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2015年3月

2015年3月31日 (火)

エロ・グロ・ナンセンスの時代

Title:ねえ興奮しちゃいやよ 昭和エロ歌謡全集 1928~32

先日、スパイ歌謡のコンピ盤を紹介したばかりの、戦前のSP盤をCDで紹介するレーベル、ぐらもくらぶからリリースされた興味深いコンピ盤。昭和初期の一時期に流行した「エロ・グロ・ナンセンス」の流れの中でリリースされた「エロ歌謡」を収録したコンピレーションアルバムです。

「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉は聴いたことありますが、それでも戦前の昭和初期という時代に、「エロ」をテーマとした歌謡曲がリリースされていたという事実、ちょっと意外にも感じてしまいます。ただ、聴いてみると確かに今聴いても「こんな歌詞、歌っちゃうの?」的なエロい歌詞もチラホラ。例えば・・・

「あれはパンツか そじゃないか
エロ感娘のスカートよ
何と言はりょと 誹らりょと
肉も露わな あの脚に
よくも耐えます アスファルト」

(「エロ小唄」より 作詞 平井潮湖)

なんて歌詞だったり

「処女ですわ
わたし本当に 処女ですわ」

(「アラ!失礼」より 作詞 峯岸義一)

なんて身もふたもない歌詞も登場したり。ま、もっとも大半は、さすがにさらっとした軽くエロい程度の歌詞なのですが、それでも昭和初期という時代にこれだけ開放的な文化があったんだなぁ、ということを意外に感じました。

ただ逆に、これだけ自由で開放的な文化が花開きながらも、一方では徐々に戦争の泥沼に足を踏み入れつつあるという事実はある種の怖さを感じます。要するに、戦争が起きるのは、いかにも抑圧された暗い時代に起きる訳ではなく、こんな明るさを感じる時代でも、あと10年も経てば、暗い戦争に足を踏み入れてしまっているという事実。それは今の時代を鑑みれば、自由さを満喫している今の時代でも、いつ何時戦争に足を踏み入れてしまう可能性がある、ということを示唆しているようにも感じました。

ちなみにこのアルバム、「ブルースの女王」として戦後も高い人気を誇った淡谷のり子も何曲が歌っています。特に「エロ行進曲」なる曲では「とてもなやましエロおどり/サヽ エロおどり」なんて歌詞を歌っていたりします。私くらいの世代だと淡谷のり子といえば、フジテレビのものまね番組で審査員として出ていたおばあちゃんというイメージが強いだけに、この歌のイメージと全くマッチせず、聴いていて困ってしまいました(笑)。

またこのコンピ盤でもうひとつおもしろかったのは、その時代の風俗、流行を曲に強く反映しているという点でした。広く歌い継がれたスタンダードナンバーではなく、「エロ」という即物的なものをテーマとした時代の徒花的な曲だからこそ、その時代時代の流行をダイレクトに反映しており、逆に、その歌が誕生したころの風景を想像できるような歌詞が多かったように思います。

例えば流行という意味では今回のコンピ盤に「とこイットだね」「イットだね」なんて、2曲も「イット」なる言葉がタイトルに登場しています。この「イット」という言葉、当時流行した映画のタイトルで、性的魅力のことを「イット」と表現したそうです。そういう今となっては解説なしでは意味不明な、時代に即した流行が歌に織り込まれているのもまた大きな魅力に感じました。

そんなエロソングが収録された非常にユニークなコンピ盤。戦前歌謡に興味がなくても、この内容なら十分楽しめるかも?純粋にユーモラスな曲を楽しむのもよし、これを聴いて、昭和初期の時代に思いをはせるのもよし。非常に興味深い企画盤でした。

評価:★★★★★

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2015年3月30日 (月)

攻めの姿勢を感じる最高傑作

Title:UTUTU
Musician:東京カランコロン

メジャー3枚目となる東京カランコロンのニューアルバム。前作「5人はエンターテイナー」ではセルフプロデュースとなる作品でしたが、今回は積極的に外部から人を招集したアルバム。「恋のマシンガン」では蔦屋好位置を、「笑うドッペルゲンガー」ではAxSxEを、そして「ヒールに願いを」では亀田誠治を、それぞれプロデューサーとして迎えています。

数々のヒット曲を手掛けたプロデューサーを迎えた点、ミュージシャンとして非常に攻めの姿勢を感じます。そんな攻めの姿勢がアルバムに反映されたかのように今回の作品、いままでの作品以上に彼らのエンタテイメント精神がつまった楽しいアルバムになっていました。

アルバムタイトルが曲のタイトルにも取り入れられている「夢かウツツか」ではダイナミックなサウンドに、明るく爽やかなメロがとても心地よいナンバー。続く、蔦屋好位置プロデュースによる「恋のマシンガン」も曲中に流れるシンセのサウンドがとにかく明るいナンバー。メロディーラインにはちょっとベタさも感じるのですが、そのベタさが聴いていて楽しくなる大きな要素になっているような曲に仕上がっています。

そんな「恋のマシンガン」もそうですが、彼らの楽曲に大きな特徴的なのは、いい意味でJ-POP的である、ということ。前作で「J-POPって素敵ね」なんていう曲も歌っている彼女たちですが、ちょっとベタだけどインパクトのあるメロディーライン、様々なジャンルを薄く広く取り込んだ楽曲、さらにちょっと過剰気味ともいえるにぎやかなサウンドなど、J-POPと言われるような楽曲にありがちな特徴を彼女たちの楽曲からは見て取れます。

今回のアルバムでもメタリックなサウンドを取り入れた「ビバ・ラ・ジャパニーズ」、80年代を感じる歌謡ディスコチューン「ネオンサインは独りきり」、ハードロックなギターが特徴的な「笑うドッペルゲンガー」など、様々なジャンルを薄く広く取り込んでいます。結果、ルーツレスな印象を受けてしまう反面、それぞれのジャンルのおいしいところを上手く取り込んでいて、ベタなメロディーラインやにぎやかなサウンドも含めて、J-POP的と感じられる要素が、彼女たちの音楽のエンターテイメント性を強く高める結果になっています。

これらの要素はいままでの東京カランコロンのアルバムでも大きな特徴となっていたのですが、今回のアルバムでは、そんな東京カランコロンらしさが、外部のプロデューサーを導入した結果、より強くなっていたように感じられます。おそらく、彼女たちの最高傑作といっても過言ではない内容ではないでしょうか。

また今回のアルバムでもうひとつ大きな魅力になっていたのが歌詞。「うつつ=現実」と題されたアルバムタイトルに沿って、今まで以上にテーマ性を感じます。妄想の世界から現実に飛び出そうと歌う「夢かウツツか」、現実世界でもがく一人の男性を描いた「笑うドッペルゲンガー」など、現実世界の中での出来事をどこかコミカルさを交えて描きつつ、その中で前向きに生きていこうとする姿勢を歌っています。

そしてアルバム最後を飾る「終点から始発へ」はまさにアルバム全体のテーマ性を集結させたような歌詞が印象的。

「生きてる意味を探すため、
見つけるために前に進め
それが僕の足跡になって、
それがきっと生きる意味になる」

(「終点から始発へ」より 作詞 いちろー)

という歌詞は、まさに現実世界の中でもがきつつ進んでいる人たちへの強いメッセージを込めた歌詞が特徴的。上で彼らの曲を「J-POP的」と表現しましたが、こと歌詞に関しては薄っぺらさを感じるJ-POP的な部分は感じず、コミカルなエンタテイメント性をちゃんと兼ね備えつつも、骨太なメッセージ性を感じる歌詞が、今回のアルバムでは特に大きな魅力となっていました。

そんな部分を含めて、とにかく最初から最後まで聴いていて楽しくなってくるようなエンターテイメント性あふれるアルバム。個人的には、今年はじめてのベスト盤候補かも。デビュー以来毎作傑作アルバムを届けてくれる彼女たちですが、今回もその期待にちゃんと答えてくれた傑作でした。

評価:★★★★★

東京カランコロン 過去の作品
We are 東京カランコロン
5人のエンターテイナー


ほかに聴いたアルバム

Arcadia Blues/DON Matsuo

今年、活動再開を宣言したズボンズのボーカリスト、ドン・マツオのソロ4作目。本作はHIP HOP的なアプローチが特徴的。ただ一方ではドン・マツオらしいファンキーなリズムも飛び出したりしており、HIP HOPといえどもファンならすんなり受け入れられそう。ソロらしい自由な作風が強く感じられた作品でした。

評価:★★★★

ドン・マツオ 過去の作品
NEW STONE AGE

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2015年3月29日 (日)

今の日本に重なる部分も

Title:あなたは狙われている~防諜とは~スパイ歌謡全集1931-1943

戦前のSP盤を発掘し、ユニークな視点から編集してコンピレーションとして発売しているレーベル「ぐらもくらぶ」。以前から気になるレーベルだったのですが、そこから興味深いコンピレーションがリリースされたので聴いてみました。

「あなたは狙われている」と題されたこのアルバムは、以前、このサイトでも紹介した「日本の軍歌」の著者でもある軍歌研究家の辻田真佐憲氏を監修に迎え、副題の通り、「スパイ」をテーマとした楽曲(+漫談、講演等も含む)を収録した作品。賛否両論で大きな議論となった「特定秘密保持法」施行にあわせての企画・販売になったようです。

この「日本の軍歌」では辻田氏は、軍歌は上からの押し付けではなく、むしろ一般大衆がエンタテイメントとして楽しんでいた、という事例をあげています。いわば「政治とエンタメ」の結びつきとその危険性を強調した一冊でしたが、このコンピはそんな彼の主張の「実践編」ともいえるかもしれません。「スパイに警戒せよ、秘密を漏らすな、漏らしたら厳罰だぞ」(解説より)という政府側から大衆を統制するメッセージが、大衆の側から反発を受けるところか、むしろ積極的にエンタテイメントとして取り入れている事実が、このアルバムに収録された楽曲から嫌というほど伝わってきます。

今回のアルバムでは昭和6年(1931年)から昭和18年(1943年)までの楽曲がほぼ発売順に並べられています。満州事変が勃発した年から、太平洋戦争の戦況が悪化してきた頃までの時期の曲で、日本が戦争の泥沼にはまっていく過程で、エンタメはどのようにリンクしてきたかを知ることが出来ます。そして本作を聴いていく中で、私が強く感じた点は次の2つでした。

ひとつは時代が下れば下るほど、軽快でちょっと聴いた感じだとむしろ明るい雰囲気の曲が増えてくるということ。前半の曲に関してはかなり教条的な雰囲気の曲が多い反面、中盤から後半に進むにつれ、例えば「用心づくし」などは子供の声のコーラスが入っていて、とても明るい曲調になっていますし、「スパイ御用だ」は、戦前戦後に人気を集めたボートヴィルシンガー、あきれたぼういずによるコミカルなナンバー。さらに「スパイヨウジン」は童謡風に仕上げられています。

これはやはり戦争が進めば進むほど、辻田氏の言うところによる政治とエンタメの結びつきがより強くなっていったためでしょうか。また、社会情勢的にも、いままでは政治とは無縁だったジャンルの音楽も、「スパイ歌謡」のような曲を歌わざるをえなくなってきた、ということもあるのかもしれません。

そしてもうひとつ感じたのは、防諜の意味合いが、時代を下るにつれて広まっている点でした。前半の作品では、防諜は文字通り国家機密を外国人に簡単に話さないこと。一般的にイメージする防諜にとどまっていますが、戦況が悪化するに従い、防諜の意味合いが、国家機密を漏らすな、にとどまらず「国に不平不満を言うな」という意味にまで広がっています。

例えば演説を収録したSP「防諜とは」の中では「愚痴や争いや論議で国家の栄えたためしはありません」なんて話まで飛び出しますし、「スパイさあ来い」では

「隣組なら 心のたすき
ちょっと外して 不平ごと
まいた噂に 尾ひれがついて
おっと危ない デマが銃後をかき乱す」

(作詞 矢野洋三 「スパイさあ来い」より)

なんてあきらかにスパイとは直接関係ないような不平不満を言うことに対する批判まで飛び出します。

この「非常時だから不平不満を言うな」という言い草、ここ最近の出来事で思いあたる部分があります。それは先日発生した、イスラムの過激派組織、ISILによる日本人人質殺害事件。この時、産経新聞では人質事件の国の対応に批判的な人たちに対して「イスラム国寄りだ」なんて報道を行いました。これこそまさに、敗戦直前の「スパイ歌謡」で歌われたことと全く同じではないでしょうか。そんな日本がその後、どのような道をたどったかということを考えれば、「非常時だから不平不満を言うな」という批判が、国にとって全くプラスにならないのは自明のこと。このコンピ盤を聴いて、今の日本の状況に重ねあわせてしまいました。

今回、このコンピ盤を聴いて、日本が戦争の泥沼にはまっていく中、エンタテイメントの世界がどのように戦争や政治とむすびついていったか、その一端を垣間見ることが出来ました。そしてそれは同時に、今の日本にも残念ながら重ねあわせられる部分もありました。しかし、だからこそ、このコンピレーションアルバムを今、聴く意義があるのかもしれませんし、そのため、非常に興味深いコンピレーションアルバムだったと思います。内容的には万人受けといった感じではないのかもしれませんが、戦前の歌謡曲に興味がある方はもちろん、戦前の日本の歴史に興味のある方にとっても聴いて損のない作品だと思います。

評価:★★★★★

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2015年3月28日 (土)

いきなりベスト盤でのメジャーデビュー

Title:marry
Musician:MONSTER大陸

前にも書いたような記憶があるのですが・・・昨今の新人バンド、いかにも「今風」ないろいろなジャンルの音を自由に取り込んだルーツレスなバンドも多い反面、君たち本当はいくつ??と聞きたくなってしまうような(笑)ルーツ志向のバンドも少なくありません。

その典型例の一組が彼ら、MONSTER大陸。一度聴いたら忘れられなくなるようなバンド名ですが、2013年にインディーズデビュー後、フジロックやサマソニにも出演した4人組のブルースロックバンド。わずか2年の間に4枚ものオリジナルアルバムをリリースし、今回、このベスト盤で見事メジャーデビューを飾りました。

ブルースロックバンド、ということで言うまでもなくブルースやルーツロックから強い影響を受けている彼ら。それでどうしても思い出してしまうのは、同じくブルースやルーツロックから強い影響を受けた曲を奏でるTHE BAWDIESでしょう。おなじルーツ志向のバンドとして、ファンとなりそうなリスナー層は重なる部分もあるかもしれません。

ただ、同じブラックミュージック志向が強いバンドながらも両者結構な違いがあって、THE BAWDIESはソウルやよりディープなブラックミュージックなどの影響が強いバンド。その一方、MONSTER大陸は、ブラックミュージックでも、ブルースやファンクなど、比較的ロックと相性のよい分野からの影響を強く、ブラックミュージック全般からの影響というのは薄いように思います。

とはいえ、ブルースからの影響という観点ではむしろTHE BAWDIES以上にストレートなものを感じます。例えば今回のベスト盤、1曲目「The Grip」はいきなりインストのナンバー。鳴り響く千賀太郎かなでるブルースハープの音色はかなりアグレッシブでカッコよく、ブルースが好きならいきなりテンションがあがりそうな曲になっています。

その後の「lover,baby」も好きな人へのラブコールをストレートに繰り返し歌い上げる歌詞は、まさにブルースらしさを感じますし、続く、若い世代にありがちな、ちょっと気持ち悪さも感じる(笑)妄想をそのまま歌にした「ランドリー」も、ある意味、ブルースフィーリングを感じさせる内容と言えるでしょう。

そんな感じでブルースからの影響を強く感じる楽曲に関しては文句なしにカッコよさを感じさせてくれる反面、後半に並ぶファンクの影響を強く感じる曲に関しては、正直言ってもう一歩な部分を感じました。

一言でいうと、ストレートなブルースフィーリングを感じさせる前半に比べて、ファンキーな楽曲についてはいまひとつパンチがぬるめで薄味かなぁ、といった感じ。ボーカルがちょっとファンクのリズムにのるにはリズム感も迫力も弱いかな、と感じてしまう点が強く、楽曲についても比較的シンプルなギターロックで、ちょっとあっさりとしすぎているように感じます。これらの曲についてもそれなりのカッコよさを感じるのですが、それでもいまひとつ物足りなさを感じてしまいました。前半に並んだブルースロックの良さが光っただけに、気になってしまったのかもしれませんが。

ルーツ志向のカッコよさを存分に感じることが出来る反面、惜しさも感じてしまったベスト盤。もっとも、インディーズデビューからもまだ2年という若手のバンドですし、これからライブなどを通じてまだまだ伸びしろはありそう。ロック好き、ブラックミュージック好きには要チェックのバンドなのは間違いなさそうです。

評価:★★★★

MONSTER大陸 過去の作品
上陸


ほかに聴いたアルバム

TIME/KANA-BOON

これがメジャー2作目となる4人組ギターロックバンド。アップテンポでにぎやかな作風の曲が多く、非常に若さとそれゆえの勢いを感じさせる作品。ただ、アレンジがちょっと押し一辺倒の過剰気味だったのと、楽曲のパターンが少なめで似たタイプの曲が多かったのが残念。それもある意味「若さ」ゆえといった感じもするのですが。個人的に20代前半か10代だったらはまれたかもしれませんが、今となっては聴いていてちょっと疲れる部分も。

評価:★★★★

KANA-BOON 過去の作品
DOPPEL

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2015年3月27日 (金)

ロックンロール好きの集い

N'夙川BOYS 「Do you like Rock n Roll !?」発売記念 当たり前だろ!大好きっすロックンロール 3都市ワンマンミラクルNight !

