アルバムレビュー(洋楽)2014年

2014年12月 2日 (火)

ラストアルバム

Title:The Endless River(邦題 永遠(TOWA))
Musician:PINK FLOYD

ピンク・フロイドの約20年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは、その20年前の前作「対(TSUI)」の制作段階で録音された20時間にも及ぶセッションから構成された作品。もともとはメンバーのデヴィッド・ギルモアの倉庫の中に眠っていたのですが、2008年にメンバーのリチャード・ライトが急逝したことから、ライトとの作品をあらためて洗い直し、ライトへのトリビュートアルバムという意味を込めてリリースされたのが本作だそうです。

そんな立ち位置のアルバムなだけに、通常のオリジナルアルバムというにはちょっと異質な内容。最後の「Louder Than Words(邦題 ラウダー・ザン・ワーズ~終曲)を除いてすべてインスト曲。ライトへのトリビュートに余計な言葉は不要、という意味なのかもしれませんが、やはり物足りなさは否めません。また、ギルモア本人が「これが最後のアルバムになる」と明言しており、そういう意味でも注目されたアルバムです。

さて今回のアルバムは、その20年前の「対(TSUI)」以来のオリジナルアルバムで個人的にはちょっと懐かしい思い出がよみがえってきました。その「対(TSUI)」がリリースされた20年前は私は高校生の頃で、ちょうど洋楽を聴き始めた頃。その頃ヒットしていた作品ということで「対(TSUI)」は私もリアルタイムで聴いていました。

そしてこの「対(TSUI)」を聴いて軽く衝撃を受けました。非常に凝った、クリアで奥深い複雑なサウンドは当時私が主に聴いていたJ-POPとは明らかに異質。「おお!これが洋楽か!さすがに邦楽とは違うな!」と感動したことを覚えています。もっとも、これは別に洋楽だから特別なのではなく、こういうタイプの音楽だ、ということを知ったのはもうちょっと後になってから。

それだけに個人的には「対(TSUI)」にはちょっとした思い入れがあるのですが、今回のアルバムもその時のセッションから構成されたアルバムということで、楽曲の雰囲気的には「対(TSUI)」に似ているものを感じます。そういう意味ではちょっと懐かしさも感じました。

amazonなどの評価を見ている限りでは、インストメインということで決して評価は高くないようです。ただ、スケール感があり奥行があるサウンドは魅力的。ギターやストリングス、ピアノで奏でられるメロディーは、時として哀愁も感じられインパクトも十分。なによりも魅力的だったのは非常に澄んだような音質感。ひとつひとつの音色が重厚ながらもとてもクリアに聴こえるような録音になっており、耳を惹きつけられました。おそらく自分なんかが持っているよりももっといいデッキで聴いたらとんでもない音が聴こえてくるんだろうなぁ~。

全18曲入りのアルバムなのですが、「SIDE1」から「SIDE4」までの4部構成となっており、楽曲は基本的にひとつの「SIDE」の中ではつながっているため、事実上、4曲入りといった雰囲気となっています。そんな4曲の中で複雑に構成され展開されていく内容になっているため、最後まで飽きることがありません。壮大な雰囲気の作品は、「永遠」というタイトル以上に、ジャケットの写真のような、幻想的な終わらない川を渡っているようなそんな感覚を得るような内容。いろいろな意見はあるみたいですし、確かにピンク・フロイドのロック史に残るような傑作群と比べれば物足りないのは間違いないものの、ピンク・フロイドというバンドの魅力は十分すぎるほど感じられられる作品になっていたのではないでしょうか。非常に気持ちよく楽しめるアルバムなのは間違いないでしょう。

評価:★★★★★

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2014年11月28日 (金)

女王、貫録のカバー

Title:Aretha Franklin Sings the Great Diva Classics
Musician:Aretha Franklin

「クイーン・オブ・ソウル」の異名を持ち、アメリカの音楽誌「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」では1位を獲得するなど高い評価と絶大な支持を得ているソウルミュージシャン、アレサ・フランクリン。その彼女の3年半ぶりとなるアルバムがリリースされました。今回のアルバムはカバーアルバム。それもタイトル通り、女性ミュージシャンが歌ったスタンダードナンバーをカバーした作品になっています。

ただ、このスタンダードカバーの選曲がなかなかおもしろい感じ。エタ・ジェイムスの「At Last」やダイナ・ワシントンの「Teach Me Tonight」などの彼女にとっての敬愛すべき諸先輩方のカバーも収録されている一方、ディスコクラシックの「I Will Survive」のカバーなんて、ソウルミュージシャンというイメージからするとかなり意外なセレクト。そしてそれ以上にビックリしたのはアリシア・キーズの「No One」やアデルの「Rolling In The Deep」なんていう最近のヒット曲をカバーしてきたことでした。

