シングル曲から未発表曲まで
2013年5月にギターボーカルの吉村秀樹が急逝。その後、事実上の活動休止状態となっているbloodthirsty butchers。昨年は異例ともいえるトリビュートアルバム4枚リリースなど、様々なバンドに絶大な影響力を有する彼ら。今回、そんな彼らのアルバム未収録曲を集めたアルバムが2枚同時にリリースされました。
Title:血に飢えたnon-album songs ≪Universal Recordings≫
Musician:bloodthirsty butchers
まずは1999年から2002年、主にメジャーデビュー後の作品についてアルバム未収録曲をあつめたアルバムです。
Title:血に飢えたnon-album songs≪Independent Recordings≫
Musician:bloodthirsty butchers
で、こちらは1991年から1996年及び2007年から2010年にかけての、主にインディーズでの音源を収録したアルバムです。
アルバム未収録曲をあつめた企画盤といっても、浅野忠信とコラボした「ファウスト」や、EL-MALOとコラボした「DRIWING」のような限定発売されたレア音源や「ヨモヤマ」のような未発表曲もある一方で、「『△』サンカク」や「nagisanite」のような、アルバムバージョンが収録されていたり、ベスト盤に収録されていたシングル曲でも、このアルバムにあらためて収録されているようです。
そんなこともあって、「アルバム未収録曲だからコアなファン向け」といった様相はほとんどなく、1枚のオリジナルアルバム感覚で聴ける作品。シングル曲も収録されているだけに、「Universal Recordings」に関してはむしろ「ポップ」という印象すら抱くほどで、このアルバムがはじめてのブッチャーズ、という方でも全く問題ないと思います。
メジャー期の作品とインディーズ期の作品を比べると、やはり断然、メジャー期の作品の方が聴きやすいのは間違いありません。「Independent Recordings」に収録されている作品はかなり荒々しく、迫力ある音源になっていてそれが魅力的。一方「Universal Recordings」に関しては荒々しさよりも分厚いバンドサウンドの音の洪水をまず楽しめるような作品になっていて、なにより音がインディーズ期に比べて録音状況がよい分、彼らのバンドサウンドの奥行の深さが、より味わえる作品になっています。
また、田渕ひさ子を加えた2007年以降の作品に関しては、ギターに刺々しさよりもむしろある種の優しさと包容力みたいなものを感じ、田渕ひさ子嬢のギターがバンドに新たなケミストリーを加えていることを強く感じます。それがバンドにとってあらたな可能性を広げる結果になっていることが、今回、オールタイムの作品をあらためて2枚のアルバムで聴くことにより、実感することが出来ました。
bloodthristy butchersというバンドの魅力を再認識できる2枚のアルバム。それぞれもちろん魅力的ですが、個人的にはどちらかというと「Independent Recordings」の方が好きかなぁもちろん、どちらもお勧めなのは間違いありませんが。
評価:どちらも★★★★★
bloodthirsty butchers 過去の作品
NO ALBUM 無題
youth(青春)
ほかに聴いたアルバム
一つになれないなら、せめて二つだけでいよう/クリープハイプ
クリープハイプのニューアルバムは、あいかわらずのちょっとネチッとした歌謡曲の世界を彷彿とさせるラブソングや、メタ的な視点の歌詞が特徴的。ただ、アルバムタイトルといい、ちょっとこねくりまわしすぎでは?と感じてしまった部分も。また、尾崎世界観のハイトーンボイスは大きなインパクトである反面、曲によっては聴きずらさも感じました。結果、同じ歌詞を何度も繰り返してインパクトを持たせようとする構成が多いのも気にかかるところ。アルバムの出来としては悪くはないのですが、基本的に「吹き零れる程のI、哀、愛」と同じ路線なだけに、もう一歩、プラスアルファが欲しいのですが。
評価:★★★★
クリープハイプ 過去の作品
吹き零れる程のI、哀、愛
クリープハイプ名作選
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