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2015年1月24日 (土)

CD音源とは異なり・・・

OGRE YOU ASSHOLE ニューアルバム・リリースツアー"ペーパークラフト"

会場 名古屋CLUB QUATTRO 日時 2015年1月16日(金)19:30~

Ogre_paper_live

昨年、傑作アルバム「ペーパークラフト」をリリースしたOGRE YOU ASSHOLE。今年最初のライブは、彼らのワンマンライブに足を運んできました。彼らのライブは2012年の「森、道、市場」で見ていますがワンマンライブははじめて。OGREのライブといえば、CD音源とは大きく異なるアレンジをライブで聴かせてくれるのが特徴的で、今回のライブでは、あの傑作「ペーパークラフト」の曲がどのように演奏されるのか、非常に楽しみにしながら会場を訪れました。

会場のクラブクワトロは、後方スペースが物販ブースになっていて、その分、観客スペースが狭くなっていたのですが、それを除いてほぼ満員に近い入り。キャパからすると8割程度といった感じでしょうか。また、比較的最近のバンドにも関わらず(・・・といってもデビューアルバムから既に10年がたつのですが・・・)客層が比較的高めだったのも特徴的でした。

さて、待望のライブ。ワンマンライブでは珍しいケースなのですが、開始時間からわずか2分程度が経過した段階でメンバーがステージに登場。まずおもむろにギターの馬渕啓がステージ上のリズムマシーンのスイッチを入れ、四つ打ちのリズムが鳴り響く中、最初は延々とジャム演奏からスタート。そしてそのまま「ロープ」になだれこみます。

その後は最近アルバム「ペーパークラフト」から「見えないルール」「ムダがないって素晴らしい」と続くのですが、ここは原曲からガラリと変わった演奏に。シンプルでタイトル通り無駄を省いたようなCD音源に比べて、こちらは分厚いバンドサウンドを前面に押し出したサイケデリックな演奏に。ガラリとイメージを変えたステージでしたが、それはそれで音で埋め尽くされたバンドサウンドに圧巻されたステージでした。

ただ、その後演奏された「いつかの旅行」は、逆にCD音源のイメージに近い演奏。これはこれで「ペーパークラフト」の雰囲気が再現されており、とても魅力的なステージを聴かせてくれました。

その後は過去の楽曲が続きます。「すべて大丈夫」「素敵な予感」「フラッグ」「ひとり乗り」などなど。ダイナミックなバンドサウンドで、即興の演奏などを加えつつ展開していく内容。基本的にMCはなしで、曲の合間は切れ目なく展開していくので、様々な楽曲がひとつの流れで楽しむことが出来ます。

終盤はふたたび最新アルバム「ペーパークラフト」から「ちょっとの後悔」。こちらも比較的CD音源に近いアレンジになっていたのですが、ガラリと変わったのが次の「ペーパークラフト」。もともと、バンドサウンドの合間に軽く「語り」が入るインスト的な様相の強い曲でしたが、ライブでは雰囲気がガラリと変わり、轟音のバンドサウンドに打ち込みのリズムが鳴り響くようなアレンジに。まさに音の洪水といった感じのステージ。そんなサウンドの向うに聴こえてくる「歌詞」に気づかないと、おそらくこれが「ペーパークラフト」だと気が付かないかも、と思うほど、全く雰囲気の違う演奏を聴かせてくれました。

そしてそんな演奏の余韻をかかえつつ、本編ラストは「ペーパークラフト」から「他人の夢」で締めくくり。メンバーは一度ステージを去り、その後はもちろん盛大なアンコールが起こります。

やがてメンバーは再びステージ上へ。アンコール1曲目は再び「ロープ」!ただ、最初に演奏されたアレンジとは大きくことなり、今度はバンドサウンドのダイナミックな演奏を聴かせるサイケ色のより強いアレンジへ。演奏も延々10分近くに及びます。同じ曲を演奏スタイルを変えて2度演奏するあたり、彼らのライブに対するスタンスがわかる構成になっていました。

そして最後を飾るのはこれも最新アルバムから「誰もいない」。こちらも前の曲から引き続くような感じで、原曲に比べるとサイケな雰囲気が増したアレンジに。最新アルバムのラストを締めくくる曲で、おなじくライブも締めくくりとなりました。

ライブはアンコールを含めて1時間50分程度と比較的短め。MCは本編ラスト曲の前とアンコールの最初、そして最後に「ありがとう」と言っただけで基本的になし。ひたすらバンド演奏を轟音で聴かせるステージになっていました。

最新アルバム「ペーパークラフト」からの曲を含め、アレンジはよりバンドサウンドを前に押し出して分厚いアレンジになっていた感じ。よりライブの醍醐味を感じられるステージで、彼らがあくまでもCD音源とライブは別物、と考えているスタンスを強く感じます。ライブでは彼らのロックバンドとしての実力をより強く感じられ、そういう意味でもCD音源とライブを変えてくるという彼らの方向性は効果的に感じられます。また同時に、ライブアルバムもぜひとも作ってほしいところなのですが・・・。

CD音源とは異なりつつ圧巻のステージングで満足度も非常に高いライブを楽しむことが出来ました。ただ年間ベストクラスの完成度を誇るCD音源と比べると、衝撃度はライブの方が若干劣る感じがします。いや、もっとも凡百のロックバンドに比べて素晴らしい演奏なのは間違いないんですけどね。逆に言えばそれだけまだまだ成長ののびしろも感じられたステージ。もっともっとこれからすごいライブを聴かせてくれるかも。そんな予感もするライブでした。

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