最高にスウィートなポップス
Title:Destiny
Musician:Jintana&Emeralds
こちらの作品もノーチェックだった2014年に評判になったアルバムの聴きなおしシリーズ。こちらはMUSIC MAGAZINE誌のJ-POP/歌謡曲部門で1位になった作品。実は今回この作品、雑誌で紹介されるまで名前も全く知らず、前情報何もなしで聴いてみたアルバムでした。
彼ら、Jintata&Emeraldsは初耳のバンドながらも、実はかなりの豪華なメンバーから成るバンドだそうで、バンドを率いるJintataは横浜を拠点に活動をする音楽集団Pan Pacific Playa所属のスティール・ギタリスト。同じくPan Pacific Playa所属のギタリストKashifに、ソロシンガーとしても活躍中の一十三十一、(((さらうんど)))等でも活躍するCRYSTAL、少女時代や三浦大知の楽曲も手掛けるカミカオルに、阿部真美の名前で女優としても活動をしているMAMIといった、それぞれ個人でも活躍を続けるメンバーが顔をそろえたスーパーユニットとなっています。
さて、ポップな音楽を表現する時、よく「甘い」という表現を使います。耳に心地よい、ポップなメロディーラインが奏でられていたり、分厚いホワイトノイズが楽曲全体に流れている時に、よくこの表現が使われます。でも今回のこのアルバムほど「甘い」という表現がピッタリ来るようなアルバムはないのではないでしょうか。逆に、このアルバムを聴いてしまうと、そんじょそこらの楽曲では「甘い」なんて感じなくなるほど(笑)。
彼らの楽曲は、「ネオ・ドゥーワップ」とジャンル付されていることが多いようです。基本的に60年代70年代あたりのポップソングをそのまま今の時代に甦らせたようなポップソング。これがまた、「甘い」としか表現できないような心地よいメロディーやサウンドを奏でています。そこに加えられているのが、モータウン風の味付けだったり、ハワイアン風の味付けだったり、ウォールオブサウンドの影響を受けたようなサウンドだったり・・・要するに、古今東西の音楽シーンの中で、「甘い」と評されるようなジャンルの音を、これでもかというほど1枚のアルバムに投入しています。
例えれば甘いアイスクリームの上にいちごをのせて、さらにチョコレートソースをかけてさらには蜂蜜までかけたパフェのようなアルバム・・・と、こんなたとえをすると、甘党ではない私にとっては胸やけがしてきそう。確かに彼らの楽曲はこんな例えがピッタリな音楽かもしれません。でも、聴いていても不思議と胸やけはしてきません。それはそれだけ甘い楽曲に仕上げていながらも、過剰なサウンドを投入することなく、サウンドのボリューム自体は意外とさっぱりしているからように思います。ここらへんのサウンドのバランスも実に絶妙でした。
そんな訳で、この作品、2014年を代表する名盤に間違いないと思います。ただ、あえて苦言を言ってしまえば、「年間1位」ということに対してはもう一歩の物足りなさも。一言で言えばちょっとパンチが足らないように感じました。実力派ミュージシャンが揃った作品であるがために、全体的にはよく出来すぎてしまっていて、広く一般受けするようなポップミュージックに必要な、猥雑さというかベタさがちょっと不足していたような。そういう意味ではこれだけ甘いポップのアルバムでありながらも、一部のマニア受けにとどまってしまいそうな感じもして、この「マニア受けにとどめる」という点はポップソングとして残念ながら欠点になってしまうのかなぁ、という印象を受けました。
そんな気になる部分もあるのですが、アルバム全体としては名盤といって間違いない作品。いまさら知った私が言うのも何なのですが・・・いまからでも要チェックです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ガガガを聴いたらサヨウナラ/ガガガSP
もてない連中の鬱屈した心の叫びをパンクにのせて歌い上げるガガガSPのニューアルバム。基本的に「いつも通り」のスタイル。大きなるマンネリとも言っていいような、パンクロックにフォークソングの要素を加味したようなスタイル。ただそんな中でもハードロック寄りの曲があったり、リズミカルなサウンドを取り入れた曲があったりと、以前よりもバリエーションが増えた印象が。鬱屈した心の叫びを歌に込めた歌詞はあいかわらずなのですが、素直な気持ちをストレートに綴る歌詞は、惹かれるものがあります。
評価:★★★★
ガガガSP 過去の作品
くだまき男の飽き足らん生活
自信満々良曲集
21st CENTURY DREAMS/NAMBA69
Hi-STANDARDの難波章浩率いる3ピースパンクロックバンドのデビューアルバム。分厚いギターサウンドとポップなメロディーラインが特徴的で、ジャンル的にはメロディアスパンク、あるいは、オルタナ系ギターロックバンドに近いものを感じました。勢いのあるパンクロック、という以上にメロディアスなポップスが楽しめるような1枚でした。
評価:★★★★
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