特にアデルの「Rolling In The Deep」は、低音部からスタートする歌い出しにゾクゾクくるようなカバーになっていて「小娘もなかなかやるけど、まだまだね」なんて感じの女王からのメッセージが伝わってくるよう・・・。これって日本で例えれば美空ひばりがaikoや椎名林檎や宇多田ヒカルのカバーをするようなもんだよなぁ・・・カバーされた方が恐縮しちゃうそう(笑)。

もっとも、そのボーカルはやはり昔と比べてしまうと厳しい側面もチラホラ感じてしまうのも事実。まあ彼女も御年72歳。その年齢を考えると十分すぎるほど声量は出ている、ともいえるかもしれませんが、高音部に関してはちょっと厳しいように思いました。声はそれなりに出てくるのですが、声に艶がなくなってしまってちょっと平坦になってしまったように思います。

その分、低音部に関してはいまだにゾクゾクするような迫力は十分に感じることが出来、「クイーン・オブ・ソウル」としての貫録を垣間見ることが出来ました。緩急つけたボーカルや微妙な表現力などもさすが。ここらへん、ただ声量だけで押し切るような自称ディーバたちとの格の違いを感じます。上にも書いた通り、「Rolling In The Deep」の出だしなんて、まさに女王健在を感じられ、ゾクゾクとするものを感じてしまいます(もっともアデルも十分すぎるほど素晴らしいミュージシャンですが)。

そんな感じで、失礼ながらも「寄る年波には・・・」な部分があるのは否めないのですが、一方ではちゃんと「クイーン・オブ・ソウル」としての実力を感じることが出来たカバーアルバムだったと思います。ファンなら十分満足できるアルバムだったのではないでしょうか。ただ、アレサ・フランクリンって誰?アレサ・フランクリン、はじめて聴くけど・・・みたいな方ははじめて聴くアルバムとしてはちょっとお勧めできませんが・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Prism/Katy Perry

デビュー当初のイメージからはかなりおとなしくなった印象もありますが、相変わらず元気なガールズポップといった印象のアメリカのシンガーソングライターの3枚目。4つ打ちを使ったリズミカルな作品が多く、結果、インパクトはあるもののちょっと平坦な印象も。国内盤18曲入り70分強という内容は、さすがに長すぎでちょっとダレた・・・。

評価:★★★

Katy Perry 過去の作品
One Of The Boy
Teenage Dream

Wenu Wenu/Omar Souleyman

ちょっと怪しげなジャケが特徴的な彼は、シリアのテクノミュージシャン。「1994年に活動開始してからシリア特有の民族舞踊であるダブケをダンス・ミュージックに昇華させたシリア音楽界の伝説と呼ばれている。」(Wikipediaより)だそうです。中東風のメロに、非常に強いビートのテクノサウンドが載るのですが、この打ち込みのビートが非常にチープ。ただ、このチープさが妙に中毒性があって、何度も何度も聴きかえしたくなる不思議な魅力があります。一度体験してほしい、強烈なリズムです。

評価:★★★★★

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2014年11月16日 (日)

ブルース入門に最適!

Title:永井“ホトケ”隆のブルースパワー・ラジオ・アワー

"The Blues Is The Roots,Everything Else Is The Fruits."(「ブルースこそが根っこだ。他のすべてのものはそこになる果実だ)という名言を残したのは、ブルースを代表する数多くのヒット作を手掛けたシカゴ・ブルース界の裏番長ことウィリー・ディクソンですが、その言葉の通り、アメリカ黒人音楽の「根っこ」であり、ロックを中心に数多くの音楽に強い影響を与えているブルースという音楽。ただ、その影響力と反して、どこか難しく、取っつきにくい音楽ではないか、という印象を持っていて、「興味はあるけど聴いたことはない」という方も多いのではないでしょうか。

そんな「興味はあるけど・・・」という方にとって絶好のコンピレーションが発売されました。それが今回紹介する本作。日本を代表するブルースミュージシャン、永井"ホトケ"隆が青森県弘前市のコミュニティーFM局、FMアップルウェーブをキー局に、東北6県+奄美大島で放送されているブルースを紹介する日本で唯一のラジオ番組「ブルースパワー」の放送7周年を記念してリリースされたコンピレーションアルバムです。

ブルースの代表曲を永井"ホトケ"隆が選曲して収録したこのアルバム。それだけでも注目の内容なのですが、このアルバムがなによりもユニークなのは、曲の合間にラジオ番組さながらに永井"ホトケ"隆の曲紹介のMCが入る部分。その楽曲が、ブルースという音楽にとってどのような位置づけなのか、ミュージシャンの紹介や特徴、歌詞の内容の紹介など、ブルースを聴く上で「壺」となるようなポイントを上手く解説し、親しみにくそうなブルースという音楽が、実は今の私たちにとっても実に親しみやすい音楽だ、ということを上手く紹介しています。

