結成30年の企画盤だが
Title:THE BLUE HEARTS 30th ANNIVERSARY ALL TIME MEMORIALS ~SUPER SELECTED SONGS~
Musician:THE BLUE HEARTS
1985年の結成以来、今年で30周年を迎えるTHE BLUE HEARTS。いまなお数多くのファンを抱え、多くのミュージシャンに影響を与え続ける彼。今回、結成30年を記念してベストアルバムがリリースされました。彼らの代表曲を収めた2枚組のベスト盤を軸に、3枚組ではさらにトリビュートアルバムも同時に収録。初回限定盤ではさらにシングルのPVも収録したDVDもついてくる豪華4枚組となっています。
THE BLUE HEARTSの曲の素晴らしさはいまさら言うまでもないでしょう。ただ、今回のベスト盤に関しては個人的に大きな違和感がぬぐえませんでした。THE BLUE HEARTSとしてはたった5年前、結成25周年ということでシングルベストをリリースしたばかり。そこからわずか5年でのベスト盤リリースは正直なところ「ちょっと多すぎだろう」と思わざるをえません。
確かにここ最近、80年代から90年代のバンドブーム近辺で活躍したバンドのベスト盤がリリースされることは少なくありません。もはや「何枚目のベストだ?」的状況のTM NETWORKやX JAPANも昨年、ベスト盤をリリースしています。今回、トリビュートアルバムを監修した寺岡呼人が所属しているJUN SKY WALKER(S)も2012年にベスト盤をリリースしています。
ただ、これらのバンドとTHE BLUE HEARTSとでは大きな違いがあります。それはブルハのヒロトとマーシーはいまなおクロマニヨンズというバンドで、最前線で活動を続けている点。今回の30周年記念企画に彼らが参加している形跡はありませんし、彼らにとっては既にブルハは過去のバンドなのでしょう。THE BLUE HEARTSが解散した理由として、宗教上の問題であることは有名な話ですが、もしその問題がなければTHE BLUE HEARTSは再結成していたかと言われると、おそらく「否」ではなかったでしょうか。
今回のベスト盤ではラストに「もどっておくれよ」が収録されるなど、ノスタルジー志向の構成になっていますが、ヒロトとマーシーが今なおロックミュージシャンとして最前線で活動を続ける事実から考えると、あまりに後ろ向きな企画に感じます。もちろん、ブルハの曲は今聴いても名曲揃いなのは間違いないですし、これをきっかけに、という意味では悪くはない企画だとは思うのですが・・・でも、それよりもクロマニヨンズの最新アルバムを聴いた方がいいんじゃないかなぁ・・・?
トリビュートアルバムの方も、5年前にもリリースされているんですよね。それだけ多くのミュージシャンに愛されているということなのかもしれませんが。八代亜紀が昭和歌謡曲風にカバーした「悲しいうさわ」や(なにげに歌詞も歌謡曲風なのがユニーク)、奥田民生がルーツロック風にカバーした「終わらない歌」など個性的なカバーも多く、5年前のトリビュートよりは出来がよかったと思うのですが、ブルハの原曲を2枚のアルバムでじっくり聴いた後だとちょっと印象が薄い感じがしました。
ベスト盤の収録内容としては純粋に★5つ。ただ企画の疑問点より★1つマイナス。トリビュート盤は★4つといった感じでしょうか。もちろん、純粋に十分楽しむことが出来たアルバムでしたが。
評価:★★★★
THE BLUE HEARTS 過去の作品
ALL TIME SINGLES~SUPER PREMIUM BEST
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