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2015年3月20日(金)19:00~

Syukugawa

ここ最近、おそらく一番はまっているバンド、N'夙川BOYSのワンマンライブにはじめて足を運びました!会場はおなじみのクラブクワトロ。後ろに物販も設置された上で、前の方は埋まっていたものの後ろの方はスペースもちょっと目立つ程度の客の入り。キャパ全体からすると、6割強程度でしょうか?見ている分にはちょうどよい感じでしたが。あと、意外と客の年齢層が高かったのも印象的。もっと20代あたりがメインかと思いつつ、30代やさらにその上の世代もチラホラ。彼らの音楽って80年代から90年代のバンドブームあたりの雰囲気を出しているだけに、30代40代のおじさまおばさま受けもいいのでしょうか。ってか、自分もその一人か(^^;;

開始予定時間から10分程度過ぎたところでメンバーが登場。メンバー3人はじめてみた(・・・マーヤはキンブラのライブで見たことあるけど)のですが、まず感じたのは・・・リンダ、かわいい(笑)。PVやらジャケ写やらでは妙に派手なメイクな彼女なのですが、この日は派手なメイクはなし。なのですが、これがとてもキュートな素顔で、おもわず惚れてしまいそうになりました(笑)。

ライブはいきなり代表曲「プラネットマジック」からスタート。続く「Freedom」では早くもマーヤが客席にダイブするなど、最初からここまでテンションが高くて大丈夫か?と思うような展開。続く「バンドがしたい」では、最新アルバム「Do You Like Rock'n Roll!?」のジャケ写で登場したツインドラムが登場。マーヤとリンダのドラム+シンノスケのギターという、あのジャケ写のスタイルそのままでのステージになりました。

前半は途中のMCも短めでどんどん飛ばしていきました。その最新アルバムから「悪魔のPOP」「PLEASE PLEASE」と続き、「路地裏BE-POP」ではリンダがメインのボーカルを取ったのですが、これがまたかわいい(笑)。さらに最新アルバムから「ARE YOU KO.I.WA.ZU.RAI?」へと続きます。

ここまで一気にライブは展開してきたのですが、ここで一息(?)。会場に屏風が登場したり、さらに江戸時代の女性の髪形を模したかつらが登場してメンバーみんながかぶったり、ちょっとコミカルな様相に。そしてこのコミカルな様相にピッタリ?の「GEISHA」が披露されました。

で、その後はこれまで全くトークのなかったシンノスケのトークのコーナー。最新アルバムでは「わらびもちが食べたい」と連呼する「わらびもちめちゃうまい!」というコミカルな小曲があるのですが、それにちなんで今回のライブツアーでは多くのわらびもちや和菓子系が差し入れられている話に。この日はわらびもちに加えて、名古屋らしくういろうや、名古屋人にはおなじみのかえるまんじゅうの差し入れがあったそうです。

その後メンバー全員で、ういろうをほうばりながら、「わらびもちめちゃうまい!」へ。歌詞の「わらびもち」は「ういろう」になっていました。でもういろうって飲み込みにくいからめちゃくちゃ歌いにくそうでした(笑)。

ここらへんからライブは後半戦へ。「アダムとイブがそっと」「GOD BREATH YOU」と続き、ちょっと懐かしい、あまり演奏しないナンバーということで「ミッドナイトエンジェル」へ。そしておなじみ「Candy People」で一気にテンションがあがっていきます。ここでは曲の途中で、やはり名古屋だからでしょうか、Blankey Jet Cityの「SWEET DAYS」の一節が演奏されたりして、よりロックンロールな演奏を聴かせてくれます。

そしてラストはこれまたおなじみの「物語はちと?不安定」へ。途中、シンノスケは客席に飛び出し、客席後ろの物販ベースの机の上にたちギタープレイ。さらにはファンの中にダイブしてステージまではこばれていきました。かと思えばマーヤも客席にダイブ。客席全体をまきこんでの大盛り上がりのうちに本編は終了しました。

もちろんその後はアンコールへ。アンコール1曲目はちょっと意外なことに「Change」からちょっとしんみりとスタート。さらに続いては「シャンソン」で軽快に会場を盛り上げます。そしてラストはこれもちょっと意外な選曲だったのですが「死神DANCE」へ。最後はド迫力でサイケなギターサウンドと同じく迫力あるドラムスのリズムを会場いっぱいに響かせ、バンドサウンドでファンを圧巻させてライブが終了しました。アンコール含めて2時間半のステージ。後半、途中のMCが意外と長く、曲数の割には、思ったより長いライブでした。

さて、はじめて見たライブの感想ですが。リンダかわいかった(笑)。・・・ってことが一番印象に残ったのですが(笑)、最初から最後まで観客をあおりまくる、とても楽しいステージでした。

特にマーヤやシンノスケが客席も縦横無尽にダイブしまくり、客席含めて会場全体がステージになったようなライブ。それだけに、非常に会場全体の一体感をおぼえたライブだったと思います。選曲は最新アルバムからの曲が中心ながらも、それ以外の曲に関してはベタなシングル曲を意外と選曲せず、アップテンポな曲だけではないミディアムテンポの曲を混ぜつつ、バラエティー富んだ構成になっていたように感じました。

「Do You Like Rock'N'Roll?」というアルバムタイトル通り、ロックンロールを前面に押し出したステージ。メンバー3人、楽器を自由に入れ替えて演奏していたのも印象的で、3人それぞれギターもドラムスも交互に演奏していたため、3人全員が同等にステージ上で暴れまくっていて、それぞれの個性がしっかりと楽曲やステージに反映されていたように感じました。

2時間半があっという間。予想していた通りなのですが、ロックンロールの楽しさを伝えつつ、なによりエンタテイメント性あふれるステージだったように思います。楽しかった!また、彼らのワンマンライブ、是非とも足を運びたいです。

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2015年3月26日 (木)

こちらは上位にソロ勢が並ぶ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は比較的新譜の多かったチャートとなりました。

まず1位は倖田來未のニューアルバム「WALK OF MY LIFE」が獲得。オリジナルとしては約1年ぶりとなる新作です。初動売上は3万9千枚。直近作はリミックスアルバム「Koda Kumi Driving Hits 6」の6千枚(19位)で、こちらからはさすがにアップしましたが、直近のオリジナルアルバム「Bon Voyage」の4万6千枚(1位)よりはダウンしてしまいました。ここ数作、25万3千枚→13万8千枚→9万3千枚→4万6千枚→3万9千枚と推移しており、下落傾向は止まっていないものの、下落幅はとりあえずは落ち着いた感じでしょうか。

今週2位3位はベテランの男性シンガーのアルバムが並びました。2位には吉井和哉「STARLIGHT」、3位には久保田利伸「L.O.K.」がそれぞれランクインです。

吉井和哉は、オリジナルのフルアルバムとしては約4年ぶりとなる新作。ただ、その間、ミニアルバム、ライブ盤、カバーアルバムがリリースされていたため、久しぶり感はちょっと薄め?初動売上2万4千枚。直近のカバーアルバム「ヨシー・ファンクJr.~此レガ原点!!~」の1万5千枚(4位)からはさすがにアップしていますが、オリジナルフルアルバムとしての前作「The Apples」の3万7千枚(1位)よりはダウンしてしまいました。

久保田利伸も、オリジナルとしては約3年半ぶりとなるアルバム。ちなみに「L.O.K.」とは「Lots of Kisses」の略だそうです。初動売上は2万1千枚。こちらも直近作は、ボサノバアレンジによる企画盤「Parallel WorldⅡ KUBOSSA」で、こちらの1万5千枚(11位)よりはアップ。ただし、オリジナルとしての前作「Gold Skool」の3万3千枚(3位)よりはダウンしてしまいました。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは4位に韓国の男性アイドルグループU-KISS「Action」がランクイン。ベスト10入りは前々作「Inside of Me」以来。初動売上2万枚は前作「Memories」の8千枚(15位)から大きくアップしています。

5位には、今年10月での解散が報じられたアイドルグループアイドリング!!!「ロデオマシーン」がランクイン。初動1万8千枚は前作「GOLD EXPERIENCE」の1万4千枚(3位)よりアップ。解散報道が売上に影響を与えたのでしょうか。

7位初登場は人気女性声優戸松遥「Harukarisk*Land」。これが3枚目のアルバムでベスト10入りは2作目。初動売上8千枚は前作「Sunny Side Story」の1万3千枚(5位)からダウン。

最後、10位には「EXIT TUNES PRESENTS ACTORS3」。人気のボカロ曲を、人気男性声優がカバーしたオムニバスアルバムだそうです。タイトル通り、これが第3弾。初動売上7千枚。第2弾の前作は初動4千枚(22位)で、こちらよりはアップしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年3月25日 (水)

また女性アイドルがズラリ

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週はまた、女性アイドルグループが目立ったチャートとなりました。

まず1位はAKB48関連。乃木坂46「命は美しい」が獲得。今回も清純派路線を感じる歌謡曲テイストのナンバー。初動売上は50万枚で前作「何度目の青空か?」の47万8千枚(1位)からアップしています。

2位は一部で話題となりました、名古屋のローカルアイドルグループOS☆U「ガンガン☆ダンス」が入ってきています。なにが話題になったかというとMUSIC CARD57種発売というとんでもない販売スタイル。初動2万6千枚は前作「ちゅるんちゅるんに気がついて!」が初動460枚(138位)だったので、ちょうど1人ピッタリ57枚買った計算になるのが見事(苦笑)。4月以降はMUSIC CARDがオリコンチャートの合算対象外になりますが、おそらくその大きな要因はこれでしょう。正直、実態としてヒットからほど遠く、これで「ヒット」と名乗るのは本人たちやまわりのスタッフは恥ずかしくないのでしょうか?

3位初登場はお掃除ユニットをコンセプトとしたアイドルグループCLEAR'S「ヨゴしたくないcry」。スカパンク風のナンバー。初動売上2万2千枚は前作「ビ・ビ・ビ・ビューティー!!!」の1万5千枚(8位)からアップし、ベスト10入り2作目にして初のベスト10ヒット。

男性アイドルが上位を占めた先週からうってかわり今週は上位3組がいずれも女性アイドルグループとなりましたが、他にも今週は女性アイドルグループの初登場が目立ちました。

ティーンズファッションモデルを中心に結成されたアイドルグループ夢みるアドレセンス「Bye Bye My Days」が7位、80年代に数多くの女性アイドルを産みだした音楽事務所サンミュージックが手掛ける女性アイドルグループさんみゅ~(・・・センスない名前だな・・・)「はじまりのメロディ」が9位にそれぞれランクインです。

夢みる~はこれがメジャーデビュー作。初動1万5千枚は前作「証明ティンエイジャー」の1万9千枚(5位)からダウン。さんみゅ~はいかにも80年代の正統派アイドルのような雰囲気と曲のナンバーだけど、若干、この方向性って乃木坂46にかぶっているような。初動9千枚は前作「初雪のシンフォニー」の8千枚(18位)から若干アップで、初のベスト10ヒットとなりました。

そのほかの初登場は・・・まず4位にLOVE LAIKA(新田美波×アナスタシア) 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS ANIMATION PROJECT 02 Memories」。アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」挿入歌。アニメキャラクター同士による「アイドルユニット」のシングル。初動売上は1万8千枚。ちなみに同じ「アイドルマスターシンデレラガールズ」がらみ「ANIMATION PROJECT 01」はCINDERELLA PROJECT「Star!!」で、こちらの初動4万7千枚(4位)からはダウンしています。

5位には4人組ロックバンド[Alexandros]「ワタリドリ」がランクイン。映画「明烏 あけがらす」主題歌。かなり爽快な雰囲気のナンバーになっています。初動売上1万6千枚は前作「Adventure」の1万枚(10位)よりアップ。これで[Champagne]と名乗っていた頃を含め、3枚目のベスト10で5位は自己最高位。確固たる人気を確保してきています。

6位初登場はきゃりーぱみゅぱみゅ「もんだいガール」。今回ももちろん中田ヤスタカ作詞作曲のエレクトロポップチューン。フジテレビ系ドラマ「問題のあるレストラン」主題歌。初動売上1万6千枚は「ファミリーパーティー」の1万5千枚より若干アップ。正直、きゃりーぱみゅぱみゅの曲としてはインパクトも薄いし、中毒性も弱いのですが、ここ数作、1万2千枚→1万5千枚→1万6千枚と若干持ち直してきたか?

