tofubeatsの良さがきちんと表れたデビュー作
Title:First Album
Musician:tofubeats
ももクロの楽曲のリミックスやWIREへの出演などで急激に注目を集めた平成生まれの若きトラックメイカーとして話題のtofubeats。いままで、メジャーから2枚のEPをリリースしてきましたが、フルアルバムとしてはメジャー初となる、タイトル通りの「ファーストアルバム」になります。
個人的にtofubeatsに対して抱いていたイメージというと、楽曲は卒ないというイメージのある優等生的なもの。どこか醒めた、良くも悪くもこだわりのないイメージが、「いまどきのミュージシャン」という印象を受けていました。
今回のメジャーデビューフルアルバムでは、「ディスコの神様」や「Don't Stop The Music」など、いままでの2枚のEPに収録された曲も収録されています。そういうこともあり、基本的にはいままでのEPの延長線上にあるアルバム。そのため、当初の彼に対して抱いていたイメージは、基本的にはこのアルバムでも大きくは変わりありません。
ただその一方、tofubeatsというミュージシャンのプラスの側面がより表に強く出ていたような印象を受けました。まず彼の持つ「こだわりのなさ」が「音楽的な幅の広さ」というプラスの側面で強くあらわれていたように感じました。例えば「CAND\\\LAND」では序盤はユーロビート的なサウンドからスタートしつつ、エレクトロナンバーにシフトしていく構成がユニークですし、「Her Favorite」ではファンキーなサウンドを、「ひとり」ではラテン調のサウンドを取り入れたりしています。
正直言うと、今回のアルバムで、彼がこんなに音楽的な素養の深いミュージシャンだったんだ、ということをあらためて感じさせられました。音楽に対するある種のこだわりのなさが、いままでのEPではどうも音楽に対してどこか一歩引いた醒めたものを感じたのですが、今回のアルバムでは、こだわりのなさゆえの自由な幅広い音楽性というプラスの要素がより強く出ていたように感じます。
また、tofubeatsのプラスの側面としては、あくまでもポップにまとめあげる手法が上手く出ていたように感じます。特に今回のアルバムでは「framed moments」のように、エレクトロトラックでも少々複雑でユニークな作風の曲も目立ち、これがまたアルバムの中で大きなインパクトとなっていたのですが、そんな楽曲でもあくまでもポップにまとめあげてきており、彼の持つポップスセンスが今回のアルバムでは大きなプラスとなっていたように感じます。
こういう言い方をするとちょっと偉そうなのですが、tofubeatsというミュージシャンはこんないいミュージシャンだったんだ、と見直したアルバムでした。確かに彼に対してマイナスな評価をしてしまう「ひっかかる」部分は本作でも残っていたものの、それを十分におぎなうだけの魅力を感じられるアルバムだったと思います。平成生まれの若き才能のこれからが楽しみになってくるような1枚でした。
評価:★★★★★
tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
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