どちらから聴く?
Title:The Last Dawn
Musician:MONO
Title:Rays of Darkness
Musician:MONO
日本のみならず海外でも活躍しているポストロックバンドMONOが、2枚同時にリリースしたアルバム。対照的な内容になっており、非常に暗い雰囲気のある「Rays of Darkness」に比べて「The Last Dawn」は比較的明るい作風となっています。
・・・というのがこの2枚のアルバムに対する一般的な説明になっているのですが、もちろん両者でガラリと作風が変わって・・・というのほどの差はありません。いずれも静かな雰囲気からスタートし、徐々に盛り上がり、最後はダイナミックな音の世界を展開する・・・という曲の構成は共通。いずれもメロディーにはどこか哀愁を感じさせ、耳を惹くものがある点も共通しています。
ただ、もちろんそんな中でも両者の方向性が異なるのは明確。「The Last Dawn」については「明るい」というよりも「美しい」という印象を受けました。ピアノの音色とギターのトレモロ奏法が実に美しく、さらにメロディーもそんな作風に沿った狂おしいほど美しいメロディーラインを聴かせてくれます。そんな中、楽曲の後半から徐々に入り込んでくるギターノイズも実に甘美。「夜明け」というタイトルにふさわしい楽曲が印象に残るアルバムになっています。
一方「Rays of Darkness」は、序盤から暗い作風が特徴的なのですが、その方向がさらに強化されるのが後半。「The Hand That Holds The Truth」は後半、デス声まで登場するハードコアな作風になっていますし、最後を締めくくる「The Last Rays」は完全にノイズミュージック。例えるならばアルバムの中で徐々に世界が崩壊していく、そんな印象すら感じる作品になっています。
そんな対照的なアルバムなだけに、どちらから聴くかによって、聴き終わった後の印象が変わりそう。「Rays of Darkness」⇒「The Last Dawn」と聴けば、崩壊した世界の後に、希望の光が差し込むように感じますし、逆の場合は、2枚のアルバムを通じて、世界が徐々に崩壊していくような感覚になるかも。
ただ、どちらも圧巻なMONOの音世界を楽しめる点では共通。ダイナミックなギターノイズは、耳を強く惹きつけられます。美しい世界か崩壊していく世界か・・・どちらの世界から浸るかは、あなた次第。
評価:どちらも★★★★★
MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind
For My Parents
ほかに聴いたアルバム
LOVER/HY
HYのニューアルバムはタイトル通り、ラブソングを集めた作品。沖縄民謡を取り入れて、おもしろさを感じさせる部分はあるものの、アルバム全体としては平平凡凡な内容。悪くはないけど何らひねりもない優等生的な楽曲といった感じ。昔はもうちょっといい曲を書いていたんだけどなぁ。
評価:★★★
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