8位にはロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATION「Easter」がランクイン。約2年ぶりとなるニューシングル。同じトーンのメロディーがアップテンポに展開される疾走感あるナンバー。アジカンとしてはバンドサウンドはちょっと軽い雰囲気の曲調になっています。初動売上1万1千枚は前作「今を生きて」の1万3千枚(10位)よりダウン。

初登場の最後。10位には台湾の人気俳優AARON「MOISTURIZING」が入ってきました。これが日本デビュー作となる本作。プロデュースと作曲を元ジュディマリのTAKUYAが、作詞をミッツ・マングローブが手掛けているという異色(?)のナンバー。ただ楽曲は爽やかなジャズテイストの大人な雰囲気のポップチューンに仕上がっています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年3月24日 (火)

ロックな部分がより前に

Title:CHASING YESTERDAY
Musician:NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

ソロ活動としてのデビュー作だった前作「Noel Gallagher's High Flying Birds」が大ヒットを記録。幸先よくソロスタートを開始した元oasisのお兄ちゃんことノエル・ギャラガーのソロプロジェクト2作目がリリースされました。

今回の作品は、ソロ第1弾に比べるとoasis時代を彷彿とさせるようなギターサウンドが前面的に展開されるロック色の強い作風になっていました。特に「LOCK ALL THE DOORS」は昔のoasisが歌っていてもおかしくないような勢いあるロッキンなナンバー。インタビューによると、oasisとしてデビューする前から原型があった曲だそうで、初期oasisすら思い起こさせる楽曲になっているのは納得。他にもギターリフ主導で展開される「THE MEXICAN」みたいな曲もあったり、そんないかにもなロッキンなナンバーが目立つ構成には、素直にロック好きとしての心地よさを感じます。

ただアルバム全体としてはロック色は強いものの、主軸となるのはノエルの書くメロディーライン。基本的にマイナーコード主体の聴かせる楽曲がメインとなっており、あくまでも主役はバンドサウンドではなくメロディーラインなんだ、という主張を感じます。そういう意味では、間違いなくoasisのアルバムではなく、ノエル・ギャラガーのソロとしてのアルバムなのでしょう。

今回もそんなノエルのメロディーメイカーとしての才を存分に発揮した楽曲が並んでおり、アルバムの1曲目を飾る「RIVERMAN」の、胸を締め付けられるような切ないメロディーにまず聴きほれてしまいます。その後も美メロの作品が続いていくのですが、「YOU KNOW WE CAN'T GO BACK」のようなちょっと切なくも聴いていて心地よさを感じるメロディーなど、ノエル・ギャラガーの良さを存分に感じることが出来ます。

ちなみに初回限定盤にはボーナスディスクが加わり2枚組になっているのですが、なにげにこちらのボーナスディスクの方が出来が良いのでは?と思うほどの充実の内容(笑)。グルーヴィーなバンドサウンドがカッコいい「DO THE DAMAGE」に、「REVOLUTION SONG」もメロの良さが際立っています。そして日本盤オンリーのボーナストラック「LEAVE MY GUITAR ALONE」がこのアルバムの中で一番の出来だから始末が悪い(^^;;ピアノの音色にちょっとビートルズの「Hey Jude」を彷彿とさせるようなシンプルなポップチューンなのですが、美しいメロディーラインはこのアルバムの中どころかoasis時代の作品を含めても屈指の出来の名曲です。

そんな訳で、ロックな部分をより前面に押し出しつつも、基本的には「ソロアルバム」らしい作品に仕上がっていました。前作はoasis解散後はじめての作品ということで、ボーカルがリアムではない点に寂しさも感じたのですが、今回はノエルのボーカルでしっくりとまとまっているようにも感じました。そこはoasisのファンとしては別の寂しさも感じてしまったりするのですが・・・ただ、ノエル・ギャラガーのメロディーメイカーとしての才能をあらためて強く実感できた傑作。やはりお兄ちゃんはすごいや。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

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2015年3月23日 (月)

エレクトロ路線の新作

Title:Girls in Peacetime Want To Dance
Musician:Belle and Sebastian

「ベルセバ」の略称でも親しまれるイギリスはグラスゴー出身のギターポップバンドの新作。約5年ぶりとなる久々の新作で、ナールズ・バークレイやアニマル・コレクティヴで知られるベン・アレンをプロデューサーとして迎えた作品となっています。

そんな久々となる今回の作品で特徴的なのはエレクトロサウンドを大幅に取り入れている点。「Enter Sylvia Plath」のような打ち込みを前面に押し出したダンスナンバーには、いままでのベルセバのイメージとは異なり驚かされます。他にも「Nobody's Empire」「Play For Today」など、アルバム全体的にエレクトロサウンドを取り入れた作品に仕上げていました。

ただ、そんなエレクトロサウンドを全面的に取り入れたからといってベルセバらしさが大きく変化した訳ではありません。暖かみを感じる美メロは本作でも健在。むしろ、久々の新作となったからこそ、メロディーの良さは際立っていたように感じます。

「Allie」のように、いかにもな掛け声でのイントロは、美メロファンにはちょっとベタながらもうれしくなってきそうですし、「The Cat With the Cream」はゆっくりと美しいメロディーラインを堪能できる傑作に仕上がっています。エレクトロサウンドメインの中にも「Ever Had a Little Faith?」のようなアコースティックサウンドで聴かせてくれる美メロの傑作もちゃんと収録されています。

そんな感じで、エレクトロ路線を主軸としながらもベルセバとして抑えるべき部分はちゃんと抑えた作品になっていた今回のアルバム。そういう意味ではファンとしては安心して聴ける内容だったと思います。しかしその一方で、個人的にアルバムを聴き終わった後、どうしても物足りなさも感じてしまいました。

その物足りなさの最大の理由が、そのエレクトロのサウンドがどうしてもチープに感じてしまった点でした。エレクトロサウンドはいまどき流行の、バリバリとビートを効かせたようなEDM、といった感じではなく、一昔前、80年代っぽさを彷彿とさせるようなサウンドになっています。

それはそれで悪くないのですが、サウンド的にはスカスカな感じで、その音がどうしても古臭いというか安っぽさを感じてしまい、この違和感が最後の最後までぬぐえませんでした。

メロディーは決して悪くありません。むしろベルセバらしい傑作ともいえる内容だったと思います。ただそのメロディーの良さに反してサウンドに安っぽさを感じてしまい、非常に残念な出来になっているように思います。あまりこのエレクトロ路線は彼らの楽曲にも合っていないような・・・。いいアルバムだとは思うのですが、一方で非常に惜しさも感じてしまう作品でした。

評価:★★★★

Belle and Sebastian 過去の作品
Write About Love(ライト・アバウト・ラヴ~愛の手紙~)


ほかに聴いたアルバム

Goldrushed/The Royal Concept

2013年にサマソニに出演。そのパフォーマンスが大きな話題となったスウェーデン出身の5人組バンド。分厚いエレクトロサウンドに、キュートで人懐っこいメロディーライン、そしてダンサナブルなリズムが特徴的。この、妙に日本人好みしそうなインパクトあるメロディーといい、どこか丸みを帯びたサウンドといい、いかにもスウェーデン出身といった印象。スウェディッシュ・ポップという言葉にピンと来たような方には、無条件でお勧めできそうな1枚です。

評価:★★★★★

Life, Love & Hope/BOSTON

アメリカン・プログレ・ハートの代表格的バンドによる約11年ぶりとなるニューアルバム。相変わらず分厚い凝ったサウンドにポップなメロディーラインが特徴的。これといって目新しさは感じられず、良くも悪くも昔ながらもバンドといった印象が。ファンならそれなりに満足できそうな内容ではありますが。

評価:★★★

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2015年3月22日 (日)

結成30年の企画盤だが

Title:THE BLUE HEARTS 30th ANNIVERSARY ALL TIME MEMORIALS ~SUPER SELECTED SONGS~
Musician:THE BLUE HEARTS

1985年の結成以来、今年で30周年を迎えるTHE BLUE HEARTS。いまなお数多くのファンを抱え、多くのミュージシャンに影響を与え続ける彼。今回、結成30年を記念してベストアルバムがリリースされました。彼らの代表曲を収めた2枚組のベスト盤を軸に、3枚組ではさらにトリビュートアルバムも同時に収録。初回限定盤ではさらにシングルのPVも収録したDVDもついてくる豪華4枚組となっています。

THE BLUE HEARTSの曲の素晴らしさはいまさら言うまでもないでしょう。ただ、今回のベスト盤に関しては個人的に大きな違和感がぬぐえませんでした。THE BLUE HEARTSとしてはたった5年前、結成25周年ということでシングルベストをリリースしたばかり。そこからわずか5年でのベスト盤リリースは正直なところ「ちょっと多すぎだろう」と思わざるをえません。

確かにここ最近、80年代から90年代のバンドブーム近辺で活躍したバンドのベスト盤がリリースされることは少なくありません。もはや「何枚目のベストだ?」的状況のTM NETWORKやX JAPANも昨年、ベスト盤をリリースしています。今回、トリビュートアルバムを監修した寺岡呼人が所属しているJUN SKY WALKER(S)も2012年にベスト盤をリリースしています。

ただ、これらのバンドとTHE BLUE HEARTSとでは大きな違いがあります。それはブルハのヒロトとマーシーはいまなおクロマニヨンズというバンドで、最前線で活動を続けている点。今回の30周年記念企画に彼らが参加している形跡はありませんし、彼らにとっては既にブルハは過去のバンドなのでしょう。THE BLUE HEARTSが解散した理由として、宗教上の問題であることは有名な話ですが、もしその問題がなければTHE BLUE HEARTSは再結成していたかと言われると、おそらく「否」ではなかったでしょうか。

今回のベスト盤ではラストに「もどっておくれよ」が収録されるなど、ノスタルジー志向の構成になっていますが、ヒロトとマーシーが今なおロックミュージシャンとして最前線で活動を続ける事実から考えると、あまりに後ろ向きな企画に感じます。もちろん、ブルハの曲は今聴いても名曲揃いなのは間違いないですし、これをきっかけに、という意味では悪くはない企画だとは思うのですが・・・でも、それよりもクロマニヨンズの最新アルバムを聴いた方がいいんじゃないかなぁ・・・?

トリビュートアルバムの方も、5年前にもリリースされているんですよね。それだけ多くのミュージシャンに愛されているということなのかもしれませんが。八代亜紀が昭和歌謡曲風にカバーした「悲しいうさわ」や(なにげに歌詞も歌謡曲風なのがユニーク)、奥田民生がルーツロック風にカバーした「終わらない歌」など個性的なカバーも多く、5年前のトリビュートよりは出来がよかったと思うのですが、ブルハの原曲を2枚のアルバムでじっくり聴いた後だとちょっと印象が薄い感じがしました。

ベスト盤の収録内容としては純粋に5つ。ただ企画の疑問点より1つマイナス。トリビュート盤は4つといった感じでしょうか。もちろん、純粋に十分楽しむことが出来たアルバムでしたが。

評価:★★★★

THE BLUE HEARTS 過去の作品
ALL TIME SINGLES~SUPER PREMIUM BEST

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2015年3月21日 (土)

まさか(?)のグラミー賞ノミネート

Title:THE REGGAE POWER
Musician:SPICY CHOCOLATE and SLY & ROBBIE

なぜか日本のメディアでは音楽系を含めてほとんど取り上げられなかったのでご存じない方も多いと思いますが、ジャパレゲのサウンド・クルー、SPICY CHOCOLATEのこのアルバムがグラミー賞にノミネートされていたこと・・・知っていました?残念ながら受賞は逃してしまったみたいなのですが、その直後、ネット系のニュースサイトでチラッと取り上げられているところを読んで、正直、ビックリしてしまいました。

SPICY CHOCOLATEといえば一番最初に思い浮かぶのが、NTT docomoのCMソングとしてスマッシュヒットした「ずっと」。サビの部分がオリジナルラヴの「接吻」にそっくりという、悪い意味でも話題になってしまった曲ですが、それを差し引いても、いかにも売れ筋を狙いました的な、浅く軽いレゲエ風のポップ。はっきりいって面白味もなにも感じませんでした。

私の中で、SPICY CHOCOLATEというミュージシャンはそういうイメージだっただけに、グラミー賞ノミネートというニュースは、「え?何かの間違いでは??」と思ってしまいました。それだけに、このアルバムも興味半分不安半分で聴いてみたわけですが・・・これがビックリするくらいカッコいいアルバムに仕上がっていました。

まずはなんといってもサウンドの作り込みがとにかくカッコいい!リズムトラックを前面に押し出しつつ、ギターやらピアノやら様々な音と重ねるスタイル。打ち込みのリズムは軽快で爽やかさを感じる反面、ちょっとチープさも感じてしまった部分もあるのですが、ただ楽曲ごとにリズムパターンが異なりバリエーション豊富。このアイディアを詰め込んだリズムが軸となりつつ、様々なパターンの曲が展開していきます。

ブルージーなギターが哀愁を感じさせる「Let Me Love You」、とにかく盛り上がりそうなパーティーチューン「Dancing Time Again」、ボーカル含め、ある意味いかにもな「レゲエ」らしさを感じる「I Will Be There For You」など、楽曲はバラエティー豊か。基本的にはポップなメロディーラインが流れている曲が多いのは、SPICY CHOCOLATEの嗜好性でしょうか?「SHIBUYA DREAM」なんていうラップにメロウな女性ボーカルの組み合わせという、ちょっと前の着うた系ヒットの王道路線な曲もあったりしますが、強度のあるリズムが載っているだけに、ベタな売れ線という印象は受けません。

今回のアルバム、ジャマイカを代表するプロデューサーコンビ、スライ&ロビーとの共同制作。ここらへんのリズムトラックのカッコよさはやはり彼らの力量による部分も大きいのでしょう。悪名高き(?)「ずっと」も「ZUTTO」とタイトルを変え、英語詞によるバージョンで収録されています。このアルバムの中ではちょっと浮いちゃっているかな?と感じる部分もあるのですが、日本語詞の原曲とはちょっと雰囲気が異なり、ちゃんとカッコよくまとめあげています。

ジャパレゲでありがちな田舎のヤンキー的なノリは皆無。純粋にレゲエという音楽のカッコよさをちゃんと表現しているアルバムで、ジャパレゲはちょっと・・・という方にも文句なしにお勧めできそうなアルバムになっています。あの「ずっと」のSPICY CHOCOLATEの・・・というイメージで忌避するにはあまりにももったいないアルバム。グラミーノミネートの実績は伊達ではありません。レゲエを普段聴かない方にもお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

i AGAINST i/SiM

へヴィーロックバンドSiMのミニアルバム。なにげに結成から10周年だそうで、最近、急激に人気が伸びてきましたが、そこそこのキャリアのあるバンドなんですね。基本的にハードコアな楽曲がメインで、その中にちょっとだけレゲエの要素が入っています。へヴィーなサウンドは心地よいですが、後に残るようなインパクトがちょっと薄かったような。

評価:★★★★

SiM 過去の作品
PANDORA

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2015年3月20日 (金)

牙の折れたバビルサと重ね合わせて

Title:バビルサの牙
Musician:柴田淳

なんといってもタイトルが特徴的なシバジュンのニューアルバム。「バビルサ」というのはインドネシアで生息するブタに似た動物。太い牙が頭にむかって湾曲しているのが特徴的で、そのまま伸びると頭に突き刺さりそうな感じになっているため、「最後は牙が頭に突き刺さって死ぬ」という噂が流れているほど。そのため、「死を見つめる動物」と呼ばれているそうです。

そんな意味を持つ動物だけに、かなり深読みできそうなタイトルですが・・・バビルサの牙は大きければ大きいほどモテるそうで、牙が折れてしまったバビルサはモテなくなるとか。そんな中、先日、彼女は転んで前歯を折ってしまった出来事があったそうで、彼女曰く「いい年して独身」の前歯の折れた彼女に、牙が折れたバビルサを重ね合わせたそうで、今回のタイトルとなったようです。

ただ、そんな感じで自らを牙が折れたバビルサに重ね合わせたのは、ただ単に前歯が折れたから、なんでしょうか?今回のアルバムはいつも以上に失恋の曲が目立ったように感じます。「白い鎖」「ピュア」など、まさに悲しい失恋を歌ったバラードナンバー。そんな失恋を特に歌いたくなるような心境があったんでしょうか、と推測したくなってしまいます(笑)。

もっともその一方で一言「失恋」といってもそんな中にバリエーションを持たせているのも目立ったのが今回のアルバム。例えば「車窓」は失恋の中にも

「今さら 元に戻らない二人を 悲しむのはやめて
今さら 元に戻れない二人を 責めることはやめて
昨日も 明日も 僕はただ歌っていこう」

(「車窓」より 作詞 柴田淳)

と、失恋を乗り越えて前向きな姿勢が感じられますし、「横顔」ではむしろ女性の側から別れを告げたような歌詞が描かれています。

そういう意味では今回のアルバム、失恋のナンバーが多くても、前々作「僕たちの未来」のような痛さはあまり感じません。逆にどこか「失恋」という題材を客観視しているようにも感じられました。

また、失恋をテーマとした曲にありがちなバラードナンバーが並んでいる訳ではなく、バリエーションある曲の構成になっていたのも、あくまでリスナーを飽きさせないことを考慮した点、「失恋」に深くのめりこむわけではなく、どこか客観視しているように感じる大きな要因かもしれません。

例えば「王妃の微笑み」はダークファンタジーのゴシック調の曲になっており、いきなり異色な雰囲気の曲からスタートして驚かされますし、続く「反面教師」もいきなりEDM調のイントロからスタートしてビックリさせられます。また、その後もソウル風のポップチューン、「ピュア」などバラエティーある内容。前作「あなたと見た夢 君のいない朝」はムーディーな歌謡曲風の曲が多く、ちょっと単調さを感じてしまったのですが、今回は最後まで飽きさせない曲の構成になっていました。

なにより楽曲の良さは安定感を覚える内容で、なにげにそろそろベテランの領域に入ってきた彼女らしい、安心して聴けるアルバムになっていました。もっともこの安定感、そろそろ「マンネリ」にちょっとだけ足を踏み入れている部分も否めないだけにちょっと気になる点ではあるのですが、今回のアルバムに関しては十分に楽しめる傑作に仕上がっていたように感じます。前作はちょっといまひとつな出来で心配していたのですが、今回あらためてシバジュンの魅力を存分に感じることが出来たアルバムでした。

