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2015年3月 9日 (月)

生きる喜び

Title:SHINE LIKE A BILLION SUNS
Musician:BOOM BOOM SATELLITES

昨年の12月31日、このニューアルバムのリリースに先立ち、ベースの中野雅之からショッキングな報告がありました。それは、ギターボーカルの川島道行が昨年3月のツアーの直後に3度目の脳腫瘍が再発し、余命2年という報告を受けたこと。ただ、その後、特殊な放射線治療を見つけ出し、現在は腫瘍拡大を食い止めている状況という報告でした。

以前にも脳腫瘍でツアーが中止という出来事があったのですが、それが再発、さらにはかなり命に関わるレベルまで進展していたというニュースに驚くと同時に、ひとまずの小康状態というニュースに安心しました。

その後にリリースされたニューアルバムということでどうしても川島道行の件が頭をよぎりながらアルバムを聴きはじめました。そうすると印象的だったのがこのアルバム、その川島道行の透き通った歌声からはじまるという構成。「SHINE」はタイトル通り、非常に爽やかな雰囲気のナンバーになっていて、まるで彼の生きている喜びを歌っているようにすら感じました。

今回のアルバムでは続く「ONLY BLOOD」も爽やかな雰囲気の楽曲が続いており、前半はアルバム全体に明るい雰囲気を感じました。そうするとどうしても、川島道行の現状から考えると、脳腫瘍を乗り越えた明るさを歌っているのではないかなぁ、ということを感じました。

ただ一方、アルバム全体の出来としては、今回のエレクトロサウンドやダイナミックなバンドサウンドを取り入れた迫力ある独特のロックを奏でていながらも、全体的には、彼らにしてはもう一歩だったかな、という感想を持ちました。

本作では中盤は「VANISHING」「BACK IN BLACK」など、へヴィーなギターサウンドや力強いドラムスを前に押し出した、バンドサウンドを全面的に取り入れたような曲が並んでいます。一方インターリュードを挟んだ後半では一転エレクトロサウンドが主軸になったような曲が並びます。「BLIND BIRD」「OVERCOME」あたりがその路線。ただし、今風のEDMといった流行に走ることなく、デビュー以来の彼らが培ってきた、エレクトロとロックの融合という路線は今回でも一貫しています。

1曲1曲に関していえば今回もクオリティーは間違いなく高いですし、彼ららしい独特のサウンドを作り上げています。ただ、基本的にいままでと比べて特別、斬新と感じるようなことをやっているわけではありませんし、また、以前の彼らの曲にあったような、聴いているだけでテンションがあがるような高揚感ある曲も残念ながらありませんでした。

そういう意味ではアルバムの出来は決して悪くはありません。序盤、中盤、後半とタイプの違う曲が並ぶ構成で最後まで飽きさせません。ただ、BOOM BOOM SATELLITESというバンドとしてはあと一歩だったように思います。

とはいえ、川島、中野の2人なら、まだまだこれからも傑作アルバムをリリースしてくれるはず。これからのBOOM BOOM SATELLITESにも期待です。

評価:★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED
EMBRACE
EXPERIENCEDII


ほかに聴いたアルバム

Dream Catcher/浜田省吾

浜省10年ぶりの新譜。映画「アゲイン 28年目の甲子園」の主題歌「夢のつづき」に、映画の題材となっている「マスターズ甲子園」で使用されている曲や野球をテーマとした曲の再録音版、また、映画のテーマに沿って彼が選曲した曲などが収録されている企画盤的なミニアルバム。その新曲「夢のつづき」はちょっとフォーキーな雰囲気でしんみり聴かせるナンバーですが、大人になっていく子供を見つめる親の視点を描いた歌詞がなかなか泣かせます。基本的に他の曲に関しては浜省らしいナンバーが並んでいるのですが、歌詞で聴かせるナンバーも多く、特にファンでもない私は再録モノもはじめて聴いた曲がほとんどなのですが、浜省の魅力をきちんと感じられるようなミニアルバムになっていました。

評価:★★★★

浜田省吾 過去の作品
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend

Best of Tornado/凛として時雨

3ピースバンド凛として時雨、初のベスト盤。ハイトーンのツインボーカルにハイテンションでエキセントリックなサウンドが特徴的。序盤は似たような雰囲気の曲が並んでいるのですが、後半以降、ハイトーンボーカル+エキセントリックなサウンドに軸足を置きながらもサイケだったりハードコア風だったファンキーだったりとバリエーションに富んでくるのがおもしろいところ。ここ最近、ソロでの活動が目立っている彼らですが、そろそろ「凛として時雨」としてのニューアルバムも期待したいところですが・・・。

評価:★★★★★

凛として時雨 過去の作品
just A moment
still a Sigure virgin?
i'mperfect

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