収録されているミュージシャンにしても、ブルースの代表的なミュージシャンを上手く網羅的に収録されています。ある意味、ブルースミュージシャンの中でもっとも「ブルース」らしいLIGHTNIN' HOPKINSの、これまた「ブルース」らしい「MOJO HAND」からスタート。さらにこちらも「ブルース」という音楽のイメージにピッタリ来ながらも、しゃがれ声のボーカルが強いインパクトを受けるHOWLIN' WOLFと、ある種一般的なイメージの「ブルース」らしいナンバーからスタートします。

その後もT-BONE WALKERSのような数多くのギタリストに影響を与えたミュージシャンや、B.B. KING、MAGIC SAMのようなモダン・ブルースの代表的なミュージシャン、さらにはBLIND LEMON JEFFERSONのような戦前ブルースの代表格までも収録しており、まさにブルースの歴史を網羅的に把握できるような選曲になっています。

途中、軽快なMCを入れつつの構成であるため、おそらくブルース初心者にとっても非常に聴きやすいアルバム構成になっています。1時間を超える内容ながらも、途中、まったくダレルことなく楽しむことが出来るのは、楽曲が名曲揃いということもさることながらも、永井"ホトケ"隆のMCによるところも大きいのではないでしょうか。

ただ、ブルースの代表的なミュージシャンを紹介していながらも、残念ながらロバート・ジョンソンとマディー・ウォーターズという、ブルースというジャンルを紹介する時に真っ先に名前が出てくるようなミュージシャンが未収録なのがちょっと残念。おそらくロバート・ジョンソンはこの手のコンピに楽曲を収録することを許していないんだろうなぁ、という感じはするのですが、マディー・ウォーターズはなぜ?

そんな点は気になりつつも、ブルース入門としては文句なしに最適なコンピレーションアルバムなのは間違いありません。このアルバムを聴けば、ブルースという音楽の魅力、聴く時の壺がどこにあるのかがよくわかり、決して「親しみにくい音楽」ではないことがわかると思います。ブルースには興味があるけど・・・という方はもちろん、ブルースが大きな影響を与えたロックミュージックを愛する音楽ファンにも、そのルーツを知るためにもお勧めしたいアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Wise Up Ghost/Elvis Costello&The Roots

John Legend、 Betty Wrightに続くアメリカのHIP HOPバンドTHE ROOTSのコラボアルバム第3弾。ただし本作はTHE ROOTSの作品というよりはコステロの新作にTHE ROOTSがバンクバンドをつとめた、的な印象の強い作品。そのため、ラップはほとんど登場せず、基本的にメロディーはコステロらしいポップなメロが聴けます。一方でサウンドは、THE ROOTSらしい、シンプルなサウンドでどす黒いビートを奏でるソウルフルなもの。そのため、ロックンロールなコステロを求める方には物足りないかもしれませんが、コステロの良さとTHE ROOTSの良さがほどよく楽しめるコラボとなっていました。

評価:★★★★★

Elvis Costello 過去の作品
Momofuku(Elvis Costello&the Imposters)
Secret,Profane&Sugarcane
National Ransom

THE ROOTS 過去の作品
WAKE UP!(John Legend&The Roots)
undun
Betty Wright:The Movie(Betty Wright&The Roots)
...and then you shoot your cousin

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2014年11月 7日 (金)

充実の40分

Title:You're Dead!
Musician:Flying Lotus

出すアルバム出すアルバムが大きな話題となるミュージシャン、Flying Lotusの最新作。「You're Dead!」=「お前はもう死んでいる」というアルバムタイトルも強烈なら、神々しい雰囲気を感じるジャケットも印象的。「死」をテーマとした作品だったゆえに、かのファレル・ウイリアムスから参加を拒否されるなんてエピソードも付随する、話題のアルバムになっています。

ただ、「死」をテーマとした今回のアルバムについて、本人はこう言っているそうです。「このアルバムは、終わりをテーマにしているわけじゃない。これは次なる体験に向けた祝いなんだ。“なあ、お前は死んじまったんだよ…"っていうんじゃなくてさ、“よう、お前は死んでるんだぜ! "って意味なんだよ」。この発言からすると、このアルバムは決してネガティブではない、ポジティブな印象から死後の世界をイメージした内容、ということになるのでしょうか。

そんな彼のイメージを体現化した今回のアルバムは、まずとにかく情報量がつまっているというのが特徴的。わずか40分強の長さながら、全20曲収録というボリューム感。1曲あたり平均2分程度の楽曲が次から次へと展開していくのですが、それぞれの曲に、それぞれFlying Lotusのアイディアがつまっているような作品になっています。

スケール感あるサウンドが、このアルバムの世界に導いていくような「Theme」からスタートし、ジャズ、ロック、HIP HOP、エレクトロの要素をごちゃまぜにしたような作品が続いていきます。