評価:★★★★★

柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来
COVER 70's
あなたと見た夢 君のいない朝
Billborda Live 2013
The Early Days Selection

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2015年3月19日 (木)

空気公団らしいアルバムだが・・・

Title:こんにちは、はじまり。
Musician:空気公団

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前作「音街巡旅I」は企画盤的内容。その前にリリースされたアルバムはくうきにみつる名義と、オリジナルアルバムとしては「夜はそのまなざしの先に流れる」以来、2年3ヶ月ぶり、ちょっと久々となる空気公団のニューアルバムがリリースされました。

基本的に毎作、シンプルなソフトロックを聴かせてくれる彼女たち。そんな中で少しずつその雰囲気を変えてきています。例えば前々作「春愁秋思」では少々不思議な雰囲気が漂う作品になっていましたし、前作「夜はそのまなざしの先に流れる」は「夜」をテーマとした作品になっていました。

今回の作品はそんな中でも特に空気公団らしさを感じるアルバムになっていました。具体的にいえばシンプルなメロディー、歌詞にサウンド。特にメロディーに関しては、目立ったフックもなく、さらっと流れていくようなメロディーラインにも関わらず、聴き終わった後、心の中にひっかかるものがあります。この「心のひっかかり」がいわば彼女たちの書くメロディーラインの良さなのですが、今回のアルバムでは、シンプルさがここ最近のアルバムに比べて増した反面、メロディーのひっかかりが増えたように感じました。

かと思えば一方で、非常にバラエティー富んだ作風を聴かせてくれるのも今回のアルバムの特徴。まずアルバムの中で大きなインパクトとなっていたのが、「お山参詣 登山囃子」。これはボーカル山崎ゆかりの出身地、青森県にある岩木山の登山囃子を取り入れた民謡風の楽曲。和太鼓のリズムが目立つ作品はあきらかに空気公団の作品の中で異色の作品になっています。

さらに「はじまり」では金沢在住の轟音ロックデゥオ、NINGEN OKが参加。ノイジーなギターサウンドのインストが大きなインパクトとなり、いつもの空気公団とは少々違った雰囲気のスタートに驚いた方も多いのでは?ただ、メロディーはいつもの空気公団なので、楽曲全体としてはちゃんと空気公団の色に染められているのですが。

他にも哀愁のサックスが鳴る間奏が印象に残る「毎日が過ぎても」や、スカ風のリズムが登場する「なくしたものとは」、打ち込みも導入されたインスト曲「手紙が書きたい」など、実にバラエティー豊富な楽曲の展開を聴かせてくれます。

ただ、これだけバリエーションがありつつ、どの曲も基本的にはサウンドはシンプル。暖かみのある優しいメロディーも加わり、ちゃんと空気公団らしい楽曲になっているのが見事。結果、アルバム全体としてもいい意味で空気公団らしいアルバムに仕上がっていました。

ある意味、空気公団のバンドとしての包容力も感じるアルバムで、個人的にはここ数作のオリジナルアルバムの中では一番の出来かも。あらためて空気公団というバンドの魅力を強く感じることが出来た傑作でした。

評価:★★★★★

空気公団 過去の作品
空気公団作品集
メロディ
ぼくらの空気公団
春愁秋思
LIVE春愁秋思
夜はそのまなざしの先に流れる
くうきにみつる(くうきにみつる)
音街巡旅I


ほかに聴いたアルバム

Howdy!! We are ACO Touches the Walls/NICO Touches the Walls

NICO Touches the Wallsの楽曲をアコースティックアレンジでセルフカバーした企画盤。バンドアレンジの曲をアコースティックに演奏することにより、アレンジとしてはかなり変化している反面、基本的には彼ら、バンドサウンドを押し出すというよりもメロディーと歌詞を前に押し出しているバンドなだけに、原曲で気づかなかったものに気が付かされた・・・的要素は少なかったようにも思います。もっとも、基本的には彼らの楽曲のもっとも根本の部分をそのまま外に出したようなアレンジ。素直にNICOの楽曲の良さを感じられる点は大きなプラスだったとは思います。

評価:★★★★

NICO Touches the Walls 過去の作品
Who are you?
オーロラ
PASSENGER
HUMANIA
Shout to the Walls!
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト

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2015年3月18日 (水)

どちらもジャニーズ系が1位

今週はアルバムチャートで新譜が少なかったため、シングルアルバム同時更新です。

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まず今週の1位。KAT-TUN「KISS KISS KISS」が獲得しました。テレビ朝日系ドラマ「セカンド・ラブ」主題歌。ラテン風哀愁漂うのいかにも歌謡曲といった感じのナンバー。初動売上15万3千枚は前作「Dead or Alive」の19万1千枚(1位)より減少しています。

2位は韓流男性アイドルグループSHINee「Your Number」がランクイン。軽快で爽やかなファンクポップのナンバー。初動売上13万1千枚は前作「LUCKY STAR」の3万5千枚(3位)から大幅増となりました。これは通常のCDのほか、東京ドームライブのコンサートチケット付きCDを合算した影響が大きい模様です。

この「コンサートチケット付きCD」は、以前、EXILEがこのスタイルで売上を大幅に伸ばすなど、CDの売上という実態と乖離していたため批判も多かった販売手法。先日、ようやくオリコンも対策に乗り出し、6月以降、このスタイルのCDを売り上げの合算から除外するプレスリリースを出しました。

参考:【お知らせ:コンサートチケットとCDのセット販売の合算集計の終了について】

先日、悪名高いMUSIC CARDの合算を取りやめる通知をしたオリコンですが、これに続く「CD複数枚買い戦略」にメスを入れる方針転換が一部で話題となっています。散々批判をあびたこれらの手法ですが、ようやくオリコンも重い腰を上げ始めたようです。

3位は舞祭組「やっちゃった!!」が先週から同順位をキープ。売上も先週の5万7千枚から7万3千枚にアップしています。日曜日販売という特殊な販売日設定が影響した模様です。

今週、ベスト3は男性アイドルグループが並びましたが、4位以下は女性アイドルグループが並んでいます。まず、4位にはももいろクローバーZ「青春賦」がランクイン。映画「幕が上がる」主題歌。卒業をテーマとした、卒業式狙いの楽曲な。初動売上は6万4千枚。前作はももいろクローバーZ vs KISS名義の「夢の浮世に咲いてみな」で、こちらの5万8千枚(2位)よりアップ。また、ももクロ単独名義ではその前の「一粒の笑顔で...」の2万3千枚(7位)より大幅増ですが、これはクリスマスライブ限定シングルだった影響。実質の前作となる「MOON PRIDE」の初動5万枚(3位)もアップしています。

5位は先週1位のAKB48「Green Flash」がこの位置。6位にアイドルグループ愛乙女★DOLLから派生的に結成されたユニット、Luce Twinkle Wink☆「You are a star!」がランクイン、7位には東京女子流「Stay with me」がランクインしています。

Luce Twinkle Wink☆はこれが2作目。初動売上1万3千枚は前作「刹那ハレーション」の1万枚(9位)からアップ。一方、東京女子流は「アーティスト宣言」が話題を呼んでいるようですが、アイドルが無理やり「アーティスト」ぶって行動するのって、90年代あたりのJ-POPの典型的なスタイルで少々時代錯誤を感じます。そもそも自ら「アーティスト」と名乗る人って、大概微妙な人ばかりなのですが・・・。

最後10位には男性2人組ユニットEDGE of LIFE「Just Fly Away」。いかにもJ-POP風のエレクトロポップ。テレビ東京系アニメ「ガンダムビルドファイターズトライ」オープニング・テーマ。タイアップ効果もあり、初のベスト10ヒットとなりました。初動売上は4千枚で、前作「Love or Life」の900枚(73位)より大幅アップしています。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートに引き続き、アルバムチャートでも1位はジャニーズ系。Sexy Zone「Sexy Power 3」が獲得。これが3枚目のアルバムで、3枚とも1位を獲得しています。初動売上10万1千枚は、前作「Sexy Second」の12万1千枚(1位)よりダウン。

2位は韓流の男性アイドルグループMYNAME「I.M.G.~without you~」がランクイン。こちらだけ3月10日の火曜日発売なのは、デイリーチャート1位狙いのため。これが日本では3枚目のアルバムで、初動売上4万5千枚は前作「FIVE STARS」の3万枚(5位)よりアップ。

3位はB'z「EPIC DAY」。先週の1位から2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場ですが、7位にRED SPIDER「ハナジブー」がランクイン。この作品は、MINMI、HAN-KUN、湘南乃風らの楽曲をダブアレンジで収録したアルバム。ライブシーンなどを中心に徐々に人気を集めており、前々作「逆ギレ・アウチ!!」に続く2作目のベスト10ヒットになりました。初動売上は8千枚。前作はジャマイカンのミュージシャンたちをプロデュースしたコンピレーションCD「BYE BYE BADMIND」の初動売上3千枚(28位)よりアップ。ただし、前々作「逆ギレ・アウチ!!」の1万1千枚(6位)からはダウンしています。

アルバム初登場はもう1枚。8位にご存じアメリカの女性シンガーMADONNAのニューアルバム「Rebel Heart」が入ってきました。事前に楽曲がリークされてしまったというニュースでも話題になったこの作品。それでもドイツやオランダのチャートで1位を獲得するなど、相変わらずの人気を保っています。ただ日本では初動売上7千枚で前作「MDNA」の初動3万1千枚(4位)から大きくダウンしてしまう結果となっています。

今週のチャート評は以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年3月17日 (火)

各々が個性を発揮

Title:Why not clammbon!?~クラムボン・トリビュート~

結成20年目を迎えるクラムボン。え?もうそんなになるのか・・・と思ったのですがあくまでも結成20年。デビューはインディーズが98年、メジャーが99年。とはいえ、メジャーデビューからも、もう16年もたつのか・・・と思ってしまいます。今年はそんな20年目を迎えた記念すべき年ということで、今月25日には久々のニューアルバムをリリース。そして、その待望のニューアルバムに先立ち、トリビュートアルバムがリリースされました。

参加しているのは、ハナレグミやGREAT 3、TOKYO No.1 SOUL SETなどクラムボンのファンにはおなじみの面々。海外からも、アメリカのポストロックバンド、Mice Paradeが参加しています。そんな中、唯一異色なのが、なんと小室哲哉!正直、クラムボンと小室哲哉っていまひとつ接点がみつからない感じなのですが・・・。比較的、「さもありなん」な面子が揃っている中、一人だけ、あきらかにタイプの違うミュージシャンが混ざっている感じになっています。

そんな小室哲哉が手掛けているのは「バイタルサイン」のリミックス。トランス調のアレンジになっているのですが、小室哲哉らしい、ある種の「ベタ」さを感じるアレンジ。正直、このアルバムの中ではちょっと浮いている印象も受けるのですが、一方では他のミュージシャンとはちょっと違う方向性がひとつのインパクトになっているように感じます。

他の参加ミュージシャンについては、概ねどのミュージシャンも、それぞれの個性をしっかりと発揮したカバーに仕上げていたように感じます。「Folklore」をギターロック風にまとめてきたストレイテナー、ファンキーな要素を加えた「大貧民」は、そのままレキシっぽい作品になっていましたし、Nona Reevesの「SUPER☆STAR」は、彼ららしいディスコチューン。HUSKING BEEの「海の風景」はそのまんまメロコアの曲に仕上げていましたし、青葉市子の「雨」はいつもの彼女らしい、アコギ一本と歌だけで聴かせる静かなアレンジに仕上がっています。

そんな中、一番バンドの色が出ているように感じたのがdownyの「5716」。ダークでダウナーな作品に仕上がっており、どんよりしたバンドサウンドで装飾された楽曲は、そのまんまdownyの曲と言われても違和感がないほどの出来になっていました。

これだけ多くのミュージシャンが、クラムボンの楽曲をカバーしつつ、自分たちの色をきちんと出せるというのは、おそらくそれぞれのミュージシャンの実力もさることながら、それ以上にクラムボンの楽曲が、足腰しっかりした作品が多いからなんでしょう。ここでいう「足腰がしっかりとした」というのはつまり、しっかりとしたメロディーラインを書いているから、という意味。勢いとか奇抜な構成とかで楽曲を装飾するのではなく、ちゃんと一本筋の通ったメロディーを書いているからこそ、その楽曲の上で、様々なミュージシャンが自分たちの個性を発揮できるのではないでしょうか。クラムボンの実力をあらためて感じたトリビュートアルバムでした。

ただ一方ちょっと残念に感じた点が2点ほど。まず一点は、誰も「サラウンド」はカバーしないんですね・・・。確かに明らかに「売り」にいった作品(で、失敗した作品)で、ベタな作風なだけに忌避したのかもしれませんが・・・個人的には好きなんだけどなぁ。まあ、「サラウンド」に限らず、「パンと蜜をめしあがれ」もカバーされていませんが・・・。

もうひとつは、参加しているミュージシャンたち、小室哲哉を除いてちょっと意外性がなさすぎたかなぁ。例えばクラムボンのミトはアニソン好きで知られているだけに、アニソン系のミュージシャンか声優あたりが参加していてもおもしろかったかも、と思ってしまうのですが。それもちょっと残念です。

そんなマイナスポイントもありつつ、ただ内容的には最初から最後まで各々のミュージシャンの実力を感じつつ、同時にクラムボンの魅力もしっかり詰め込んだ名カバーだったと思います。まもなくリリースされるクラムボンのニューアルバムも楽しみです!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

silver lining/LAMP IN TERREN

これがメジャーデビュー作となるスリーピースロックバンド。「RO69JACK 13/14」でグランプリを獲得するなど、一部では話題となっているバンドです。そんなバンドなのですが、アルバムがはじまった瞬間、「あ、これはいかにもROCKIN'ON JAPANが好きそうな音だな」と感じるバンド(笑)。良くも悪くもBUMP OF CHICKENあたりの亜流のオルタナ系ロックを奏でています。歌詞はちょっとシニカルに現実を切り取った世界観が印象的。こちらもほどほどのわかりやすさとほどほど解釈をリスナーにゆだねる内容が好印象なものの、この手のバンドはちょっと飽和状況かも。全体的には「ロケノン系」という括りで語られそうな感じなのですが、決して悪いバンドだとは思いません。ただ、もうちょっとLAMP IN TERRENのみが持っているような独特の個性が欲しいかも。

評価:★★★★

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2015年3月16日 (月)

新曲は2曲だけだが

Title:肉と肉と路線バス
Musician:大西ユカリ

大西ユカリ生誕50周年を記念してリリースされたニューアルバム。とはいえ、純然たる新曲はタイトル曲の「肉と肉」「路線バス」の2曲のみ。あとは「過剰なボーナストラック」と題され、過去のアルバムに収録済の曲やライブ音源、さらにはソウルバンド、ズクナシとのライブ音源が収録されています。

しかしまず、この2曲のタイトルトラックナンバー「肉と肉」と「路線バス」が素晴らしい!この2曲、作詞作曲はあのクレージーケンバンド横山剣による作品。「肉と肉」はタイトルから想像できる通りのエロナンバー。エロい歌詞にピッタリのドロッとした雰囲気が感じられる歌謡ソウルナンバー。ただ、大西ユカリの曲は必要以上に「エロチック」を強調することなくサラッと歌い上げています。そんなボーカルなだけに、逆に歌詞のエロさが目立ったように感じました。

一方「路線バス」は一転、ムーディーで哀愁たっぷりの歌謡バラード。こちらでは情感たっぷりに歌い上げる大西ユカリのボーカルが印象的に響きます。そしてどちらのナンバーも、歌詞、メロディーともに強く印象に残るナンバー。大西ユカリのボーカルももちろんですが、横山剣のセンスもキラリと光る作品になっています。

