4年ぶりの復帰作
Title:一輪の花と二つの三日月
Musician:tobaccojuice
個人的にこのミュージシャン、もっと売れてもいいのになぁ、もしくはもっと評価されてもいいのになぁ、と思うミュージシャンはいろいろいます。このサイトでも、「もっと売れてもいいミュージシャン」みたいな形で紹介することは少なくありません。そして今回紹介するtobaccojuiceも、そんなもっと売れてもいいのに、あるいはもっと評価されてもいいのに、と思うバンドの一組です。
デビューが2003年なので、なにげに12年目となるベテランバンド。2011年にベースの岡田圭市が脱退したため活動休止状態になっていましたが、2013年になんと岡田圭市がバンドに復帰し活動再開。そして待望となるニューアルバムがリリースとなりました。
レゲエやスカ、あるいはカリプソといったラテン系の音楽とギターロックを上手く組み合わせたサウンドが特徴的な彼ら。以前までのアルバムはアコースティックな色合いが濃く、「オーガニック」という表現を使っていたのですが、今回のアルバムはむしろバンドサウンドが前に出たようなアルバムになっています。
1曲目を飾る「びっくりブルース」からノイジーなギターサウンドが鳴り響きますし、「地獄音頭」はダビーなサウンドを展開させつつも、ギターリフが主導の楽曲が特徴的です。「スケープゴート」もレゲエのリズムを奏でつつ、サイケな強いインパクトになっています。
ただ、このラテン系のサウンドを楽曲に取り入れつつも、ベースとなっているのはあくまでもギターロックという彼らのスタイルが、ひとつ大きなインパクトになっているように感じます。このスタイルがゆえに、ロックリスナーにとっても楽しめる作品になっていますし、平凡なギターロックとも、レゲエバンドとも違う個性を産みだすことに成功しています。今回の作品ではダイナミックなサウンドをより押し進めることによって、彼らのこの「個性」がより強調されているように感じました。
もうひとつ今回のアルバムで特徴的に感じたのは、社会に対する皮肉な視点。タイトルそのまま「アメリカ」では、アメリカに対する憧憬と、同じくアメリカに対する批判的な視点の同居という微妙な感情を描いていますし、「スケープゴート」も同じくアメリカ帝国主義に対する皮肉がチラリと顔をのぞかせています。このアメリカに対してある種のあこがれを描きつつ、同時に批判的な視点を描くというスタイルは、どこかBlankey Jet City的な雰囲気も感じました。
久々の新譜だったのですが、やはりtobaccojuiceは素晴らしいバンドだなぁ、という認識をあらたにさせてくれた傑作。もっともっと売れてもいいバンドだと思うんだけどなぁ。復帰後も是非是非どんどん名曲を聴かせてください!
評価:★★★★★
tobaccojuice 過去の作品
ゆめのうた
どこまでも行けるさ
ほかに聴いたアルバム
私重奏/一青窈
約2年半ぶりとなる一青窈のニューアルバム。楽曲的には「無難」な印象のポップが多かったのですが、一方で歌謡曲テイストの強い曲からラテン、アカペラに挑戦した曲、ロッキンなギターが入ったナンバー、ホーンも入れて軽快に楽しめる楽曲などバラエティー豊富な作品が並んでいます。楽曲にも十分インパクトもあり、正直言って予想以上に楽しめたアルバムでした。
評価:★★★★
G20/ゴスペラーズ
デビュー20周年を記念してリリースされたオールタイムベスト。エレクトロアレンジ、アーバンソウルなナンバー、ファンキーな曲など、バリエーションに富んだ作風に挑戦しており、かつどの曲もちゃんとポップに聴かせる曲に仕上げているのはさすがだし、いい意味での安定感も感じられます。ただ、やはり一番聴かせて彼らの魅力が発揮されていると思うのはアカペラのナンバー。「アカペラグループ」としての実力を感じさせてくれました。
評価:★★★★★
ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
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