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2014年12月 9日 (火)

クソな国がほらあるよ

Title:サイケデリアレディ
Musician:踊ってばかりの国

今回紹介するのは、踊ってばかりの国の最新ミニアルバム。今回のアルバムは3,000枚限定リリースとなる作品なのですが、どちらというと企画盤的な意味合いの強いアルバムで、もともとは8月にHMV渋谷限定でリリースされた3曲入りのアナログ盤「サイケデリアレディ」に2月に500枚限定でリリースされたアナログ「踊ってはいけない国EP」の2曲を加え、さらに新曲の1曲を加えた6曲入りの内容となっています。

ただ、このうち表題曲「サイケデリアレディ」と、「踊ってはいけないの国」は1月にリリースされたアルバム「踊ってばかりの国」に収録された曲。そういう意味ではちょっと目新しさは薄いかもしれません。

とはいえ今回のアルバム、わずか6曲入りとはいえ、強烈に踊ってばかりの国の主張が感じられるようなラインナップ。初のCD化となる「夕日」「僕の海」や新曲「達者な野郎」もなかなかの名曲なのですが、やはりインパクトが強烈なのは、「踊ってばかりの国」にも収録された「踊ってはいけない国」でしょう。これはご存じ、ダンスを規制しているとして問題となった風営法を強烈に皮肉った歌。

「踊ってはいけない 言葉より先に産まれたのに
踊ってはいけない そんな国がほらあるよ
踊ってはいけない あなたより先に産まれたのに
踊ってはいけない そんな法律があるよ」

(「踊ってはいけない国」より 作詞 下津光史)

と、かなりストレートな批判を繰り広げています。風営法といえば、改正案が提示されたものの衆議院解散により廃案となり、改正が先送りされてしまいました。そんなタイミングでこのアルバムがリリースされたというのも、狙ったわけではないでしょうが絶妙。残念ながらまだまだ踊ってはいけない「クソな国」が続いていきそうです。

そしてなによりこのアルバムで最大のインパクトとなるのが12分に及ぶ大作「アンセム」でしょう。世界にまだ広がる地域格差の問題や反戦をテーマとした大作で、こちらもかなりストレートでインパクトのある歌詞が胸をうつ作品になっています。こちらもこれが初のCD化。正直、この1曲を聴くためだけにでもチェックする価値のある作品だと思います。

収録曲はフォークやブルースロック、あるいはサイケやらモータウンやら様々な作風を取り込んでいるのはいつも通りなのですが、その中で本作は比較的シンプルな作風の曲が並んでいました。逆にだからこそ、「踊ってはいけない国」や「アンセム」のような強烈なメッセージが、よりインパクトを持っていたようにも思います。

6曲入りでうち2曲が既存のアルバムのリテイク。そういう意味では万人にはお勧めしがたい点も持ったアルバムかもしれません。ただ、このアルバムではじめてCD化された4曲は文句なしの名曲揃い。そのうち「アンセム」はタイトル通り、踊ってばかりの国の代表曲となりそうな作品です。そんな訳で、このアルバムももちろん要チェックの傑作。次のフルアルバムもますます楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER
踊ってばかりの国

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