それだけの名曲なだけにこのアルバムではライブバージョンを含め3回も繰り返し収録されているのですが、さほど飽き飽きするような印象は受けません。「肉と肉」で言えば、9曲目の松坂MAXAでのライブバージョンは原曲よりも軽快な仕上がりになっていますし、13曲目のズクナシとのコラボバージョンでは、ズクナシのコーラスラインが印象に残るアレンジとなっています。

その後のボーナストラックはMCもそのまま収録してライブの雰囲気が伝わってくるような音源や、ズクナシの「左折右折」を一緒に歌う「ユカリとズクナシの左折右折」も収録。とくにズクナシとのコラボはお互いの相性もピッタリ(ボーカルの雰囲気も似ているし・・・)。絶好のコラボ作となっています。

そんな中、特に素晴らしかったのが「喝采」のカバー。個人的にもともと好きな曲なのですが、緩急つけたボーカルで情感たっぷりに歌い上げており、強く心に残ります。この曲は典型なのですが、彼女のボーカル、決してソウルフルに張り上げるだけではなく、抑える部分ではきちんと抑えて、とても表現力豊かなボーカルを聴かせてくれます。「肉と肉」といい、このカバーといい、今回のアルバムでは特に彼女のボーカリストとしての表現力が光ったように思います。

全体的には歌謡ソウルの「ソウル」の部分も目立ったアルバム。なによりボーカリスト大西ユカリの実力が存分に発揮されたアルバムのようにも感じました。生誕50周年を迎えてまだまだ脂がのりまくっている彼女。まだまだそのパワフルなボーカルは衰えを知らなさそうです。

評価:★★★★★

大西ユカリ 過去のアルバム
HOU ON
やたら綺麗な満月
直撃!韓流婦人拳(韓国盤)
直撃!韓流婦人拳

ニガイナミダが100リットル

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2015年3月15日 (日)

突如のリリース

Title:If You're Reading This It's Too Late
Musician:Drake

2月13日に突如リリースされたアメリカのHIP HOPミュージシャンDrakeのニューアルバム(建付け的には「ミックステープ」)。事前の告知も一切なしのリリースで、かつダウンロードのみでのリリースという形態が話題になりました。

そんな発売方法だったにも関わらず、アメリカをはじめ全世界32か国で1位を獲得。さらにこのアルバムから10曲もがアメリカのHIP HOP/R&Bチャートにランクイン。前作「Nothing Was The Same」も驚異的なセールスを記録して話題となりましたが(日本では残念ながらそれほど感じられないのですが)非常に高いDrakeの人気を感じることが出来ます。

今回のアルバムでは、あのLil Wayneや、Drakeが設立したレーベル、OVOに所属しているPARTYNEXTDOOR、さらにはカニエ・ウェストに見いだされ、プロデューサーとして彼が率いるVery G.O.O.D. Beatsに所属しているTravi$ Scottといった、話題のラッパーたちが参加していることでも話題を呼んでいます。

さてDrakeといえば、デビュー当初はそのメランコリックなサウンドが印象的だったのですが、前作「Nothing Was The Same」では一転、重低音を強調したいまどきのエレクトロサウンドに仕上がっていました。基本的には今回のアルバムもその方向性を踏襲したイメージ。むしろサウンド的にはさらに「純化」を進めているような印象もあります。

音数はかなり絞り込みシンプル。リズムを強調しつつも、静かで、どこか物悲し気、メロウな雰囲気のミニマルなトラックがメイン。エレクトロのビートを強調した「Know Yourself」やメタリックなサウンドが聴こえてくる「Company」など、曲によってそれなりにバリエーションを持ちつつ、全体的には統一感を覚えるサウンド。それも比較的、ラップやメロディーを引き立てたトラックになっていたように感じます。

そして今回のアルバムで一番の特徴は、ラップのアルバムでありながらも非常にメロディアスな内容に仕上がっていたという点でしょう。

もともとDrakeのアルバムは、ラップのアルバムでありながらも歌心あふれるアルバムが特徴的でしたが、今回のアルバムもその路線をきちんと引き継いでいます。1曲目を飾る「Legend」からしてまず歌モノの作品。続く「Energy」もラップの作品でありながらもとてもメロディアスな作品になっています。

その後も基本的にしんみりと物静かな雰囲気の、しかしメロディアスな作品が並んでいきます。特に「Jungle」あたりはまさにこのアルバムの内容を一番あらわしている楽曲。メロディアスなラップにシンプルでビートを強調したエレクトロトラック。発売の数時間前にショートフィルムでこの曲が先行で発表されたようですが、確かにこのアルバムを代表する曲だと感じます。

ただ、そんなメロディーは決して派手でインパクトあるものもではありません。トラックも特徴的なものは少なく、そういう意味ではアルバム全体として地味という印象もあります。それが今回、フィジカルではなくダウンロードオンリーでリリースした大きな理由かもしれません。それでも大ヒットを記録した今回のアルバムは、ちゃんとDrakeとしての魅力をしっかりと感じされるアルバム。それだけに大ヒットの理由も納得の傑作です。

評価:★★★★★

DRAKE 過去の作品
Thank Me Later
TAKE CARE
Nothing Was The Same


ほかに聴いたアルバム

Ultraviolence/Lana Del Rey

前作「Born To Die」が大ヒットを記録し、一躍注目を集めたアメリカのシンガーソングライターの新作。前作ではハイプな雰囲気もあったものの、本作もビルボードでも見事1位を獲得し、しっかりと人気を確実なものとしています。

そんな期待の新作ですが、彼女の美しいボーカルと、それをしっかりと活かした幻想的な雰囲気の楽曲の数々が実に魅力的。これはかなりおもしろいかも・・・と思いアルバムを進めていくのですが、正直似たような雰囲気の曲が多く、最後にはちょっと飽きが来てしまったかも。この傾向、前作「Born To Die」でも一緒だったような・・・。

評価:★★★★

Lana Del Rey 過去の作品
Born To Die

True:Avicii By Avicii/AVICII

EDMミュージシャンAVICIIが、アルバム「True」を自らセルフリミックスしたアルバム。EDMという一言ではおさまらなかったようなバリエーションの多い「True」に対して本作はそのバラエティーの多さを生かしつつも、全体的にはトランシーな作品が多く、良くも悪くもちょっとベタさも感じられました。

評価:★★★★

AVICII 過去の作品
True

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2015年3月14日 (土)

京都の山村より

Title:かがやき
Musician:高木正勝

今やトヨタ自動車やJAL、docomoなどといった日本の名だたる企業のCMソングを手掛けたり、「おおかみこどもの雨と雪」など数多くの映画音楽を手掛けるなど、その活躍が目立つ、ミュージシャンで映像作家でもある高木正勝。そんな彼は2013年の夏より、生まれ育った京都府亀岡市より、京都と兵庫の県境の山村に移り住んだそうです。そんな里山から、数多くの大企業のCMソングが産みだされてきたことが産みだされてきたことが驚き。そしてそんな京都の山村から待望のニューアルバムがリリースされました。

今回のアルバムも2枚組。さらにDISC1は70分超え、DISC2も60分を超えるフルボリュームの内容となっています。そして今回のアルバムでユニークなのはDISC1の方。こちらはいわば純然たるオリジナルアルバムとなるのですが、この山奥の山村で録音された様々な音が収録されているほか、「うたがき」と題された3部作は、この京都から遠く離れたエチオピアで録音された音がおさめられています。

さながらフィールド録音のような雰囲気のDISC1では、森の音、水の音、鳥の声、虫の声といったいかにも森の中といった雰囲気の音のみならず、子供たちの遊び声や、さらには曲によっては、おそらくその山村で知り合った方なんでしょうね、老婆の歌や語りなんかも収録されています。

この老婆の歌や語り、おそらく地元の素人を起用しているものと思うのですが、これがまた実に味のある歌を歌っています。もちろん、歌にあったようなアレンジや曲のつくり方をしていると思うのですが、下手な若手歌手には到底出せないような、微妙な感情が歌の向うから感じられます。なんでも97歳のおばあちゃん(!)のようですが、その長い人生からくる深みを感じるボーカルです。

ただそんな山村でのフィールド録音なのですが、「日本の山村の雰囲気をそのままおさめた」という感じではありませんでした。むしろ高木正勝の創りたい音楽のイメージが先にあって、そこに山村で収めた音を割り振っている、そんな印象を受けます。そして彼の基本的な音楽の方向性は以前から変わりません。ピアノやストリングスを用いた、メロディアスで優しい雰囲気、でもちょっとだけゆがんだ部分を感じられ、それが癖となるそんな音楽の世界。そんな音楽の中、京都の山村の雰囲気が上手く溶け込んでいました。

まただからこそ、そんな日本の山村から大きく離れたエチオピアで録音された音が、違和感なくひとつのアルバムの中におさまっているのでしょう。そんな「うたがき」で収録された音は、やはりエチオピアで録音された音ということで、京都の山村とはちょっと異なる雰囲気。でもそれがいい感じでアルバムの中でインパクトとなっていました。

一方DISC2の方は1曲目から9曲目までがNHK福井放送局制作の開局80 周年記念ドラマ「恐竜せんせい」オリジナル・サウンドトラック、その後は映画「夢と狂気の王国」のサントラとなっています。

こちらはサントラ盤ということもあって、ピアノがメインとなるシンプルでメロディアスな曲が並んでいます。こちらも1時間以上のフルボリューム。正直サントラということもあってDISC1と比べると実験的要素が少ない無難な曲が並んでいるのですが、全33曲、1曲あたり平均2分弱という短い曲ばかりなので、次々と新しい曲が展開していき、さほど飽きることなく聴くことが出来ました。

DISC1とDISC2で独立したアルバム。評価としては高木正勝の曲のイメージに、京都の山村の音が見事溶け込んだDISC1は文句なしの傑作。一方、DISC2は4つといった感じでしょうか。ただどちらもしっかり高木正勝の魅力が詰め込まれた作品だと思います。数多くのCMや映画にひっぱりだこの彼ですが、その評価も納得のアルバムです。

評価:★★★★★

高木正勝 過去の作品
Tai Rei Tei Rio
TO NA RI(原田郁子+高木正勝)
おむすひ


幻のSP盤復刻!~ニッポン・モダンタイムス・シリーズ~スウィング・パラダイス

既に3月中旬ですがまだ続いていた2014年話題のアルバムの後追い企画。本作は、レコードコレクターズの2014年リイシューベストの歌謡曲/芸能部門の1位。戦前のSP盤のうち、洋楽テイストの曲をCDで復刻したニッポン・モダンタイムスシリーズ。基本的に以前からこのシリーズは好んで聴いていただけに、今回は「後追い」というよりも、レココレのベストで聴き逃していたことに気が付いたアルバムでした・・・。

「スウィング・パラダイス」とついていますが、スウィングジャズという括りよりも、もっと広く洋楽テイストの曲が並んでいる内容。もちろんそれなりの時代は感じさせるものの、今の耳でも十分楽しめるような曲も多く、なにより音楽全体に明るさが感じられます。「安来ルンバ」のような、安来節とルンバを融合させたような実験テイストあふれる曲もユニーク。戦前という時代をイキイキと感じることが出来る名企画です。

評価:★★★★

ニッポン・モダンタイムス 過去の作品
ニッポン・スウィングタイム
Swing Time 1928-1941
SWING GIRLS 1935-1940
Sweet Voices~ニッポンのスウィング・エラ~KING&TAIHEI collection 1934-1942

私の青空~二村定一ジャズ・ソングス(二村定一)
Empire of Jazz(ディック・ミネ)
ジャズを歌う(藤山一郎)
La Tanguista(松島詩子)
唄の世の中~岸井明ジャズ・ソングス(岸井明)
ベル・エポック~日本のシャンソン黄金時代
日本シャンソンの歴史 Histoire de la chanson au Japon

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2015年3月13日 (金)

メロとサウンドが充実

Title:Lovable People
Musician:槇原敬之

ちょっと久しぶり、2年3ヶ月ぶりとなるマッキーのニューアルバム。今年デビュー25周年だそうです。「どんなときも。」のヒットからも24年だもんなぁ。もうそんなになるのか、としみじみとしてしまいます・・・。

歌詞に関してはちょっと「・・・」といった感じの曲が少なくないのですが、ここ最近、メロディーやサウンドに関して充実作が続いている彼。ちょっと久しぶりになる今回のアルバムもメロやサウンドに関しては充実している作品になっていました。

アコースティックにしんみりはじまる「ミタテ」から、イントロでマッキーらしさがさく裂。ちょっとナイアガラサウンドっぽいポップなアレンジも楽しい「Life Goes On~like nonstop music~」、ロッキンなギターサウンドが印象的な「可愛い人」など、バリエーションあるサウンドが続きます。

マイナーコード主体のメロにちょっとエスニックなサウンドがカッコいい「鋭く尖った細い月」は、最近のマッキーの曲としては珍しくちょっと「毒」の要素も感じられる曲。ノスタルジックな歌詞もインパクト十分。昔のヒット曲「彼女の恋人」をちょっとだけ思い出したかも。

その後も全英語詞の「Once Upon A Long Ago」も大人な雰囲気のAORを聴かせてくれますし、四つ打ちのリズミカルなサウンドが心地よい「Fall」も、タイトル通り、恋に落ちる瞬間を歌った歌詞もマッキーらしさを感じます。「言わせて下さい」のような演歌調のお遊びソングも愛嬌ですね。

終盤はピアノバラード「君への愛の唄」でしんみり聴かせ、スケール感ある「Alone」で終わらせる構成も見事。ここ最近、メロやサウンドについては「ハズレ」のなかった彼ですが、今回のアルバムもいい意味で安定感を覚える充実作に仕上がっていました。

一方歌詞に関してはやはり今回も良くも悪くも「キレイごと」に終始した歌詞はちょっと気になります。確かに「鋭く尖った細い月」のような作品もある一方、「新しいドア」みたいなあまりにストレートな前向き応援歌もあったりして(もっとも、がん検診キャンペーンのテーマ曲というタイアップ事情もあるのでしょうが)ちょっと気にかかります。

ただ、歌詞であらためてその内容を読むと「うーん」と感じる曲も少なくないのですが、メロとサウンドが充実した結果、曲を聴いていると説教臭い歌詞もさらっと聴けてしまい、アルバム全体としてはさほど気になりませんでした。まあ、露骨に説教臭い曲がなかった、というのも大きな要因でしょうが。その反面、ドラマ性、ストーリー性ある曲がなかった、という意味では歌詞のインパクトがちょっと薄目だった印象もありますが。

個人的には、「不安の中に手を突っ込んで」以来の出来かも。確かに往年のヒット曲に比べるとという部分はある反面、ベテランとしてのいい意味での安定感を感じる作品になっていました。デビューから25年を迎えた彼。これからもますます数多くの名曲を産みだしてくれそうです。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。


ほかに聴いたアルバム

VOCALIST 6/徳永英明

ご存じ徳永英明が女性ボーカルの曲をカバーするカバー企画第6弾。今回も数多くの名曲をカバーしていますがちょっと異色だったのが「寒い夜だから・・・」。trfの1993年のヒット曲ですが、ダンスチューンの原曲から一転、バラードナンバーに仕上げており、小室哲哉の書くメロディーの良さも感じられます。

ただ、決して悪いカバーアルバムではなく、むしろ今回もまたしんみり聴き入り楽しめたのですが、さすがに6枚目になると驚きみたいなものは感じられず、ちょっとマンネリ感もあるのも事実。「VOCALIST」シリーズはこれで最後とも公表しており、ちょうどよい潮時だったかも。

評価:★★★★

徳永英明 過去の作品
SINGLES BEST
SINGLES B-Side BEST

WE ALL
VOCALIST4
VOCALIST&BALLADE BEST
VOCALIST VINTAGE
STATEMENT

ARCHE/DIR EN GREY

オリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるアルバム。相変わらずメタルやハードコアと、メロディアスで哀愁感じるメロを融合させた楽曲は見事。今回もきちんと聴かせる作品を作ってきたのですが、全体的には目新しさは薄く、「おっ」と思うような瞬間にあまり出会えなかったような。良くも悪くもDIR EN GREYらしい、と感じた作品でした。

