を描いたユーモラスな「ムスタファ」などはまさに音楽の雰囲気にもピッタリマッチしますし、閉鎖される遊園地を描いた「さよなら遊園地」もしんみり心に響いてきます。

そんな彼女たちが奏でる音楽の世界は、まさに無条件でワクワクするような楽しさに満ち溢れています。ただその一方、どこか彼女たちの音楽にはどこか物悲しさも感じられます。彼女たちの音楽は、サーカスで流れていそうな音楽、と書いたのですが、楽曲の雰囲気自体、無条件で楽しいけど、どこか物悲しさも感じてしまう、サーカスと同じような空気を感じます。

しかし彼女たちの曲、なんといってもライブで聴くと楽しそうだなぁ~と感じるような楽曲の数々。これは一度ライブを見てみたいですね!

とまあ、無条件で楽しいアルバムだった一方、いくつか気になった点もありました。まず1点目はボーカル。ボーカルのももは、声量もあるし音程も安定しているし間違いなく「うまい」ボーカルだと思います。ただ、表現力が教科書的というか、平坦でいまひとつ味がありません。一番顕著に感じたのが「愛の讃歌」のカバー。うーん、この曲に関しては表現力の薄さがちょっと厳しいものも感じました。彼女のボーカルは「上手い」ではなく「巧い」んですよね。ただ、まだ22歳という若い彼女。これから経験を踏めば、味のある「上手い」ボーカリストになりそうな予感はします。

もうひとつは、歌詞にもうひとひねりが欲しかったかも、という点。彼女たちの歌詞は寓話的な歌詞が目立つ反面、「ムスタファ」などのようにオチがいまひとつという点を感じてしまいました。歌詞も曲にピッタリあっているその方向性自体はいいと思うのですが・・・個人的にはもうひとひねりしてほしいなぁ。

そんなマイナス点をいろいろと感じるのですが、逆にこれからまだまだ伸びしろのあるミュージシャンにも感じました。評価は今後の期待も含めて。ただ、無条件でワクワク楽しめた1枚なのは間違いありません。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ハッピーポンコツランド/キュウソネコカミ

関西を中心に活動を続ける5人組パンクロックバンドの、メジャーから2枚目となるミニアルバム。独特の視点からユーモラスに世間を描いた歌詞に、とにかく勢いのあるパンクロックが特徴的。全8曲32分、聴いていてあっという間に過ぎ去ってしまうような内容でインパクトも十分。ただ、前作「チェンジ ザ ワールド」と比べてしまうと、いまひとつ楽曲の雰囲気も聴かせ方もパターンが似通ってしまっている感じが。パンクロックというジャンル的に勢い重視な部分もあるので仕方ないのかなぁ、とも思うのですが・・・。ただ、このアルバムもアルバムで間違いなく彼らの魅力の詰まった、なによりも聴いていてとても楽しいアルバムなので、最初の1枚としてはお勧めだとは思います。

評価:★★★★

キュウソネコカミ 過去の作品
チェンジ ザ ワールド

colorful/辛島美登里

オリジナルアルバムとしてはなんと7年ぶりとなる辛島先生の新作。正直なところ、人気の面ではいままでのような勢いはなく、こういうタイプのベテランシンガーの新作って、とりあえず新作を出して活動してます的な体を整える程度のやっつけ感のある作品になるケースが多いのですが・・・これが今回のアルバム、シンセやストリングスを効果的に用いたアレンジがかなり凝っていて、ビックリしました。で、調べると今回、プロデューサーに冨田恵一を起用しているんですね。いい意味でベテランらしからぬ攻めの姿勢を感じます。

ただ一方で、メロディーと歌詞については良くも悪くもベテランらしい安定感が出てしまっています。ヒット曲の「サイレント・イヴ」「あなたは知らない」も再録されていますし(ただ「サイレント・イヴ」のリアレンジはなかなかおもしろかったのですが)。アレンジの攻めの姿勢に比べると、こちらはかなり保守的な感じ。どこか物足りなさは否めませんでした。

評価:★★★★

辛島美登里 過去の作品
オールタイムベスト
辛島美登里 パーフェクトベスト

|

« 生きる喜び | トップページ | 2大巨頭(?)揃い踏み »

アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505136/59121729

この記事へのトラックバック一覧です: サーカスの楽しさ:

« 生きる喜び | トップページ | 2大巨頭(?)揃い踏み »