「死」をテーマとしていながらも決して暗い雰囲気はなく、アルバム全体としてはむしろかなりダイナミックな印象を受けました。ただその一方で「Descent Into Madness」はコーラスが妙に幻想的な雰囲気を作り上げていますし、「The Boys Who Died in Their Sleep」なんかは壊れたBon Iverといった感じ?どこかこの世からはずれたような、幻想的な雰囲気はアルバムの中に漂っています。

ちなみに本作はハービー・ハンコック、ケンドリック・ラマー、スヌープ・ドッグといった豪華ゲスト勢が参加しているのも大きな特徴に。ケンドリック・ラマーが参加した「Never Catch Me」、スヌープ・ドッグが参加した「Dead Man's Tetris」のラップは、前半の大きなインパクトとして印象に残りますし、ハービー・ハンコック参加の「Tesla」も、彼の鍵盤の音とせかすようなドラムのリズムで、ジャズ風でありながらも、ジャズとは一風異なる緊張感あふれる素晴らしい演奏を聴くことが出来ます。

そんな訳で、そのめまぐるしい世界が最後まで展開し、最後の最後まで耳が離せない実に充実な40分を過ごせるアルバムになっていました。まさに圧巻といった印象がピッタリのアルバム。毎回、話題作をリリースするFlying Lotusですが、最新作も間違いなく、今年の話題作の1つ。まだまだ彼のアイディアは枯渇しなさそうです。

評価:★★★★★

Flying Lotus 過去の作品
Cosmogramma
PATTERN+GRID WORLD
UNTIL THE QUIET COMES


ほかに聴いたアルバム

WIRE 13 COMPILATION

毎年おなじみ電気グルーヴ主催のレイブイベントWIRE出演者によるコンピレーションアルバム。今年もまた、基本的にフロア志向の4つ打ちテクノを中心に、今風のベースミュージックにも手を伸ばしつつ、バラエティー富んだ顔ぶれが魅力的。個人的にはちょっとファンキーなPhilipp Gorbachev「Last Days Of The District」や、やはり絶妙なポピュラリティーが魅力のTakkyu Ishino「Jack Wire」が気に入りました。

評価:★★★★★

WIRE COMPILATION 過去の作品
WIRE 06 COMPILATION
WIRE 08 COMPILATION
WIRE 09 COMPILATION
WIRE 10 COMPILATION
WIRE 11 COMPILATION
WIRE 12 COMPILATION

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2014年10月17日 (金)

やっぱりこれが好き!

Title:Everything Will Be Alright in the End
Musician:WEEZER

今年でデビュー20周年を迎えたWEEZERの4年ぶりとなるニューアルバム。プロデューサーとしてデビューアルバムや3rdアルバムを手掛けたリック・オケイセックを迎えた本作は、原点回帰を目指したアルバム。ここ最近、WEEZERのイメージを大きく変えるような作品が続いていただけに、ここで一度、WEEZERとして初心に帰ろうという試みでしょう。

そしてこの原点回帰の試み、結果としては大成功していたと思います。まさに「そうそう、これがWEEZERだよ!」とうれしくなってくるような曲の連続。おそらくアルバムの冒頭「Ain't Got Nobody」の分厚いバンドサウンドがスタートしたところから、ファンの顔は思わずにやけるのではないでしょうか。そしてその後、キュートなメロディーがはじまったところでさらにうれしくなってくるはずです。その後も「Eulogy For a Rock Band」「Lonely Girl」のようなポップでキュートな曲の続いていきます。

基本的には収録曲はこの分厚いバンドサウンドにポップなメロディーという構成。ファンキーなサウンドでスタートする「I've Had It Up To Here」やアコースティックなイントロの「The British Are Coming」みたいな曲もありますが、サビになるとやっぱり分厚いサウンドにポップなメロというパターンに戻るのがおもしろいところ。やっぱり、WEEZERといったらこれだよね!といったお決まり感もある展開になっています。

思えばリヴァース・クオモは昨年、「スコットとリバース」というJ-POPのアルバムをリリースして話題になりました。この「スコットとリバース」はポップなメロがとても心地よかった傑作だったのですが、そこからの流れを考えると、リヴァースは今、また脂がのりだした、と考えられます。そんな勢いにのってリリースされたこのWEEZERの新作が悪いわけありません。

また、「スコットとリバース」がJ-POPという形態を取っているように、日本人女性と結婚して、日本との距離がグッと縮まったリヴァース。今回のアルバムの収録曲は、ひょっとしたらそんなJ-POPアルバムからの流れが影響するのか?なんて思う曲も。例えば「Eulogy For a Rock Band」の非常にわかりやすいメロディーはある種J-POP的ですし、「Cleopatra」などはJ-POPではよくありがちながら洋楽では珍しい「大サビ」の部分があったりして。「スコットとリバース」からWEEZERのアルバムへ逆流してきたような部分がアルバムの中でチラホラ感じられました。