評価:★★★★

DIR EN GREY 過去の作品
UROBOROS
DUM SPIRO SPERO
THE UNRAVELING

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2015年3月12日 (木)

なんだかんだ言ってもまだまだ強いが

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週の1位。なんだかんだ言ってもまだまだ強いですね。

1位はB'zのニューアルバム「EPIC DAY」が獲得。約3年8ヶ月ぶり、久々となるニューアルバムです。初動売上は20万9千枚。直近作は2枚同時リリースのベスト盤「B'z The Best XXV 1988-1998」「B'z The Best XXV 1999-2012」で、初動はそれぞれ38万5千枚(1位)、37万7千枚(2位)だったのでこちらよりダウン。またオリジナルとしての前作「C'mon」の27万7千枚(1位)も下回りました。とはいえ、まだまだ十分1位を獲得できるだけの売上を上げており、根強い人気を感じます。

2位にはE-girlsとしても活動している女性アイドルグループFlowerのニューアルバム「花時計」がランクイン。オリジナルアルバムとしては2作目となるアルバム。初動売上5万7千枚は前作「Flower」の6万1千枚(3位)よりダウン。

3位にはアニソンを中心に歌っている女性シンガーLiSA「Launcher」が入ってきました。初動売上2万5千枚は前作「LANDSPACE」の1万7千枚(2位)からアップし、着実にシンガーとしての人気を伸ばしています。

続いて4位以下の初登場です。4位にはジョン・ヨンファ(from CNBLUE)「ある素敵な日」。韓国の4人組バンドCNBLUEのボーカリストによる初のソロアルバム。1月にリリースされた韓国語盤の日本語バージョンだそうです。

5位には鈴木雅之「ALL TIME BEST ~Martini Dictionary~」がランクイン。シャネルズとしてデビューしてから35年を迎える彼のオールタイムベスト。鈴木雅之としての作品のみならず、シャネルズ、RATS&STAR時代の作品も収録されています。初動売上は2万枚。直近作はカバーアルバムの「DISCOVER JAPAN II」で、こちらの初動4千枚(17位)よりは大幅増。ベスト10入りは、現時点での最新のオリジナルアルバム「Open Sesame」以来で、こちらの初動売上5千枚(10位)よりも大幅アップという結果となっています。

7位にも同じようなオールタイムベストがランクイン。東京スカパラダイスオーケストラ「The Last」。こちらはデビュー25周年を迎える彼らのベスト盤。昨年リリースされたオリジナルアルバムが「SKA ME FOREVER」で今回が「The Last」。え?まさか解散??と一部でファンを不安にさせたものの、そういう訳ではなく、スカパラの活動は今後も続くそうです。初動売上は1万2千枚。その直近作「SKA ME FOREVER」(5位)から横バイ。ベスト盤としては前作「BEST OF TOKYO SKA 1998-2007」の6万9千枚(2位)からは大きくダウンしてしまいました。

9位にXIA「FLOWER」がランクイン。元東方神起で、現在はJYJとして活動するジュンスのソロアルバムで、これが3枚目となります。初動売上1万枚は、前作「Incredible」の7千枚(13位)からランクアップ。

最後10位にはスクリーモバンドFACT「KTHEAT」が入ってきました。初動売上9千枚は前作「WITNESS」の1万2千枚(7位)からダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年3月11日 (水)

2大巨頭(?)揃い踏み

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、AKB48、EXILEという、おそらく今もっとも日本でCDが売れている(人気があるとは言っていない)シンガーのうち2組のシングルが同時にランクインしています。

1位はAKB48「Green Flash」がランクイン。メロウな感じのしんみり聴かせるナンバー。途中、ラップが入るのも特徴的。初動売上は100万1千枚で、前作「希望的リフレイン」の113万枚(1位)から大きくダウン。ついに初動100万枚記録も後がなくなりました。

それなりに関連イベントの数も増やしたりしているようですが、おそらく「複数枚買い」戦略もそろそろ限界に達してきているのでしょう。次回作は例の「総選挙」がらみのCDなので初動売上は大きく伸びそうですが、その次の作品の動向が悪い意味で注目されます。

そして一方2位初登場がEXILE「情熱の花」。ラテンフレーバーで妖艶なナンバー。今回もMUSIC CARD18種同時発売というドーピング仕様ですが、初動6万6千枚は前作「NEW HORIZON」の14万7千枚(1位)から半減以下。前々作「No Limit」の7万5千枚からも下がってしまいました。

3位にはKis-My-Ft2のうち、フロントメンバー以外の4人から構成されるユニット、舞祭組「やっちゃった!!」がランクイン。今回もコミカルなテイストのナンバー。初動売上5万7千枚は前作「てぃーてぃーてぃーてれって てれてぃてぃてぃ 〜だれのケツ〜」の7万7千枚(2位)からダウン。今回も前作に続き日曜日販売というスタイル。彼らが結成されるきっかけとなったバラエティー番組「キスマイBUSAIKU!?」で、彼らの曲が1位を取れなければ罰ゲームという企画があるそうで、あきらかに「ワザと」でしょう。

続いて4位以下の初登場ですが、4位5位は韓流男性アイドル。4位超新星「きっと」、5位にはWOOYOUNG(From 2PM) 「R.O.S.E.」がそれぞれランクイン。超新星はいかにもK-POPなEDMアレンジのポップチューン。初動5万4千枚は前作「WINNER」の10万2千枚(3位)より大幅減。約1年半ぶりのシングル。2014年よりメンバーの1人ソンジェが兵役のため活動を休止。今回は残ったメンバーのみでの活動再開となった模様。WOOYOUNGはファンクポップなナンバー。こちらも男性アイドルグループ2PMのメンバーで、日本でのソロデビュー作がいきなりのベスト10ヒットとなりました。

6位には日本の男性アイドルグループLead「My One」が入ってきました。初動売上3万5千枚は前作「想い出ブレイカー」の4万3千枚(4位)からダウン。

8位初登場は氷川きよし「さすらい慕情」。今回も何ら面白味も個性もないド演歌路線。この人、昔はもっとバラエティー富んだタイプの曲を歌っていたよね??ここ最近、やっつけさも感じられるベタなド演歌路線が続いているような。初動売上2万8千枚は前作「ちょいときまぐれ渡り鳥」の5万3千枚(3位)より大幅減。ただ今後、コンサートでのCD売上などで稼ぐんでしょうが・・・。

9位にはコブクロ「奇跡」がランクイン。テレビ朝日系ドラマ「DOCTORS 3 最強の名医」主題歌。カントリー風のリズムが軽快なナンバー。初動売上2万8千枚は前作「陽だまりの道」の3万7千枚よりダウン。アルバムからのリカットシングル「今、咲き誇る花たちよ」を除いて、ここ数作、6万3千枚→3万7千枚→2万8千枚と急落傾向なのが気にかかります。

最後10位にはアイドルグループDorothy Little Happyのメンバー3人によるユニットcallme「To shine」がランクイン。高校を卒業したメンバーが「卒業制作」として自ら作詞作曲振付を手掛けた曲だそうです。出来としては正直、美大生あたりがつくりそうな、「どこかで見たことのあるような作風の切り貼り」レベルですが、はじめて作った作品としては出来は良いのでは?

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2015年3月10日 (火)

サーカスの楽しさ

Title:テアトル・テアトル
Musician:チャラン・ポ・ランタン

今、一部で大きな評判となっている女性2人組グループ。ももと小春の2人姉妹からなるユニットで、twitterの創業者として知られるJack Dorseyが、そのフォローリストに入れているということでも話題となりました。本作は、そんな彼女たちのメジャーデビュー作となります。

ボーカルとアコーディオンという2人組編成の彼女たちが奏でるのは、アコーディオンを主体とした、軽快でチャイルディッシュな雰囲気のアコースティックなポップ。ジャンル的にはバルカン音楽というそうですが、おそらく一般的なイメージとしてはサーカスで演奏されてそうな音楽、という雰囲気がピッタリ来るかもしれません。

ユニークなのは、このバルカン音楽を主体をしつつも、ここにシャンソンの要素を強く加えている点。そのため、単純に明るいだけのポップスにとどまらず、哀愁を感じさせるメロディーが心に響きます。「蕾」「美しさと若さ」あたりがそんなシャンソン的な要素が強い曲でしょうか。さらにシャンソンのスタンダードナンバー「愛の讃歌」のカバーなども収録されています。

かと思えば「ワーカホリック」みたいなファンクに挑戦している曲があったり、「季節は廻る」みたいなフォーキーな曲もあったり、基本、アコーディオンが似合う音楽をベースとしながらもジャンルにとらわれない音楽性が大きな魅力となっています。

またそんな楽曲にピッタリくるような寓話的な歌詞も特徴的。ある男性を描いたユーモラスな「ムスタファ」などはまさに音楽の雰囲気にもピッタリマッチしますし、閉鎖される遊園地を描いた「さよなら遊園地」もしんみり心に響いてきます。

そんな彼女たちが奏でる音楽の世界は、まさに無条件でワクワクするような楽しさに満ち溢れています。ただその一方、どこか彼女たちの音楽にはどこか物悲しさも感じられます。彼女たちの音楽は、サーカスで流れていそうな音楽、と書いたのですが、楽曲の雰囲気自体、無条件で楽しいけど、どこか物悲しさも感じてしまう、サーカスと同じような空気を感じます。

しかし彼女たちの曲、なんといってもライブで聴くと楽しそうだなぁ~と感じるような楽曲の数々。これは一度ライブを見てみたいですね!

とまあ、無条件で楽しいアルバムだった一方、いくつか気になった点もありました。まず1点目はボーカル。ボーカルのももは、声量もあるし音程も安定しているし間違いなく「うまい」ボーカルだと思います。ただ、表現力が教科書的というか、平坦でいまひとつ味がありません。一番顕著に感じたのが「愛の讃歌」のカバー。うーん、この曲に関しては表現力の薄さがちょっと厳しいものも感じました。彼女のボーカルは「上手い」ではなく「巧い」んですよね。ただ、まだ22歳という若い彼女。これから経験を踏めば、味のある「上手い」ボーカリストになりそうな予感はします。

もうひとつは、歌詞にもうひとひねりが欲しかったかも、という点。彼女たちの歌詞は寓話的な歌詞が目立つ反面、「ムスタファ」などのようにオチがいまひとつという点を感じてしまいました。歌詞も曲にピッタリあっているその方向性自体はいいと思うのですが・・・個人的にはもうひとひねりしてほしいなぁ。

そんなマイナス点をいろいろと感じるのですが、逆にこれからまだまだ伸びしろのあるミュージシャンにも感じました。評価は今後の期待も含めて。ただ、無条件でワクワク楽しめた1枚なのは間違いありません。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ハッピーポンコツランド/キュウソネコカミ

関西を中心に活動を続ける5人組パンクロックバンドの、メジャーから2枚目となるミニアルバム。独特の視点からユーモラスに世間を描いた歌詞に、とにかく勢いのあるパンクロックが特徴的。全8曲32分、聴いていてあっという間に過ぎ去ってしまうような内容でインパクトも十分。ただ、前作「チェンジ ザ ワールド」と比べてしまうと、いまひとつ楽曲の雰囲気も聴かせ方もパターンが似通ってしまっている感じが。パンクロックというジャンル的に勢い重視な部分もあるので仕方ないのかなぁ、とも思うのですが・・・。ただ、このアルバムもアルバムで間違いなく彼らの魅力の詰まった、なによりも聴いていてとても楽しいアルバムなので、最初の1枚としてはお勧めだとは思います。

評価:★★★★

キュウソネコカミ 過去の作品
チェンジ ザ ワールド

colorful/辛島美登里

オリジナルアルバムとしてはなんと7年ぶりとなる辛島先生の新作。正直なところ、人気の面ではいままでのような勢いはなく、こういうタイプのベテランシンガーの新作って、とりあえず新作を出して活動してます的な体を整える程度のやっつけ感のある作品になるケースが多いのですが・・・これが今回のアルバム、シンセやストリングスを効果的に用いたアレンジがかなり凝っていて、ビックリしました。で、調べると今回、プロデューサーに冨田恵一を起用しているんですね。いい意味でベテランらしからぬ攻めの姿勢を感じます。

ただ一方で、メロディーと歌詞については良くも悪くもベテランらしい安定感が出てしまっています。ヒット曲の「サイレント・イヴ」「あなたは知らない」も再録されていますし(ただ「サイレント・イヴ」のリアレンジはなかなかおもしろかったのですが)。アレンジの攻めの姿勢に比べると、こちらはかなり保守的な感じ。どこか物足りなさは否めませんでした。

評価:★★★★

辛島美登里 過去の作品
オールタイムベスト
辛島美登里 パーフェクトベスト

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2015年3月 9日 (月)

生きる喜び

Title:SHINE LIKE A BILLION SUNS
Musician:BOOM BOOM SATELLITES

昨年の12月31日、このニューアルバムのリリースに先立ち、ベースの中野雅之からショッキングな報告がありました。それは、ギターボーカルの川島道行が昨年3月のツアーの直後に3度目の脳腫瘍が再発し、余命2年という報告を受けたこと。ただ、その後、特殊な放射線治療を見つけ出し、現在は腫瘍拡大を食い止めている状況という報告でした。

以前にも脳腫瘍でツアーが中止という出来事があったのですが、それが再発、さらにはかなり命に関わるレベルまで進展していたというニュースに驚くと同時に、ひとまずの小康状態というニュースに安心しました。

その後にリリースされたニューアルバムということでどうしても川島道行の件が頭をよぎりながらアルバムを聴きはじめました。そうすると印象的だったのがこのアルバム、その川島道行の透き通った歌声からはじまるという構成。「SHINE」はタイトル通り、非常に爽やかな雰囲気のナンバーになっていて、まるで彼の生きている喜びを歌っているようにすら感じました。

今回のアルバムでは続く「ONLY BLOOD」も爽やかな雰囲気の楽曲が続いており、前半はアルバム全体に明るい雰囲気を感じました。そうするとどうしても、川島道行の現状から考えると、脳腫瘍を乗り越えた明るさを歌っているのではないかなぁ、ということを感じました。

ただ一方、アルバム全体の出来としては、今回のエレクトロサウンドやダイナミックなバンドサウンドを取り入れた迫力ある独特のロックを奏でていながらも、全体的には、彼らにしてはもう一歩だったかな、という感想を持ちました。

本作では中盤は「VANISHING」「BACK IN BLACK」など、へヴィーなギターサウンドや力強いドラムスを前に押し出した、バンドサウンドを全面的に取り入れたような曲が並んでいます。一方インターリュードを挟んだ後半では一転エレクトロサウンドが主軸になったような曲が並びます。「BLIND BIRD」「OVERCOME」あたりがその路線。ただし、今風のEDMといった流行に走ることなく、デビュー以来の彼らが培ってきた、エレクトロとロックの融合という路線は今回でも一貫しています。

1曲1曲に関していえば今回もクオリティーは間違いなく高いですし、彼ららしい独特のサウンドを作り上げています。ただ、基本的にいままでと比べて特別、斬新と感じるようなことをやっているわけではありませんし、また、以前の彼らの曲にあったような、聴いているだけでテンションがあがるような高揚感ある曲も残念ながらありませんでした。

そういう意味ではアルバムの出来は決して悪くはありません。序盤、中盤、後半とタイプの違う曲が並ぶ構成で最後まで飽きさせません。ただ、BOOM BOOM SATELLITESというバンドとしてはあと一歩だったように思います。

とはいえ、川島、中野の2人なら、まだまだこれからも傑作アルバムをリリースしてくれるはず。これからのBOOM BOOM SATELLITESにも期待です。

評価:★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED
EMBRACE
EXPERIENCEDII


ほかに聴いたアルバム

Dream Catcher/浜田省吾

浜省10年ぶりの新譜。映画「アゲイン 28年目の甲子園」の主題歌「夢のつづき」に、映画の題材となっている「マスターズ甲子園」で使用されている曲や野球をテーマとした曲の再録音版、また、映画のテーマに沿って彼が選曲した曲などが収録されている企画盤的なミニアルバム。その新曲「夢のつづき」はちょっとフォーキーな雰囲気でしんみり聴かせるナンバーですが、大人になっていく子供を見つめる親の視点を描いた歌詞がなかなか泣かせます。基本的に他の曲に関しては浜省らしいナンバーが並んでいるのですが、歌詞で聴かせるナンバーも多く、特にファンでもない私は再録モノもはじめて聴いた曲がほとんどなのですが、浜省の魅力をきちんと感じられるようなミニアルバムになっていました。

