原点回帰の次は
Title:Boys!
Musician:THE BAWIDES
今年、カバーアルバム「GOING BACK HOME」をリリースしたTHE BAWDIES。もともとルーツ志向が強く、かつ、そのルーツに対して深い造詣を持っている彼らなだけに、ちゃんとルーツミュージックの素晴らしさを踏まえたうえで、とても愛情あふれるカバーアルバムに仕上がっていました。また、このアルバムは結成10年を迎えた彼らにとって、あらためて原点を振り返る意味でも重要な作品となっていました。
そんな彼らの約2年ぶりとなるニューアルバムは、いわばそんな彼らにとっての原点を踏まえた上で、THE BAWDIESとしての新たな一歩を模索したようなアルバムになっていました。そんな新たな一歩を感じられるのは、昨年リリースされたシングルで本作にも収録された「THE SEVEN SEAS」。いままでの彼らの曲とは異なるミディアムテンポなナンバーでロックンロール色は薄め。むしろちょっとフォーキーな雰囲気すら感じられる、彼らにとっては少々異色なナンバーになっていました(もっとも本作がリリースされたのは、カバーアルバムがリリースされる前なのですが)。
この「THE SEVEN SEAS」がアルバムの中で意外とピッタリはまっているという構成も上手くいっているのですが、なによりもアルバム全体として比較的バリエーションが多かったのも、この異色のシングルがピッタリはまった大きな理由のように思います。「LOVER BOY」ではTAXMANがボーカルを担い、独特のボーカルが特徴となっているROYとは異なる爽快感が楽曲から流れていますし、「KICKS!」ではツインボーカルを取り入れてきている、様々なバリエーションが楽曲から感じられます。
ただ、とはいうものの、アルバムの基本路線はいままでとほとんど変わりありません。シンプルなバンドサウンドとポップなメロディーが楽しい、ルーツ志向のロックンロールナンバー。「NO WAY」はシンプルなロックンロールながらもゴリゴリのギターリフがワクワクしてきますし、最後を締めくくる「TWISTIN' ANNIE」はROYのシャウトがカッコイイ、ソウルフルなナンバー。THE BAWDIESとしては基本的に「いつも通り」であるので、そこらへんはご安心を(笑)。
まあこの「いつも通り」というのは、言い方を変えると「大いなるマンネリ」に近い部分があるのは事実。でも個人的に彼らみたいなシンプルなロックンロールバンドは、こういう「大いなるマンネリ」でいいんじゃないのかなぁ、ということを強く感じます。マンネリといってもサウンドもメロもシンプルなだけに聴いていて飽きは来ませんし、なによりも彼らの原点がシンプルなロックンロールである以上、変にそこの軸足を思いっきり変えるような曲を展開した方が、むしろかなり不自然になってしまいそう。そういう意味では、それなりに新基軸を入れつつも、基本的にはいままでどおりという彼らのスタンスは大正解なように思います。
もちろんそんな本作も、THE BAWDIESらしさはしっかり決まった、シンプルでルーツ志向のご機嫌なロックンロールアルバムに仕上がっているのは間違いありません。聴いていて、ロックンロールの楽しさを存分に感じられることができる傑作。まだまだこれからも、彼らのカッコイイロックンロールナンバーが楽しめそうです。
評価:★★★★★
THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
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