そんなJ-POPからの流れは正直不明なのですが、そんな推測をしたくなるほど、わかりやすいメロディーがとてもキュートでポップなアルバムに仕上がっています。個人的には今年を代表する傑作レベルの作品かも。ちょっと不気味なジャケ写に負けず(笑)、要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL

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2014年10月 7日 (火)

リアルタイムのトム・ヨーク

Title:Tomorrow's Modern Boxes
Musician:Thom Yorke

Tom

かなり突然のニュースだったので驚かれた方も多いでしょう。RADIOHEADのThom Yorkeが突然のソロアルバムリリースを発表しました。

参考サイト:トム・ヨーク、ソロ新作『Tomorrow's Modern Boxes』を突如リリース
http://ro69.jp/news/detail/110576

アルバムリリースももちろん話題になったのですが、それ以上に話題となったのはそのリリース方法。今回のアルバムは公式サイトからのダウンロードによる販売なのですが、「BitTorrent」というP2Pソフトを介しての配布というスタイルになります。それなので公式サイトからダウンロードしようとすると、この「BitTorrent」のソフトが勝手にダウンロード&インストールされます。なので、「良く分からないソフトが勝手にインストールされるのは・・・」という方は、ファイルのダウンロードが終わったら、速攻でソフトをアンインストールすればよいかと。

そしてその肝心の楽曲はというと、ミニマルなベースミュージック。いかにもここ最近のトムらしい嗜好の作風といったイメージがあります。全体的にはかなりシンプルで静かなサウンドに、トムのファルセットのボーカルで、ちょっと悲しげに聴かせるような印象。

そんなサウンドは凝ったというよりはかなりラフな印象があり、彼自身、今持っている興味、今頭に鳴り響いたサウンドをそのままアルバムに落とした、といった印象も受けました。だからこそダウンロードという形で急きょのリリースだったのでしょうか。そういう意味では、トム・ヨークのリアルタイムをそのまま聴けるアルバム、といっていいかもしれません。

すごい斬新なサウンドで驚いた・・・という印象は正直ない一方、アルバム全体にメロディアスさを感じて意外と「ポップなアルバム」として楽しめるのも大きな特徴ですし、トム・ヨークらしいといえるのかも。全40分のミニアルバム的な内容なのですが、そのサウンドにみじろぎして釘づけというよりも、トムの新作としてポップに楽しめるアルバムだと思います。

ちなみにダウンロードの特設サイトはこちらから
http://tomorrowsmodernboxes.com/

残念ながら円安傾向なのでお値段はちょっとお高めなのですが、その価値は十分にあるアルバムだと思います。英語サイトですが購入までは比較的容易なので、クレジットカード片手に是非。

評価:★★★★★

Thom Yorke 過去の作品
The Eraser Rmx


ほかに聴いたアルバム

The Electric Lady/Janelle Monae

前作「Archandroid」が大きな話題となり一躍注目を集めたアメリカのR&Bシンガー、ジャネール・モネイの新作。実は本作ではじめて彼女のアルバムを聴いたのですが、これが非常に楽しい作品で一気にはまってしまいました。全体的に80年代っぽいポップな作風が並ぶ中、ディスコやアーバンソウル、R&BやHIP HOPなど、様々なジャンルを取り入れた楽曲が並びます。途中のインターリュードがラジオの番組風になっているため、アルバム全体でラジオを楽しんでいるような感覚にも。どこか「古き良きポップソング」を体現化した、難しいこと抜きに素直に楽しめるような、そんなポップソングが並んだとても楽しいアルバムでした。

評価:★★★★★

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2014年10月 4日 (土)

まさかの13年ぶりの新作

Title:Syro
Musician:Aphex Twin

ついに出た!2001年のアルバム「drukqs」以降13年ぶりとなるAphex Twin名義のアルバムがリリースされました。かなり長いスパンの上、突然のリリースとなったので驚いた方も多いのではないでしょうか。リリース前には、Aphex Twinのロゴの入った飛行船が空を飛んだり、ロゴのステッカーが街角で貼られたりというゲリラ的な、ある意味彼らしい広告宣伝手法も話題となりました。

そんな久しぶりの新譜となった本作。聴いてみてまず感じるのは、非常に聴きやすいという印象でした。アルバムの冒頭を飾る「minipops67」「XMAS_EVET10」と、彼にしてはシンプルなテンポよいリズムの聴きやすいナンバーが並んでおり、13年ぶりの新作として、まずこれがはじめてのAphex Twinというリスナーの耳もギュッとつかむような、そんな作品からスタートしています。

