« 2014年、最も話題となった作品 | トップページ | フランスとアルジェリアの融合 »

2015年2月14日 (土)

奇妙だけどもコミカル

Title:Boy
Musician:neco眠る

大阪出身の6人組インストバンド。以前は「大阪発盆踊り系インストダブバンド」なんて呼ばれ方をして話題になったものの2010年にドラマーが脱退し活動休止。その後、新メンバーにより活動を再開し、このたび約6年ぶりとなるニューアルバムのリリースとなりました。

あらたな活動でのキャッチフレーズは「青春ビザールディスコバンド」。この聴きなれない「ビザール」という言葉、英語で「怪奇なもの」「一風かわったもの」という意味があるそうです。

「一風変わった」という表現を自称するように、今回の彼らの音楽、一言で説明するにはちょっと難しいものがあります。例えば「お茶」ではスティールギターなどをつかいつつ、ラテンフレーバーを醸し出したインストになっているかと思えば、「ハワイで正月過ごす奴」はタイトル通りハワイアンな雰囲気が漂っていますし、「すごく安い肉」ではお祭りのように軽快なエレクトロのリズムが前面に押し出されていたり、チップチューン風の「毎日寿司」なんてナンバーもあったり・・・。

ただ、どの曲にも共通するのは、様々な音の使い方が非常にコミカルという点。上にも並んだ曲のタイトルもユニークなのですが、いろいろな音を自在につかいながらもどこなユーモラスあふれる曲になっているのがおもしろいところ。例えばギターがどこか脱力している「三連休」や、エフェクトをかけたボーカルの歌詞がタイトル通りコミカルな「KANIMISO」などなど、このユーモラスさが楽曲のインパクトとなって、ポップで聴きやすいという印象を受けました。

もうひとつ特徴的に感じたのは、彼らのサウンドはどこかチープさがあるという点。これは決してマイナスポイントではなく、また「安いっぽい」という意味でもなく、この「チープである」がゆえに、どこか音楽から手作り感を覚え、それがある種の暖かさすら感じます。そしてこれがまた彼らの大きな魅力になっているように感じました。

そんなコミカルで暖かさを感じる反面、バラエティー富んだ作風に「ビザール」と自称するようにどこか奇妙で一風かわった部分を同居させている彼ら。久々に聴いた彼らのアルバムでしたが、そんな魅力が今回のアルバムではより表に出てきているように感じました。ライブにも定評があるらしいので、彼らのライブも一度見てみたいなぁ。完全に活動を再開した彼らですが、これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★★

neco眠る 過去の作品
EVEN KICK SOYSAUCE


ほかに聴いたアルバム

JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -/矢野顕子

1976年にリリースされた彼女のデビュー作で、今なお邦楽史に残る名盤として語り継がれる「JAPANESE GIRL」。本作は2008年にすみだトリフォニーホールで行われた、「JAPANESE GIRL」の曲を曲順に演奏したライブの模様を収録したアルバム。2008年にiTunes StoreのみでリリースされたものがこのほどCD化されました。この「JAPANESE GIRL」の曲をピアノ1本の弾き語りで披露。デビューから32年を経た彼女だからこそできる自由な解釈でのボーカルが実に魅力的。また楽曲も、30年以上を経た今でも全く色あせていないことが再確認できます。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ

|

« 2014年、最も話題となった作品 | トップページ | フランスとアルジェリアの融合 »

アルバムレビュー(邦楽)2015年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 奇妙だけどもコミカル:

« 2014年、最も話題となった作品 | トップページ | フランスとアルジェリアの融合 »