藤子Fアニメソングを網羅的に収録
Title:藤子・F・不二雄 大全集
今回紹介するアルバムは、ちょっと毛色の違う作品。うーん、どちらかというと「音楽ファン」的な観点で聴いてみたというよりも、「藤子不二雄ファン」として聴いてみた、あるいは昔の藤子アニメの主題歌に懐かしさ感じて聴いてみたアルバムです。
サブタイトル通り、2013年に生誕80年を迎えた藤子・F・不二雄先生。それを記念して彼の作品をすべて収録した漫画本「藤子・F・不二雄大全集」も発売されましたが、本作はそれとは直接はリンクされていない模様。F先生の漫画原作によるアニメ作品に使われた主題歌や挿入歌などをまとめたアルバムです。
「大全集」というタイトルの通り、収録されている曲は過去の曲から比較的最近の曲まで収録されています。それがほぼ発表順に並んでいるのですが、そのためDISC1に多く収録されているのが、昭和30年代のオバケのQ太郎などの主題歌や挿入歌。正直かなり時代を感じる昭和の歌謡曲といった感じで、これはこれである意味貴重な音源のように思います。
個人的にやはり一番壺にはまったのは、80年代の藤子不二雄ブームの頃に放送されたアニメの主題歌や挿入歌。この作品でいえばDISC1の後半からDISC3あたりにかけてなのですが、リアルタイムで見ていた身としては素直にノスタルジックな気分にも浸れる曲ばかり。半分忘れかけている曲を久しぶりに聴いて、思い出がよみがえってくるような曲もあったりして、軽く感涙モノ(笑)。
また一方で、60年代から最近までのF作品のアニメソングを通して聴くことによって、その時代時代のアニメソングに求められた要素も、図らずも明確になっているようにも感じました。60年代は至ってコミカルなポップソング。ギャグの要素も曲の中に取り込まれていて、今聴くと、正直ちょっと「寒い」部分もあったりして(笑)。80年代になると、アニメソングらしさが確立され、子供向けの「童謡」のような曲が目立ちます。F作品のアニメソングで有名なのはここらへんでしょうか。
その後時代が下ると、なぜかアイドルソングが増えてきます。これはアニメ主題歌も徐々に「タイアップ」の波が押し寄せてきたのでしょうか。ただ、ジャンル問わず様々なミュージシャンが楽曲を提供している今の時代と異なり、妙にアイドルソング、それもB級アイドルの曲が目立ちます。これはやはり「アニメ=子供向け=アイドル」という、ある種の「偏見」に基づくのでしょうか。やはり時代を感じました。
今回、「大全集」というタイトルながら、残念ながら網羅的な内容ではないようで、特にちょっと残念なのは、ドラえもんの映画主題歌がほとんど収録されていなかった点でした。武田鉄矢の「少年期」のように、映画主題歌には名曲が多いだけにちょっと残念。ただ、ここらへんを含めて網羅的に収録しようとすると、CD10枚組くらいになってしまいそうなので、あえて省いたのかもしれませんが。
全5枚組のCD-BOX仕様というボリュームいっぱいの作品なだけに、どちらかというと熱心なファン向けアイテム。そういう意味では広くはお勧めできない作品かもしれません。ただ、藤子F先生のファン、特にアニメが好き、リアルタイムにアニメを見ていたという方は、チェックしてみて損はないかも。懐かしい作品がたくさん収録されています。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
明治大正はやりうた 其の二/うめ吉
俗曲師うめ吉が、明治・大正時代に流行した歌をカバーした企画盤。彼女の歌い方は全く癖がなく、無色透明なカバーになっている反面、癖がないゆえに、原曲のメロディーラインや歌詞がよりくっきりと浮かび上がるようなカバーになっています。長唄や民謡など、日本古風の楽曲の中に、西洋風なポップスが混じっているあたりが、戦前の日本ならではといった感じでしょうか。
評価:★★★★
うめ吉 過去の作品
お国めぐり 其の二
うめ吉玉手箱~寄席うた俗曲集
ALL ABOUT UMEKICHI
うめ吉の唄う 童謡・唱歌 其の二
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