評価:★★★★

浜田省吾 過去の作品
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend

Best of Tornado/凛として時雨

3ピースバンド凛として時雨、初のベスト盤。ハイトーンのツインボーカルにハイテンションでエキセントリックなサウンドが特徴的。序盤は似たような雰囲気の曲が並んでいるのですが、後半以降、ハイトーンボーカル+エキセントリックなサウンドに軸足を置きながらもサイケだったりハードコア風だったファンキーだったりとバリエーションに富んでくるのがおもしろいところ。ここ最近、ソロでの活動が目立っている彼らですが、そろそろ「凛として時雨」としてのニューアルバムも期待したいところですが・・・。

評価:★★★★★

凛として時雨 過去の作品
just A moment
still a Sigure virgin?
i'mperfect

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2015年3月 8日 (日)

R&Bへの回帰

Title:Non-Fiction
Musician:Ne-Yo

約2年3ヶ月ぶりとなるアメリカのR&B系シンガーソングライターNe-Yoのニューアルバム。ここ最近、流行のEDMを取り込んだような楽曲が多かったのですが、本作は、原点回帰ということをテーマとしたナンバー。彼の原点であるR&Bを主軸においたアルバムを仕上げてきました。

そんな彼の新作は、そんな原点回帰といったテーマゆえに、メロウなR&Bチューンが多いアルバムになっています。例えば序盤を飾る「Everybody Loves/The Def of You」のメドレーや「Run/An Island」のメドレーなどはまさにそんな「メロウ」な部分を前面に押し出したナンバー。しんみりとその歌声を聴かせてくれます。

そんな中、特に印象的だったのが「Take You There」。R&Bのバラードはある意味王道と言えるひねりのないナンバーなのですが、情感たっぷりの歌声が心に響くナンバー。他にも女性シンガーJeezyのソウルフルな歌声とのからみもインパクトがある「Money Can't Buy」も印象的なナンバーでした。

特に前半は、そんな王道ともいえるR&Bチューンをメインにバラエティー富んだ作品も多く、軽快なフレンチエレクトロ風なサウンドを聴かせてくれる「Time of Our Lives」。前作でも登場した、マイケル・ジャクソンからの影響が顕著な「Coming With You」などといったナンバーも楽しめます。

正直言って、このメロウな王道R&Bという路線をとった今回の作品はちょっと地味という印象も否めず、一回聴いた感じだと物足りなさも感じてしまうかもしれません。ただそれでも、心に残るような歌声とメロディーをしっかりと聴かせてくれており、聴き終わった後、彼の唄が、どこか心の中に染みいっていることに気が付かされるアルバムだったように思います。

・・・ただ、そう感じるのは前半。このアルバム、後半に関しては正直言って、ちょっといまいち・・・というよりも途中で飽きが来てしまいました。

前半も比較的地味な内容だったのですが、後半は前半同様の地味な路線が続くため、どうしても途中からダレてきてしまいます。それでもアルバムの長さがそこそこなら最後まで楽しめたのでしょうが、国内盤ではボーナストラックを含めて全23曲1時間24分もの長さ。ただでさえ最後まで聴き切るのが厳しい長さなのに、地味なこの作品、最後まで一気に聴き切るのは厳しい長さになっていました。

個人的には、15曲程度に絞って、1時間程度の長さならば十分傑作と言えるだけの内容だったと思うのですが・・・そういう意味ではちょっと残念なアルバム。アルバムの長さは長けりゃいい、曲を詰め込めばいい、という訳じゃないと思うんだけどなぁ。

評価:★★★★

NE-YO 過去の作品
Because Of You
NE-YO:THE COLLECTION
LIBRA SCALE

R.E.D

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2015年3月 7日 (土)

話題のドラゲナイも収録

Title:Tree
Musician:SEKAI NO OWARI

昨年は紅白に初めての出場を果たし、その特徴的なパフォーマンスが話題に。その時に歌っていた「Dragon Night」が、リエゾンされた形で「ドラゲナイ」という空耳が意味不明ながらもネット上、よく使用されるスラングとなりました。

そんなことも話題になりつつ、おそらく現在、若い世代の間で最も人気のあるバンドだと思うSEKAI NO OWARI。今、間違いなくもっとも勢いのある彼らの最新作は、その勢いを反映された作品になっています。シングル曲とそのカップリングがアルバムの中の高い割合を占めているものの、アルバム全体としてインパクトある曲が多く、ミュージシャンが最も勢いのある時に作ったような、非常に脂ののった状況を覚えます。

ただ一方、ご存じのように若い世代に絶大な支持を受ける反面、「中二病バンド」として揶揄されてアンチも多い彼ら。確かにファンタジックな歌詞の世界観は受け入れられない人には受け入れられないかも。ただ、このファンタジックな世界観はアルバムを経ることによりその傾向が強くなり、「ドラゲナイ」は典型的なのですが、今回のアルバムは、ファンタジーの世界を全面的に押し出したアルバムになっています。そういう意味ではこの方向性が苦手、という方にはかなり厳しいアルバムかもしれません。

そんな彼らですが、アルバムを聴いて強く感じたのはFukaseの書くメロディーラインの魅力でした。ファンタジックな世界観にあったドリーミーな雰囲気のポップソングがメインなのですが、勢いではなくちゃんとメロディーラインで聴かせるポップソングは、歌詞の好き嫌いは別にしてやはり聴いていて純粋に楽しくなってくるワクワク感がつまっています。なにげに「美メロ」といっていいほどのメロディーのセンスの良さはもっと評価されてもいいのでは?今回のアルバムを聴いて、そう強く感じました。

しかし一方で疑問に感じたのは歌詞の方でした。いや、ファンタジックな世界観はいいんです。好き嫌いはわかれると思いますが、これは彼らの特徴なんだから。もっとも、人魚やら竜やら、いかにもな様式化されたファンタジーの世界はちょっと薄っぺらさも感じるのですが、そのわかりやすさもひとつの魅力なのだから仕方ない部分を感じます。

それよりも気になったのは、彼の書く歌詞が悪い意味で「わかりやすすぎる」部分を感じる点でした。例えば「マーメイドラプソディー」という曲、水族館で見世物になっている人魚を使いつつ、「人の幸せを勝手に決めつけるな」という点をテーマとした曲。そのテーマ自体は問題ないと思うのですが、そのテーマを歌詞の中で明確に歌ってしまっています。

その傾向は他の曲でも顕著で、「RPG」では

「『方法』という悪魔にとり憑かれないで
『目的』という大事なものを思い出して」

(「RPG」より 作詞 Fukase)

なんて楽曲のテーマをストレートに歌ってしまっていますし、話題の「Dragon Night」でも

「人はそれぞれ『正義』があって、争い合うのは仕方ないのかも知れない
だけど僕の嫌いな『彼』も彼なりの理由があるとおもうんだ」

(「Dragon Night」より 作詞 Fukase)

とあまりに身も蓋もなく、そのまんまのテーマを歌ってしまっています。

要するに彼の書く歌詞は、テーマをそのまま歌詞に織り込んでしまい、リスナーに解釈の余地を与えない傾向にあります。ただ、はっきりいって、テーマをそのまま載ってた歌詞は全くおもしろくありません。確かにわかりやすさはありますが、ある一定のライン以上をぼやかしてリスナーに解釈の余地を与えた方が歌詞として深みが出てきますし、おもしろさも感じます。

よく「中二病」と言われる彼らですが、こういう楽曲のテーマをあまりにもわかりやすく提示するスタイルが、悪い意味で「子供向け」といった印象を受けてしまいます。そうじゃなくて、例えば「マーメイドラプソディー」とかにしても、歌詞の中で使われている「自由」だの「不自由」だのといった言葉を使わなくても、「実は自由な海原よりも、みんなが会いに来てくれる水族館の方が好きだ」という物語を通じて、テーマは十分伝わると思いますし、テーマをあえてあいまいにした方が、曲の世界観がより広く広がると思います。

もうちょっとはっきり言ってしまえば、正直Fukaseは歌詞に関しては下手だと思っています。多分、このテーマをストレートにリスナーに提示する歌詞の構成に「子供っぽさ」を感じてしまいますし、実は彼らが「中二病」と言われる要素って、歌詞の内容以上に、そういう部分が多いに影響しているんじゃないか、とすら感じてしまいました。

今回のアルバム、全体として勢いがあり、かつメロディーが非常に魅力的だったが故に、歌詞のまずさがより目立ったように感じます。正直、ファンタジックな世界観やそのテーマではなく、歌詞の構成自体をもうひとひねりしてほしいなぁ。

評価:★★★★

SEKAI NO OWARI 過去の作品
EARTH
ENTERTAINMENT

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2015年3月 6日 (金)

安定感の中、少しずつ変化

Title:Burning Tree
Musician:GRAPEVINE

SPEEDSTAR移籍後、初となるGRAPEVINE2年ぶりの新作。毎回、いい意味での安定感を覚える傑作をリリースし続ける彼らですが、久々のニューアルバムもまた、間違いなく傑作に仕上がっていました。

その「安定感」という意味では確かに「マンネリ」という部分もあるのは否めません。ただ彼らの曲が素晴らしいのは、楽曲の根底に感じるR&Bのグルーヴ、メランコリックなメロディーライン、そして「難解」とも評される田中和将の書く歌詞というGRAPEVINEらしさを保ちつつも、アルバム毎にその姿を少しずつ変えているという点。そのため、デビューから18年がたった今でも、彼らのアルバムを聴いて「飽きる」という感触を抱くことがありません。

そして今回のアルバムの特徴に感じたのは、全体として爽やかで優しい雰囲気のサウンドになっている点でした。例えば今回のアルバム、最初はウォーター・ドラムの爽やかな音からスタート。人生をカーニバルに例えた歌詞が印象的な「Big tree song」は祝祭色の強い明るいサウンドが心に残ります。

その後もバンドのグルーヴを生かした、というよりもシンセの音などを多用しつつ、爽やかさを感じられるサウンドが目立ったように思います。ストリングスとピアノを入れつつ、非常に切なさを感じられるメロディーと歌詞が印象的な「Weight」もどこか爽やかさを感じられますし、打ち込みを入れつつ、メロウなAOR風にまとめた「MAWATA」もまた、シンセのサウンドが爽やかに聴こえます。

一方で先行シングルである「Empty song」はバンド色の強いナンバーになっていましたし、「Esq.」などもバンドサウンドを聴かせる楽曲に。ただ、ここらへんのナンバーも、思いっきり黒いグルーヴを聴かせる、というよりも比較的シンプルでストレートなギターロック。爽やかな雰囲気の楽曲の中にすんなりと溶け込んでいます。

また、歌詞の世界は、あいかわらず深読みは出来るものの、ここ最近の傾向として比較的わかりやすさを残しているのが特徴的となっています。ある意味、ミュージシャンとしての決意を感じられる「Empty song」や、

「このまま目を塞いでいれば怖くはない
禍々しい世界を見ないでいいのに

このまま手を繋いでいれば怖くはない
その目を開けたら朝が来るように」

(「アルファビル」より 作詞 田中和将)

なんていう、この厳しい現実の中での希望を歌った「アルファビル」あたりも、あくまでも彼らにしてはですが、歌詞にわかりやすさを感じます。もっともそれでもいくらでも深読みできるような歌詞はちゃんと健在で、そういう意味ではわかりやすさと奥深さの間でほどよいバランス感覚を覚えました。

そんな訳で、あいかわらずのいい意味での安定感を覚えたGRAPEVINEの、今回のアルバムも傑作アルバム。しかし本当に、長く聴き続ければ聴きつづけるほどいいバンドだよなぁ、彼らは。まだまだこれからもその活躍が非常に楽しみです。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE
愚かな者の語ること


ほかに聴いたアルバム

5 Years 5 Wolves 5 Souls/MAN WITH A MISSION

頭は狼、身体は人間という奇抜な設定でシンセを多用したメロディアスなミクスチャーロックを奏でるロックバンドの初のベスト盤。今、もっとも勢いと 人気のある若手バンド。ただ、個人的には以前からいまひとつピンと来ない部分があり、今回のベスト盤を聴いても、残念ながらその印象は大きく変わらず。お そらく最大の理由は、洋楽テイストが強くハードなバンドサウンドと裏腹に、メロディーは意外とベタなJ-POPで、どこかあか抜けなさがあるから。レッチ リを彷彿とさせる「Get Off of My Way」みたいな一部、心惹かれる曲も少なくはないのですが・・・。

評価:★★★★

MAN WITH A MISSION 過去の作品
Trick or Treat e.p.
MASH UP THE WORLD
Beef Chicken Pork
Tales of Purefly

Loftinaction/BACK DROP BOMB

フルアルバムとしては約2年10ヶ月ぶりとなるニューアルバム。BACK DROP BOMBといえば「ミクスチャーロックバンド」という枠組みで語られることが多いバンドですが、今回のアルバムはシンプルなギターロック。ただ、シンプルがゆえにロックバンドとしての足腰の強さや、メロディーラインの良さがしっかり前面にあらわれて、BACK DROP BOMBとしての魅力がより明確になったように感じます。王道のギターロックだからこそ、ふとした部分で「おや?」と思うようなおもしろい構成やサウンドが顔をのぞかせるのもおもしろいところ。彼らの実力を再認識できた新作でした。

評価:★★★★★

BACK DROP BOMB 過去の作品
VENOMETEORIC
THE BDBEST
THE OCRACY
59days preface

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2015年3月 5日 (木)

男性ボーカル勢が上位独占

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートは、上位に男性ボーカル勢が並びました。

まずは1位にジャニーズ系、NEWSのニューアルバム「White」がランクイン。約1年7ヶ月ぶりとなるニューアルバム。初動売上は11万4千枚で、前作「NEWS」の10万枚(1位)より若干アップ。NEWSといえば、先々週アルバムチャートで1位を獲得したONE OK ROCKのボーカル森内貴寛がかつて所属していたグループ。ONE OK ROCKの最新作「35xxxv」は初動16万4千枚で、NEWSの人気を大きく上回ってしまったんですね・・・。

2位はAcid Black Cherry「L-エル-」が入ってきました。「エル」という女性を主人公に、その人生を綴ったコンセプトアルバムだそうです。初動売上は11万3千枚で、1位と僅差。直近作はカバーアルバム「Recreation3」の5万1千枚(3位)よりアップ。また、オリジナルとしての前作「『2012』」の11万7千枚からは若干ダウンしています。

3位初登場は、韓国の人気俳優チャン・グンソク「モノクローム」。これがアルバムとしては3作目となる作品。初動売上3万2千枚は前作「Natural Boy」の5万6千枚(2位)より大きくダウンしてしまいました。

続いて4位以下の初登場ですが、5位にソナーポケット「ソナーポケット5~笑顔の理由。~」が入ってきています。悪い意味で今時のJ-POPな「前向き応援歌」的な歌詞が特徴的な彼らですが、今回もアルバムの副題からしてその方向性を強く感じてしまいます・・・。初動売上は2万1千枚。直近作はベスト盤「ソナポケイズム SUPER BEST」の4万5千枚(3位)から半減。オリジナルとしては前作「ソナポケイズム4~君という花~」の3万9千枚(2位)からも大きく順位を落とす結果となりました。

ちなみに今週は4位もロングヒットを続ける三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「PLANET SEVEN」がランクインしており、5位まで男性ボーカルのアルバムがズラリと並んだ結果となりました。

で、5位には女性シンガーソングライター家入レオ「20」がランクイン。タイトル通り、昨年12月に20歳の誕生日を迎えた彼女が1年ぶりにリリースしたアルバム。初動売上2万枚は、前作「a boy」の2万4千枚(4位)よりダウン。デビュー以来、初動売上は3万2千枚→2万4千枚→2万枚と推移。下落傾向にあるものの下げ幅はそれなりに落ち着いており、一定の人気を獲得してきた模様。

