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2014年12月19日 (金)

天才的SSWなのは間違いないのですが・・・

Title:BEST
Musician:清竜人

ここ最近、なにかと話題になることも多い男性シンガーソングライター清竜人。アルバム「MUSIC」では声優も参加したミュージカル風な作品が話題となり、その世界を再現したライブも一部で大きな評判を集めました。さらに最近では清竜人25と名乗るアイドルグループを結成し、その奇抜なアイディアで話題となっています。

ただし、清竜人というミュージシャンがもともとそういう奇抜さを売りにしたミュージシャンだった訳ではありません。今回、はじめてリリースされたベスト盤では彼の楽曲が発表順に並んでいます。特にこのアルバムの前半に収録されている作品については、ファルセットボイスを多用したシンプルながらも実に美しいメロディーラインが絶品。彼の代表曲の1曲「痛いよ」も歌詞を含めて素晴らしい傑作なのですが、「プリーズリピートアフターミー」も美メロという表現がピッタリ来る、素晴らしい名曲に仕上がっています。

しかしその後のアルバム「MUSIC」からの作品は、劇じみた奇抜な作風な曲が並んでおり、さらにそれに続くアルバム「KIYOSHI RYUJIN」からの作品は「ぼくはロリータ・コンプレックス」「ぼくはバイセクシャル」など、メロディーやアレンジは非常にシンプルながらも、その歌詞の題材がタイトル通りのかなり奇抜な作品となっています。

個人的に以前から、題材が奇抜だったり構成が複雑だったりする電波ソングと言われるようなものが妙に高く評価されたりするのが非常に疑問に感じていたりすることも大きな理由かもしれませんが、正直、清竜人に関してもこれらの曲に面白味を感じられませんでした。

いや正確に言うとインパクトもあって確かにおもしろいっちゃあおもしろいんですが、感想として「ふ~ん、で?」といった感じ。一度聴けば十分といった感じでしょうか。そう感じてしまう最大の理由は、こういう曲を彼が歌う意味があるの?と感じてしまう点。もし彼が実際にロリコンでバイセクシャルなら曲の題材として取り上げる意味は非常に大きいと思います。また、たとえ奇抜な題材を用いても、その向こうに普遍性あるテーマを取り上げるのならば、それはそれで興味深く感じます。でも正直言って彼の曲からはそういう普遍性は感じられません。ただ曲の題材としておもしろそうだから取り上げているだけと感じてしまいます。そういう方向性は別に否定はしませんが、個人的には共感はできません。

彼が、こういう奇抜な素材をつかわないとインパクトを出せないレベルのミュージシャンなら、こういう方向性は仕方ないといえば仕方ないのかもしれません。ただ、上でも書いたとおり、普通に書いた楽曲が、非常に絶品で間違いなくシンガーソングライターとしては「天才」と称しても間違いないくらいの実力はあるんだよなぁ・・・。でも、こういう奇抜な方向性に向かう前の「WORLD」から、いろいろなタイプの曲に手を出しすぎて、少々方向性がぼやている部分を感じただけに、こういういろいろな素材に手を出しておもしろがるというのは、彼の大きな特性なのかもしれません。個人的には「WORLD」のようなシンプルなポップソングを熱望するのですが、今後も奇抜な素材の曲を作り続けるんだろうなぁ・・・。

評価:★★★★

清竜人 過去の作品
WORLD
MUSIC
WORK

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