そんな中、いかにもAphex Twinらしいと感じるナンバーが「CIRCLONT6A」「CIRCLONT14」あたりでしょうか。複雑にからみあう強烈で硬度の高いビートが印象的なナンバー。ただ、Aphex Twinらしい楽曲とはいえ、次々と展開していく音の世界と、その根底に実は感じられるある種のメロディーセンスに思わず聴き入ってしまう曲になっています。決して「目新しさ」はないかもしれませんが、いまなお凡百のエレクトロミュージシャンとの格の違いを見せつける、非常に惹きこまれる楽曲に仕上がっています。

さて今回、Aphex Twinのアルバムリリースとともに話題となったのが、この13年間のAphex TwinことRichard D. Jamesのプライベイト。なんと彼、この間に結婚し、子供が2人も誕生したとか。「aisatsana」は妻に捧げた曲らしいのですが、とても優しい雰囲気のピアノ曲になっており、「PAPAT4」もAphex Twinらしい複雑なビートの中に優しいメロディーを感じられるなど、アルバム全体として攻撃性みたいな部分が薄れ、やさしさすら感じられる内容になっています。それはやはりRichard D. Jamesが良き夫であり良き父親となったから、でしょうか?

また今回のアルバム、目新しさを感じる曲はないのですが、それが逆に、変に革新的な曲をつくってやろう、という気負いを感じさせず、素直なAphex Twinらしさが出た、という意味でとてもプラスに働いたように感じられます。ある種の余裕すら感じられた、といってもいいかもしれません。

そんな訳で、斬新さを求めるとちょっと肩すかしをくらうかもしれないAphex Twin13年ぶりの新作。実に彼らしい作品でしたし、それが決してアルバム評価のマイナスとなっていない部分に、彼の才能のすごさをあらためて感じます。この13年間、様々なエレクトロのミュージシャンが登場し話題となりましたが、その中でも今なお彼が孤高の存在であることを知らしめたアルバムでした。

評価:★★★★★

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2014年10月 3日 (金)

人生を変えたアルバム

Title:(WHAT'S THE STORY)MORNING GLORY?(Remasterd)(Deluxe)
Musician:oasis

自分にとって最も重要なアルバム。もし私がそんな質問をされたら、洋楽では間違いなくこのアルバムをあげると思います。1995年にリリースされ、全世界セールスが2,300万枚に達したというoasisの2ndアルバム。なぜ私にとって重要か、それは私はこのアルバムで音楽に対する「聴き方」が変わったからです。

それまでの私は、洋楽を聴くことがあってもBON JOVIやらエアロスミスやら、当時高校生界隈ではやっていたミュージシャンをチラリと聴いて「ふーん、これが洋楽か」と聴く程度でした。しかし「Don't Look Back In Anger」が気に入って聴いてみた本作にはまり、その後、一気に洋楽のミュージシャンも積極的に聴くようになったのです。なによりこのアルバムで私の音楽の聴き方がかわったのはバンドサウンドのカッコよさに気が付いたという点。いままではメロディーと歌詞だけを聴いて楽しむという典型的なヒットチャート王道系の聴き方をしていた私ですが、このアルバムではじめてロックという音楽のカッコよさに気が付きました。そしてそれは、これ以降、メロディーや歌詞だけではなくサウンドも含めて音楽なんだという当たり前のことに気が付き、音楽の聴き方が変わり、一気に音楽の世界が広がった、そんなアルバム。結果、音楽好きとしていろいろな楽曲を聴きまくっているだけに、おおげさかもしれませんが「人生を変えたアルバム」ともいえるかもしれません。

今回、デビュー20周年のリマスター企画の第2弾としてリリースされた本作。あらためて聴きなおして・・・と言いたいところなのですが、今でも時々、聴いていたりするので「あらためて」ではないのですが・・・強く感じたのはとてもわかりやすいアルバムだ、ということでした。

そのインパクトが強く一発で憶えられるようなメロディーもさることながら、わかりやすさを感じるのはその楽曲構成。例えば私がはまったきっかけとなった「Don't Look Back In Anger」では、最初抑え気味でメロディーを聴かせるAメロからスタートし、「So I start a revolution from my bed」から徐々に盛り上がっていき、そしてサビで一気に盛り上がる。このAメロ、Bメロ、サビがはっきりとわかれているわかりやすい構成にはある種のベタさを感じますし、「Roll With It」に至っては、いきなりサビスタートで、楽曲タイトルを連呼する構成。ここらへんの楽曲構成は、ある種J-POP的なわかりやすさを感じますし、だからこそ、昔ほとんど邦楽しか聴いていなかった私でも、すんなりとこのアルバムにはまることが出来たのでしょう。

私がこのアルバムでその良さに目覚めた「バンドサウンド」に関しても、今聴くと決して特筆するほどのものではありません。ただ、非常にシンプルかつダイナミック。手っ取り早く、そしてわかりやすくロックという音楽の良さを伝えてくれています。