7位には読者モデルとしても活躍する女性4人で結成されたガールズバンドSilent Siren「サイレントサイレン」が初登場でこの位置。初動売上1万9千枚は前作「31 Wonderland」の1万3千枚(4位)よりアップ。順調に人気を伸ばしています。

8位初登場はGoose House「Goose house Phrase #10 Milk」。Goose HouseはもともとソニーウォークマンのPR企画「PlayYou.House」を前身とするユニットで、シンガーソングライター同士がシェアハウスに集まって活動をしているユニットだそうです。これが6枚目のアルバムで初のベスト10ヒット。初動売上1万7千枚は前作「Goose house Phrase #07 Soundtrack?」の5千枚から大きくアップ。先行シングル「光るなら」がフジテレビ系アニメ「四月は君の嘘」のテーマ曲となりスマッシュヒットを記録した影響でしょう。ちなみにこちらはメジャー流通のアルバムですが、インディーズよりもう1枚アルバム「Goose house Phrase #11 Bitter」が同時リリースされており、こちらは今週12位にランクインしています。

9位にはシンガーソングライター清水翔太の初のベストアルバム「ALL SINGLES BEST」がランクイン。タイトル通り、デビューシングル「HOME」から今年1月にリリースされた最新シングル「I miss you-refrain-」までのシングルを網羅したベスト盤。ただし、加藤ミリヤとのデゥオ曲は収録されていないみたいです。初動売上は1万4千枚。直近のオリジナルアルバム「ENCORE」の1万1千枚(11位)からアップで、その前にリリースされたカバーアルバム「MELODY」以来のベスト10ヒットとなりました。

そして最後はNOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS「CHASING YESTERDAY」が入ってきました。ご存じ、イギリスの大人気バンドoasisのメインライターとして数多くのヒット曲を手掛けたお兄ちゃんのソロ作2作目。初動売上1万4千枚は前作「NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRD」の2万2千枚(5位)からダウン。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2015年3月 4日 (水)

「桜」対決

今週のシングルチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

そろそろ少しずつですが暖かい日も顔を出してきた今日この頃。ヒットチャートでは早くも「桜」をテーマとした曲がランクインしてきました。って、あれだけいろいろ揶揄されながらもいまだに「桜」をタイトルにした曲が続くんですね・・・(苦笑)。

そんな中、今週は1位2位ともに「桜」をタイトルに冠した曲が並びました。1位はタイトルそのまま「sakura」。TBSテレビ系ドラマ「ウロボロス~この愛こそ、正義。」主題歌。マイナーコード主体のなかなかかっこいい雰囲気の楽曲。初動売上46万5千枚は前作「誰も知らない」の46万1千枚(1位)から微増。

一方2位には韓流男性アイドル東方神起「サクラミチ」。こちらもフジテレビ系ドラマ「花嫁のれん」の主題歌となっています。ピアノとストリングスなちょっとベタなバラード。初動売上13万6千枚は前作「Time Works Wonders」の10万6千枚(2位)からアップ。

3位にはavexの男女混合グループ、AAA「Lil'Infinity」。映画「きっと、星のせいじゃない。」イメージ・ソング。初動4万6千枚は前作「I'll be there」(4位)から横バイ。

続いて4位以下の初登場ですが、4位にはAOA「Like a Cat」がランクイン。なんか、3位のグループと似たような名前ですが・・・こちらは8人組の韓流女性アイドルグループ。セクシーさを売りにしているようで、ロリ志向の日本のアイドルグループとは一線を画する方向性(といっても、韓流はどれも比較的、大人な雰囲気が売りのようですが)。初動売上1万9千枚は前作「ミニスカート」の7千枚(13位)からランクアップし、日本デビュー2作目にして初のベスト10ヒット。

5位初登場は女性シンガーソングライターmiwa「360°」が入ってきました。映画「ドラえもん のび太の宇宙英雄記」主題歌。ドラえもん映画の主題歌らしい、明るく爽やか、いい意味で子供でも楽しめそうな前向きなポップソングに仕上がっています。初動売上1万9千枚は前作「fighting-Φ-girls」の1万8千枚(5位)から微増。前々作も初動1万8千枚で、完全に固定ファンのみに支持されている状況なのでしょうか。

7位に入ってきたのが氣志團「幸せにしかしねーから」。メロディーはおもいっきり80年代のバンドブームを彷彿とさせるビートロックで、歌詞もいかにもヤンキーらしいそのまんまな歌詞。いい意味で実に氣志團らしいナンバーになっています。前作「喧嘩上等」で7年ぶりのベスト10ヒットとなりましたが、2作連続のベスト10入り。初動売上1万2千枚は、前作の1万6千枚(5位)よりダウンしているものの、前作はドラマタイアップがあったのに対して、本作はバラエティー番組のタイアップのみ。そういう意味で、ここに来て再び人気が回復していた感じがします。

8位には三浦大知「Unlock」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「ゴーストライター」主題歌。今風のエレクトロトラックに、よく通るボーカルで聴かせるダンスチューンで、かなり惹きつけられるカッコよさがあります。ただ初動1万1千枚は、前作「ふれあうだけで~Always with you~」の1万6千枚(6位)からダウンしています。

今週のシングルチャートは以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2015年3月 3日 (火)

ロボットによる演奏

Title:Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP
Musician:Aphex Twin

突然かつ久々のリリースとなったアルバム「Syro」からわずか4ヶ月、Aphex Twinのニューアルバムが早くもリリースとなりました。今回のアルバム、タイトルを直訳すると「コンピュータ制御された生楽器」。これは彼がコレクションしている楽器を演奏するロボットのこと。今回は、そんなロボットたちによる演奏を聴かせてくれる作品になっていました。

ちなみに明確に確認できるロボットは2種類あって、ひとつは「HAT」という打楽器演奏ロボット。「diskhat1」だとか「hat 2b 2012b」などと「HAT」という言葉がタイトルに織り込まれている曲はこのロボットが使われているのでしょう。もう1台は「SNAR」というスネアを演奏する楽器で、こちらも「snar2」なんていうそのままのタイトルの曲があったりします。

アルバムは30分弱。それで13曲収録のアルバムになっているだけに、1曲あたりの長さは短く、曲によっては数秒なんて曲もあったりして。イメージとしては、リチャードが、お気に入りのロボットをいじりながら、気楽な気分でつくってみた曲といったイメージ。そのため、実験性を前に押し出したというよりも、リラックスした空気の中で作り上げた曲が多かったように思います。比較的シンプルな小品が多く収録されたアルバムになっていました。

その結果、個人的には正直、前作「Syro」よりもこちらのアルバムの方が好きかも(^^;;このアルバム、いいアルバムじゃない?と思った最大の理由は、彼の作品としては意外すぎるほどポップでメロディアスだったから。例えば「diskhat ALL prepared1mixed13」では、明確なメロディーラインが楽曲に流れていますし、「piano un10 it happened」などもピアノのみで美しいメロディーを聴かせてくれています。

また、この「生楽器をロボットに演奏させる」というスタイルによって、それだけで独特な雰囲気がアルバムに流れているように感じました。生音であるがゆえに、普段のAphex Twinの作品からすると暖かい音が楽しめるはず・・・なのですが、ロボットによる演奏のため、人による演奏とは異なる無機質さ、一種の冷たさが楽曲から感じられます。エレクトロと生音の中間を行くような不思議な空気・・・これが今回の作品に独特の雰囲気を与えていました。

リラックスして作った作品だからこそ、1曲1曲それぞれに彼のアイディアが反映されており、そのため、おそらく数台のロボットのみによる作成なのですが、1曲1曲が異なるタイプの楽曲になっていました。アルバムを作った直後ながらも、いまだにいろいろなアイディアがあふれている彼。ひょっとしたら次のアルバムも近いかも・・・????

そんな訳で、Aphex Twinのアルバムとしては小品なのですが、個人的には「Syro」以上に気に入った傑作。肩の力が抜けたリチャードの様々なアイディアも楽しめた作品。Aphex Twinが好きなら、このアルバムも間違いなく要チェックです。

評価:★★★★★

Aphex Twin 過去の作品
Syro


ほかに聴いたアルバム

Night Time My Time/Sky Ferreira

アメリカの女性シンガーソングライターのデビュー作。この作品は2013年に各種メディアで高い評価を得て話題となりました。今回、遅ればせながら聴いたのですが、これがすごく気持ちよかった!前半は、ノイジーでパンキッシュなギターサウンドにシンセのメロが分厚くのっかかり、ポップなメロとあわさって、非常に気持ち良いサウンドを作り上げています。かと思えば、そんなサウンドに飽きがきはじめた中盤以降は一転シンプルなサウンドに。エレクトロテイストの強いポップや、正統派のギターロックなどバラエティー富んだ内容が楽しめます。これは高評価も納得の傑作。もっと早く聴けばよかったなぁ、といまさらながら後悔しました。

評価:★★★★★

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2015年3月 2日 (月)

ゲームの世界を意識?

Title:謎のオープンワールド
Musician:the band apart

the band apartの新作は、アルバム全体がテレビゲームの世界をイメージするような内容となっています。インターリュードにはそのまま「(save point A)」「(save point B)」なんていうタイトルになっていますし、イントロとアウトロの「(opening)」「(ending)」もゲーム音楽、それもファミコンの時代を彷彿とさせるチップチューン風なサウンドを聴かせてくれます。

他にも歌詞カードの文字は昔のファミコンを彷彿とさせるようなフォントを使用していますし、メンバーを模したドット絵も登場しています。そもそも「謎のオープンワールド」というタイトル自体、どこかファミコンのRPGを彷彿とさせるようなタイトルとなっています。

ただ、楽曲自体は特にテレビゲームを意識したような内容にはいません。逆に目立ったのは、現在のネット社会に対する強烈な皮肉。今回のアルバムは前作に引き続き、日本語詞に挑戦した作品になっていたのですが、例えば「笑うDJ」では

「通電中 世界中にアクセス
10秒後に忘れるくせに
目の前の誰かより
指先の文字に夢中」

(「笑うDJ」より 作詞 the band apart)

なんて歌詞があったり、さらにストレートで強烈なのが「殺し屋がいっぱい」

「戦え みんなで この街 守るため
はみ出しものには 正義の一撃を
でしゃばり 売名 なんだか気に食わない
自由に生きてる?ふざけてる ふざけてる」

(「殺し屋がいっぱい」 作詞 the band apart)

という、ここ最近、ちょっとした失言や目立つ言動で揚げ足を取り、必要以上のバッシングを繰り広げるネット社会(いや「ネット」に限られたことじゃないかもしれません)を強烈に皮肉っています。

そしてユニークなのがこれら強烈な皮肉を込めた歌が、さらりと爽やかなメロディーやサウンドに載せて歌われている点。ひょっとしてBGM感覚で軽く聴いていると、これらの皮肉に気が付かないかもしれません。こういう「毒」をさらりと楽曲の中に織り込んでいる点、日本語詞への挑戦が2作目ということが信じられないくらい、作詞の面での高い完成度を実感できます。

ただ、アルバム全体の出来としてはどうだったのか、と言われると今回の作品、the band apartとしては素直に絶賛できない部分が少なくありませんでした。確かにいつもの彼らのような、軽快なサウンドにファンキーなリズム、アシッドジャズの影響を感じるクールな作品というのも少なくありません。しかし全体的に目立ったのはシンプルな「普通の」ギターロック。もちろんそれらの作品も、the band apartらしい凝ったサウンドや軽快なリズムを随所に聴かせてくれており、出来としては悪くありません。むしろ新人がいきなりこんなアルバムをリリースしてきたら、もろ手をあげて絶賛していたかもしれません。

でも、デビュー時の頃の作品のインパクトと比べると、その衝撃度はかなり薄い、と言わざるを得ません。それなりにthe band apartとしての個性は出ていたものの、全体的におとなしめ。言っちゃ悪いけど、良くありがちなギターロックバンドの枠組みに入りかけてしまっています。

このアルバム、決して悪い作品ではありません。むしろ普通のミュージシャンがリリースしたら十分すぎるほど「傑作」になりそうな作品。ただ、the band apartはこのレベルじゃないと思うんだよなぁ。ここ最近、ちょっと物足りない作品が続いているのが気にかかります。次回作に期待したいのですが・・・。

評価:★★★★

the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
SCENT OF AUGUST
街の14景

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2015年3月 1日 (日)

伝説の女性シンガーをゲストに迎え

Title:ROLLER COASTER BOOGIE
Musician:Bloodest Saxophone Feat.Jewel Brown

まだまだ続いています(笑)、2014年話題になったアルバムの後追い企画。今回は日本のジャズ&ジャンブバンド、Bloodest Saxophoneが、アメリカのシンガー、Jewel Brownをボーカルに迎えて作成したアルバム。Blues&Soul Records誌の年間ベストアルバムの1枚として選ばれたほか、Music Magazine誌でも「R&B/ソウル/ブルース」部門で年間8位に選出されています。

Bloodest Saxophoneは今回はじめてアルバムを聴いてみたのですが、1998年に結成された5人組ジャズ&ジャンプ・ブルースバンド。自分はすっかり忘れていたのですが(^^;;2004年にリリースされたm-floのアルバム「ASTROMANTIC」の「VANESSA」でもゲストに参加。この曲は資生堂のCMソングとして流れていたので、その演奏だけは聴いたことある、という方も多いかもしれません。

一方、今回ゲストとして参加したJewel Brownは御年77歳となるアメリカのジャズ、ブルースシンガー。ルイ・アームストロング楽団でのボーカリストとして活躍していたことでも知られ、1958年にはその一員として来日した経験もあるとか。1971年には家族の都合で一度は引退したそうですが、その後復帰。2013年にはブルース界のグラミー賞とも言われるBlues Music Awardにノミネートもされています。ただ残念ながら日本では知る人ぞ知る的な存在。かく言う私も今回のアルバムではじめて彼女の名前を知りました。

そんな彼女ですが、日本での知名度が低いとはいえ、その実力は折り紙付き。特に冒頭を飾る「LOVE ROLLER COASTER」はそのボーカルに圧倒されます。軽快なジャンプブルースのこの曲では、曲の中でパワフルなボーカルを聴かせてくれるのですが、ただパワー一辺倒に押すだけではなく、強弱つけた表現力あるボーカルが実に魅力的なナンバーになっています。

これで彼女の歌唱力をみせつけたかと思えば、続くナンバーがユニーク。笠木しず子の「買い物ブギ」のカバー。それも日本語詞そのままのカバーで、片言の日本語がユニーク。でもきちんとリズムに載せて歌い上げているあたり、こちらもJewel Brownの実力がしっかりと発揮しています。

その後も「DON'T GO TO STRANGERS」ではジャズバラードを情感たっぷりに歌い上げたり、「THAT'S A PRETTY GOOD LOVE」ではパワフルでソウルフルなボーカルを聴かせてくれたりと、終始、そのボーカルに聴きほれるアルバムに。アルバムとしてはBloodest Saxophoneのアルバムなのですが、正直主役は完全にJewel Brownのものとなっていました。

本来の主人公、Bloodest Saxophoneに関しても、もちろんカッコいい演奏を聴かせてくれます。「FLYING HOME」のようなインスト曲も収録されており、アルバムの中でもちゃんとその存在感を発揮しています。が、やはりJewel Brownに勝るとも劣らないグルーヴをつくりあげている、というよりは彼女のボーカルに十分ついていけるだけの実力がある、といった印象。そういう意味でもこのアルバム、どうしてもJewe Brownのボーカルの印象が強く残るアルバムになっています。

とはいっても、そんな側面も含めてこのアルバムが傑作アルバムなのは間違いありません。50年代あたりそのままなビックバンドジャズやジャンプブルースなどが展開される本作は、いつの時代のアルバム?という感覚すら覚えますが、ただだからといって今聴いても古びた感じがしないのは、時代を超えた良質なメロディーと、そして歌があるから。高評価も納得の傑作でした。

評価:★★★★★

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