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2014年12月 7日 (日)

歌謡ディスコの世界・・・

いろいろと音楽を聴いていて、時々妙に聴きたくなるのが「B級歌謡曲」。微妙なチープさと、どこか感じるエロチシズムが大きな魅力だったりするのですが、そんなB級歌謡曲のオムニバスアルバムを今回は聴いてみました。

Title:ディスコ歌謡夜の番外地~抱いて、火をつけて~

Title:ディスコ歌謡夜の番外地~卑弥呼~

「やさぐれ歌謡最前線」や「歌謡曲番外地」といった人気コンピを企画してきたプロデューサー、高護氏が手掛けたあらたなオムニバスシリーズ。今回は「歌謡ディスコ」をテーマに、70年代後半のディスコブームの中に日本に登場した和製ディスコチューンを揃えたオムニバスになっています。

ズラリと並んだ曲は、まさに知る人ぞ知る的なB級感満載のラインナップ。曲名でGoogle検索をかけても上位に来るのがこのオムニバス、なんていうマイナー楽曲も少なくありません。ただ・・・正直言ってしまえば、予想していたよりもB級感は薄かったかも(^^;;

今回のオムニバスで特徴的なのは、同時代の洋楽カバーが多いという点。ビージーズの「スティン・アライブ」や洋楽カバーの定番中の定番「君の瞳に恋してる」「ゴー ウエスト」や「I Will Survive」のカバー「恋のサバイバル2」などが並んでいます。どれも原曲そのもののカバーではなく日本語でカバーしているなど、微妙にチープさを醸し出している点がB級っぽいといえばB級っぽいのですが、全体的には意外と卒なくカバーしており、「B級歌謡曲」的に一周回ったおもしろさ、ではなく純粋に悪くありません。

思えばディスコサウンドというスクエアなリズムは、リズム感が悪いと言われる日本人にとっても素直にカバーすることが出来、そのため、和製ディスコでも、洋楽勢と比べてもさほど遜色ない水準になっているように感じます。それはもちろん悪いことではないのですが、「B級っぽさ」という観点からすると、「卒なく出来すぎている」といて普通の歌謡曲になってしまっている、という感じもしました。

もちろん、そんな中でも強烈な独特の匂いを放つB級歌謡曲も並んでいます。「スカーレット・ドリーマー」はあの美川憲一がディスコナンバーに挑戦した曲。微妙な妖艶さがB級的な雰囲気を醸し出していますし、「ソウル・もうやめてェ」は、ただ合間に「もうやめてェ」という女性の声が入っているだけのユニークでエロチックなインストナンバー。「I'm Jesse,Smou-Man」はあの高見山関がボーカルをとったナンバーと、一度聴いただけでインパクト十分な楽曲が並んでいます。

その一方、B級という枠組みではなく、意外とカッコいいナンバーも。「『ヒデ』のテーマ」は、おそらく「オリーブの首飾り」と並んで、宴会の出し物で日本人がもっとも口ずさんでいるインスト曲としておなじみすぎるナンバーですが、あらためて聴くと、これがメチャクチャ黒いサウンドでカッコイイ!もともとテディ・ペンダーグラスの「Do Me」という元ネタがあるので当たり前かもしれませんが、この日本人にはおなじみのナンバーの意外な魅力を感じました。

「卑弥呼」の方のラストを飾る「サヨナラは出発の言葉」もカッコいいなぁ。日本語でJBバリのファンクを奏でるスタイルは、どこか在日ファンクを彷彿とさせる部分も。これを歌う安田明とビート・フォークは知る人ぞ知る的なグループのようですが、今聴いても十分すぎるほどの魅力を感じます。

そんな訳で、予想していたほどではなかったとはいえ、そのB級歌謡曲の世界と、その合間に顔をのぞかせるカッコいいファンキーな曲たちを楽しめたオムニバスでした。比較的聴きやすい内容なので、B級的な文脈ではなく、素直にポップスリスナーにお勧めできるアルバムかもしれません。興味はある方は、是非。

評価:どちらも★★★★

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