そんなメロにしろサウンドにしろ、ある種シンプルでかつわかりやすいアルバムである本作。ただ、このシンプルでわかりやすいというのは、ロックという音楽が持つ重要な要素なのではないでしょうか。ロックに限らずともすれば音楽というのは、複雑だったり難しかったりすればするほどありがたがる傾向がなきにしもあらずです。ただ、本来のロックというのはもっとみんなを楽しませて踊らせる、シンプルなポピュラーミュージックのはず。このアルバムは、そんなロックという音楽の持つ、本来の楽しさを体現化したアルバムだと思います。だからこそ間違いなくこのアルバムはロックの名盤として歴史に残るべきアルバムだと思っています。

今回私が聴いたのはデラックス・エディションで、DISC2ではその当時のカップリング曲が、DISC3ではデモ音源やライブ音源が収録されています。DISC2のカップリング曲については98年にリリースされたB面集の「The Masterplan」にも多く収録されていますが、前作「Definity Maybe」の時ど同様、今聴いても、カップリングという扱いにも関わらず名曲揃いということに驚かされます。いかにあの時代のノエルが、脂にのりまくっていたかがとてもよくわかります。

DISC3ではデモ音源はアコースティックによりシンプルになった楽曲の素の姿を知ることが出来ますし、ライブでは、CD音源より、よりグルーヴィーになった彼らの作品を楽しむことが出来ます。特にライブ音源に関しては迫力ある内容が多く、その当時の彼らは、まさにライブでも脂に乗りまくっていた、まさに「向かうところ敵なし」の状況を感じることが出来ます。

繰り返しになりますが、このアルバムがロックの歴史に残る名盤なのは間違いないでしょう。もしロックが好きでこのアルバムを聴いていないのならば、人生の半分は損しています(笑)。ま、それは大げさでも、まだ聴いたことない方はこれを機に是非。

評価:★★★★★

oasis 過去の作品
DIG OUT YOUR SOUL
Time Flies 1994-2009
Original 1993 Demos
Definitely Maybe (Remastered) (Deluxe)

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2014年9月21日 (日)

まさかの無料配信

Title:Songs of Innocence
Musician:U2

先日、U2に関して驚きのニュースがかけめぐりました。U2のニューアルバムがiTunesユーザー限定で無料配信されるというニュース。それもiPhoneやiTunesに勝手にアルバムが登録されているというサービス付・・・これはちょっとおせっかい機能だと思いますが(苦笑)。ただ2009年の「No Line on the Horizon」以来となるU2のニューアルバムがAppleとのタイアップにより無料で配られるというニュースは多くの音楽ファンにとって驚きをもって迎え入れられました。

そんな「無料リリース」となったニューアルバムですが、ただ無料だから、といって決して手抜きだったりアコースティックバージョンだったりそんな訳ではありません。このアルバムも列記としたU2のニューアルバム。いうまでもなく本格的なサウンドプロデュースによるダイナミックなU2のサウンドが全面的に展開しています。

ここ最近のU2のアルバムは、いわば原点回帰的。U2の王道ともいうべき作風のアルバムになっていました。本作に関してもその方向性は継続しています。このアルバムの冒頭を飾る「The Miracle (Of Joey Ramone)」はThe Ramonesのジョーイ・ラモーンに捧げられた楽曲。ノイジーなギターサウンドこそちょっとガレージっぽい雰囲気はありますが、基本的にはスケール感のあるU2らしい楽曲になっていますし、続く「Every Breaking Wave」は伸びやかな抜けのあるメロディーラインはまさにU2の王道。楽曲を聴いていて広大に広がってくるスケール感は彼らならではの楽曲と言えるでしょう。

続く「California(There Is No End to Love)」は前半のハイライト。テンポよく爽やかながらもちょっと切なさを感じるメロディーラインが実に絶妙。サウンドは彼ららしいスケール感も伴っており、U2を聴いているなぁ、という満足感を覚える作品です。

そんな爽やかでスケール感ある前半と比べて、後半はマイナーコード主体のちょっとダークな雰囲気の作品が並んでいました。「Cedarwood Road」「Sleep Like a Baby Tonight」などちょっとダークなサウンドと哀愁あるメロディーが印象的ですし、「This Is Where You Can Reach Me Now」もちょっとメランコリックさのあるメロディーながらもリズミカルなダンス風ナンバーというのがユニーク。最初から最後までサウンドもメロディーもきっちり作りこみ、リスナーをきっちり楽しませる作品になっています。

なによりも今回のアルバムで感じたのはベテランバンドU2の安定感。しっかりリスナーの壺をつくようなメロディーと、スタジアムバンドらしいスケール感を保ちつつ、ロックバンドとしてのダイナミズムも同居させた楽曲が並んでおり、ちゃんとU2としてファンが要求するものに応え、安心して聴ける楽曲は、ベテランバンドの彼らならでは、といった感触を抱きました。もしお手元のiPhoneやiTunesのライブラリに入っていながらもまだ聴いていない方がいたらとてももったいない!iTunesも無料でダウンロードできるだけに、是非是非、チェックしてみてください。ちなみに無料でダウンロードできるのは10月13日までということなので、今のうちに急げ!

