amazarashiらしさ
Title:夕日信仰ヒガシズム
Musician:amazarashi
amazarashiのニューアルバムは、まずタイトルに「思いついちゃった」感を感じます(^^;;要するに、「~主義」を意味する接尾語「~イズム」と、「日が沈む」をからめたタイトル。思いついた時のメンバーのどや顔が目に浮かぶようです(笑)。
そんな彼らの新作は、フルアルバムとしては約3年ぶりとなる作品。ただ、その間にミニアルバムを多数リリースしているだけに、それほど久しぶりな感じはしません。amazarashiといえば、最近多い「中2病バンド」の一組として語られることが多いバンド。今回も、そんな「中2病」と言われそうな、膨らんだ自我を読み込んだ歌詞が多いのですが、本作ではそんな彼らの主張が、実にわかりやすい形で歌詞に読みこまれていることが大きな特徴に感じました。
今回のアルバムでamazarashiの歌詞の大きなテーマに感じたのは、この現実の中で「自分とは何か」を問いかける歌詞と、厳しい現実の向うに希望をみつけるような歌詞。いずれもよくありがちなテーマであり、かつ「中2病」と時には揶揄されることの多いテーマだったりします。
もともと歌詞がストレートでわかりやすいというのはamazarashiの大きな特徴だったのですが、その方向性が今回のアルバムではより顕著。例えば「自分とは何か」というテーマ性としては、タイトルチューンでもある「ヒガシズム」では
「瞳の色 肌の色 髪の色 互いを見ろ
僕が僕として生きてる理由を 身に纏う証明
実存 実存 実存」
(「ヒガシズム」より 作詞 秋田ひろむ)
とかなりストレートに歌われていますし、「絶望の中の希望」というテーマ性にしても「スターライト」では
「屑みたいな ゴミみたいな 小さな星を見つけたんだ
掴めはしなくても その明かりで 僕らは 前に進むよ」
(「スターライト」より 作詞 秋田ひろむ)
とこれまたストレートに歌われています。
他にも「僕は僕を諦めたぜ 生まれてすぐさま諦めたぜ」と中2病がさく裂している「穴を掘っている」や、バンドとしての決意を歌ったような「後期衝動」、若くして亡くなった友人への歌が心を打つ「ひろ」など、わかりやすい歌詞がインパクト十分の曲が並んでいます。
この歌詞のわかりやすさ、なんか一歩間違えると「小難しい歌詞の方が素晴らしい」的にいきがちなのですが、でも彼らくらいストレートなテーマ性を読み込んだ方がいいと思うんですよね。なによりも聴いていて、耳から素直に歌詞が入ってくるインパクトが素晴らしい。もちろん、わかりやすいといっても流行のJ-POP的な薄っぺらい内容ではない、という点が大前提なのですが。
わかりやすいといえばメロディーやサウンドもわかりやすくインパクトがあります。基本的にはギターロックがメイン。所々ピアノやストリングスを上手く取り混ぜポップにまとめています。それは決して目新しい感はないのですが、バンドサウンドはダイナミックな演奏を聴かせてくれて気持ちいいですし、ピアノの音色も実に心地よく響いてきます。
ここ最近のamazarashiはデビュー直後に比べると正直少々マンネリに感じていました。そんな彼らが最新作で提示したのは、そのマンネリを打破するような新たな一歩ではなく、むしろamazarashiというバンドのどこが魅力なのか、という点に立ち返り、そしてその点を押し進めたように感じます。そしてこのアルバムはその方向性に見事成功した傑作に仕上がっていたように思いました。amazarashiというバンドの魅力が実にわかりやすく体現化された作品。「中2病」的な世界観は少々好き嫌いがあるかもしれませんが、抵抗感のない方にはぜひともお勧めしたい1枚です。
評価:★★★★★
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