素直で心地よい作品ですが
Title:Monuments to an Elegy
Musician:The Smashing Pumpkins
スマパン約2年半ぶりとなるニューアルバム。このアルバムは2009年にスタートした「Teargarden by Kaleidyscope」というプロジェクトの一部ということ。もともと、1曲毎に無料で公式サイトにアップロードされ、最終的には44曲がリリースされる予定だったのですが、結局10数曲をリリースした段階で、1曲毎に無料公開というスタンスは途中頓挫。ただしプロジェクトはその後も続いていたようで、前作「Oceania」はそのプロジェクトの一環としてリリースされたようです。
さらに2015年中に「Day For Night」というアルバムがリリースされることが既にアナウンスされており、このアルバムは、「Teargarden~」プロジェクトの一環であり、かつ「Day For Night」と2部作という立てつけになるということ。近いうちにさらなる新曲がリリースというニュースは、やはりファンとしてはうれしい話でしょう。
さてそんなニューアルバムですが、非常にポップで聴きやすいアルバムに仕上がっていました。いや、もともとスマパンといえばメランコリックなメロディーラインが大きなインパクトであるバンド。そういう意味ではいままでもその美しいメロディーラインを聴かせてくれており、今回のアルバムもスマパンらしいアルバムということになるかもしれません。
また、そんなメロディーを彩るようなサウンドが、これまた非常に心地よい音を鳴らしています。基本的に分厚く甘い雰囲気のノイジーギターが楽曲全体をコーティングしています。それに加えて今回のアルバムではシンセの音をかなり大幅に取り入れているのが特徴的。結果、メランコリックなメロディーラインともピッタリマッチした、とても心地よいサウンドの洪水を楽しむことが出来ます。
メロにしてもサウンドにしても下手な癖のない素直で聴きやすい作品。また、その方向性的にもいかにもスマパン、といったイメージそのままな感じではないでしょうか。そういう意味ではスマパンの新譜を聴いたなぁ・・・という満足感は得られました。
ただ、一方で・・・ちょっとサウンドがチープじゃないですか??ノイジーなギターサウンドも、どこか軽さを感じてしまいますし、特にシンセの音がどこかチープな印象が否めません。もちろん、上で書いた通り、心地よいサウンドであることは否定しがたい事実ですが、その一方でそのサウンドにはどこか物足りなさも感じてしまいました。
ポップで聴きやすくいいアルバムだと思うんですが、悪い意味でも「ポップ」というかちょっと軽すぎるのかなぁ。ポップであるためにあえて軽くしたのかもしれませんが・・・。
評価:★★★★
The Smashing Pumpkins 過去の作品
Teargarden by Kaleidyscope
OCEANIA(邦題 オセアニア~海洋の彼方)
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