評価:★★★★★

U2 過去の作品
No Line on the Horizon


ほかに聴いたアルバム

Fatboy Slim Recorded Live at Mambo 04.08.14/Fatboy Slim

Fatboyslim_live

Fatboy Slimが8月4日にスペイン、イビサ島のCafe Mamboで行ったライブ音源が無料ダウンロードでリリースされました。

参考サイト
ファットボーイ・スリムが最新ライヴ音源(約2時間)を無料DL配信中♪(RO69)
http://ro69.jp/blog/kojima/108922

ダウンロードはこちらから
http://labs.topspin.net/daphne/confirm.php?sessionid=452baf4ba6a2e3f866d8ea16e580b63f&fb=3

音源は2時間にわたってご機嫌なリズムが鳴り響く構成。目新しさのようなものはありませんが、無条件にダンスを楽しめそうな、壺をついたサウンドとリズムがとても魅力的。テンポよいテクノな楽曲の中にラテンのリズムが混じったりして、とても心地よい作品になっています。ちょっと音質は悪いですが、その分、会場の歓声なども交じり、その場の空気感もつたわる内容になっていました。

評価:★★★★

Fatboy Slim 過去の作品
I Think We're Gonna Need A Bigger Boat(THE BPA)
Here Lies Love(David Byrne&Fatboy Slim)

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2014年9月12日 (金)

ブルースに真摯に向き合う

Title:Step Back
Musician:Johnny Winter

今年7月、70歳でこの世を去ったギタリスト、ジョニー・ウィンター。CBSからデビューした際の契約金が多額であったことから「100万ドルのギタリスト」の異名を持ち、その名前にたがわぬ実力から数多くのミュージシャンたちを魅了してきました。しかし長らく日本に来日しておらず、「来日していない最後の大物」と呼ばれてきましたが2011年、ついに初来日公演。その後、よっぽど日本を気に入ったのか2012年にも来日し、さらに2014年にも来日公演を行っています。それだけに7月の急逝のニュースは多くのファンを驚かせました。

そんな彼が生涯にわたりプレイしてきたのは黒人のブルース。このアルバムはそんな彼のルーツであるブルースの曲を数多くカバーしたカバーアルバム。2011年にそのものズバリ「Roots」という名前で同じくカバーアルバムをリリースしていますが、本作はそれに続く第2弾ということになります。

選曲は、そんなブルースの名曲がズラリ。Howlin' Wolfの「Killing Floor」やLightin' Hopkinsの「Mojo Hand」などなどの有名曲が並んでおり、ブルースに対する深い憧憬を感じさせる一方、1曲目を飾るのがRay Charlesの「Unchain My Heart」だったりLittle Richardの「Long Tall Sally」をカバーしていたりとロックという枠組みにとらわれない、ルーツミュージックに対する愛情を感じさせてくれます。

私自身、4月の来日公演にかけつけ、はじめて彼のライブを見ました。正直な感想としては、やはり声の衰えはいなめず、ギタープレイにしてもやはり、おそらく往年に比べると・・・といった感じで、ちょっと控えめな演奏に物足りなさも感じました。一方ではアンコールでは本編から一変し、ギュンギュンとパワフルなギタープレイを聴かせてくれ、「100万ドルのギタリスト」の片りんを感じさせるプレイも聴かせてくれました。

今回のアルバムに関していえば、確かにライブで見た時と同じく、ギタープレイにしても声にしても、どこか衰えという部分は隠せません。ただ、やはりスタジオ録音ということもあるのでしょうが、ライブで見た時よりもパワフルな演奏を聴かせてくれています。なによりルーツミュージックを1曲1曲丁寧にカバーしていくスタイルには、自身のルーツに対する愛情を強く感じます。

なによりもブルースという音楽は、必ずしも歳をとるということが音楽に対するマイナスに作用しない音楽。このアルバムの中でも特にSon Houseの「Death Letter」はアコギ一本で絞り出すような声で聴かせるプレイが心をうちます。この曲に関しては70歳の彼だからこそ演奏できた曲のように感じました。

結果として遺作となってしまった本作。ファンにとっては、それだけに思い入れなしには聴けないアルバムだと思います。また、その最後のアルバムが、彼のルーツをカバーしたアルバムだったというのも、彼らしい、と言えるのかもしれません。最後の最後まで素晴らしい演奏を聴かせてくれた彼。あらためてご冥福をお祈りします。

評価:★★★★

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