ソロになって初のアルバム
Title:1
Musician:ドレスコーズ
アルバム制作中、バンドが空中分裂を起こし、志磨遼平のソロプロジェクトとなってしまったドレスコーズ。前作のミニアルバム「Hippies E.P.」からわずか3ヶ月弱。志磨遼平一人となってはじめてとなるニューアルバムがリリースされました。これはあくまでも推測ですが、ニューアルバムを作る途中でバンドが分裂し、バンドで制作できたものが「Hippies E.P.」になり、バンドで制作できなかったものが本作になったんじゃないかなぁ・・・なんて思ったりもします。
さて前作「Hippies E.P.」はバンドとしてリリースした作品ながらも志磨遼平のソロという色合いが強いアルバムになりました。当然、続くこの作品はバンド色がさらに薄れて志磨遼平のソロとしての色合いが濃くなる作品・・・と思っていたのですが、妙なバンド幻想のある彼だからこそ、逆にソロになったにも関わらず、バンド色が強くなってしまうんではないか・・・なんてことも思いつつ、このアルバムを聴いてみました。
で、その結果ですが、このアルバム、前作以上にバンド色は薄く、志磨遼平のソロアルバムと言える作品にちゃんとなっていました。まあ、さすがにメンバー全員脱退の直後にバンド色が強いアルバムはつくらないですよね。
そんな今回のアルバムは、志磨遼平のポップスセンスがさく裂した作品、と言えるかもしれません。「スーパー、スーパーサッド」や「Lily」のようなちょっと切なさを感じる正統派のギターポップや、「みずいろ」のようなちょっとレトロな歌謡曲調の曲、「才能なんかいらない」のような分厚いサウンドでちょっとオールディーズのようなキュートなポップスなどなど。そしてどの楽曲にも共通するのは、よどみなく美しくポップな志磨遼平のメロディーセンス。まず難しいこと抜きにして、純粋にワクワクするようなポップの楽しさを体現化したような曲が繰り広げられています。
ただそんなポップなメロディーと裏腹に、歌詞は妙なまでに「一人」を強調したような歌詞が目立ちました。
「ハローアローン」と歌う「スーパー、スーパーサッド」に、「Lily」では
「神様 彼はうそつきだから
友達ってのが いまだにできなくて
本当のこと 伝えたいのに
傷つけるのが おそろしくて」
(「Lily」より 作詞 志磨遼平)
なんて歌詞が登場しますし、
「二・度・と!
もう誰かと恋に落ちんな!
二度と約束して未来みんな!」
(「この悪魔め」より 作詞 志磨遼平)
「ひとり同士でいようね ぼくらは」
(「みずいろ」より 作詞 志磨遼平)
などなど、「一人」を彷彿とさせる歌詞が並んでいます。ただ、これだけ「一人」であることを強調されると、逆にやはり彼はバンドをやりたがっているのではないか、一人が嫌なのではないかと推測してしまいます。他のメンバーが脱退しても志磨遼平ソロとならずにドレスコーズという形を残した理由もそのあたりにあるかもしれないなぁ。次のアルバムあたりで、また新しいメンバーを加えてバンド形態に戻った、なんて言われても驚かないでしょうね、このアルバムを聴く限りは。なんだかんだいってもバンドスタイルの曲もチラホラ収録されているし。
そういう推測もいろいろできてしまうアルバム。ただ、そんな邪推なんか関係なく、志磨遼平のポピュラーセンスを存分に楽しむことが出来る傑作だったと思います。次回作はどんなアルバムをリリースしてくるのか・・・いろいろな意味で楽しみです。
評価:★★★★★
ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.
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